M for Michael Gruber♪- Mは、マイケル・グルーバーのM~♪

キャッツDVDのマンカストラップ、アメリカの舞台俳優、Michael君のことや、ブロードウェイニュースをお伝えします。

ChanhassenのMichael君-Jesus観劇記 その8

2011-05-24 20:56:40 | Michael 11 Jesus
Jesus 観劇記その8、最終回です。(写真は、ナズの新しい宝物です。説明は、記事の中で♪)

いよいよ最後のショーです。ディナー無しなので、7時40分頃に劇場に着き、トイレを済ませてから、席に案内してもらいました。この時の席は、前日の晩にMichael君(マイケル・グルーバー)の初ジュダスを見た席の1つ外側のテーブルでした。ご友人同士なんでしょうか、二組のカップルがすでにディナーの終盤で、「こんばんは」と挨拶をして、席につきました。前側の席なので、見やすいし、叫びやすい♪

この晩の同席者の方達も、とてもフレンドリーで、簡単に自己紹介をしてくれた後、「あなたは、旅行でいらしたの?」と尋ねられたので、例によって「今晩、ジュダスを演じてるMichael Gruberの友人で、彼のショーを見るために東京から来た」と答え、ついでに「このショーが7月末で終わったら、8/5から『Hairspray』が始まるけど、Michaelは、コーニー・コリンズを演じ、ジーザスを演じているベンは、リンクを演じるので、きっと面白いと思う。」と、次のショーの宣伝もしておきました~!(笑)

Michael君のジュダス、この3回目は、もう完璧でした! ぎこちなさは完全に消えて、全てが、「こうあるべき」という理想の状態! もう完全にジュダス役をマスターしたという感じで、なめらかに、スムーズに、そして鮮やかに、自由自在にパフォーマンスを繰り広げていました。唯一、シャウトする高音だけは、まだ少し苦労しているように見えましたけど、気にして聞いていなければ気づかない程度でした。

特に印象的だったのは、前半最後の「Damned for All Time」。ジュダスが、カイアファス達にジーザスの居場所を告げてしまった後、どこからともなく「よくやった、ジュダス」という声が聞こえてきた時、Michael君は、愕然とした表情を浮かべて、天を見上げました。そして、呆然と凍りついたまま暗転になりました。
その前のマチネまでは、上を見上げることは見上げてたんですが、声がどこから聞こえてくるのかわからないというふうに、きょろきょろしていたんですね。それが、この時は、声が聞こえてくると、すぐにまっすぐ天を見上げるという演技になっていて、こうすることで、それまで、「自分だけは事態をちゃんと把握していて、自分の判断のもとに最善の行動を取っているんだ」と思っていたジュダスが、実は、自分も神の大いなる思し召しの中で操られるコマの1つに過ぎないんだと気づいたことを、うまく表現できていると思いました。この演出があることで、ジュダスの死のシーンで、彼が神に向かって、「なぜ、あなたの汚い企みのために、俺を選んだのだ!俺は、神に殺された!」と叫ぶ心理が、観客に理解しやすくなると感じました。

そして、圧巻は、「Superstar」でした。美女3人が、セクシーにジュダスに寄り添いながら歌うところでは、Michael君、プレイボーイ風のクールな笑みを浮かべながら3人に目を向けるんですが、それがいかにも「美女をはべらせて」って感じで、すごくセクシーでした♪
ジーザスに近づいていく時も、ちょっと気取った歩き方で近づき、両手を大きく開いてポーズをしたり、からかうように覗き込んだりしながら歌いかけ、いかにもミュージカルらしい、ショーアップされた華麗なシーンに仕上がっていました。この素晴らしいシーンを見られただけで、この時期に、長めの期間でチャンハッセンまで来た甲斐があった~と思いましたよ!

最後のカーテンコール、思いっきり叫び、退場していくキャストに目いっぱいの拍手を送って、同席の方達にお別れを行って、ロビーへと急ぎました。キャストの皆さんも、ナズが明日帰ってしまうと知っているので、あっちでもこっちでも、「Great Show!」、「たくさん見てくれてありがとう!」、「また見に来てね」、「応援をありがとう!」と挨拶を交わし、バーのほうへ向かいました。
ジュダスのコスチュームのまま、テーブルの上に座って、メアリー役のミシェルさんやヘロデ王役のジェイさんとおしゃべりしているMichael君がいました。彼とハグした後、ミシェルさんやジェイさんともハグしてお別れを言いました。

「時間、大丈夫なんだよね、ナズ?」と、Michael君。

「ええ、大丈夫よ。ホテル、すぐそこだもん♪」

「じゃ、すぐ着替えてくるから、ちょっと待ってて。トニーも来るからね。」

「OK~!」

バーにはピアノがあって、とても上手にピアノを弾いている男性がいました。他のキャストの人達が何人か、バーのテーブル席に座って、お酒を飲みながらおしゃべりしていました。壁には、絵がたくさんかけらていたので、ナズは、その絵を見ながら、Michael君達を待っていました。
ピアノを弾いていた男性と話していた女の人がナズのそばに来ました。ショーにアンサンブルとして出演していたミシェル・バーバーさんでした。この劇場で上演された56の作品に出演していて、彼女のご主人は、長年この劇場のアートディレクターとして働いてきて、今年、晴れて劇場のオーナーになったマイケル・ブリンディシさんです。

「こんばんは。私、ミシェルよ。ショーを6回も見てくれて、ありがとう。それに、あんなに拍手喝采を送ってくれて。あなたが、ここぞという時に拍手をリードしてくれたから、他のお客様の反応もよくて、本当に嬉しかったわ。明日、発つのよね。どうぞ、ご無事で、よい旅を!また見にいらしてね。」

ミシェルさんとご挨拶をして、握手もしていただきました。ミシェルさんが帰られて、少しして、Michael君とトニーさんがやってきました。

「お待たせ、ナズ。君にあげたいものがあるんだよ。 まずは、これ。」

Michael君がくれたのは、黒いゴムのリストバンドでした。黄色で十字架の絵と「Superstar」の文字、そして劇場のサイトのアドレスが入っていました。

「ありがとう!」

「たいしたものじゃないけど、ここまで見に来てくれた記念にね。そして、もうひとつ・・・」

トニーさんが手に持っていた紙を開いて見せてくれました。

「うわ~!すごい!」

それが、この記事の冒頭の写真です。

「キャスト全員、君が客席で一緒に歌ったり、応援してくれたりしたことが本当に嬉しくて、何か特別なものをあげたいと思って、作品のポスターに、みんなでサインをしたんだよ。気に入ってくれるといいんだけど」と、トニーさん。

「もちろん!こんな素晴らしいもの、初めてもらったわ!ありがとう~!」

何て、嬉しいんでしょう!もう、大感激です♪ 劇場の売店では、リストバンドもポスターも売っていなかったので、宣伝用の非売品のものなのだと思います。ポスターの下の方にある白い四角の左上の隅、「××○○」がついているのがMichael君のサインで、そのすぐ右がトニーさん、Michael君の下が日本語を習っていたことがあるマーティンさん、その右がチャドさん、達筆で判別しづらいのもあるんですが、他にもメアリー役のミシェル・カーターさん、ジーザスのベンさん、アンさんやつい先ほどお別れをしたミシェル・バーバーさんのもありました。

と、そこにマチネの後、ロビーで会った子役のルビーちゃんやライアン君が挨拶に来てくれました。アンさんも、おしゃべりに付き合ってくださる予定だったのが、急いで帰らなくてはいけなくなったそうで、お別れを言いに来てくれたので、Facebookで友達になろうと約束しました。
またアンナス役で次の「Hairspray」ではシーウィードを演じるカサーノさんも挨拶に来てくれて、アンナスが「Judas Death」のシーンでいつもジュダスの胸を叩くので、Michael君が、笑いながら「ナズ、彼は、いつも僕のことを殴るんだ!そのうち、一度仕返しをしてやらなくちゃと思ってるのさ!」と言っていました。カサーノさんは、クスクス笑っていましたよ。

飲み物をいただけるというので、Michael君はビール、トニーさんはソーダ、ナズはアイスティをお願いして、テーブルに座りました。そこに、ヘロデ王役のジェイさんも加わって、4人でおしゃべりをしていると、ピアノを弾いていた男性が近づいてきて、Michael君が、ミュージカルディレクターのアンドリューさんだと紹介してくれました。
ナズがMichael君の友人だと知って、彼がどんなに素晴らしい俳優かを熱く語ってくれたアンドリューさん、

「そうですね。たぶん誰よりも、私が一番、彼がどんなに素晴らしいか知っていると思います。もう50回以上も彼のショーを見てますから。」と、ナズが答えると、

「へえ、Michaelは、そんなに何回も日本で公演したの?」と、アンドリューさん。

「いえ、日本だけじゃなくて、NYとかボストンとかシアトルとか・・・」

説明しかけたナズの言葉を引き取って、Michael君が微笑みながら説明してくれました。

「彼女は、僕のショーを、あちこちに見に来てくれるんだ。いつも滞在中のショーを全部見てくれるんだよ。」

「そりゃ、すごい!最高の友人だね!」

アンドリューさんを見送った後、しばらくおしゃべりを続け、ふと時計を見ると、もう11時を回っていました。劇場のロビーもすっかり明かりが消えて真っ暗です。

「こんな時間だ!そろそろ帰らないと。ナズ、明日は、空港まで送ってあげられなくて、ごめんよ。もう少し遅い便だったら、何とかなったと思うんだけど。」

「大丈夫よ、ありがとう、Michael。タクシーをお願いしてあるから、心配しないで。」

終演から1時間ほど経っているので、外には、すっかり人影がなくなっていました。お別れを言おうとするナズに、トニーさんが、

「遅いから、車でホテルまで送るよ」と言ってくれました。

でも、すぐ近くだし、これから高速を使って20分くらいかかってミネアポリスまで帰る2人を少しでも早く帰らせてあげたかったので、

「大丈夫!すぐそこだもの!たった2分よ。」と辞退したんですが、Michael君にも

「いや、車で送るから、お乗り。」

と言われたので、送ってもらうことにしました。ホテルの玄関前に車をつけてくれたMichael君に、しっかりハグしてもらいました。

「気をつけて帰るんだよ。家に着いたら、メールを送ってね。」

「うん!いろいろありがとうね。あなたのジュダスは最高だったし、素晴らしい旅行になったわ。」

トニーさんともハグをして、Facebookで友達になる約束をしました。2人を見送ろうと思ったんですが、2人の方もナズがホテルの建物に入るのを見届けようとしてくれているようだったので、手を振って、ホテルの中に入りました。

部屋に戻ったナズ、着ていたドレスや靴をスーツケースにしまい、手早く寝支度をしてベッドに入りました。最後の晩は、あまり眠れないことが多いんですが、この晩は、比較的早く寝付けて、翌朝、5時半に起床しました。
7時に頼んであったタクシーが早めに来たので、空港へは、ものすごくゆとりを持って到着したので、チェックインを済ませ、チャンハッセンで買い物できなかった分を、空港のみやげ物店で買いました。

そして、まずは、国内線でシカゴへ向かいました。隣の席に座ったマックスさんという、ちょうどMichael君と同年代の男性の方が、とても素敵で優しい方で、シカゴまで楽しく過ごすことができました♪ 看護師でもあり、陸軍に勤務もしていらっしゃるというマックスさん、「24」のジャック・バウアーを演じているキーファー・サザーランドに少し似ていて、サザーランドをもう少し細めにして、優しい感じにしたような雰囲気の方でした。

無事シカゴに着き、マックスさんとお別れしたナズ、ちょっと小腹が空いたので、行きに4時間も過ごしてすっかりおなじみになったオヘア空港で、お気に入りのメキシコ料理を食べてから、日本行きの搭乗口に向かいました。国内線は満席だったんですが、日本に向かう便は、ガラガラで、横の席が空いていたんで、のびのびと過ごすことができました。時計を現地の時間のままにしておいたナズ、ディナーシアターの開演時間に合わせて、ipodの「Jesus Christ Superstar」のアルバムを聴きながら、ショーの様子を思い浮かべて、心の中で「ホォ~ッ!」とさけんでました♪

通路を挟んで横の席には、奥様が軍人さんで、日本にいる奥様のところへ向かうというアフリカンアメリカンの男性の方がいらして、2才くらいの可愛らしいお嬢ちゃんを連れていたんです。このお嬢ちゃんがとても人懐っこくて、フライトアテンダントの人気者になっていました。目が合うと、ナズにも笑いかけてくれて、とても楽しいフライトでした~。

5/6の夕方、成田空港に到着したナズは、成田エクスプレスとタクシーを乗り継いで、自宅に帰り着きました。荷解きもそこそこに、さっそくMichael君に「無事帰ったよ」メールを送ったナズ、続いて、トニーさんやアンさんをはじめ、キャストや劇場の関係者の人に、Facebookからフレンド・リクエストを送りました♪ キャストの中には、向こうからナズにリクエストを送ってくれた人もけっこういて、結局、Facebookを使っているキャストとは、ほぼ全員、お友達になりましたよ♪
チャンハッセンに行く前は、20人ちょっとだったナズのFacebook友達は、今や56人に増え、そのうち、30人以上がアメリカの俳優さんや劇場関係者というすごいことになってます~(笑) ほんとに、思い出深い、楽しい旅行になりました。チャンハッセン、また、絶対、行くぞ~!

以上、大変長くなってしまって申し訳なかったんですが、チャンハッセンでのJesus観劇記でした! 最後までお付き合い下さって、ありがとうございました。

記事の中でも書きました通り、活動の拠点をニューヨークからミネアポリスに移したMichael君、気さくで優しい人達に囲まれて、楽しくお仕事をしているそうです。ミネアポリスはもちろん、近くのセントポールやチャンハッセン等、周囲に劇場が多く、たくさんのミュージカルが上演されるので、いろいろな作品に出る機会に恵まれて、もともとバラエティに富んだ作品に出るために、地方公演への出演が多かったMichael君にとっては、打ってつけの場所と言えるでしょう。
次のお仕事は、今年の8月5日から来年(2012)の1月29日まで、同じチャンハッセン・ディナー・シアターズのメインホールで上演される「Hairspray」に、コーニー・コリンズ役で出演します。詳細は、劇場のサイトからご覧下さい。
この「Hairsray」を見に行けるかどうかはわからないんですが、これからもなるべくたくさん、Michael君のショーを見に行きたいと思っております。見に行けましたら、また観劇記をこちらに書かせていただきますので、どうぞ、よろしくお願い致します~!

ChanhassenのMichael君-Jesus観劇記 その7

2011-05-21 12:05:20 | Michael 11 Jesus
Jesus観劇記 その7です。(写真は、前の記事でも紹介したジュダスのコスチューム姿のMichael君〔マイケル・グルーバー〕です。この写真、撮影したのは、初ジュダスの晩ではなく、この記事の5/4のマチネの後です。)

5/4(水)は、土曜日同様マチネがある日でしたので、朝食を済ませ、翌日が帰国だったので、荷物の整理などをした後、身支度をして10時半頃、ホテルを出ました。

この劇場は、シングルチケットはネットでは買えないため、ボックスオフィス宛にメールしてチケットを手配してもらったんですが、その時お世話になったアニータさんという方がとても親切だったので、ご挨拶したいと思い、ボックスオフィスに寄ってみました。「ちょっと席を外しているので、あなたのテーブルに行くように伝えておきますよ」と窓口の人が言ってくれたので、座席番号と名前を伝えました。

この日の席も、最前列! 前回とは反対側、ステージに向かって左端の席でした。お皿やフォークがナズの分しか出てなかったので、(ラッキー!今日も1人だ♪)と喜んだんですが、ナズのようにショーだけ見るという人がいないとも限りません。ナズの席は、テーブルの外寄りの席だったので、開演時間になっても誰も来ないようだったら、舞台中央側の席に変わっちゃおう~と思いました。
オーダーを取りに来てくれたウェイトレスさんが、本日のスペシャルは、「タラのフライ、ブラウンライスとグリル野菜添え」だと教えてくれて、美味しそうだったので、それに決めました。オーダーを済ませて、ステージのセットを眺めていると、ナズの目の前に近づいてきた人がいました。相席の人かな~と目を向けると、

「こんにちは。私がアニータです。」

ボックスオフィスのアニータさんが来てくれたのでした♪ あわてて立ち上がり、ご挨拶をしました。チケット手配のお礼を言うナズに、役に立ててうれしいと素敵な笑顔で答えて下さいました。毎日ショーを楽しんでいると言うナズに、「ちょうどお友達のMichaelのジュダスを見られてよかったですね。今日もショーとランチを楽しんで下さい。」と言って下さいました。初日から何度かアニータさんに会おうとボックスオフィスを訪ねていたんですが、彼女がお休みだったりしてなかなか会えなかったんですが、帰る前に会えて、本当に良かったです♪

しばらくすると、料理が運ばれてきました。ちょっとチャーハンみたいな感じのブラウンライスの上にタラのフライが乗っていて、ニンジンやブロッコリー、キューカンバー等をグリルしたものが添えられていました。タラのフライ用にタルタルソースがついていました。ナズにはちょうどいいボリュームでしたが、男性とかだったら絶対足りない感じで、メインディッシュを無料にしても、アペタイザーやデザートでけっこう収入になりそうだな~と思いました。味付けはとてもおいしく、タラも程よく揚がっていて、いいメニューを選んだな~♪と、とても満足でした!

食事を済ませて時計を見ると、まだ12時15分くらいだったので、ぶらぶらとロビーの方へ行って、キャストの写真を眺めていました。すると、突然、「やあ、僕らの写真を見てるの?」と話しかけてきた人がいました。キャストの1人のチャドさんでした。彼は、使徒の1人で、ヘロデ王のシーンでは、おどけたダンスを披露する男性ダンサーのうちの1人を演じています。「おや、ナズ!」と、今度はトニーさんでした。このショーの場合、ダンスのシーンが少ないせいか、キャストは、開演の30分前くらいに劇場に来ているそうなので、ちょうど彼らの出勤時間だったようです。
チャドさんとトニーさんに挨拶をしていると、誰かが突然、後ろからナズの肩をマッサージし始めました。振り向くとそこにいたのは、Michael君でした♪

「やあ、ナズ!」

「Michael!今日は、私、お昼をここで食べたのよ。」

「何を食べたんだい?」

「タラのフライ、ブラウンライスとグリル野菜添え」

「そんなメニューがあるんだ!美味しかったかい?」

「とっても♪」

「それは、よかった! じゃ、僕ら、支度しなくっちゃ。ショーが終わったら、ロビーでね。」

「頑張ってね~!」

約束をして会うのもいいんですが、こんな風に偶然会えると、とっても嬉しいんですよね。 Michael君達を見送った後、トイレに行ったりしているうちに開演時間が近づいたので、席に戻りました。この時間になっても誰も同席者はおらず、ナズ1人だとわかったので、ステージ中央側に移って、椅子をステージの方に向けました。

MCの後、いつものように誰もいないステージが青く照らされ、ナズの席のすぐ横の通路を通って、ジーザスがステージに上がっていきました。続いて、他のキャスト達もステージへ登場しました。この劇場は、ステージと客席が近いので、最前列のテーブルで見ていると、ステージとの一体感があってとても楽しいです。またテーブルがあって、飲食を楽しみながらショーを見られるというのも、最初は奇妙な感じがしましたが、慣れるととっても快適で、次に普通の劇場で見たら、きっと不便に感じるのではないかと思います。

オーバーチュアーの終わりに、キャストがステージの縁に勢ぞろいするんですが、ナズの目の前に立った俳優さんたちは、すでにナズに気づいていて、みんなナズを見ながら微笑んでくれていました。
続いてのジュダスのソロ、出だしのところで、Michael君がまた布を左腕に巻いたんですが、前夜よりずっとスムーズに上手に巻いていました。進歩が早い! シャウトするような高音も、少し苦しげではあるんですが、それでも初ジュダスの前夜に比べれば、自然に歌えていました。実は、前夜の4列目で見ていた時は、表情までしっかり演技をするMichael君の顔を見たくてオペラグラスを使っていたんですが、この時は最前列ですから、肉眼ではっきり彼の顔が見えて大満足でした。それこそ、手を伸ばせば触れそうなところで演技してるんですから♪

「Strange Things Mystifying」も「Everything's Alright」も、歌も演技も、Michael君のパフォーマンスは、前夜よりさらに磨きがかかった感じで、他の俳優さんとうまくかみ合った素晴らしい演技で、とても楽しむことができました。

そして、「The Temple」のシーンでは、ナズのすぐ目の前で踊り子役の女優さん、ジュリアンさんが、布を振りながら踊るんですけど、その布をナズの頭の上にふわ~っとかぶせてくれたんです!で、ナズがその布を支えるように両手を差し出すと、ナズの両腕の上を滑らせるようにして布を動かしてくれました。
またショーには、子役の俳優さんが男女2人ずつ参加しているんですが、そのうちの1人のルビーちゃんという15才の女の子もナズのすぐ前で踊っていて、ナズが拍手をしながら歓声をあげたら、とっても嬉しそうに笑いかけてくれました。近くにいるほかのキャストも、みんな笑顔で、ナズに向かって商品を売り込むしぐさをしてくれて、すごく楽しかったです♪

前半最後の「Damned for All Time」では、やはり高音は出しづらいようでしたが、それでも、前夜よりずっと声が出ていましたよ。最前列からだと、本当にMichael君の熱演をわずか1メートルくらいのところで見られるので、最高です~♪もう大満足でした!

休憩明けの最後の晩餐のシーンでのジーザスとジュダスのやりとりは、最前列から見ていると、本当に迫真の演技で、圧倒されました。

ベンさん演じるジーザスの感動的なソロ「Gethsemane」に引き続いてのジュダスの裏切りのシーンも、ジュダスの死のシーンも、前夜同様、とても見ごたえがありました。特に至近距離の最前列から見ていたので、Michael君の表情もはっきりと見えて、最高でした~♪そして、「Superstar」では、前夜よりもリラックスした感じで、十字架を背負って歩くジーザスの動きと一緒にステージを歩き回りながら歌っていました。

カーテンコールも、とっても盛り上がりました。拍手喝采を送ったナズの横の通路を通っていくキャストが、みんな、ナズに笑顔を向けてくれたり、手を振ってくれたり♪

いつも通り、すばやくロビーに出たナズに、司祭を演じていたマーティンさんが、「コンニチハ」と日本語で話しかけてくれました。昔、日本語を習っていたことがあるそうで、「今はほとんど忘れてしまったけど、これは合ってるといいな」と英語で言ったあと、「オアイデキテ、ウレシイデス」と日本で言ってくれました♪

ふと壁際を見ると、ルビーちゃんと男の子の1人のライアン君が立っていて、「Great show!」と声をかけたナズに、嬉しそうに笑いかけてくれました。ルビーちゃんは、ナズの歓声が本当に嬉しかったようで、とても興奮した様子で「応援してくれて、ほんとに、ほんとにありがとう!すごく嬉しかった~!」とお礼を言ってくれました。

いつもバーにいたMichael君がバーに見当たらなかったので、他のキャストに声をかけつつ、彼を探しながら劇場の玄関の方に行くと、ドアの手前のソファが置いてあるスペースに、Michael君が立っていました。準主役のジュダスですから、ちょうどお年寄りの団体客が帰るところで、皆さんから声をかけられ、握手を求められていました。
Michael君が立っている位置と反対側の壁のところに、カイアファス役の厚底靴を履いたショーンさんがいたので、「Great Show!」と声をかけました。ステージでは怖いイメージのショーンさんが、にっこりと優しく笑って、「ありがとう!」と答えてくれました。ショーンさんと少しおしゃべりをしているうちに、お客さんが減ったので、Michael君のそばに行きました。

「昨夜も素晴らしかったけど、今日は、さらに良くなったじゃない!?」

「今日も、大喝采をありがとう、ナズ♪」

昨日はほっとしたような笑顔だったMichael君、この時は、自信に満ちた輝くような笑顔でした。ジュダスのコスチューム姿の写真を撮らせてもらっていると、また別のお年寄りの団体客が来たので、ナズは脇に寄り、Michael君は、その人達と挨拶をし始めました。
お年寄りの1人が、少し離れて立っていたナズにも、握手を求めてこられて、何だかわからないまま握手させていただいちゃったんですが、びっくりしているナズの顔を見たそのご婦人、「あら、あなたはキャストじゃなかったのね!」と一言! Michael君も、そのご婦人のお友達も、ナズも、大笑いしちゃいました(笑) たぶん、この時、ナズが、ちょっと昔のローブ風のロングカーデガンを着ていたんで、それが衣装に見えちゃたんでしょうね。

また別のお年寄りの方が、ナズに、「あなた、最前列で見ていた人ですよね。劇場の関係者なんですか?」と尋ねられました。キャストとナズが親しげにしていたのをご覧になって、不思議に思っておられたようです。「いえいえ、ただジュダスを演じていた彼と友人なんで、何度もショーを見て、他のキャストとも親しくなっただけなんです」とお答えしました。「あなたのご友人のジュダスは、本当に素晴らしかった!」と、その男性の方。嬉しくなったナズ、「楽しんでいただけてよかったです。ご覧いただいてありがとうございました!」と、思わずお礼を言っちゃいました!
他にも、Michael君と写真を撮りたいという方がいらっしゃったので、シャッターを押すのをお手伝いしたりと、Michael君といっしょにお客様をお見送りさせていただきました。お客様が帰られ、落ち着いたところで、

「じゃ、ナズ、今夜のショーの後、バーで会おうね。」

「了解!じゃ、また後で。」

と、Michael君とお別れして、いったんホテルへと戻ったナズでした。夜、ショーの後、Michael君達とおしゃべりするなら、ホテルに戻るのが遅くなるから、パッキングしとかないと~!
いつもならパッキングで苦労しないんですが、今回、ホテルのそばのスーパーで「oogie's」というポップコーンの「サンドライトマトとパルメザン味」というのを見つけ、会社へのお土産にしようと買ったんですが、これがマクラくらいある大袋で、これがかさばって、パッキングが超大変でした・・・。最初は、無謀にも2袋、持って帰ろうと思ったんですが、ぜんぜんスーツケースに入らず、仕方なく1袋は、自分で食べたんですが、これが超~~美味しい!会社の同僚が喜んでくれると思ったので(実際、すごく評判が良かったです♪)、パッキング、がんばりました!(ポップコーンのサイトは、こちらからご覧いただけます。どこか、日本で売っているお店があればいいのに・・・)

長くなってしまったので、最後のショーの模様は、次の「その8」で!

ChanhassenのMichael君-Jesus観劇記 その6

2011-05-16 21:07:52 | Michael 11 Jesus
お待たせしました!Jesus観劇記その6です。(写真は、ジュダスのコスチュームを着たMichael君〔マイケル・グルーバー〕です。) アップの写真は、下記をご覧ください♪



5/3の火曜日は、Michael君(マイケル・グルーバー)のビッグディを祝福するかのように、前日までとは打って変わって、よく晴れた1日となりました。気温もだいぶ上がったので、ダウンジャケットを着こむ必要はないくらいに暖かくなりました。

買ってあったトマト等で朝ごはんを済ませたナズ、9時半頃にホテルを出ました。散歩好きなナズは、この日は、思いっきりご近所を歩きまわるつもりでした。湖が多い州として知られるミネソタだけあって、チャンハッセンのあたりにも大小いくつもの湖があります。
朝一番の目的地は、ホテルの前の道路に沿って、西の方に2マイルほど(約3キロちょっと)のところにあるアン湖(日本語で言うとゴロが悪いですが〔笑〕、Lake Annです。)でした。5キロ、6キロは歩くの当たり前のナズにとっては、朝飯前のお散歩です(朝食後でしたけど・・・笑)。
車社会のアメリカだけあって、歩いて移動している人はまれなんですが、この日は気持ちのいい朝だったので、ジョギングやウォークキングをしている人達数人とすれ違いました。その誰もが、すれ違う時に「おはよう!」とか「いい朝ね。」等と声をかけてくれるんです!何て素敵な町なんでしょう♪ 地元の人と会話したりするのが大好きなナズは、もうすっかり嬉しくなってしまいました。

30分ほど歩いてアン湖に着きました。まあまあ大きい湖のように見えるんですが、地元っ子のトニーさんに言わせると「小さな湖」だそうで。このあたり、たいていの湖には、公園があるんですが、ここの公園には、野球場(試合を見るためのではなく、するための)、テニスコート等もあり、広い芝生が広がっていました。また小さな子供のためのジャングルジムやブランコや滑り台が一体になったようなカラフルな遊具もありました。そして、公園に来た人が休めるようにベンチや屋根つきの休憩所もあり、湖のほとりの砂浜の部分は、湖水浴場(お風呂じゃないですよ。海水浴場の湖版です。)になっていました。小さいと言っても、そこそこ大きな湖なので、湖のそばの休憩所の辺りには飲み物を売っているらしい売店もあり、この時は閉まっていましたが、こんなに早朝じゃなく、かつもっと暖かい時期であれば、コーヒーとか買えるんだと思います。

Google Mapからプリントアウトした地図を見てみたら、湖岸に沿って歩いていくと、アン湖の反対側にあるもう1つの湖のほうまで歩いて行けるようになっていたので、ipodで「Jesus Christ Superstar」を聞きながら、歩き始めました。途中、小さな釣り用の桟橋が湖に突き出ていたので、(ああ、釣りを楽しむこともできるんだ~)と思いながら、桟橋の先まで行ってみました。誰もいない湖の真ん中にぽつんと立っているのは、とても気持ちがよかったです♪
岸に戻って15分ほど歩いたでしょうか、地図によればもっと先までぐる~っと歩いて行けるはずなのに、よそ様の敷地になっていて行き止まりでした。しかたなく来た方にもどり、今度は、反対側の方に広がる湖水浴場の砂浜の方に行ってみました。波打ち際には、石や貝殻や水草が打ち寄せられていて(もちろんいろんなゴミも・・・)、海岸のようでした。誰かが犬を散歩させたらしく、けっこう大型な犬の足跡が残っていました。

誰もいない湖で、1時間半ほど過ごしたナズ、ぶらぶらとホテルの方へ向かって歩き始めました。途中、タコベルで昼食を取り、劇場の隣にあったキリスト教のお店にもう一度行ってみようと、ホテルの前を通り過ぎて、劇場の方へ歩いていきました。友達へのお土産を買ったりした後、劇場の方へ行ってみました。トイレを借りて、ロビーを見てまわっていると、劇場の入り口からMichael君とトニーさんが入ってきました。

「ナズ!? 何してるんだい?」

「散歩の途中に、トイレを借りに寄ったの。」

「僕らは、これからリハーサルなんだよ。」

「そうだよね。がんばってね!」

偶然、Michael君の顔も見られて元気が出たナズ、ホテルの方にちょっと戻って、ホテルの手前の道を左に曲がって、最初の大きな道路を右折してさらに1キロほど歩いた先にあるスーザン湖へと行ってみることにしました。時折、自転車に乗った人は見かけましたが、歩いている人は、やっぱりほとんどいませんでした。
このスーザン湖は、先ほどのアン湖よりもずっと小さい湖で、お店は何もありませんでしたが、それでも、芝生や遊具、釣り用の桟橋等はあって、湖のほとりまで来ると、犬を散歩させている人や親子連れで散歩している人がけっこういました。近くのベンチで一休みしたナズ、ちょっと歩きつかれたので、ホテルに戻ることにしました。

部屋に帰ってみると、ベッドメイキング等も終わっていて、さっそくシャワーを浴びて一休みです。なんだかんだで8~9キロくらい歩いたんでしょうか。いっぱい歩くって、気持ちいい~♪ 少し疲れたので、小一時間ほど昼寝をして、買ってきたお土産の整理をしているうちに夕方になったので、身支度を始めました。

この日もディナーはついていないチケットだったので、冷蔵庫の中のもので簡単な夕食を済ませ、7時半過ぎにホテルを出ました。この日の席は、前から4列目、ステージに向かって中央より少し右側、ステージから伸びる右側の通路の2つ隣のテーブルでした。同席者は、若い2組のカップルで、この日は、挨拶をした時に少し話しただけで、あとは特におしゃべりしなかったんですが、漏れ聞こえてくる会話によると、女性の1人がMichael君のファンのようでした。(うんうん、彼、かっこいいもんね~♪)と、耳を傾けているうちに、ショーが始まりました。

ブルーのライトに照らされたステージに、ジーザスと他のキャストが、客席の通路を通って、次々とステージに上がってきました。Michael君もいました!ジェームズの衣装だと、他のキャストと似ているんで、動きまわっているとまぎれてしまうんですが、今日はジュダスなので、1人だけ、濃い茶色の長衣を着ているため、しっかり目立ってました。長身のMichael君が黒っぽい衣装を身にまとっているので、とっても素敵でした♪
ジーザスのベンさんとがっちりとハグをしたMichael君、ステージのセットを動かす時も、ジーザスとジュダスは、協力して金属の柱を動かすんです。小柄で白い衣装のジーザスと長身で濃い茶色のジュダスのコントラストが、とても印象的でした。

オーバーチュアーが終わり、ジュダスの最初のソロ「Heaven on Their Mind」のオープニングで、Michael君が布を左腕に巻きつけました。ややぎこちなく、最後留める時に布の両端の長さが多少ずれたものの、無事に巻くことができ、彼の歌が始まりました。
ジャレッドさんのジュダスもよかったんですが、長年、ステージアクターとして経験を積み重ねてきたMichael君と比べてしまうと、やっぱり経験値の差がありました~。レベル40の勇者とまだレベル20の勇者みたいな・・・。
たいていのミュージカルには、普通に会話するシーンもあり、歌う時は同時に踊る場合も多く、演技をするよりも歌と踊りのパフォーマンスで楽しませる方が主になる場合が多いんですが、この作品には、普通のセリフのシーンは、ほとんどありません。全ての会話が歌になっていますから、歌うシーンでも、普通の会話をしている時のようにに演じることが重要なんだと思うんです。その点、Michael君は、歌いながらも、話をしている時のようにしっかりと演技していて、感情を込めて、時ににらみ付けるように、時に悲しげな視線をジーザスに送ります。ジュダスの複雑な思いが、とても鮮明に印象的に伝わってきました。このナンバーが終わると同時に、もちろんナズは、誰よりも早く拍手し、「ホウッ!」と歓声をあげましたよ!

続いての「What's the Buzz」になって、使徒達がジーザスに問いかけるところでは、ジュダスは少し後方でその様子を見ているんですが、その間も、Michael君のジュダスは、苦しげな表情でうつむいたり、両手をジーザスの方へ差し伸べたり・・・。ジーザスや他の使徒達が、事態を理解していないことで、いかにジュダスが悩んでいるかがよくわかりました。
そして、「Strange Things Mystifying」のところでは、ちょっと冷たい眼差しをメアリーに向け、「そんな女をそばに置いているのは、あなたらしくない。」とクールに歌いながら、ジーザスからメアリーを引き離します。「彼女を責めることができるほど、お前は清らかなのか」とジーザスがジュダスを諌めるところでは、物言いたげなジュダスでしたが、ジーザスは耳を傾けませんでした。

メアリーの歌う「Everything's Alright」では、ジーザスとメアリーが舞台に向かって左側の端でくつろいでいるところに、背後からジュダスが現れ、その様子をしばらく眺めた後、メアリーの手から香油のビンを取り上げるのですが、眺めている間のジュダスの眉をしかめた表情から、「こんなことをしている場合じゃないだろう」という思いが感じられました。

前半最後のシーン、ジュダスの見せ場の1つ、「Damned for All Time」では、Michael君のジュダスが、カイアファス達に、「自分がここに来たのは、報酬に目がくらんだわけじゃない。考えに考えてきたのだから、裏切り者と呼ばないでくれ。」と歌いかけます。ロック調のテンポの速い曲で、けっこう早口で歌う感じのナンバーなんですが、しぐさや表情が豊かなので、とてもわかりやすいと思いました。ただシャウトするような高音で歌わなくてはいけないので、ちょっと声が出しにくそうに歌っていました。
報酬を受け取ってから歌う「木曜日の夜、群集から離れたジーザスは、ゲセマニーの庭にいる」の部分は、スローでちょっと悲しい響きのナンバーで、ここではMichael君本来の伸びのある美しい声を聞くことができました♪ ジュダスがカイアファス達にジーザスの居場所を伝えてしまった後、どこからともなく賛美歌を思わせるような歌声で「よくやった、ジュダス」と呼びかける声が聞こえてくるのですが、ジャレッドさんのジュダスは、この歌声にほとんど反応していなかったんですが、Michael君の方は、あきらかにこの声が聞こえていて、何の声だろうと思っているように見えました。

この後、いったん暗転になって、しばらくして明かるくなると、ステージには誰もいなくなっていて、客席の明かりも点いて休憩に入るんですが、この暗転がすごく長いんです。普通なら数秒程度だろうに、毎晩、10秒くらい暗転してて、演出的に何か意味があるのかも知れないんですが、観客にとっては、拍手のタイミングがつかみにくく、暗転が明けるまでつい待ってしまって、間が抜けた感じになってしまっていたんですが、この晩は、ナズが暗転になると同時に、歓声を上げ大きく拍手をしたので、他のお客さんも一緒に拍手をしてくれて、盛り上がったまま前半を終わることができました! だって、Michael君の大きな見せ場の1つだもの! タイミングよく拍手喝采が起きなかったら、悲しいじゃないですか~!
同じテーブルのMichael君のファンらしい女の子が、「もう、すっごく素敵~!ね、よかったでしょ~!?」と連れの3人に興奮しながら話していて、(そうそう! ものすっごく、素敵なのよね~♪)と、ナズも、心の中で相槌を打っちゃいました~♪

休憩明けの最後の晩餐のシーンが始まりました。使徒達がテーブルの周りに座るところで、ジュダスは最後に客席側の向かって右端の角のところに座るんですが、Michael君は、ただ思いつめただけではなく、うしろめたそうな感じをみせていました。
そして意味深なジーザスの言い方にジュダスが「大仰に言うのはやめろ!誰なのか、よく知っているはずだ!」と叫んで、ジーザスとジュダスのやりとりが始まりました。早く行けと言うジーザスに、「俺に行ってほしいのか!」と言い返すジュダス。迫力のある渾身の演技でした。「尊敬していたが、それももう終わりだ!」と叫んだジュダスが、左手に巻いていた布を解く場面になり、ちょっと解きにくそうでしたが、無事に解いて、ステージに投げ捨てるMichael君! 続いて、テーブルを覆っていた布を引き落としました。(Michael君の代役をしていた俳優さんも、ちゃんとビンをテーブルから手に取っていましたよ~!)

テーブルの周りを、ジーザスを追い回すかのように回りながら、「何度も忠告したのに、あなたは聞かなかった。もし俺が行かずに、ここに留まって、あなたの思惑を台無しにしたらどうする?」と、ジュダスが叫びました。おろおろと逃げ惑う使徒達が「今までの暮らしがずっと続くわけではないのはわかっているが、このひと時を楽しみたい。使徒になりたいとずっと思っていた。」と歌う中、ジュダスがジーザスに詰め寄るところは、本当にすごい迫力でした。ジーザス役のベンさんも負けじとシャウトするように歌うので、素晴らしい盛り上がりを見せていました。
そして、悲痛な表情のジュダスが、ジーザスにすがりつき、「あなたを見ていて、いつも理解できずにいた。なぜ、事態をめんどうな方へと持っていくのかと。計画を立てて進めていれば、こんなことにはならなかったのに!」と訴えるところでも、ジュダスの苦しみが本当によく伝わってきました。
テーブルから転げ落ちてステージで泣き崩れているジュダスの肩に、ジーザスが、投げ捨てられていた布をかけようと近づきますが、Michael君のジュダスは、すかさず立ち上がると、ジーザスに背を向けたまま、いったん立ち止まり、さっと手を振って拒絶をあらわすしぐさをして、それからすばやく走り去りました。 このいったん立ち止まる間が、すごくよかったです。動き的にもメリハリがつくし、「これで終わりだ」というジーザスとジュダスの決別を印象的に感じさせてくれたように思いました。

ジーザスの感動的な「Gethsemane」が終わると同時に、ステージ奥の2階部分にカイアファス達を連れたジュダスが現れ、「あそこに彼がいる。他の愚か者どもは、みんな、眠っている」とクールに歌ってから、ステージ中央の急な段々を降りてくるのですが、この時のMichael君、ネコのようにしなやかに流れるような動きで降りてきて、かっこよかったです~♪
Michael君のジュダスは、すばやく降りた後、すぐにジーザスに近寄るのではなく、あえてゆっくりと近づき、一瞬の間を置いてからジーザスにキスをしました。はっとするジーザス。半歩だけ下がって、じっとジーザスを見つめるジュダスと、振り向いたジーザスの視線が絡み合います。1~2秒の沈黙の後、ジーザスが、「ジュダス、お前は、そのキスで私を裏切るのか」と、悲しげな調子でジュダスに歌いかけ、辛そうな表情になったジュダスが、ゆっくりと数歩後ずさり、そして、ステージを駆け去りました。

Michael君、うまい! ゆっくりジーザスに近寄ることで、これから何が起きるんだろうという緊迫感が高まりましたし、キスのあとの絶妙な間で、2人の複雑な思いがみごとに表現されて、とても情感のこもった、美しくも悲しいシーンになっていました。これだから、Michael君のショーは、何回でも、何十回でも見たくなるんです~!

メアリーとピーターの「Could We Start Again Please?」のあと、カイアファス達が登場し、「Judas Death」のシーンが始まりました。取り乱したジュダスが「このままでは自分が責められてしまう。ジーザスを助けてやりたい」と訴えます。これもロック調でテンポの早いナンバーです。うろたえるジュダスを、カイアファスとアンナスが両側から挟んで、ジュダスの胸を叩いて、「後世に名が残るし、金も手に入れただろう。」と言い聞かせ、ジュダス1人を置いて行ってしまいました。
1人残されたジュダスは、ステージ中央の縁近くにうずくまり、うちひしがれた様子でジーザスへの思いを歌いました。「気が狂いそうだ!神が、俺を殺したんだ!」とつぶやき、よろめきながらステージを歩き回るジュダス。Michael君のジュダスは、焦燥感が上手に表現されていて、追い詰められたジュダスの心情がひしひしと感じ取れました。
処刑人のような男達が首つり台の用意を始めました。輪になった布を受け取り、柱に結び付けるジュダス。ジュダスが、輪に首を通し、自分で押してきた箱の上に乗りました。怯えともあきらめとも取れる悲壮な表情を浮かべるMichael君のジュダス。暗転の後、落下音が響いて、狂気に満ちたジュダスの死のシーンが終わりました。

ピラトの裁判のシーンが終わると、「Superstar」のオープニングとともに、舞台奥の2階部分の左手から、女性3人を引き連れて、赤い紐を首からたらしたジュダスが登場しました。背の高いMichael君、とても舞台映えがして素敵でした。
死のシーンで見せた悩み疲れて打ちひしがれた様子はみじんもない、かっこいいジュダスが、今まではロックでも暗い曲調ばかりだったのが、打って変わって華やかなメロディに乗せて、「何で、こんな時代を選んだ? 現代なら国中に簡単に知れ渡ることができたのに、こんな時代じゃマスコミもない」とクールに歌います。Michael君のジュダスは、ジャレッドさんのバージョンよりもDVD版に近い感じで、時にジーザスをからかうように、また時に冷ややかに見下すような感じで歌っていましたよ。ナズは、こっちの方が好きです♪ ジーザスが十字架に近づく中、ジュダスは2階部分に上がり、強いライトの下からジーザスを見下ろしました。

そして悲壮な磔のシーンが終わり、暗転の中にジーザスが映し出された後、明るいカーテンコールが始まりました!もうナズは、拍手喝采、叫びまくりです!特にMichael君の番の時は、ひときわ大きく「ホゥホゥゥゥッ!」と叫びましたよ!ジュダスは、ナズのテーブルのすぐ近くの通路を通ってロビーに行くんですが、ナズのテーブルに一番近づいた時、ナズを見て、微笑みながら合図を送ってくれました♪

いつも通り、急いでロビーに向かったナズ、他のキャストの皆さんに挨拶をしながら、バーの方へ向かいました。

「Michael!素晴らしかった!」

「ナズ!」

しっかりとハグしてもらいました♪

「言ったでしょ、あなたは最高だって!知ってたもの、いつだってあなたが一番だって!」

「ありがとう。でも、まだなじめてないところが多くて、もっとがんばらないとだめだな~。」と、謙虚なMichael君ですが、それでもほっとしたような笑みを浮かべ、本当にうれしそうでした。

「たくさん応援してくれてありがとうね。すごく心強かったよ。こんな遠くまで見に来てくれて、あんなに応援してくれて、本当にうれしいよ!」

「いいのよ、Michael。だって、私は、あなたを応援するために、ここにいるんだもの。そのために、ここまで来たのよ。」

初めてMichael君がジュダスという大役を演じた晩の写真がほしかったので、トニーさんにお願いして、Michael君とナズの写真を撮ってもらいました。トニーさんとナズの写真を、Michael君が撮ってくれました。

「明日は、マチネとイブニングショーの間にリハーサルがあるから、君が見てくれる最後の日なのに、一緒にディナーを食べられないんだ。もし少しだけ遅くなっても大丈夫なら、イブニングショーが終わった後、このバーで少しおしゃべりしないか。」

「もちろん大丈夫よ!」

「よかった!じゃあ、明日のマチネの後で、また会おう!」

お別れのハグをして、ホテルへと戻ったナズでした。とても楽しかった滞在もあと1日と思うと、すごく寂しい思いがしましたが、まだ2回、Michael君の素晴らしいジュダスを見られます!4日のマチネは、食事つきでチケットを買っているので、それもちょっと楽しみでした♪ (今度は、違う料理を頼んでみよう~っと!)と思いながら、ベッドに入りました。

最終日のショーの模様は、その7に続きます~!


ChanhassenのMichael君-Jesus観劇記 その5

2011-05-13 02:18:08 | Michael 11 Jesus
Jesus観劇記その5です。(写真は、劇場の入り口の横の壁にかかっているキャストの写真です。)

5/2の月曜日、ト ニーさんは、「少しは暖かくなると思うよ」と言っていたんですが、前日の雪が降った日曜日とあまり変わらないくらい寒かったです。雨や雪こそ降らなかったものの、どんよりと曇って日差しがないので、空気がひんやりとして指先などが冷たくなる感じでした。12時25分頃、しっか りダウンジャケットを着こんでロビーに降りました。12時35分頃にMichael君の車が来た のが見えたので、外に出ました。

「おはよう、ナズ!今日も寒いね!」

「おはよう!ダウンジャケットを持ってきて本当によかった~。じゃなかったら、凍えちゃうところだった。」

「大丈夫だよ。もし君が上着を持ってきてなかったら、僕のを貸してあげたさ。」

まずはお昼を食べようと、チャンハッセンの北西の方にあるミネトンカ湖という湖のほとりのレストランへと向かいました。ここは、天気が良ければ景色もきれいで、テラス席に座って湖を眺めながら食事をするのが楽しい人気のレストランなんだそうですが、この日はあまりに寒かったので、屋内で食べようね・・・とMichael君と話しました。

この日の一番の話題は、いよいよ翌火曜日の晩、観客の前で初めて演じるMichael君のジュダスのことでした。しっかり練習して、リハーサルも十分行っているのに、熱心で慎重なMichael君はまだ満足できないようで、ちょっと不安そうにしていました。

「大丈夫よ。どんな役を演じたって、いつでもあなたが最高だもの。もう50回以上もあなたのショーを見てきたから、よく知ってるわ。」

「ありがとう。でも、まだ役になじめてないからね。僕は、代役を務めるのって、あまり好きじゃないんだよ。いろんな役ができて面白いっていう俳優も多いけど、僕は、じっくりと役作りをして、入念にリハーサルを重ねて、1つの役を掘り下げながら演じていくのが性に合っているんだ。」

Michael君は、もともとジュダス役のアンダースタディなんですが、5月の1週目の週末にジャレッドさんとベンさんのコンサートの予定が入ったことと、週の前半にジャレッドさんがNYにオーディションを受けに行くことになって、それで、この週1週間、Michael君がジュダスを演じることになったんだそうです。その後、ジャレッドさんのオーディションはなくなってしまったそうなんですが、すでにMichael君と劇場側との間でジュダス役の出演契約が成立した後だったので、ジャレッ ドさんは思わぬお休みを手に入れることになったんだとか。おかげさまでナズは、Michael君のジュダスを見られて、本当にラッキーでした♪ 翌々週の週末も、ジャレッドさんがコンサートをするそうなので、その時もMichael君がジュダスを演じる予定なんだそうです。

「もう演じることは決まっているわけだから、あとは頑張って演じるだけなんだけどね。今まで僕が経験したことのないロック調の歌い方だから、シャウトするような高音が、僕にはうまく出せないんだよ。ジャレッドは、上手に高音を出しているよね。あと、布を左腕にすばやく巻くのも、もうちょっと練習しないとね。」

普通に歌うんだったら、批評家も絶賛の美しくて柔らかい伸びのある裏声(ファルセットというんでしょうか、あまり詳しくはわからないんですけど)で、きれいに高音を歌うMichael君なんですが、ジュダスのナンバーは、どれも激しい感じの強い感情のこもった曲ばかりですから、普段とは違う歌い方が必要なんです。

また、腕に布を巻くのも、動き回っているうちに解けてきては困りますが、かといって、最後の晩餐のシーンですばやく解いて投げ捨てなくてはいけないので、解きにくいほどがっちりと結ぶわけにもいきません。ジャレッドさんがやっていたの見てた感じでは、片方の端を左手で握って左手首に一巻き、それから左腕を曲げ、残りの長い部分をまず肘の少し上にかけて、手首の方へ向かって巻きつけるようにして、最後は両端を揃えて左手首の内側の、最初に一巻きしておいたところに挟み込む・・・という風に巻いているようでした。本番で、Michael君が上手にや れるといいな~と思いました。彼のことだから、心配はいらないとわかってはいましたけど。

そうこうするうちにミネトンカ湖に到着しました。車を降りると、もう1時近いというのに、まだ気温がぜんぜん上がっていなくて、風が冷たかったです。
レストランに入ると、人気のお店だというだけあって、けっこう混んでいて窓際の席は、すっかりふさがっていました。それでも、湖がよく見える席に座ることができ、メニューを読みながら迷っていると、

「ナズは、魚は好きかい?」とMichael君。ナズがうなずくと、

「それなら、このフィッシュサンドを試してみないかい?この地方で獲れる魚のフライのサンドイッチで、味はタラみたいな感じで、美味しいんだよ。」

Michael君のおすすめに従って、そのフィッシュサンドを食べてみることにしました。Michael君も同じものをオーダーしました。付け合せにチップスかコールスローが選べるんですが、2人ともコールスローにしました。

この冬は雪が異常に多くて、雪かきが大変だったことや、日本同様、屋根に上って雪下ろしをすること等、Michael君のこちらでの生活のことをいろいろおしゃべりしていると、サンドイッチがきました。20センチ近くはあろうかという柔らかいフランスパンに、タルタルソースのかかった白身の魚のフライが生野菜と一緒に挟んであり、それが1人あたり2つ!付け合せに小さめのお皿に盛られたコールスローがついていました。さっそく一口かじってみました。

「美味しい♪」

「だろ~♪ ここに来ると、いつもこれを食べるんだよ。」

メニューには、他にも何種類か魚のサンドイッチがあったので、日本にはこんなにいろんな種類の魚のサンドイッチはないと言うと、

「やっぱり、ごはんのほうが主体だからかな~? ごはんといえば、僕は『どん』が好きだな~! 親子丼とか、ふわっとした卵と甘辛いソースが美味しかったよね~。」と、Michael君。

「あと、かつ丼とかね(笑) 日本にいた間、よく食べていたもんね。」

美味しいサンドイッチにすっかり満足したMichael君とナズ、再び車に乗り込んで動物園を目指しました。ミネアポリス/セントポール空港の南8キロくらいのアップルバレーのあたりにあります。チャンハッセンからは、ハイウェイを使って、車で40分くらいでしょうか。ジーザス役のベンさんは、このアップルバレーに住んでいるので、毎日片道40分かけて通っているんだそうです。ちなみに、ベンさんの奥さんのモーリーンさんも女優さんで、アンサンブルとして「Jesus Christ Superstar」に出演しています。小柄でキュートな可愛らしい人で、毎晩、ナズに話しかけてくれていました♪

しばらく走って動物園に到着すると、駐車場に車を止めて、「止めたエリアを覚えておかないとね」と話しながら、入り口に向かいました。チケットを買って、もらった園内図を見てみると、とても広い動物園で、いくつかのゾーンに分かれて動物を展示しているんですが、屋内なのはトロピックゾーンや水族館の部分くらいで、あとは屋外の展示です。モノレールがあって、それに乗ると広い園内を1周して一気にいろいろ見られて楽しいらしいんですが、寒い上に平日なせいか動いていませんでした。おまけにおみやげ物を売る売店以外は、カフェ等もみんな閉まっていました。

「トニーは、インドアだって言ってたのにな~。帽子を持って来なかったから、耳が寒いよ。ナズは、大丈夫かい?寒くない?」と、気遣ってくれる優しいMichael君♪この時期の動物園の営業時間は4時までだったので、あと2時間弱。まずは地元のミネソタゾーンへ行ってみました。こちらには、オオカミや山猫などが展示されていました。かわいいイタチなどもいて楽しかったのですが、外はとても寒かったので、温室になっているトロピックゾーンへと急ぎました。

屋内は、とても暖かくてほっとしました。南国の鳥やサンゴ礁のようになった水槽の中にいるカラフルな魚等を見て、魚やヒトデ等に触ってもいいコーナーでひとしきり魚に触ったりした後、再び寒い屋外に出て、ロシアからの動物が展示されている「Russia's Grizzly Coast」へ向かいました。

途中、日本の動物園ではおなじみの猿山があって、どう見てもニホンザルにしか見えないサルがたくさんいました。

「これ、たぶん日本のサルだと思うんだけど・・・」と自信なさそうにつぶやくナズに、

「ほんとだ! ここに説明があるよ。『Japanese Macaque』 別名Snow Monkeyだってさ。」とMichael君。

世界で最北端に生息するサルだと書いてあり、近くには、雪の中、気持ち良さそうに温泉に入っているサルたちの写真も展示されていました。

しばらく歩いた先にあった「Russia's Grizzly Coast」には、かなり広大なエリアに、グリズリーベアやアムールヒョウ、アムールトラ等が展示されており、Michael君もナズも、このエリアが一番気に入りました。グリズリーベアのところでは、ガラスのすぐ向こう側の池で、1頭のクマがお風呂に入っているかのような格好で水の中に入り、水中の草をむしって食べていたんですが、前足で自分の後ろ足をつかんで遊んでいる様子が、人間の赤ちゃんがお風呂に入っている時のように見えて、とても可愛かったです。(野生の状態だったら、絶対、お目にかかりたくないですけどね。)

またアムールトラは、ものすごく広い草原のようなスペースに、たった1頭しか見当たらなかったのですが、のびのびと横たわって気持ち良さそうにしていました。無料で見られる望遠鏡が設置されていて、離れたところにいるトラをよく見られるようになっていました。

圧巻は、アムールヒョウで、雄と雌が隣り合った囲いに別々に入れられていたんですが、雌のほうは客との間が金網だけなんです。日本の動物園だと、金網から1メートル近く離れたところに鉄柵があって、客は、金網のそばに寄れないようになっているんですが、ここでは、人間が金網すれすれに立つと、そのそばの木の枝を通るヒョウまで、わずか30センチくらいまで近寄れるんです!すごい迫力でした。

もうちょっとゆっくり見たかったんですが、寒かったし、閉園時間も迫ってきたので、動物園をあとにしました。夕食は、モール・オブ・アメリカという巨大ショッピングモールの中にあるレストランで食べることになっていたんですが、まずトニーさんに動物園を出たと電話をするMichael君。
「今、動物園を出たけど、インドアじゃないじゃないか~!モノレールも動いてなかったよ。」と、ちょっと愚痴をこぼすMichael君でした(笑) モールに着いたら、また連絡することにして、ちょっと買い物をしたいというMichael君に付き合って、近くのホームセンターに立ち寄り、それからモールへと向かいました。

モールに着いて、まずはカフェで温かいコーヒーを飲みながら、一休み。日本から持ってきたこの時期限定のキットカットの抹茶桜味をバッグから取り出したナズ、Michael君と半分個しました。「グリーンティチョコレート、さくら風味」と説明すると、口に入れてから慎重に味わっていたMichael君、「今までに食べたことがない、スパイスみたいな味がする。でも、美味しいよ。」と言ってくれました。もう一箱あるので、トニーさんにあげると言うと、「彼は、チョコレート好きだから、きっと喜ぶよ。」と、Michael君が教えてくれました。トニーさんに電話をすると、これからこっちに向かうので、到着したら電話をくれるとのことでした。

まずは、このモールの目玉であるインドアの遊園地に向かいました。子供向けの乗り物ばかりではなく、かなり大掛かりなジェットコースターが2台くらい、建物の中の広場を駆け巡っていました。

「すごいね~!」

「すごいだろ~!」

吹き抜けの広場の一角には、レゴブロックのスペースがあって、レゴブロックで作った巨大なオブジェがいくつも展示してありました。恐竜や騎士、ロボットにドラゴン。壁には、レゴブロックで作った絵画が飾られていて、とってもきれいでした。
2人でぶらぶらとお店をながめていると、トニーさんから「今、駐車場」という電話が入り、Michael君が、目の前のお店の名前を言うと、そこまで来てくれることになりました。5分としないうちに、トニーさんとお友達のTJさんがやってきました。TJさんは、地元の企業で、宣伝広告のお仕事をしているんだそうです。

「やあ、ナズ!」とトニーさん。お友達を紹介してもらったナズ、ご挨拶を済ませて、さっそくトニーさんにキットカットをあげました。朝からまともな食事をしていなかったというトニーさん、夕食前だというのに、チョコレート好きだけあって、さっそく箱を開けて、TJさんと半分個して食べていました。「美味しいよ!ありがとう、ナズ!」

トニーさんの案内で、しゃれた雰囲気のカジュアルレストランへ行きました。いろいろな種類のハンバーガー、パスタ、サラダ、アラカルトの肉や魚の料理があり、ワインやカクテルも楽しめるお店で、3人は、ビール等の軽い飲み物とそれぞれ種類の違うハンバーガーを頼み、お酒の飲めないナズは、アイスティとグリルサーモンのサラダを頼みました。

「動物園のこと、ごめんね。僕も、もう何年も行ってなくて。モノレールが動いてなかったのは残念だったね。あれが、あの動物園の目玉なのに。」とトニーさんが謝ってくれました。

「いや、でも、ヒョウとかトラとか、楽しかったよ。」

「そうそう! グリズリーベアも、可愛かったよね。」

と、Michael君とナズが、口々に報告しました。

お料理が来たので、さっそく食べてみると、薄味で量もほどほどでした。3人のハンバーガーも、それほど大きくなく、付け合せにフレンチフライがついていました。
英語以外に、Michael君がフランス語を、TJさんがスペイン語を話せることから、外国語の話になり、それから旅行の話で盛り上がりました。行ってみたい国の話をしているうちに、

「ナズは、行くとしたら、将来、どこに行ってみたい?」と、トニーさんに聞かれたので、

「どこでも、Michael君がショーをしているところ!」と、何の迷いもなく、即座にきっぱり答えると、トニーさんとTJさんは吹き出し、Michael君は照れくさそうにずっこけていました(笑)

食事を済ませ、トニーさん達はもうしばらくモールで買い物をするとのことだったんですが、Michael君が少し疲れているように見えたので、ナズ達は先に帰ることにしました。

「じゃあ、また明日~!」


トニーさん達とお別れして、ホテルまで送ってもらう間、また翌日の初ジュダスのことをおしゃべりしました。

「とにかく、明日、がんばるよ。」

「大丈夫! あなたなら、絶対、上手にできるし、1人じゃないんだもん! あなたを応援してくれてる仲間達が同じステージに立っているんだし、客席には、私がいるのよ。いっぱい応援するからね。」

「ありがとう、ナズ!心強いよ。明日は、観客は、ナズだけなんだって思うことにするよ。」


ホテルに着き、しっかりハグをして、

「明日に備えて、ゆっくり休んでね。」と伝えました。

「明日は、リハーサルがあるから、君に付き合えないんだけど、大丈夫かい?」
と、心配してくれるMichael君に、

「ありがとう、Michael。私が散歩好きなの、知ってるでしょ。近所をいっぱい歩き回るから、大丈夫よ♪」
と答えました。

「じゃあ、明日、ショーの後で会おうね。」

「がんばってね!」

いよいよ翌日は、Michael君のビッグ・ディでした。タイトル・ロールのジーザスに勝るとも劣らない大きな役です。「Jesus Christ Superstar」は、どの役もソロのダンスナンバーはないんですが、歌では、ジュダスはソロナンバーも多いし、敬愛するジーザスを不本意ながら裏切ることになる複雑なキャラクターなので、高い演技力が要求される難しい役です。Michael君の実力なら、立派に演じられるのは間違いないんですが、ナーバスになっているようだったので、リラックスして気持ちよく演じられるといいな~と思いました。

5/3の模様については、その6に続きます~。

ChanhassenのMichael君-Jesus観劇記 その4

2011-05-11 23:07:51 | Michael 11 Jesus
Jesus観劇記 その4です。(写真は、Michael君〔マイケル・グルーバー〕のお友達のトニーさんです。)

前日の土曜日もかなり寒かったんですが、5/1の日曜日は、本当に寒かった!5月だというのに、朝から雪がちらついていました! ホテルの部屋は、防寒仕様になっているようで、ぜんぜん寒くないんですが、窓はすっかり曇って結露していました。
(パレードって、外でやるんだよね~・・・寒すぎゃしないか・・・?)
そんなことを思いつつ、でもまあ、Michael君と一緒なら、どこに行っても何をしても楽しいから、別にいいんですけど、ただナズはともかく、ショーに出演中のMichael君やトニーさんに風邪をひかせちゃうのはまずいから、パレードはやめたほうがいいと思ったので、後で迎えに来てくれた時、食事だけにしようと言ってみるつもりでいました。

でも、Michael君も、寒すぎると思っていたようで、10時過ぎにホテルの部屋の電話がなり、出てみると、Michael君でした。

「ナズ、今日は、天気がよくないから、パレードはやめて、ランチを食べてから、美術館にでも行こうよ。」
「私も、寒すぎると思っていたところ」
「君は、モダンアートとクラシックと、どっちが好き?」
「どっちも好きだけど、クラシックのほうがいいかな」
「OK。じゃ、あとでロビーでね。」

身支度を済ませ、いつも通り大好きなウェザー・チャンネルを見ていると、オサマ・ビン・ラディンが殺害されたと報じられていました。びっくりしてニュースを見たんですが、まだこの時点では詳細はわかっていないようでした。
ウェザー・チャンネルでは、トルネードによる被害もずっと報じていて、被害を受けた地域は、東日本震災で津波の被害を受けた地域のように、家が跡形もなく吹き飛ばされてしまっていて、被害にあった人達がただ呆然としている姿が映し出されていました。被害にあった町の中には、あの巨大ハリケーン、カトリーナの被害を受けてまだ完全には立ち直っていないまま今回のトルネードの被害に見舞われたところもあって、本当に痛ましいことだと思いました。

12時10分くらいになったので、ロビーに下りて待っていると、15分を少し回ったころに、ホテルの入り口にMichael君が姿を見せました。

「やあ、ナズ!寒いね!5月だっていうのに、雪が降るなんて、どうかしているよ!」

ハグのあと、彼の車に乗せてもらって、ミネアポリスへと向かいました。トニーさんとは、ショッピングモールのレストランで待ち合わせだとのことでした。走り出して、まず尋ねてくれたことは、災害後の安否についてでした。

「ほんとに、大変なことだったよね。ナズのご家族やお友達には、被災された人はいなかったんだよね?」

ナズが大丈夫だったと伝えると、ホッとした様子のMichael君でした。

「でも、東北の方は、被害がひどくて、まだ大勢の人が避難所で暮らしているし、原発の問題もあるでしょ。それに、津波の被害の1つとして、海水の塩分で土壌が汚染されてしまって、田植えの季節なのに、植えることができなくなってしまっているの。」

真剣にうなずきながら聞いてくれていたMichael君、

「そうか! 津波でそんな被害まで出るんだね! 考えてもみなかったよ。1日も早く復興が進んで、日本の人達が元気を取り戻せるように、僕も、お祈りさせてもらうよ。」

カソリックであるMichael君、毎晩のお祈りに、日本の復興を加えてくれると言ってくれました♪

今回の旅行中、Michael君だけでなく、他のキャストの皆さん、劇場関係者の皆さん、飛行機で隣り合わせた乗客の方、空港でふとおしゃべりをした通りすがりの方、皆さんが、ナズが日本人だとわかると、被災後の日本の様子について尋ねてくださって、まだまだ立ち直りきれていない日本の現状に心を痛め、慰めと励ましの言葉を下さいました。「心を強く持ってね。きっとあなた方は、たとえ時間がかかっても、立ち直って、また歩みだすことができるわ」と言いながら、ハグして下さった方もいらっしゃいました。アメリカの皆さん、本当にありがとう~!

おしゃべりするうちにモールの駐車場に着きました。車を降りて、Michael君と一緒にモールの中に入りましたが、寒いせいか、人影はまばらで、モール内はがらがらでした。向かった先は、1階の片隅にあるカジュアルなレストランでした。

「ここは、友達と時々来るんだけど、エッグベネディクトのオープンサンドが美味しいんだよ。よかったら、試してみるかい?」とMichael君が教えてくれたので、それを食べてみることにしました。
と、そこにトニーさんがやってきて、席に加わりました。

「遅くなって、ごめんよ。今日は、寒いね~!」

トニーさんは、地元の俳優さんで、Chanhassen Dinner Theatresをはじめ、セントポールのOrdway Center等で活躍されています。Michael君とは、2009年6月のOrdwayでの「Singin' in the Rain」や2010年12月から2011年1月まで同じくOrdwayで上演された「Joseph and the Amazing Technicolor Dreamcoat」等で共演していました。2人は、気の合う友人同士で、昨年の11月にミネアポリスに移ってきて、まだ地元に不慣れなMichael君に、こちらのことをいろいろ教えてくれてるんだそうです。(ちなみに、Michael君は、NYの方は完全に引き払って、今はミネアポリスに活動の場を移しています。)

ショーのこと、ナズのこと、共演している俳優さん達のこと等を話しながら、ランチを食べました。トニーさんは、「昨晩のピラトのシーンでは、君もライトの中にくっきりと照らし出されていて、出演者みたいだったね!」と、楽しそうに話してくれました。「キャストは、みんな、君がお気に入りで、女優の1人が、『Facebookで友達になれないかしら!?』って言ってたよ。」とトニーさん。「私だって、キャストのみんなとお友達になりたいわ~!」
そして、ナズが、「ピラトのシーンで、すぐ目の前にジーザスが横たわっていたから、ステージから彼をさらって助けてあげたかった~!」と言うと、2人が大笑いしていました。「そうだね、ナズ! あのシーン、君は、特等席で見ていたもんね(笑)」とMichael君。「そうよ! まるで、私のためだけのシーンみたいだったもの!」
Michael君とおそろいでオーダーしたエッグベネディクトのオープンサンドは、2枚のマフィンを半分にカットしてトーストした上に、ほうれん草のソテーとエッグベネディクトを乗せて、たっぷりとチーズをかけてあるというもので、とっても美味しかったんですが、ボリュームがありすぎて、Michael君はペロッと平らげたんですが、ナズは、残念ながら半分残してしまいました。

おなかがいっぱいになったところで、それぞれの車で(もちろんナズは、Michael君の車で♪)、Minneapolis Institute of Artsへと向かいました。同じ建物の一角に子供向けの劇場があるんですが、そこがミュージカル「アニー」の初日だったらしく、周辺の道路が車でいっぱいで、駐車するスペースがなかなか見つかりませんでした。携帯でトニーさんと話しながら、どこか別の場所へ行こうかと相談するMichael君。と、目の前の駐車中の車が走り去って、運よく車を止めることができました。

もう3時近くになっていて、Instituteの目玉の特別展示は入場時間が終わってしまっていたんですが、通常展示には入れたので、そちらを見ることにしました。「Art in Bloom」という催しが行われていて、全ての作品ではないんですが、展示している絵や彫刻の前に、その作品をモチーフにしたフラワーアレンジメントが飾られていて、花やガーデニングが好きなMichael君が面白そうに見ていました。日本の浮世絵や掛け軸、能の面等の展示もあって、ナズが彼らに解説する一幕もありました。
1時間半ほども見ていたでしょうか、少し疲れたので、館内のカフェで一休みして、トニーさんはいったん家に帰るというので、そこでお別れして、Michael君にホテルまで送ってもらうことになりました。

「ナズ、ショーの前に何か食べるのに、サンドイッチとか買っていかなくて大丈夫かい?」
「ありがとう。でも、昨日、スーパーで買出しして、部屋の冷蔵庫にサラダとかあるから、大丈夫よ。」

Michael君のこちらでの暮らしのことやこのエリアにある劇場のこと等をおしゃべりしながら、ホテルへと向かいました。ホテルに着くと、

「じゃあ、ナズ、また今夜、ショーの後でね。明日は、僕は、オフだから、また一緒に出かけよう! ショーの後、どこに行くか決めようね。」
「ありがとう、Michael。でも、出かけてばかりだと、あなたが疲れちゃうでしょ。大丈夫?」
「心配しなくていいよ。日本からこんなところまで来てくれて、本当に嬉しいんだ。アメリカの友人だって、ここまで会いに来てくれる人は、めったにいないよ。 じゃ、またあとで!」

ミネアポリスは、大きな街なんですが、チャンハッセンは、観光地でも何でもない普通の町なので、観光する場所もショッピングを楽しむようなところも、本当に何にもないんです。だから、Michael君は、ナズが1週間、ショーを見る以外には何にもできないんじゃないかと心配してくれているようでした。そんなこと、気にしなくていいのに。Michael君に会えて、Michael君のショーさえ見られるなら、たとえホテルから一歩も出られなかったとしても、ぜんぜん苦じゃないんだから!

夕方の5時を回っていたので、冷蔵庫のサラダやハム等で簡単に夕食を済ませ、身支度をして、6時過ぎにホテルを出ました。(日曜のショーは、夜1回だけなんですが、他の日より早い6時半開演なんです。) この時も、前夜と同じステージに向かって右端の最前列のテーブルでした。前夜は1人だったんですが、この晩は、ご夫婦と10歳くらいの女の子と6歳くらいの男の子という4人家族と一緒でした。
ナズが「こんばんは」と挨拶すると、ご家族も口々に挨拶を返して下さって、ショーが始まるまでの間、ひとしきりおしゃべりを楽しませていただきました。お子さん達もとても人懐っこくて、ナズに話しかけてくれるんです。ほんとに気さくな方の多い土地柄なんですね~。
ミネアポリスではそんなことはないんですが、チャンハッセンまで来てしまうと、東洋人はあまり見かけず、一目で地元民ではないことがわかるらしく、たいてい「こちらには初めて?」、「どういうきっかけで、ここへ来たの?」という会話になります。で、出演者の友人で、そのショーを見に来たんだとお話することになるんですが、この晩も、そうでした。

やがてショーが始まり、ナズが再び最前列にいるせいもあって、ショーは、前夜同様とても盛り上がりました。前夜と大きく違っていたことは、「The Temple」のシーンで、物売りや踊り子達が、客席の通路の方へと降りてきたことでした。そして、踊り子は、座席の合間に設けられた台の上で踊っていました。
ジーザスが台を落とす時、昨晩に比べてステージの人口密度が低いので、これなら板が跳ね返ってもほかのキャストに当たったりする心配もないし、キャストが客席に降りて演じることで、ショーにメリハリもついて、遠い席のお客さんにもショーをより身近に感じてもらえるから、一石二鳥なアイディアですよね~♪ ただ、ものすごい音がするのはそのままなので、同じテーブルの子供達が、からだをビクンと大きく震わせて驚いていました。

ショーは順調に進み、休憩を挟んで後半へと入り、ジーザスの最大の見せ場、感動の「Gethsemane」が始まったんですが、休憩の間にデザートのケーキを食べ始めた同じテーブルの男の子が、まだ食べ終わってなくて、「3年が30年に思える」と神に苦しみを訴えている歌の合間に、カチャカチャとフォークがお皿にぶつかる音が響いて・・・。 それも、けっこう大きく響いていて、しかも、時折、ズズズッとジュースをすする音まで立ててる・・・ 気のせいだとは思うんですが、何度かこっちに目をやったジーザスがちょっとむっとして見えたような、見えなかったような・・・。ナズのせいではないんだけど、思わずペコリと頭をさげちゃいました・・・>ジーザスに。

早く食べ終わりなよ~・・・というこちらの思いも知らずに、ぼくちゃんは、ちんたらと食べ続け、なんとクライマックスの十字架のシーンになってからも、カチャカチャ、ズズズズ、やってました。おいおい・・・十字架にかけられたジーザスが「のどがかわいた・・・」って苦しげにつぶやいてる時に、ジュース、すするなよ・・・

それでも何とか無事にショーが終わり、いつも通り拍手喝采、叫びまくったナズは、同席したご家族の皆さんにお別れを言って、ロビーへと向かいました。キャストの皆さんにご挨拶をしていたら、トニーさんが「今日は、誰かがジュースか何かをすするような音がしてたよね」と言うではありませんか! 「それ、私のテーブルに一緒に座ってた男の子だ~!食べるのが遅くて、十字架のシーンになっても、ケーキを食べて、ジュースを飲んでたの!」 「子供じゃ、仕方ないよね。」とトニーさんが苦笑いしていましたが、もしかしたら、ジーザスにも聞こえちゃってたかも・・・。ジーザス、ごめん!

バーのほうにいたMichael君とハグした後、コスチューム姿の写真を撮らせてもらいました。「明後日か明々後日、ジュダスの写真も撮らせてね。」とお願いすると、にっこり笑って、うなずいてくれました。

「明日なんだけど、トニーに聞いたら、ミネソタ動物園が楽しんじゃないかって言うんだよ。どうかな?」
「動物、大好き~♪]
「よかった♪ インドアの展示が多いって話だから、少しくらい寒くても大丈夫だと思うし。そしたら、明日、12時半頃、迎えに行くよ。お昼を食べて、動物園に行こう。トニーは、友人を連れて、夕食に合流するってさ。」
「12時半ね。楽しみにしてるね! 今日も付き合ってくれたのに、ごめんね。」
「いいんだよ。それじゃ、明日ね! 楽しい1日になるといいね!」

出口の方に向かうと、今日もジャレッドさんが立っていました。「Great show!」と声をかけると、「やあ! また見てくれてありがとう!」とジャレッドさん。「5日に日本に帰るから、あなたのジュダスを見るのは、今日が最後になっちゃった」と言うと、「その代わり、Michaelのジュダスが見られるよ。」と優しく笑いながら言ってくれました。実に優しいいい青年です♪ 「ほんとに素敵なショーをありがとう!」 「こっちこそ、何度も見てくれてありがとう!」 お別れの握手をさせてもらいました。

ホテルに戻り、着替えを済ませて、寝支度をしました。明日も、Michael君とお出かけです。彼がオフの日に、一緒にどこかへ行くのは、初めてでした。天気予報では、雨は大丈夫そうでしたが、日曜に引き続いて寒くなる予報でした。Michael君が風邪をひいちゃうといけないので、あまり寒くならないといいな~と思いながら、ベッドに入ったナズでした。

その5に続きます~!

ChanhassenのMichael君-Jesus観劇記 その3

2011-05-10 12:23:58 | Michael 11 Jesus
Jesus観劇記 その3です。(写真は、ほぼ正面から見たステージセットです。)

夜のショーは8時からだったので、スーパーで買ってきたサラダ等で夕食をすませ、7時半過ぎにホテルを出ました。何せ、とても近いので、ほんの3分くらいで着いてしまいました。劇場は、まさにディナーの最中のようで、ロビーの方までいいにおいが漂っていました。客席の入り口に行ってみると、案内の係の人がすぐ気づいてくれて、席に案内してくれました。食事抜きのチケットだったんですが、飲み物はサービスのようで、温かい紅茶をお願いしました。
ステージに向かって右の端っこで、ショー全体を見るには見づらいんですが、それでも、最前列です!バンドが、セットの奥の2階部分に入っているので、客席とステージがすごく近くて、特に最前列の両端のテーブルは、ステージが扇形のように端のほうが客席側に広がっているので、手を延ばせばステージに触れる近さです!しかも、6人掛けのテーブルなんですが、同席者はいなくて、ナズ1人♪ 最前列の時のナズは、叫びますよ~~♪(笑)
ショーが見やすいように椅子をステージ側に向け、マチネで見てた時、最前列の通路もキャストが通っていたので、邪魔にならないように椅子を、なるべくテーブルの方へ寄せておきました。

そうこうするうちに時間になり、前回同様、MCの人が団体客やお誕生日等のお客さんを紹介した後、ショーが始まりました。このオーバーチュアーの時、キャストの皆さんがハグし合うのがとってもいいんですよね~♪ ナズのほんの1メートルくらい前をMichael君(マイケル・グルーバー)が歩き回っていました♪ キャストが勢ぞろいしたところで、さっそく拍手喝采するナズでした!ナズのすぐ前に立っているキャストの人達が、嬉しそうに笑ってくれました♪

1曲目のジュダスのソロが始まる時に、ジュダスが、ジーザスから受け取った布を左手に巻きつけます。火曜日のショーでは、Michael君がこれをやるところを見られるんだな~と思うと、ワクワクしてきました。続いての「What's the Buzz/Strange Things Mystifying」や「Everything's Alright」では、歌詞を覚えているナズは、音楽に合わせてからだを揺すりながら、口ずさんでいました。

次のカイアファス達がジーザスの死を話し合う場面で、カイアファス役の俳優さん、よく若い女の子が履いているような底の厚いブーツを履いていて、他の3人と違うんです。で、シーンの途中で、台の上に上がって歌った後、台から降りるんですが、底厚ブーツのせいでちょっとつんのめるようになって、すっごく降りにくそうだったんです。あとで会った時にトニーさんが話してくれたんですが、実は、カイアファス役のSeanさん、背があまり高くないので、それで底厚ブーツの出番となったそうで、実際、降りる時に失敗してステージで転んじゃったことがあったそうです・・・ ちょっと強面で、低い声が迫力のカイアファスなんですが、演じているご本人は、気さくで面白い人なんだそうです。
また同じく低い声で、ちょっと怖いアンナスを演じているKasonoさんという黒人の方は、アフリカからこちらに移住された方だそうで、素顔の彼は、柔らかい物腰の人懐っこい人です。次の「Hairspray」では、主要キャストの1人のシーウィードを演じるんだそうです。

客席の通路にジーザス達が現れ、「Hossana」が始まりました!手拍子を打ちながら、一緒に歌うナズの横の通路を通って、昼間お話することができたアンさんが登場して、通り過ぎざまにナズに微笑みかけながら、ナズの背中をなでなでしてくれました♪ 他のキャストも、歌っているナズと目が合うと、微笑んでくれましたよ!
続く「Simon Zealotes」も、テンポの速い、乗りのいいナンバーで、キャストのダンスにも熱が入ります。群舞なんですが、やっぱりMichael君のダンスは、とてもきれいでした♪ 姿勢がいいし、ポーズがばっちりと決まるんです。

ジーザスが、「誰も本当の力・栄光が何なのか理解していない」と歌う「Poor Jerusalem」とそれに続く「Pilate's Dream」は、しんみりとしたナンバーで、ジーザス役のベンさんとピラト役のディビッドさんが、切々と歌ってくれました。
余談ですが、この「Pilate」、英語読みでは、「パイレイト」となり、LとRの違いはあるんですが、L音とR音の区別が苦手なナズにとっては、どうしても「海賊」と言っているように聞こえてしまい、Michael君達とショーのことを話している時も、ピラトのシーンのことを話しているのに、頭の中にポンッとキャプテン・ジャック・スパロウが浮かんでしまって、一瞬、頭が混乱する・・・ということがありました・・・

次の「The Temple」のシーンは、すっごく楽しかったです♪神殿で商売をする物売り達が、客席に向かって呼びかけるんですが、何人ものキャストの人が、ナズに向かって呼びかけてくれました。ラッキーなことに、Michael君扮するつぼ売りも、ナズのまん前で演じていて、ナズと目を合わせて演じてくれましたよ♪ Michael君は着やせするタイプなんですが、鍛え抜かれたミュージカル俳優さんなので、けっこう筋肉もりもりなんです。このつぼ売りを演じている時は、袖なしのベストのような衣装なので、たくましい腕の筋肉がかっこよかったです♪ そばで踊っていたアンさん演じる踊り子にちょっかいを出して、他の男ともめたりと、メガネをかけていてどこかインテリっぽいジェームズを演じている時とは違うアウトローっぽい感じがまた素敵♪ それと、Michael君の役は、舞台右端のナズの目の前の急な段々を何度も上がったり下りたりするんですが、まるでネコのようにすばやく、身軽に移動していて、それもかっこよかった♪さすが、マンカストラップ!

これも余談なんですが、ナズは、12使徒の名前の英語読みに最初はどうもなじめませんでした。ナズは、クリスチャンではないんですが、子供の頃、友達に誘われて近所の教会の日曜礼拝に通っていたことがあって、聖書も読んでいたんです。日本の聖書では、ペテロとかヤコブとかヨハネという名前で知っていたのに、いきなりピーター、ジェイムズ、ジョンなんで、「誰、それ?」みたいな感じがしちゃって・・・。頭の中に、ウサギやら、英国スパイやら、ビートルズやらいろいろ浮かんじゃったんですが、今は、すっかり慣れましたよ♪
そこにジーザスが現れて、物売りの台を投げ落とします。ものすごい音がして、落ちた板がステージで跳ね返って、けっこう高く飛ぶこともあるので、出演者が周囲にいっぱいいるのに、ちょっと危険な感じがしました。本当にものすごい音なんで、ナズは、昼間に1回見てましたから平気でしたけど、びっくりしているお客さんが大勢いましたよ。

ステージから逃げ去った物売りと踊り子達、今度は、布をかぶって、病や貧困に苦しむ民衆となって、ジーザスに救いを求めます。アンサンブルといっても、ほぼ出ずっぱりなんで、Michael君達、大忙しです!ここでも、観客席の通路を通って、ステージへと這い上がるキャストが何人かいます。オープニングのMCの人も、「このショーでは、キャストが客席の通路を使うので、通路に手や足や椅子を出さないように」と、ちゃんと注意していました。

疲れきって眠るジーザスに、メアリーが歌う「I Don't Know How to Love Him」は、きれいなナンバーです♪演じるミシェルさんは、これが、この劇場デビューなんだそうですが、他のキャストともすっかりなじんで、その素敵な歌声で観客を魅了していました。プロフィールによれば、彼女は、ミュージック・セラピストの資格を持っているんだそうです。

「Gethsemane」は、この時も圧巻でした!ベンさんのジーザスは、ほんとに素晴らしかった!ちょっとハスキーな声でシャウトするように歌うんですが、高音がきれいに響いて・・・。自然に涙がこぼれてきました。

ピーターがジーザスを知らないというシーンの後のピラトのシーンは、舞台向かって右の端、まさにナズの目の前で演じられるので、ナズもスポットライトで照らし出される感じで、何かちょっと緊張しちゃいました!別に、ナズのことなんか、誰も見ちゃいないんですから、自意識過剰なんですけど(笑)、でも、ここでお茶を飲んだりしたら、せっかくの演技の邪魔になっちゃうような気がして、じっとお行儀よく座ってました。

そして、ヘロデ王の楽しいナンバーで大笑いした後は、メアリーとピーターの「Could We Start Again Please?」。これも、とても美しい曲です。メアリーの歌うナンバーは、みんな美しいナンバーばかりです。

ジュダスのハイライトの1つ「Judas Death」に続いて、再びピラトのもとでの裁判のシーンです。またしても、ナズまでスポットライトに照らされて、目の前わずか数十センチのステージの上に、ジーザスが倒れていました!両手を縛られ、弱々しく横たわる姿に、かなり真剣に「助けたい!」と思っちゃいました!ちょっと手を伸ばせば、ジーザスに届く距離なんです。ジーザスを救えるのは、ナズだけだ! まあ、ナズグルが、ジーザスを助けに現れるというのは、ちょっとどうかと思いますけどね・・・(笑) そのくらい、ベンさんの演技が素晴らしかったってことですね♪

ジュダスが歌うロック調の「Superstar」の後は、クライマックスの「Crusfixion」のシーンです。このシーンは、もちろん重要なシーンなんですけど、ジーザスが本当につらそうに見えるし、重苦しくってナズは、あまり好きじゃないです。だから、最後のカーテンコールで、明るい笑顔のジーザスが、これも明るい笑顔のジュダスとハグしている様子を見ると、ほっとして、すっごく嬉しくなっちゃいました。もちろん拍手喝采、叫びまくりです!(笑)キャストの皆さんも、ナズのほうを見ながら、嬉しそうに笑ってくれてました。

急いで席を立ってロビーに出ると、並んでいるキャストの人達が、口々にナズに声をかけて下さいました!「拍手をありがとう!」、「会えて嬉しいわ」、「名前を教えてくれる?」、「一緒に歌ってくれていたね」 握手をしたりハグをしたりしながら進むと、トニーさんがいました。「やあ、ナズ! 応援、ありがとう! 明日は、僕も一緒に行くからね」、「ええ、Michaelに聞いたわ。とっても楽しみ♪」

バーのほうに行くと、昼間と同じところにMichael君がいました。「やあ!今夜も、一緒に歌ってくれてたね」と言いながら、ハグしてくれました。
「君は、楽屋ですごい人気者だよ!キャストがみんな大喜びさ!『手拍子を打ってくれてた』、『一緒に歌ってくれてた』ってね。君は、いつも僕だけじゃなくて、みんなを応援してくれるものね。『名前は、なんていうの?』、『仕事は、何をしているの?』って、僕は、質問攻めだよ(笑)」と、Michael君が教えてくれました。
嬉しいんですけど、何か、変な感じでした。だって、普通は、観客の方が俳優さんのことをいろいろ知りたがるのに、俳優さん達がナズのことを知りたがっているなんて・・・。

「ところで、明日だけど、12時15分頃、君のホテルのロビーに迎えに行くよ。パレードには、パペットとかいろいろ出し物があって、食べ物の屋台とかも出てるっていうから、そこでランチを食べよう。」
「了解! すごく楽しみ♪ でも、つき合わせちゃって、ごめんね。無理しないでね」
「大丈夫! 僕も楽しみなんだから。それじゃ、明日ね!」

Michael君とお別れして劇場の出口のほうへ行くと、ジュダス役のジャレッドさんがお客さんと挨拶するために立っていました。Michael君よりは背が低いのはわかっていたんですが、ステージではけっこう大柄に見えたのに、並ぶと、ナズと同じくらい(171cm)の背丈でした。ナズが「Great show!」と声をかけると、「Thank you」と言いながら微笑んでくれたんですが、キュートな笑顔で、まさしく好青年という感じでした。「明日も見に来るから、楽しみにしてるね」と言うナズに、「ほんとに! ありがとう! また明日会えるね」と答えてくれました。いい人です、ジャレッドさん♪

劇場を後にしたナズ、5~6分後にはホテルの部屋に着いていました。ホテルが近いって、いいな~! 朝ごはん付きのホテルなんですが、コーヒーとか紅茶用のお湯とかが常にロビーの横の部屋に用意してあって、クッキーとかシリアルとかも自由に持っていっていいんですよ。そういうの、嬉しいですよね♪

またまた長くなってしまったので、日曜日の模様は、次に続きます。いつも長くて、ごめんなさい~!

 

ChanhassenのMichael君-Jesus観劇記 その2

2011-05-09 12:38:21 | Michael 11 Jesus
Jesus観劇記 その2です。(写真は、James役の時は、メガネをかけるので、フル装備で撮ったMicael君〔マイケル・グルーバー〕です。)アップの写真は、下記の通りです。メガネなしと、メガネあり♪

 

さて、休憩時間が終わり、いよいよJesusの後半が始まりました。有名な最後の晩餐(The Last Supper)のシーンです。「今までの暮らしがずっと続くわけではないのはわかっているが、このひと時を楽しみたい。使徒になりたいとずっと思っていた。引退したら福音書を書こう。そうすれば、我々の死後も、人々は我々のことを話すだろう」と歌いながら、使徒達が台の上に板を並べてテーブルを作り、その上を自分達の持っていた布で覆い、ビンや器を並べます。少し遅れてジーザスが食卓に加わり、思いつめた表情のジュダスも食卓の片隅に腰を下ろしました。とてもきれいなメロディの優しい曲です。

「終焉は、友によりもたらされるので、つらいものとなるだろう」とジーザス。いぶかしげな使徒達。杯を手にしたジーザスが「このワインは私の血のしるしとなる」と言いながら、使徒達に渡します。続いてパンを手に取ると、2つに割り、使徒達に渡します。「このパンは、私のからだのしるし。これらを飲み、食す時、私のことを思い出すように」
そこまで静かに歌っていたジーザスでしたが、突然、テンポが速く変わり、思いのたけをぶつけるように歌い始めました。「お前達が思い出すはずがない。そんな空虚な顔つきで、私が死んだら、すぐに忘れてしまうだろう。お前達の1人は、私を知らないと言い、もう1人は、私を裏切るのだから」ジーザスの言葉に、使徒達は騒然となりました。

ジーザスに近づくピーター(ペテロ)に、ジーザスは「お前は、わずか数時間の間に、私を知らないと3回言うだろう!」と指摘します。否定するピーターとおののく使徒達。「それだけではない。今宵食卓を共にした、選ばれた12人の中の1人が、私を裏切るのだ」意味深なジーザスの言葉に、ジュダスが「大仰に言うのはやめろ!誰なのか、よく知っているはずだ!」と叫びました。「早く行くがいい。彼らが待っているぞ」とジーザス。「俺を行かせたいのか!俺がどんな思いでいるか、考えてみろ」とジュダス。「そんなことは、関係ない。とっとと行くがいい」とジーザス。「尊敬していたが、もう終わりだ!」と言いながら、ジュダスが、左手に巻いていた布(書き忘れてましたが、キャスト全員が持っている布を、ジュダスは、ショーの冒頭であざやかな手さばきで自分の左手に巻きつけて、ずっとそのまま身に着けているんです。たぶん、ジーザスとの信頼感のようなものを表現しているのだと思います)を解いて、投げ捨て、テーブルを覆っていた布を引き落としました。このシーンで、回ってきた器からワインを飲むしぐさをし、次の使徒に器を回した後、Michael君が使いもしないビンをテーブルから手に取ってずっと持っていたので、ちょっと不思議に思っていたんですが、あれは、このジュダスが布を引き落とす場面に備えてのことだったんだ・・・と、納得したナズでした!そのまま置いておいたら、小道具、壊れちゃいますもんね(笑) まだ7月末まで使うのに。

テーブルの周りを、ジーザスを追い回すかのように回りながら、「何度も忠告したのに、あなたは聞かなかった。自ら破滅へと導いたんだ!」と叫ぶジュダス。「もう聞きたくない!早く行くがいい」と叫ぶジーザス。おろおろと逃げ惑う使徒達がこのシーンの初めに歌った歌を悲しげに歌います。
テーブルに飛び乗り、「あなたのせいで、我々の理想は死んでしまった!挙句の果てに、誰かが、あなたを裏切って、罪人のように牢にぶち込む手助けをしなくてはならない羽目になった!疲れ果てた手負いの獣のように!」とジーザスに詰め寄るジュダス。ジーザスもテーブルに飛び乗って、「いいから、早く行け!彼らが待っているぞ!」とジュダスに叫びます。
苦しそうな表情のジュダスが、ジーザスにすがりつき、泣き崩れながら「あなたを見ていて、いつも理解できずにいた。なぜ、あえて事態をめんどうな方へと持っていくのかと。計画を立てて進めていれば、こんなことにはならなかったのに!」と訴えます。テーブルから転げ落ちたジュダスの姿を辛そうに見つめるジーザスが、ジュダスが投げ捨てた布を手に取り、そっと近づいて、彼の肩にかけようとしますが、ジュダスは振り払い、走り去るのでした。

残された使徒達が台や板を片付け、思い思いの場所で眠りにつきます。1人残されたジーザスが、苦しい胸のうちを、神に訴えます(Gethsemane)。「神よ、どうかあなたが私にくれた、この毒の入った器を取り去ってほしい。3年が30年に思えるほど、他の誰にもできないほどにがんばってきたが、今となっては最初の頃の熱意も薄れ、ただ悲しく、疲れ果てた。なぜ死ななくてはいけないのか。死ぬことで、何か報われることがあるのか、教えてほしい。ただ無意味に死ぬなんて、耐えられない!死ぬ理由を教えてほしい。時間や場所にはこだわるのに、理由のことは気にされないのか!」 ジーザスの一番の見せ場です。ジーザス役をやりたいと思っていたというベンさんが、毎回、渾身の演技で演じてくれたので、とても感動的なシーンになって、ナズは、毎回、涙ぐみながら見ていました。

「いいだろう、あなたの望み通りに死んでいこう。苦しみに満ちた3年は、90年にも思えるほどだ。この苦しみを終わらせられるなら、死ぬことも怖くはない。自分で始めたことなのだし・・・」と歌ったジーザス、そこで、実際に始めたのは自分ではなく、神だったということに気づいて、はっとします。「御心のなんと厳しいことだろう!いいだろう、あなたの差し出す毒杯を飲み干そう。私を、鞭打ち、引き裂き、十字架にかけて殺すがいい、私が心変わりする前に!」 立ち尽くすジーザス。

と、突然ギターがかき鳴らされ、カイアファス達を連れたジュダスが現れ、「あそこに彼がいる。他の愚か者どもは、みんな、眠っている」とつぶやきます。すばやくジーザスに近づいたジュダスは、後ろからジーザスの耳の辺りにさっとキスをして、すばやく後ろに下がりました。ゆっくりと振り向いたジーザスが、「ジュダス、お前は、そのキスで私を裏切るのか」と話しかけますが、ジュダスは、そのまま走り去ってしまいました。

ジーザスを捕らえようと、司祭が近づくと、その気配で使徒達が目を覚まし、「何が起きているのですか(What's the Buzz)」と歌いながら、ジーザスの身に危険が迫ったことを悟り、「心配しないで。我々があなたのために戦います!」と言いながら、ピーターが司祭に切りつけます。このシーンでは、各自、布を両手の間にぴんと張って、剣に見立てていました。ピーターと司祭の間にジーザスが割って入り、「武器を捨てなさい。全て、終わったのがわからないのか。楽しかったが、時は過ぎた。これからは、また漁師に戻って暮らすがいい。」と、使徒達を諭し、司祭は、布でジーザスの両手を縛るのでした。

使徒や女達を演じている俳優さん達が手に持った布をかぶり、捕らえられたジーザスをはやし立てる群集へと変わります。司祭は、ジーザスを連れて、客席の通路を抜けて行きます。それについていく群衆とステージに残った群集が、「捕まった気分は、どうだ?敗因は、何だったと思う?これが、ユダヤ人の夢なのか?カイアファスのもとへ連れて行こう。そこで、死刑になるんだ。信じてきた者の身にもなれ。土壇場まで来て、このざまか?とうとうこいつを捕まえたぞ!」 と歌い、ジーザスは、カイアファスの前に連れて行かれるのでした。
ステージにカイアファス達が登場し、「お前は神の子か」とジーザスに訪ねますが、ジーザスは「お前達が、そう言っているのだ」と答えます。しかし、それで、彼が罪を認めたと判断したカイアファスは、ジーザスをピラトのもとへ連行しました。

一方、ジーザスが逮捕され、残されたピーターが立ち去ろうとすると、そばにいた女性が「あなたが、あの逮捕された男と一緒にいるのを見た」と声をかけます。しかし、捕らえられることを恐れたピーターは、「あんな男は知らない。一緒にいたことなどない」と答えました。すると、そばにいた男が、「いや、私も見覚えがある。」と話しかけてきました。「人違いだ。」とピーター。逃げ去ろうとすると、別の男が、「あの男の隣にいたのは、お前だろう」と彼を引き止めます。「彼のことなど、知らない!」と、大声で否定するピーターでした。
その様子を見て、「今、あなたは、ジーザスを否定して見捨てたのよ」とメアリーが声をかけました。「仕方がなかった。さもなければ、自分も捕まっていた」というピーターに、「彼が、言っていた通りになったけど、なぜ、彼にはわかっていたのかしら」と、メアリーは不思議に思うのでした。

ピラトのところに連れて行かれたジーザスは、終始うつむいて、高いところにいるピラトからは、彼の顔が見えません。このシーンは、ステージの向かって右端の、ちょっと階段のようになったところで演じられていました。DVDでは、筋肉隆々の俳優さんがいかにも軍人という扮装で演じていたのですが、チャンハッセンのプロダクションでは、年配のロマンスグレーな俳優さんが、政治家っぽいコスチュームで演じていました。
「この打ちひしがれた男は誰だ?」というピラトの問いに、アンナスが「ユダヤ人の王だと言う、クライストとかいう男です」と答えました。「これが有名なあの男か。小柄で、とても王の風格などない。お前は、ユダヤの王なのか」とピラトが尋ねると、ジーザスは「あなたが、そう言っているのだ」とだけ答えました。「この状態で、よくも落ち着いていられるものだ、無口な王よ。こいつはガリラヤ人だから、私ではなく、ヘロデ王のところに連れて行け」と、ピラトが命じました。

ピラトが退場すると、ステージ中央に、昔の水着のような衣装を来た男性2人、女性3人のキャストが踊りながら登場し、その後ろから、薄手のマントを羽織って、水泳帽のようにも見える金色の薄い布の帽子をかぶったヘロデが登場しました。このシーンは、ヘロデがジーザスに、「本当にお前が、死者をよみがえらせたりした神だというのなら、ここで水をワインに変えたり、水の上を歩いたりしてみせろ。そうしたら、助けてやる」と迫るのですが、ジーザスは相手にしないという場面なんですが、コミカルなナンバーで、DVDでは、Broadwayのショーのような派手なセットに、白いタキシードで決めたヘロデがドレス姿の美女を連れて、ジーザスに歌いかけるという趣向でした。
チャンハッセンでは、ロックかなにかのスター風という設定になっていて、登場したヘロデが、「直接会うことができて、嬉しいよ、ジーザス」と歌いながら、手にした布で、首やわきの下の汗を拭き、その布を、見物している群集に投げてやるという演技で、客席を笑わせていました。
ヘロデの申し出をまったく無視して相手にしないジーザスに業を煮やしたヘロデは、「お前は、神なんかじゃない、ただのペテン師だ!とっとと出て行くがいい!」と言い残して、立ち去ってしまいました。

薄暗いステージに、メアリーとピーターが現れ、「あなたに会うために生きてきたのに、こんな結末になるなんて。どうすればいいのだろう。あなたの教えは伝わったが、取り返しのつかないことになってしまった。やり直すことができればいいのに。(Could We Start Again Please?)」と歌います。他のキャストもコーラスに加わって、しっとりと心にしみるようなナンバーでした。DVDでは、このナンバーが流れる中、殴られ蹴られるジーザスの姿が映し出されますが、こちらのプロダクションでは、そういうシーンは入れていませんでした。

メアリー達が退場すると、ステージにカイアファス、アンナス、司祭が現れ、そこにずっと着ていたローブを脱いだジュダスがあわただしく駆け込んできます。(Judas Death) 「ひどく打ち据えられたジーザスを見ていられない。みんなのためを思ってしたことなのに、このままでは俺が責められてしまう。助けられるものなら、助けてやりたい。」と訴えるジュダスに、カイアファス達は、「何を弁解しているんだ。お前が思っていた通り、民衆は彼を見捨てたぞ。お前はイスラエルを救ったんだ。後世に名を残せるし、報酬だって手にしただろう」と相手にしません。
1人ステージに残されたジュダスは、「クライスト、俺は、あなたが望んだことをしただけだ。あなたを殺した重荷を背負うくらいなら、国を売るほうがマシだ。あなたを、どう愛せばいいのかわからない。ただの1人の人間なのに。俺を許し、心にかけてくれるだろうか」と、苦しみ悩みます。結局は、自分は、神の大いなる目的のための道具に過ぎなかったと悟ったジュダスは、「神よ、なぜ俺を選んだんだ!俺は、神に殺されるのだ!」と叫びながら、ステージを歩き回ります。
ステージには、処刑人を思わせる2人の男が登場し、金属を箱を音楽に合わせて動かし、金属の柱を横向きに持ち上げます。ジュダスが「殺されるんだ」とつぶやきながら、先が輪になった布を男から受け取り、柱に結び付けました。2人の男達は、それぞれ、箱に乗り、柱を高く掲げます。そして、ジュダスは、もう1つの箱を柱の下まで動かすと、布の輪の中に首を入れ、箱の上に上がります。ステージが暗転になり、ダンッと大きな音が響き、Judasの死のシーンが終わりました。

再び明るくなったステージでは、ピラトのもとで、ジーザスが裁判にかけられていました。ジーザスのそばまで歩み寄ったピラトは、初めてジーザスの顔を見て、息を呑みます。夢で見たのは、この男だった・・・と気づいたということなのでしょう。
救い主だと信じていた男がまがい物だったと知った民衆は、可愛さ余って憎さ百倍状態で、ジーザスを十字架にかけるようにとピラトに訴えます。あくまでもガリラヤ人の問題なので、あまりかかわりあいたくないピラトは、何かを盗んだとか具体的な罪がないのに、裁けないと答えますが、民衆は納得しません。何とか処刑だけは避けたいピラトは、ジーザスを鞭打ちの刑にします。服を剥ぎ取られ、下着だけになって、縛られた両手を高くあげたジーザス。鞭打ちの音が響く中、司祭と民衆は、音に合わせて、手に持った布を振り下ろします。赤い長いひも状の布を持った女性が踊りながらジーザスに近づき、流れ出た血を表現するように、ひも状の布をジーザスのからだに巻きつけていきます。DVDの解説によれば、人は40回鞭打たれると死んでしまうと言われていたそうで、ジーザスを殺したくなかったピラトは、39回で鞭打ちをやめたのだとのことでした。
息も絶え絶えになりながら、この期に及んでも、何一つ弁明をするわけでもないジーザスを抱き起こし、ピラトは、「このままだと、死ぬことになるぞ。お前の運命は、わしの手の中にあるのだ。」と言いますが、ジーザスは、「あなたには、何の力もない。全ては神の定めた通りに動いてるだけで、あなたにそれを変えることはできない」と答えるだけでした。何とか救おうとしているのに、何も答えないジーザス。民衆からは「このままだと皇帝の怒りを買うから、彼を貼り付けにしろ」とあおられたピラトは、ついに「そんなに死にたければ、勝手に死ねばいい。わしは、手を引く!お前は、ただのあわれな操り人形だ!」と言い捨てて、ステージを去りました。

ステージに、高らかに「Superstar」の前奏が流れ、ジーザスの頭に茨の冠が乗せられました。再びローブをまとい、首から赤いひも状の布をたらしたジュダスが、赤い布を手にした女達3人を引き連れて登場し、「いつもあなたを見るたび、不思議だった。何で、わざと面倒な道を選ぶのか。計画さえあれば、もっとうまくいったのに、何でこんな時代を選んだんだ?現代に現れたなら、世界中に簡単に知らしめることができたのに、紀元前のイスラエルじゃ、マスコミもない」と歌います。DVDでは、ロックスターさながらに、表情たっぷりにジーザスを、時にあざけるように、時に冷ややかに見透かすように歌われるナンバーなんですが、ジャレッドさんは、ごく普通に歌っていました。他のキャストもみんな合唱に加わり、後半、もっとも派手なナンバーです。
よろめきながら十字架を運ぶジーザスに、「あなた以外のお友達では、誰が一番すごいんだ?ブッダは、座禅を組んで座り続けたというし、マホメットが山を動かしたのは本当か?こんなふうに死ぬのは、本望なのか?」とジュダスが歌い続ける中、十字架は、土台にはめ込まれ、よろめきながらジーザスが十字架のもとへ近づきました。「Sperstar」のエンディングの中、ジュダスは、舞台奥の2階部分のライトの下に立ち、ジーザスを見下ろします。

静まったステージに、釘を打つ音が響き、赤い布を持った女達が、音に合わせてジーザスの手足に布を巻きつけました。少し端をたらしたところでやめたので、ちょうど釘打たれた手足から滴り落ちる血に見えます。釘打たれながらも、「神よ、彼らを許したまえ」と祈るジーザス。十字架の横木の両端の部分には、突起があって、ベンさんは、磔のシーンの間、そこにつかまってからだを支えることができるようになっていました。
母、マリアの姿をさがすジーザスの足元に、マリアが歩み寄り、足先に手を添えました。ジーザスをあざける者、ジーザスから剥ぎ取られた衣を奪い合う者、痛ましい姿に涙する者・・・。マグダラのメアリーも、ジーザスの足元に駆け寄りました。「神よ、なぜ、私を忘れられたのか]と叫ぶジーザス。

そして、ついに最後の時が訪れました。「神よ、あなたの御手に、私の魂を捧げます!」 叫びと共に、ぐったりとうなだれるジーザス。人々の啜り泣きが聞こえます。悲しげな「Gethsemane」のメロディが流れる中、使徒達が、赤い布をほどき、ジーザスのからだをそっと十字架から下ろし、静かに横たえ、それぞれが持っていた布をジーザスのからだにかけました。使徒とメアリーが悲しみにくれる中、ステージは、暗転になりました。

真っ暗な中、荘厳な音楽が流れ、一条の光に照らされたステージには、高々と両手をあげたジーザスがすっくと立つ姿が映し出されました。その後、明るくなったステージには、ジュダスをはじめ、キャスト全員がいて、カーテンコールが始まりました。みんな笑顔で、互いにハグし合って、観客からは惜しみない拍手が送られました。
ジュダス、メアリー、ジーザスの順に、1人1人挨拶をし、ナズは、もちろんいつも通り、叫びまくりです!(笑)その後、キャスト全員がステージに並んで、客席に挨拶をし、客席の通路を通って、ロビーの方へと出て行きました。この劇場では、「Meet & Greet」というのをやっていて、毎回、全てのショーで、終演後、コスチュームをつけたままのキャストがロビーで観客を出迎えて挨拶をしているんです。

ナズも、急いでロビーへと向かいました。出てすぐのところで、以前、Michael君がこの同じ劇場で「Easter Parade」に主演した時に共演していたアン・ミッシェルさんという女優さんに会えました。「あなたが、Michaelのお友達ね! 私、アンよ。会えて嬉しいわ!」「Easter Paradeの写真で、お顔を見ました! あの時は来られなかったけど、今回は見に来られて嬉しいです! 素晴らしいショーでした!」と挨拶をしました。
アンさんのすぐ横には、セントポールの劇場で「Singin' in the Rain」にMichael君が主演した時にコズモ役で共演したトニー・ビエリングさんがいました。「僕は、トニーだよ。来てくれて、ありがとう!ショーは、楽しんでもらえた?」「もちろん! 最高でした!」 「よかった! Michaelは、そっちの部屋にいるよ。」

覗いてみると、隣のバー・ラウンジの方に、メアリー役の女優さんやヘロデ王を演じていた俳優さん達と一緒にMichael君がいました。「見つけた!」と言いながら近づくと、Michael君はすぐに気づいて、ハグしてくれました~♪
「ナズ! よく来てくれたね~! 嬉しいよ、ありがとう! 素敵なジャケットを着ているね。」
「ありがとう。(朝からかなり肌寒かったので、持ってきたダウンのハーフジャケットを着てたんです。)Great show! すっごく楽しかった!」

メアリー役のミシェルさんとヘロデ王役のジェイさんを紹介してくれたMichael君、
「今日は、これからリハーサルなんで、夕食を一緒に食べられないんだけど、明日の昼間、街でパレードがあるから、一緒に見に行こう! お昼過ぎに迎えに行くよ。いいかな?」 
「もちろん! 」 
「友達のトニーも、一緒に来るって。僕は、まだこっちに来て半年だから、彼が案内してくれるんだ。」
「さっき、ロビーで挨拶したわ。」
「今夜も見てくれるんだろ?」
「ええ。今夜の席は、ステージに向かって右端の最前列よ。」
「そう言えば、さっきのショーで、君、『Hosanna』の時、一緒に歌ってたろ?」と、ちょっと嬉しそうなMichael君。
「だって、あなたのショーを見る予習も兼ねて、何度もアルバムを聞いたから、覚えちゃったんだもん! それに、とても楽しかったし♪」
「ナズがショーを気に入ってくれて、嬉しいよ。じゃ、また夜のショーの後で会おうね!」

もう1回ハグをして、Michael君は、ステージの方へ歩いていきました。

一方、ナズは、スーパーで買出しです(笑)ホテルから歩いて数分のところに大きなスーパーがあるので、水やトマト、ブロッコリーのサラダ等、滞在中の飲食物を買いました。ホテルの部屋には、冷蔵庫や電子レンジがあったので、とっても便利でした。夜のショーは、ディナーなしだから、8時少し前までにいけばいいので、ホテルの部屋でのんびり一休みすることにしました。

Jesus観劇記 その2でした~! 夜のショーのことや翌日のおでかけの模様等は、その3でご紹介しますね~。毎回、長い記事ですみません!懲りずに読んでやって下さい~!

 





劇場のサイトに、Jesusのビデオ

2011-05-09 00:17:43 | Michael 11 Jesus
Chanhassen Dinner Theatresのサイトで、観客の人の感想をビデオで紹介しているんですが、ショーの映像も見ることができます~! (写真は、ロビーに飾ってあった観客の感想や批評家の批評をまとめたものです。)

ビデオは、こちらからどうぞ。「The Audience Reacts」というタイトルのビデオが、そうです。インタビューを受ける観客の後ろに、劇場のロビーの様子なども見ることができます。

最初に登場するショーのシーンは、ヘロデ王のところからもう一度ピラトのもとに戻されたジーザスが裁判にかけられているシーンです。手前に倒れこんでいるのがジーザス、中央に立っているのがピラトです。次の赤いライトで照らされたシーンは、「The Temple」で、病や貧困に苦しむ民衆にジーザスが取り囲まれるシーンです。最後のシーンは、「Simon Zealotes」のシーンで、テープカウント0.56の辺りで、画面右側から踊りながらMichael君(マイケル・グルーバー)が登場します。 メガネをかけてますよ。ほんの2秒ほどですが、Michael君のダンスをお楽しみ下さい♪


ChanhassenのMichael君-Jesus 観劇記 その1

2011-05-08 01:13:38 | Michael 11 Jesus
ChanhassenのJesus観劇記 その1です。(写真は、普段、演じているJames of Alphaeusのコスチューム姿のMichael君〔マイケル・グルーバー〕です。)

Michael君が現在出演中の劇場があるチャンハッセンの最寄空港は、ミネソタ州の州都であるセントポールとその双子の町ミネアポリスのエリアにあるミネアポリス/セントポール空港です。ここには、デルタ航空を使えば、成田からノンストップで行くことができるんですが、2009年のGWにセントポールに「Grey Gardens」を見に来た時、ここの空港の入国管理官が、すごく意地悪だったんです。他の空港なら、乗り継ぎ時間が迫っている人を先に通関させてくれるのに、そういう配慮をまったくしてくれないし、ナズみたいに乗継じゃなく、ここが最終目的地という外国人がめずらしいせいか、ネチネチとしつこく質問してなかなか通関させてくれなかったりと、すごく感じが悪かったので、今回、シカゴ乗換えの便をあえて使っての旅行となりました。

乗り換えの接続が悪く、シカゴ空港で4時間も待つことになってしまい、当初、「空港からの足がないなら、迎えに行こうか」とMichael君が言ってくれていたんですが、ショーの時間の関係で不可能になってしまいました。 4時間は、かなり長かったんですが、おかげでシカゴのオヘア空港にだいぶ詳しくなりましたよ♪(笑)
午後10時近くにミネアポリス/セントポール空港に着いたナズは、タクシーを使って、チャンハッセンのホテルへと向かいました。30分程でホテルに着いたナズは、Michael君に「無事、着きました」とメールを送り、翌日の準備を済ませてベッドに入りました。

翌30日は、土曜日でマチネとイブニングの2回、ショーがありました。劇場は、ディナー・シアターということで、ショーの前にまず食事を楽しみ、ショーの最中もお酒やソフトドリンクを飲むことができ、幕間の休憩時間にはデザートを食べることもできます。また食事をしないでショーだけを見ることも可能で、ショーのみのチケットは、公演日の10日前くらいから販売されます。ナズは、6回も見るので、毎回劇場で食事をしていたら他のことが何もできなくなってしまうので、30日と5/4のマチネだけ食事つきにしてもらって、イブニングショーは全てショーのみにしてもらいました。
「Theatres」と複数形になっている通り、メインシアターのほかにもう1つ小さな劇場があり、その他にもバーラウンジやギフトショップ、レンタルスペース等があって、パーティや披露宴等に利用されているそうです。木造で、とてもシックな造りの古きよき時代の趣を残した味わい深い劇場で、ロビーには暖炉もあって、素敵でしたよ♪ またあちこちに以前上演した作品の衣装や写真や小道具等が飾ってあって、間近に見ることができるのもいいな~と思いました。

マチネは午後1時からなんですが、お食事タイムが11時からなので、チケットをピックアップするのに、10時過ぎに劇場に行きました。全部のチケットを一度にピックアップできて、ほっとしたナズ、まだ時間が十分あったので、劇場の中や劇場のギフトショップとつながっているお隣のお店に行ったりして過ごしました。
お隣のお店は、キリスト教関係のものをいろいろ売っているお店で、本、十字架、キリストや聖母や聖人の像、祈りや祝福の言葉が書かれた栞やカードやメダル、ロザリオ、その他さまざまなキリスト教にちなんだ小物やアクセサリー等がたくさん売られていました。出し物がちょうど「Jesus Christ Superstar」なので、ぴったりだな~と思ったんですが、あとでMichael君が教えてくれたところでは、この辺りは敬虔なクリスチャンが多いエリアなんだそうです。

「ラストシーンがジーザスが十字架にかけられるシーンで終わっちゃうから、ショーの後、お客さんから『なぜ、復活のシーンがないのか』って聞かれることがあるんだけど、それを僕らに言われてもね~・・・。ただ、そういうミュージカルだからとしか言えないよ。文句は、作者のロイド・ウェバーに言ってもらわないと・・・」と、あとで会った時、Michael君が苦笑しながら話してくれました。そのせいもあって、ここでのショーでは、ラストで暗転になった後、ジーザス役の俳優さんが、ステージ中央に立ち、スポットライトを浴びながら、両手を高くあげるシーンを付け加えたんだそうです。「それを見て、復活を意味すると取るか、ただのカーテンコールだと思うかは、それぞれのお客さん次第ってことなんだけどね」と、Michael君が言っていました。

時間になったので、劇場の入り口に行くと、案内の係がテーブルに連れて行ってくれました。半円形のステージを囲むように、ズラ~ッとテーブルが並んでおり、この時のナズのテーブルは、前から2列目、やや左よりの通路のすぐ脇にある6人がけのテーブルの最前列でした。特にステージカーテン等はないので、抽象的なイメージの大道具がセットされたステージがむき出しで見えていて、上演中以外は写真を撮ってもかまわないようになっていました。下記写真は、ステージと、ステージを囲む客席の様子です。





少し遅れて、4人連れの方達が同じテーブルに来られたんですが、とても感じのいい方達で、楽しく過ごすことができました。とてもフレンドリーな土地柄なようで、他の時の同席者も、みなさん、気さくでいろいろ話しかけて下さって、すごく楽しかったです。
メニューは、数種類のメインディッシュの他に、アペタイザーやサラダ、デザート等があり、メインデッシュと飲み物は、料金に含まれています。ナズは、チキンと野菜がトルティーヤにつつまれたラップサンドイッチをオーダーしましたが、その他のメインデッシュも日本人の感覚として、ごく常識的なボリュームで、ほとんどのテーブルでアペタイザーやデザートをオーダーしているようでした。

食事も済ませ、再度劇場内をぶらぶらする内に、開演時間が近づいたので、トイレを済ませたナズは席に戻り、椅子の向きをステージ側に変えて開演を待ちました。
時間になって最初に登場したのはMCの人で、このマチネの観客のうち、団体で来ている人達、また誕生日や結婚記念日を祝っている人達を紹介しました。そして、小さい方のシアターでの出し物や、メインステージでの次の出し物である「Hairspray」(8月5日からの上演で、Michael君は、昨年ヒューストンで演じたのと同じ、コーニー・コリンズを演じます。)を紹介し、非常口の場所と携帯のスイッチオフを注意してステージを降りました。

いよいよ「Jesus Christ Superstar」の始まりです!暗くなったステージが青いライトで照らされ、客席の通路を通ってジーザスと12使徒、女達がステージに登場しました。オーバーチュアーに合わせて「アア~」と歌いながら、ステージのセットを自分達で動かして、シーンに合わせたセットに変えます。Michael君もステージに登場してきて、他のキャストとハグしたり、セットを動かしたりしていました。衣装は、いつの時代のどの国と特定しない感じで、荒廃した近未来を描いたSF映画なんかによく出てくるような感じでした。(この記事のMichael君の衣装をごらん下さい。) ジーザスは、白い衣装で、このシーンでは、近代的なコートを着ていますが、ショーが進むに連れて、聖書にあるような衣装へと変わっていきます。

ステージには、奥のほうに2階建てになった石の建物のように見える大きなセットがあり、その手前の平らなスペースに金属でできた箱のようなものがいくつか置かれていて、その他に金属のネットを張ったボードのようなものが数枚、また差し替えられるようになった金属の柱が2本ほどあって、これらが、ある時は椅子、ある時はテーブル、またある時は十字架になります。(上のステージセットの写真をご参照下さい。)
また目の荒い薄手のスカーフのような布をキャスト全員が持っていて、これを使って、ある時は器、ある時は剣等の小道具を表現したり、握り締めたり強く引いたりすることで感情を表したり、ほとんどのキャストが何役も兼任しているので、この布をかぶることで別の役になったことを表現したりもしていました。

オーバーチュアーが終わると、激しいロック調の音楽に変わり、最初のナンバー、ジュダス(ユダ)の「Heaven on Their Mind」が始まりました。人々の人気を集め、有名になっていくジーザスを、権力者達は危険視しているのですが、そんな事態を気にする様子のないジーザスや、ただ盲目的にジーザスを慕うだけの他の使徒たちの様子に、ジュダスは気が気ではありません。「最近では、あなたの言葉が間違って受け止められている。みんな、あなたをメシアだと言うが、あなたは、ただの人間だ。それがばれれば、ただでは済まないし、目立つ存在になれば、権力者につぶされてしまうかも知れない。あなたの右腕として協力してきた自分の言葉に耳を傾けてくれ」と必死にジーザスに呼びかけますが、ジーザスは、聞いてくれません。
ジーザスを演じるベンさんは、役柄上、ひげを生やしているんですが、童顔で小柄なので、とても若く見えました。今、27歳なんだそうですが、せいぜい21~22歳くらいにしか見えなくて、でも、そんなところがジーザスの穢れのなさ等を表現するのに向いている感じがしました。ヒップホップのシンガーで、アルバムも出しているベンさんは、歌も素晴らしかったです。次の「Hairspray」では、高校生のリンクを演じるんだそうです!
またジュダス役のジャレッドさんも、まだ20代の若者で、黒髪で、ちょっとワイルドな感じでした。いかにもジュダス役というイメージの彼も、バンドをやっているんだそうです。

ようやくジュダスの様子が変なことに気づいた他の使徒達が「何かあったのですか (What's the Buzz/Strange Things Mystifying)」とジーザスに尋ね始めました。「先のことばかり気にしてないで、今日のことを考えなさい」と使徒達に言うジーザス。疲れたような彼の様子に、マグダラのメアリー(マリア)が「癒してあげましょう」とジーザスを座らせ、髪や額を撫でさすってやりました。
くつろいだ様子のジーザスに、ジュダスが「そんな女をそばに置いているのは、あなたらしくない。卑しい職業だからって責めはしないが、あなたの教えにそぐわない。ちょっとした矛盾が命取りになりかねない」と、メアリーをジーザスから引き離し、突き飛ばしてしまいました。Michael君演じるJames(ヤコブ) of Alphaeusは、ジュダスに飛びかかろうとして、他の使徒に止められていました。そのあと、Michael君のJamesは、うずくまるメアリーのそばに行って、なぐさめてやっていました。彼がジュダスを演じていた時に、彼の代わりにJamesを演じていた俳優さんは、メアリーのそばには行かなかったので、これは、Michael君個人の気持ちを反映した動きなんだな~と思いました。ホント、優しい人だよね~、Michael君♪
「今は私と共にある彼女を責めることができるほど、お前は清らかなのか」とジーザスが、ジュダスを諌めます。「お前達には失望した。誰も私のことを本当に気遣う者はいないのだ」と叫ぶジーザスに、使徒達は「そんなことはない」と口々に訴えます。

疲労の影が強まるジーザスに、メアリーが「心配するのはやめて。きっとうまくいくから、今は全てを忘れて、ゆっくり休みましょう(Everything's Alright)」と歌いかけ、彼の髪と足に香油を塗ろうとします。しかし、ジュダスは「その高価な香油を売れば、銀貨300枚にはなる。飢えに苦しむ貧しい人を救う方が、あなたの足や頭よりずっと大事だろう!」と香油を取り上げてしまいます。「常に尽きることなく存在する貧しい人々を救う力など、我々にあるのか。お前こそ、目の前にある恵みを大切にするべきだ。みんな、まだ私が共にいられる内に、よく考え、行動するがいい。私がいなくなってからでは遅いのだから」と使徒達に呼びかけるジーザス。使徒達にどよめきが走りました。
「今は、ただ目を閉じてゆっくり休みましょう」と呼びかけるメアリーと共に、ジーザスと使徒達がステージを去り、去りながら、箱や板を動かして、次のシーンのためにセットを作ります。

一方、場面は変わって、ジーザスのことを面白くないと思っている権力者達の集まりです。カイアファスとアンナスと司祭2人が、人々の人気を集めるジーザスがいかに危険か、そして事態を解決するためには彼を死なせるしかない(This Jesus Must Die)と話し合います。

客席の通路には、ジーザスと使徒と女達が、ジーザスを讃える歌(Hossana)を歌いながら登場しました。とても明るい楽しい響きの歌で、アルバムを何度も聞いてすっかり覚えていたナズは、声はもちろん出しませんでしたが、でも、実際に口を動かしながら心の中でキャストと一緒に合唱していました!
このナンバー、最初はただジーザスを褒め称え、「微笑みかけて下さい」というだけなのに、次第に「我々のために戦って下さい」になり、最後は「我々のために死んで下さい」となるんですが、このプロダクションでは「死んで下さい」の部分がカットされ、また続く「Simon Zealotes」というナンバーも、DVDでは、群集を押しとどめようと出てきた兵士との戦いのシーンで歌われていたのが、ここではジーザスを褒め称え、「多くの民があなたのために動く。あなたは、大きな権力を手に入れた」とジーザスに歌いかける場面になっていました。

自分の言葉を、12使徒達さえも正しく受け止めていないことを知ったジーザスは、「誰1人として、本当の力、栄光が何なのか理解していない」と悲しげに歌います。その様子に、困惑しながら去っていく民衆。歌が終わってジーザスもステージを去った後に、ピラトが登場し、「ガリラヤから来た、追い詰められた表情の男の夢を見て、何があったのか尋ねたが何も答えなかった。隣の部屋には、その男を憎んでいる怒り狂った群集がいて、彼に襲い掛かった。次の瞬間、大勢の人々が彼のために嘆き悲しみ、彼の死はピラトのせいだと責めた (Pilate's Dream)」と語りました。

次の「The Temple」のシーンでは、再びステージに、Michael君をはじめ、使徒や女達を演じていた俳優さんが登場しますが、ここでは、物売りや踊り子等の役を演じていて、今までのシーンで着ていたローブを脱いだり、頭に布を巻いたりと違った扮装で登場してきます。Michael君は、ノースリーブのシャツを着て、物静かな雰囲気のJamesとはぜんぜん違うちょっとワイルドなつぼ売りに扮していて、踊り子の足に触ったりと、ちょっと悪っぽい感じが素敵でした♪
神聖なはずのエルサレムの神殿で、「ここならエルサレムで一番のものが、何でも手に入る。もたもたしていると売り切れるよ!神殿がある限り、商売には困らない。安くしておくよ!」と、ステージから客席に向かって、呼びかけるように歌います。
と、突然、いつの間にかステージに登場していたジーザスが、物売りの台になっていた板をステージに投げ落とし、ものすごい音が響きました。「私の神殿は、祈りの場!それを盗人の巣にしたのか!みんな、出て行くがいい!」と叫ぶように歌いながら、次々と板を落として行きました。物売り達は、逃げるように退場しますが、次のシーンに備えて、ステージの台や板を移動するのは忘れません!(笑)

がっくりと力を落としたジーザスが、「私の時は終わろうとしている。いろいろあった3年間が、まるで30年のように思える」と嘆いていると、からだのあちこちに布を巻きつけた人々が、「目が見えない、歩けない、しゃべれない、あなたなら、助けてくれるはず」とジーザスに群がってきます。この群集を演じてるのも、Michael君達です。初めのうちは一生懸命人々を癒すジーザスでしたが、小柄な身体が見えなくなるほど押され、群がられ、とうとう群衆の中から逃げ出して、「自ら癒されるがいい!」と叫ぶのでした。

疲労困憊のジーザスを、メアリーが慰めます。(Everything's Alright) そして眠りについたジーザスを見守りながら、「彼をどう愛せばいいのかわからない。多くの男達を相手にしてきたけど、彼だってただの1人の男のはずなのに。彼のことを思うと不安になる。こんな気持ちは初めて (I Don't Know How to Love Him)」とジーザスへの愛を歌います。

場面は変わって、ジーザスの煮え切らない態度についに意を決したジュダスは、カイアファス達のもとを訪ねていました。「裏切ること等したくはないが、ジーザスはかつての影響力を失ってしまった。彼もそれをわかっているから、俺がここに来たことも気にはしないはずだ。報酬に目がくらんだわけじゃない。考えに考えてきたのだから、裏切り者と呼ばないでくれ。」と訴えるジュダスに、「そんなことはどうでもいい。ただ、いつジーザスが群集から離れて捕まえやすいところにいるか教えればいいのだ」とカイアファス達は迫り、「そんな汚い金などいらない!」と言うジュダスに、「受け取って、貧しい者を助ければいいじゃないか」と、スカーフのような布を袋の形にして、ジュダスへ差し出します。震える手で、迷いながらもとうとう報酬を受け取ってしまうジュダスは、ついに「木曜日の夜、群集から離れたジーザスは、ゲセマニーの庭にいる」と告げてしまうのでした。「よくやった、ジュダス」という声が、どこからともなく聞こえてきました。
ステージの下側からの赤いライトに照らされ、呆然とするジュダスを残し、カイアファス達は去っていきました。そのまま暗転になり、ここで前半の終了となりました。


ここで20分の休憩が入り、客席では、デザート等がテーブルに運び込まれ、また別料金のオーダーの精算もこの休憩中にしなくてはいけないので、がやがやとあわただしい感じになっていました。

大変長くなってしまって、すみません!後半と、終演後のMichael君との再会については、次の記事に書かせていただきますね~!

無事、Chanhassenから帰国しました~!

2011-05-06 23:14:38 | Michael 11 Jesus
本日、無事に、帰国しました~!(写真は、Chanhassen Dinner Theatresです。)

シカゴ乗換えで、4/29の夜、無事にチャンハッセンに着いたナズ、翌日には、劇場でチケットをゲットして、しっかり6回、「Jesus Christ Superstar」を見てきましたよ!Michael君(マイケル・グルーバー)とも、ちゃんと再会して、とても楽しく過ごすことができました!

彼の演じるユダ(英語だと、Judas=ジュダス)は、最高でした! 普段演じているジャレッドさんも、好演しているんですが、やっぱりMichael君には、ちょっと敵わないって感じで、盛り上がり方がぜんぜん違いました!

詳しいことは、後ほど、観劇記でご報告するとして、とりあえずは帰国のご挨拶でした!