SaugatuckのMichael君(マイケル・グルーバー)、第2話です♪〔写真は、地元Saugatuckの The Local Observer紙(8/31)の一面を飾ったキャストの写真です。後ろ側の立っている3人の左から、ジーン.コーイン役のColleen Dunn(コーリーン.ダン)さん、ジーン.ケリー役のSean Martin Hingston(ショーン.マーティン.ヒングストン)さん、アーサー.フリードと振付師のバズビー.バークレーの2役を演じるG. M. Bud Thompson(バド.トンプソン)さん。手前にいる2人のうち、左側は、もちろん言わずと知れたMichael君♪ そして、彼のひざの上に座っているのは、若きデビー.レイノルズ役のBrynn Curry(ブリン.カリー)さんです。〕
翌8/28、この日は、2時からのマチネと、夜の7時からのショーの2本を見る予定だったので、午前中は出かけずに、部屋でテレビを見たりしながら過ごしました。日本からMichael君宛の手紙を用意してきていたので、マチネが始まる前にそれを預けようと、12時過ぎに宿を出ました。
劇場に着いたのはいいのですが、どこにも楽屋口が見当たらず、どこに手紙を預けたらいいのか困っていると、劇場関係者らしい女性が2人、劇場に入ろうとしながら、ナズのほうを見て、 「何か、ご用ですか?」と訊ねてくれたんです!
「はい、私は、スタンリー・ドーネン役のマイケル・グルーバーさんのファンで、日本の東京からこのミュージカルを見に来ました。ファンレターを書いてきたので、もしよかったら、ショーが始まる前に、グルーバーさんに渡してほしいんですけど。」
「まあ、わざわざ東京から! 熱心なファンなのね。いいですとも、私が預かって、必ず、彼に渡しますから。」
ついでというわけではないのですが、楽屋口がどこにあるのかを訊ねると、この劇場には楽屋口はなく、キャストも、ロビーを通って出てくるのだとのことでした。
無事、手紙も預けられ、ホッとしたナズは、劇場の近くのレストランで軽い昼食を済ませ、1時半ごろ、劇場へと向かいました。
表の扉の開場時間というのは特にないようで、観客は自由にロビーへと入って行きます。ナズも、ロビーに入り、客席に入れるのを待ちました。開演時間の10分ほど前になると、カーテンが開かれ、Playbill(無料でもらえるパンフレット)を受け取りながら、客席へと向かいました。ロビーもそうなのですが、黒を基調にした小ぢんまりとした劇場で、オーケストラ・ピットなどはないため、最前列の客席とステージは、わずか1メートルちょっとしか離れていませんでした。
最前列のど真ん中、A-10の席に腰を降ろしたナズのすぐ目の前に、あまり大きくはないステージが広がっていました。ステージの中央には、赤い傘が開いた状態で上からつるされていました。ダンス・スタジオのようなセットで、傘の向こう側、ステージ奥には、5枚の鏡が屏風のように並んで立っていました。また舞台向かって右側には、 ピアノがあり、その奥にはドラムセットが置いてありました。舞台向かって左側には、椅子が2つと、帽子掛けや電話の乗った台が置かれていました。
「いよいよ、Michael君の新作を見られるんだ~!」とワクワクしながら待つうちに、やがて入り口のカーテンが閉まり、スタッフの人がステージに上がり、挨拶を始めました。それによれば、地元の後援者の方が多額の寄付をしてくださったので、こちらの劇場をもっと立派なものに建て替えることができる運びになったのだとか! よかったですね~。ナズとしては、この手作りの雰囲気がいっぱいの小ぢんまりとした劇場、なかなか好きなのですが、舞台装置が大掛かりな作品などは上演できませんからね~。
挨拶が終わると、いよいよ、開演です。音楽が流れ、赤い傘にライトが当たると、色が黄色に変わったように見え、そのままスルスルと、上の方へと引き上げられていきました。なかなかステキなオープニングです。
まだ薄暗いステージに人影が現れ、踊り始めました。ジーン・ケリー役のショーンさんです。それほど背が高くなく、体つきもジーン・ケリーに似ているショーンさんの、まさにケリーさながらの素晴らしいダンスです。
ひとしきり踊り、舞台上手のほうに滑っていくショーンさん。そこに登場したのは、Michael君扮するスタンリー・ドーネンです。久しぶりの再会に喜び合う2人。
かつて共同で監督した「Take Me Out to the Ball Game 私を野球に連れてって」のことを思い出すケリー。タイトルナンバーを踊りながら、フランク・シナトラのパートを踊るようにとドーネンを誘います。ショーンさんとMichael君の楽しいダンスナンバーです♪その素晴らしい歌とダンスに、もうナズは拍手喝采!
踊り終えた2人は、ケリーが計画している「Singin' in the Rain」という次回作について相談します。「協力してもいいけど、共同監督として、フィフティ・フィフティのタイトルをもらうよ!」と念を押すドーネン。
ケリーの相棒に、ドナルド・オコーナーはどうかと話し合う2人。ケリーと相棒が演じるナンバー、「Moses Supposes」を、ケリーとドーネンが歌って踊ります♪ 映画ではケリーが演じていたドン・ロックウッドが持ち役のMichael君、2月のシアトルでの公演でも、ケリーとはちょっと雰囲気の違う、Michael君らしい素晴らしいドンを見せてくれたのですが、ここでは、コズモのパートを歌って踊ります。Michael君のドンを見慣れたナズには、ちょっと不思議な感じがしました。まるで、ジーン・ケリーとドン・ロックウッドがステージで共演しているみたいな、そんな感じがしたんです。ナズは、Michael君のドンが一番好きですね~♪
相棒役はオコーナーにしようと決めた2人、今度は、ケリーの相手役の女優について相談します。「となりの女の子・・・みたいな感じなんだよ」と説明するケリー。「誰か、これと思う女優がいるんだろう?」と訊ねるドーネンに、「そうなんだ、実は・・・」と言いかけるケリー。「彼女は、ダメだ!」 ケリーの言葉を最後まで聞かないうちに、ドーネンが言いました。ケリーが使いたいのは、ジュディ・ガーランドなのです。素晴らしい女優なのですが、最近は、精神的なストレスを抱えてまともに仕事ができる状態ではなく、その彼女を監督して大変な思いをしたドーネンは、「絶対に使わない」と反対します。そこに現れたのは、バドさん演じるアーサー・フリード。相手役の女優に、心当たりがあると言いながら、去っていきます。
ドーネンを驚かせることがあると言うケリーが招き入れたのは、何と、長年、ケリーとドーネンのダンス・アシスタントを務めてきたジーン(ジーニー)・コーインでした。コーリーン・ダンさんが演じています。今度の映画を成功させるには、2人の協力が必要だと言うケリー。しかし、元夫婦で離婚したばかりの2人は、大反対。「よく話し合え」と、ケリーは2人を残して、スタジオを出て行きました。
「あなた、やせたわね。」 「君は、老けたな」と、さっそくやり合う2人。「ケリーが、なぜ、君の助けを求めたのかわからない」と言うドーネンに、「自分だって、『ロイヤル・ウェディング』の時に、私を呼んだじゃない」と答えるコーイン。「ロイヤル・ウェディング」からのコミカルなナンバー、「How Could You Believe Me When I Said I Loved You When You Know I've Been a Liar All My Life」を、Michael君とコーリーンさんが披露します。「ウソツキだって知ってるくせに、どうして俺の言葉を信じるんだ?」という内容のこの歌、映画では、フレッド・アステアとジェーン・パウエルが演じていました。コミカルな演技が大得意のMichael君、コーリーンさんとの息もピッタリで、会場を大いに沸かせてくれました♪
どうにか2人が仲直りしたところに、3人分の黄色いレインコートと黒い傘を抱えたケリーが戻ってきました。雨の中で歌って踊るタイトルナンバー「Singin' in the Rain」を、LAのあちこちで雨を降らせてロケで撮影しようと話し合い、盛り上がった3人がアイディアを出し合いながら、歌って踊ります。そこに経営陣の会議に出席していたフリードが現れて、「ミュージカル嫌いな男がトップになったから、これからは、ミュージカルも他の映画同様、予算に縛られる。ロケなんて、とんでもない!」との厳しい言葉。「On the Town 踊る大紐育」の時は、ロケで撮影して大成功したことをフリードに訴える3人。ケリー、ドーネン、コーインの3人が、「On the Town」からのナンバー「New York, New York」を楽しく演じてくれました。
3人の説得も空しく、「これからは、予算を超過しないように気をつけるんだな」と言い残して、フリードは去っていきました。ガッカリする3人。
ふとケリーが、ドーネンとコーインの結婚がうまくいかなかったことを口にします。「あんたには、関係ない」と、ムッとするドーネン。「いつも俺のあとを追ってばかりいるお前だから、それでジーニーと結婚したかったんだろう!」 とケリー。「あんたこそ、仕事ばかりでジーニーのことを振り向きもしない。だから、彼女は、第2の選択で、僕と結婚したのさ。」とドーネン。自分の気持ちを無視してののしりあう男2人に、コーインの気持ちは、ひどく傷つけられます。「外の空気を吸ってくる」とドーネンが出て行った後、涙ぐみながら続いて出て行こうとするコーインを、ケリーが引き止めます。彼女の気持ちを傷つけたことを謝り、今度の映画でやろうと思っている素晴らしいダンスナンバーについて話し、彼女と2人で「The Broadway Ballet」の中の「Woman in Green Dress Dance」を踊ります。ケリーとの情熱的なダンスにうっとりとしているコーインに、「君は、最高だよ、ダンサーとして!」と、やはり仕事のことしか頭にないケリーに、コーインの怒りが爆発します。
そこに入ってきたフリード。ケリーの相手役にと連れてきたのは、デビー・レイノルズという少女でした。ドーネンもスタジオに戻ってきたので、彼らの前で、デビーが歌を披露します。ところが、彼女、歌はなかなかうまいものの、体操をやっていたことはあるけれど、ダンスは全くの素人。「なかなか、いいじゃないか」というドーネンとは裏腹に、「話にならない」と言い捨てるケリー。「彼女は、素晴らしいよ」と言いながら、デビーを連れて立ち去るフリード。
気持ちのおさまらないコーインは、ケリーをなじり、足早にスタジオをあとにするのでした。また、ドーネンのほうも、「やっぱり、あんたと一緒には働けないよ」と言い残して、去っていくのでした。
一人、取り残されて落ち込むケリー。フリードが、彼宛に届いていた電報を持ってきました。それは、別居中のケリーの妻、ベッツィからのものでした。すでに、ベッツィの気持ちはすっかり冷めているのですが、まだ妻を愛しているケリーは、何とかやり直そうと思っていたのです。しかし、電報には、「当分、戻らない」と書かれていました。
心配するフリードの手前、平静を装ったケリーでしたが、スタジオに1人取り残され、何とか気持ちを紛らわそうとしますが、ついに、スタジオの真ん中で泣き崩れてしまうのでした。この悲しみに暮れるケリーを演じるショーンさん、本当に真に迫っていて、見ているナズも、思わず涙ぐんでしまうほどでした。
ここで、ミュージカルの前半が終了しました。ミュージカル王国のMGMを舞台にミュージカル映画の撮影の裏話を描いているので、名作ミュージカルの素晴らしいナンバーが満載で、いかにもアメリカのミュージカルらしいミュージカル・コメディのスタイルなのですが、ケリー、ドーネン、コーインの3人を巡る確執を描いているため、登場人物が互いに怒りをぶつけ合ったり、気持ちを吐露するシーンも多く、そういうシーンは、シリアス・ドラマのような感じで真に迫っていて、ショーンさん、Michael君、コーリーンさんのBroadwayから来た3人の演技力の素晴らしさを満喫できて、実に見応えがあります。
客席の反応もよく、観客の皆さんは、口々にショーの素晴らしさ、キャストの素晴らしさを語り合っていました。休憩時間中にトイレを済ませ、席に戻ったナズは、期待に胸を膨らませながら、後半の開始を待ったのでした♪
To be continued・・・(続く)♪