Jesus 観劇記その8、最終回です。(写真は、ナズの新しい宝物です。説明は、記事の中で♪)
いよいよ最後のショーです。ディナー無しなので、7時40分頃に劇場に着き、トイレを済ませてから、席に案内してもらいました。この時の席は、前日の晩にMichael君(マイケル・グルーバー)の初ジュダスを見た席の1つ外側のテーブルでした。ご友人同士なんでしょうか、二組のカップルがすでにディナーの終盤で、「こんばんは」と挨拶をして、席につきました。前側の席なので、見やすいし、叫びやすい♪
この晩の同席者の方達も、とてもフレンドリーで、簡単に自己紹介をしてくれた後、「あなたは、旅行でいらしたの?」と尋ねられたので、例によって「今晩、ジュダスを演じてるMichael Gruberの友人で、彼のショーを見るために東京から来た」と答え、ついでに「このショーが7月末で終わったら、8/5から『Hairspray』が始まるけど、Michaelは、コーニー・コリンズを演じ、ジーザスを演じているベンは、リンクを演じるので、きっと面白いと思う。」と、次のショーの宣伝もしておきました~!(笑)
Michael君のジュダス、この3回目は、もう完璧でした! ぎこちなさは完全に消えて、全てが、「こうあるべき」という理想の状態! もう完全にジュダス役をマスターしたという感じで、なめらかに、スムーズに、そして鮮やかに、自由自在にパフォーマンスを繰り広げていました。唯一、シャウトする高音だけは、まだ少し苦労しているように見えましたけど、気にして聞いていなければ気づかない程度でした。
特に印象的だったのは、前半最後の「Damned for All Time」。ジュダスが、カイアファス達にジーザスの居場所を告げてしまった後、どこからともなく「よくやった、ジュダス」という声が聞こえてきた時、Michael君は、愕然とした表情を浮かべて、天を見上げました。そして、呆然と凍りついたまま暗転になりました。
その前のマチネまでは、上を見上げることは見上げてたんですが、声がどこから聞こえてくるのかわからないというふうに、きょろきょろしていたんですね。それが、この時は、声が聞こえてくると、すぐにまっすぐ天を見上げるという演技になっていて、こうすることで、それまで、「自分だけは事態をちゃんと把握していて、自分の判断のもとに最善の行動を取っているんだ」と思っていたジュダスが、実は、自分も神の大いなる思し召しの中で操られるコマの1つに過ぎないんだと気づいたことを、うまく表現できていると思いました。この演出があることで、ジュダスの死のシーンで、彼が神に向かって、「なぜ、あなたの汚い企みのために、俺を選んだのだ!俺は、神に殺された!」と叫ぶ心理が、観客に理解しやすくなると感じました。
そして、圧巻は、「Superstar」でした。美女3人が、セクシーにジュダスに寄り添いながら歌うところでは、Michael君、プレイボーイ風のクールな笑みを浮かべながら3人に目を向けるんですが、それがいかにも「美女をはべらせて」って感じで、すごくセクシーでした♪
ジーザスに近づいていく時も、ちょっと気取った歩き方で近づき、両手を大きく開いてポーズをしたり、からかうように覗き込んだりしながら歌いかけ、いかにもミュージカルらしい、ショーアップされた華麗なシーンに仕上がっていました。この素晴らしいシーンを見られただけで、この時期に、長めの期間でチャンハッセンまで来た甲斐があった~と思いましたよ!
最後のカーテンコール、思いっきり叫び、退場していくキャストに目いっぱいの拍手を送って、同席の方達にお別れを行って、ロビーへと急ぎました。キャストの皆さんも、ナズが明日帰ってしまうと知っているので、あっちでもこっちでも、「Great Show!」、「たくさん見てくれてありがとう!」、「また見に来てね」、「応援をありがとう!」と挨拶を交わし、バーのほうへ向かいました。
ジュダスのコスチュームのまま、テーブルの上に座って、メアリー役のミシェルさんやヘロデ王役のジェイさんとおしゃべりしているMichael君がいました。彼とハグした後、ミシェルさんやジェイさんともハグしてお別れを言いました。
「時間、大丈夫なんだよね、ナズ?」と、Michael君。
「ええ、大丈夫よ。ホテル、すぐそこだもん♪」
「じゃ、すぐ着替えてくるから、ちょっと待ってて。トニーも来るからね。」
「OK~!」
バーにはピアノがあって、とても上手にピアノを弾いている男性がいました。他のキャストの人達が何人か、バーのテーブル席に座って、お酒を飲みながらおしゃべりしていました。壁には、絵がたくさんかけらていたので、ナズは、その絵を見ながら、Michael君達を待っていました。
ピアノを弾いていた男性と話していた女の人がナズのそばに来ました。ショーにアンサンブルとして出演していたミシェル・バーバーさんでした。この劇場で上演された56の作品に出演していて、彼女のご主人は、長年この劇場のアートディレクターとして働いてきて、今年、晴れて劇場のオーナーになったマイケル・ブリンディシさんです。
「こんばんは。私、ミシェルよ。ショーを6回も見てくれて、ありがとう。それに、あんなに拍手喝采を送ってくれて。あなたが、ここぞという時に拍手をリードしてくれたから、他のお客様の反応もよくて、本当に嬉しかったわ。明日、発つのよね。どうぞ、ご無事で、よい旅を!また見にいらしてね。」
ミシェルさんとご挨拶をして、握手もしていただきました。ミシェルさんが帰られて、少しして、Michael君とトニーさんがやってきました。
「お待たせ、ナズ。君にあげたいものがあるんだよ。 まずは、これ。」
Michael君がくれたのは、黒いゴムのリストバンドでした。黄色で十字架の絵と「Superstar」の文字、そして劇場のサイトのアドレスが入っていました。
「ありがとう!」
「たいしたものじゃないけど、ここまで見に来てくれた記念にね。そして、もうひとつ・・・」
トニーさんが手に持っていた紙を開いて見せてくれました。
「うわ~!すごい!」
それが、この記事の冒頭の写真です。
「キャスト全員、君が客席で一緒に歌ったり、応援してくれたりしたことが本当に嬉しくて、何か特別なものをあげたいと思って、作品のポスターに、みんなでサインをしたんだよ。気に入ってくれるといいんだけど」と、トニーさん。
「もちろん!こんな素晴らしいもの、初めてもらったわ!ありがとう~!」
何て、嬉しいんでしょう!もう、大感激です♪ 劇場の売店では、リストバンドもポスターも売っていなかったので、宣伝用の非売品のものなのだと思います。ポスターの下の方にある白い四角の左上の隅、「××○○」がついているのがMichael君のサインで、そのすぐ右がトニーさん、Michael君の下が日本語を習っていたことがあるマーティンさん、その右がチャドさん、達筆で判別しづらいのもあるんですが、他にもメアリー役のミシェル・カーターさん、ジーザスのベンさん、アンさんやつい先ほどお別れをしたミシェル・バーバーさんのもありました。
と、そこにマチネの後、ロビーで会った子役のルビーちゃんやライアン君が挨拶に来てくれました。アンさんも、おしゃべりに付き合ってくださる予定だったのが、急いで帰らなくてはいけなくなったそうで、お別れを言いに来てくれたので、Facebookで友達になろうと約束しました。
またアンナス役で次の「Hairspray」ではシーウィードを演じるカサーノさんも挨拶に来てくれて、アンナスが「Judas Death」のシーンでいつもジュダスの胸を叩くので、Michael君が、笑いながら「ナズ、彼は、いつも僕のことを殴るんだ!そのうち、一度仕返しをしてやらなくちゃと思ってるのさ!」と言っていました。カサーノさんは、クスクス笑っていましたよ。
飲み物をいただけるというので、Michael君はビール、トニーさんはソーダ、ナズはアイスティをお願いして、テーブルに座りました。そこに、ヘロデ王役のジェイさんも加わって、4人でおしゃべりをしていると、ピアノを弾いていた男性が近づいてきて、Michael君が、ミュージカルディレクターのアンドリューさんだと紹介してくれました。
ナズがMichael君の友人だと知って、彼がどんなに素晴らしい俳優かを熱く語ってくれたアンドリューさん、
「そうですね。たぶん誰よりも、私が一番、彼がどんなに素晴らしいか知っていると思います。もう50回以上も彼のショーを見てますから。」と、ナズが答えると、
「へえ、Michaelは、そんなに何回も日本で公演したの?」と、アンドリューさん。
「いえ、日本だけじゃなくて、NYとかボストンとかシアトルとか・・・」
説明しかけたナズの言葉を引き取って、Michael君が微笑みながら説明してくれました。
「彼女は、僕のショーを、あちこちに見に来てくれるんだ。いつも滞在中のショーを全部見てくれるんだよ。」
「そりゃ、すごい!最高の友人だね!」
アンドリューさんを見送った後、しばらくおしゃべりを続け、ふと時計を見ると、もう11時を回っていました。劇場のロビーもすっかり明かりが消えて真っ暗です。
「こんな時間だ!そろそろ帰らないと。ナズ、明日は、空港まで送ってあげられなくて、ごめんよ。もう少し遅い便だったら、何とかなったと思うんだけど。」
「大丈夫よ、ありがとう、Michael。タクシーをお願いしてあるから、心配しないで。」
終演から1時間ほど経っているので、外には、すっかり人影がなくなっていました。お別れを言おうとするナズに、トニーさんが、
「遅いから、車でホテルまで送るよ」と言ってくれました。
でも、すぐ近くだし、これから高速を使って20分くらいかかってミネアポリスまで帰る2人を少しでも早く帰らせてあげたかったので、
「大丈夫!すぐそこだもの!たった2分よ。」と辞退したんですが、Michael君にも
「いや、車で送るから、お乗り。」
と言われたので、送ってもらうことにしました。ホテルの玄関前に車をつけてくれたMichael君に、しっかりハグしてもらいました。
「気をつけて帰るんだよ。家に着いたら、メールを送ってね。」
「うん!いろいろありがとうね。あなたのジュダスは最高だったし、素晴らしい旅行になったわ。」
トニーさんともハグをして、Facebookで友達になる約束をしました。2人を見送ろうと思ったんですが、2人の方もナズがホテルの建物に入るのを見届けようとしてくれているようだったので、手を振って、ホテルの中に入りました。
部屋に戻ったナズ、着ていたドレスや靴をスーツケースにしまい、手早く寝支度をしてベッドに入りました。最後の晩は、あまり眠れないことが多いんですが、この晩は、比較的早く寝付けて、翌朝、5時半に起床しました。
7時に頼んであったタクシーが早めに来たので、空港へは、ものすごくゆとりを持って到着したので、チェックインを済ませ、チャンハッセンで買い物できなかった分を、空港のみやげ物店で買いました。
そして、まずは、国内線でシカゴへ向かいました。隣の席に座ったマックスさんという、ちょうどMichael君と同年代の男性の方が、とても素敵で優しい方で、シカゴまで楽しく過ごすことができました♪ 看護師でもあり、陸軍に勤務もしていらっしゃるというマックスさん、「24」のジャック・バウアーを演じているキーファー・サザーランドに少し似ていて、サザーランドをもう少し細めにして、優しい感じにしたような雰囲気の方でした。
無事シカゴに着き、マックスさんとお別れしたナズ、ちょっと小腹が空いたので、行きに4時間も過ごしてすっかりおなじみになったオヘア空港で、お気に入りのメキシコ料理を食べてから、日本行きの搭乗口に向かいました。国内線は満席だったんですが、日本に向かう便は、ガラガラで、横の席が空いていたんで、のびのびと過ごすことができました。時計を現地の時間のままにしておいたナズ、ディナーシアターの開演時間に合わせて、ipodの「Jesus Christ Superstar」のアルバムを聴きながら、ショーの様子を思い浮かべて、心の中で「ホォ~ッ!」とさけんでました♪
通路を挟んで横の席には、奥様が軍人さんで、日本にいる奥様のところへ向かうというアフリカンアメリカンの男性の方がいらして、2才くらいの可愛らしいお嬢ちゃんを連れていたんです。このお嬢ちゃんがとても人懐っこくて、フライトアテンダントの人気者になっていました。目が合うと、ナズにも笑いかけてくれて、とても楽しいフライトでした~。
5/6の夕方、成田空港に到着したナズは、成田エクスプレスとタクシーを乗り継いで、自宅に帰り着きました。荷解きもそこそこに、さっそくMichael君に「無事帰ったよ」メールを送ったナズ、続いて、トニーさんやアンさんをはじめ、キャストや劇場の関係者の人に、Facebookからフレンド・リクエストを送りました♪ キャストの中には、向こうからナズにリクエストを送ってくれた人もけっこういて、結局、Facebookを使っているキャストとは、ほぼ全員、お友達になりましたよ♪
チャンハッセンに行く前は、20人ちょっとだったナズのFacebook友達は、今や56人に増え、そのうち、30人以上がアメリカの俳優さんや劇場関係者というすごいことになってます~(笑) ほんとに、思い出深い、楽しい旅行になりました。チャンハッセン、また、絶対、行くぞ~!
以上、大変長くなってしまって申し訳なかったんですが、チャンハッセンでのJesus観劇記でした! 最後までお付き合い下さって、ありがとうございました。
記事の中でも書きました通り、活動の拠点をニューヨークからミネアポリスに移したMichael君、気さくで優しい人達に囲まれて、楽しくお仕事をしているそうです。ミネアポリスはもちろん、近くのセントポールやチャンハッセン等、周囲に劇場が多く、たくさんのミュージカルが上演されるので、いろいろな作品に出る機会に恵まれて、もともとバラエティに富んだ作品に出るために、地方公演への出演が多かったMichael君にとっては、打ってつけの場所と言えるでしょう。
次のお仕事は、今年の8月5日から来年(2012)の1月29日まで、同じチャンハッセン・ディナー・シアターズのメインホールで上演される「Hairspray」に、コーニー・コリンズ役で出演します。詳細は、劇場のサイトからご覧下さい。
この「Hairsray」を見に行けるかどうかはわからないんですが、これからもなるべくたくさん、Michael君のショーを見に行きたいと思っております。見に行けましたら、また観劇記をこちらに書かせていただきますので、どうぞ、よろしくお願い致します~!
いよいよ最後のショーです。ディナー無しなので、7時40分頃に劇場に着き、トイレを済ませてから、席に案内してもらいました。この時の席は、前日の晩にMichael君(マイケル・グルーバー)の初ジュダスを見た席の1つ外側のテーブルでした。ご友人同士なんでしょうか、二組のカップルがすでにディナーの終盤で、「こんばんは」と挨拶をして、席につきました。前側の席なので、見やすいし、叫びやすい♪
この晩の同席者の方達も、とてもフレンドリーで、簡単に自己紹介をしてくれた後、「あなたは、旅行でいらしたの?」と尋ねられたので、例によって「今晩、ジュダスを演じてるMichael Gruberの友人で、彼のショーを見るために東京から来た」と答え、ついでに「このショーが7月末で終わったら、8/5から『Hairspray』が始まるけど、Michaelは、コーニー・コリンズを演じ、ジーザスを演じているベンは、リンクを演じるので、きっと面白いと思う。」と、次のショーの宣伝もしておきました~!(笑)
Michael君のジュダス、この3回目は、もう完璧でした! ぎこちなさは完全に消えて、全てが、「こうあるべき」という理想の状態! もう完全にジュダス役をマスターしたという感じで、なめらかに、スムーズに、そして鮮やかに、自由自在にパフォーマンスを繰り広げていました。唯一、シャウトする高音だけは、まだ少し苦労しているように見えましたけど、気にして聞いていなければ気づかない程度でした。
特に印象的だったのは、前半最後の「Damned for All Time」。ジュダスが、カイアファス達にジーザスの居場所を告げてしまった後、どこからともなく「よくやった、ジュダス」という声が聞こえてきた時、Michael君は、愕然とした表情を浮かべて、天を見上げました。そして、呆然と凍りついたまま暗転になりました。
その前のマチネまでは、上を見上げることは見上げてたんですが、声がどこから聞こえてくるのかわからないというふうに、きょろきょろしていたんですね。それが、この時は、声が聞こえてくると、すぐにまっすぐ天を見上げるという演技になっていて、こうすることで、それまで、「自分だけは事態をちゃんと把握していて、自分の判断のもとに最善の行動を取っているんだ」と思っていたジュダスが、実は、自分も神の大いなる思し召しの中で操られるコマの1つに過ぎないんだと気づいたことを、うまく表現できていると思いました。この演出があることで、ジュダスの死のシーンで、彼が神に向かって、「なぜ、あなたの汚い企みのために、俺を選んだのだ!俺は、神に殺された!」と叫ぶ心理が、観客に理解しやすくなると感じました。
そして、圧巻は、「Superstar」でした。美女3人が、セクシーにジュダスに寄り添いながら歌うところでは、Michael君、プレイボーイ風のクールな笑みを浮かべながら3人に目を向けるんですが、それがいかにも「美女をはべらせて」って感じで、すごくセクシーでした♪
ジーザスに近づいていく時も、ちょっと気取った歩き方で近づき、両手を大きく開いてポーズをしたり、からかうように覗き込んだりしながら歌いかけ、いかにもミュージカルらしい、ショーアップされた華麗なシーンに仕上がっていました。この素晴らしいシーンを見られただけで、この時期に、長めの期間でチャンハッセンまで来た甲斐があった~と思いましたよ!
最後のカーテンコール、思いっきり叫び、退場していくキャストに目いっぱいの拍手を送って、同席の方達にお別れを行って、ロビーへと急ぎました。キャストの皆さんも、ナズが明日帰ってしまうと知っているので、あっちでもこっちでも、「Great Show!」、「たくさん見てくれてありがとう!」、「また見に来てね」、「応援をありがとう!」と挨拶を交わし、バーのほうへ向かいました。
ジュダスのコスチュームのまま、テーブルの上に座って、メアリー役のミシェルさんやヘロデ王役のジェイさんとおしゃべりしているMichael君がいました。彼とハグした後、ミシェルさんやジェイさんともハグしてお別れを言いました。
「時間、大丈夫なんだよね、ナズ?」と、Michael君。
「ええ、大丈夫よ。ホテル、すぐそこだもん♪」
「じゃ、すぐ着替えてくるから、ちょっと待ってて。トニーも来るからね。」
「OK~!」
バーにはピアノがあって、とても上手にピアノを弾いている男性がいました。他のキャストの人達が何人か、バーのテーブル席に座って、お酒を飲みながらおしゃべりしていました。壁には、絵がたくさんかけらていたので、ナズは、その絵を見ながら、Michael君達を待っていました。
ピアノを弾いていた男性と話していた女の人がナズのそばに来ました。ショーにアンサンブルとして出演していたミシェル・バーバーさんでした。この劇場で上演された56の作品に出演していて、彼女のご主人は、長年この劇場のアートディレクターとして働いてきて、今年、晴れて劇場のオーナーになったマイケル・ブリンディシさんです。
「こんばんは。私、ミシェルよ。ショーを6回も見てくれて、ありがとう。それに、あんなに拍手喝采を送ってくれて。あなたが、ここぞという時に拍手をリードしてくれたから、他のお客様の反応もよくて、本当に嬉しかったわ。明日、発つのよね。どうぞ、ご無事で、よい旅を!また見にいらしてね。」
ミシェルさんとご挨拶をして、握手もしていただきました。ミシェルさんが帰られて、少しして、Michael君とトニーさんがやってきました。
「お待たせ、ナズ。君にあげたいものがあるんだよ。 まずは、これ。」
Michael君がくれたのは、黒いゴムのリストバンドでした。黄色で十字架の絵と「Superstar」の文字、そして劇場のサイトのアドレスが入っていました。
「ありがとう!」
「たいしたものじゃないけど、ここまで見に来てくれた記念にね。そして、もうひとつ・・・」
トニーさんが手に持っていた紙を開いて見せてくれました。
「うわ~!すごい!」
それが、この記事の冒頭の写真です。
「キャスト全員、君が客席で一緒に歌ったり、応援してくれたりしたことが本当に嬉しくて、何か特別なものをあげたいと思って、作品のポスターに、みんなでサインをしたんだよ。気に入ってくれるといいんだけど」と、トニーさん。
「もちろん!こんな素晴らしいもの、初めてもらったわ!ありがとう~!」
何て、嬉しいんでしょう!もう、大感激です♪ 劇場の売店では、リストバンドもポスターも売っていなかったので、宣伝用の非売品のものなのだと思います。ポスターの下の方にある白い四角の左上の隅、「××○○」がついているのがMichael君のサインで、そのすぐ右がトニーさん、Michael君の下が日本語を習っていたことがあるマーティンさん、その右がチャドさん、達筆で判別しづらいのもあるんですが、他にもメアリー役のミシェル・カーターさん、ジーザスのベンさん、アンさんやつい先ほどお別れをしたミシェル・バーバーさんのもありました。
と、そこにマチネの後、ロビーで会った子役のルビーちゃんやライアン君が挨拶に来てくれました。アンさんも、おしゃべりに付き合ってくださる予定だったのが、急いで帰らなくてはいけなくなったそうで、お別れを言いに来てくれたので、Facebookで友達になろうと約束しました。
またアンナス役で次の「Hairspray」ではシーウィードを演じるカサーノさんも挨拶に来てくれて、アンナスが「Judas Death」のシーンでいつもジュダスの胸を叩くので、Michael君が、笑いながら「ナズ、彼は、いつも僕のことを殴るんだ!そのうち、一度仕返しをしてやらなくちゃと思ってるのさ!」と言っていました。カサーノさんは、クスクス笑っていましたよ。
飲み物をいただけるというので、Michael君はビール、トニーさんはソーダ、ナズはアイスティをお願いして、テーブルに座りました。そこに、ヘロデ王役のジェイさんも加わって、4人でおしゃべりをしていると、ピアノを弾いていた男性が近づいてきて、Michael君が、ミュージカルディレクターのアンドリューさんだと紹介してくれました。
ナズがMichael君の友人だと知って、彼がどんなに素晴らしい俳優かを熱く語ってくれたアンドリューさん、
「そうですね。たぶん誰よりも、私が一番、彼がどんなに素晴らしいか知っていると思います。もう50回以上も彼のショーを見てますから。」と、ナズが答えると、
「へえ、Michaelは、そんなに何回も日本で公演したの?」と、アンドリューさん。
「いえ、日本だけじゃなくて、NYとかボストンとかシアトルとか・・・」
説明しかけたナズの言葉を引き取って、Michael君が微笑みながら説明してくれました。
「彼女は、僕のショーを、あちこちに見に来てくれるんだ。いつも滞在中のショーを全部見てくれるんだよ。」
「そりゃ、すごい!最高の友人だね!」
アンドリューさんを見送った後、しばらくおしゃべりを続け、ふと時計を見ると、もう11時を回っていました。劇場のロビーもすっかり明かりが消えて真っ暗です。
「こんな時間だ!そろそろ帰らないと。ナズ、明日は、空港まで送ってあげられなくて、ごめんよ。もう少し遅い便だったら、何とかなったと思うんだけど。」
「大丈夫よ、ありがとう、Michael。タクシーをお願いしてあるから、心配しないで。」
終演から1時間ほど経っているので、外には、すっかり人影がなくなっていました。お別れを言おうとするナズに、トニーさんが、
「遅いから、車でホテルまで送るよ」と言ってくれました。
でも、すぐ近くだし、これから高速を使って20分くらいかかってミネアポリスまで帰る2人を少しでも早く帰らせてあげたかったので、
「大丈夫!すぐそこだもの!たった2分よ。」と辞退したんですが、Michael君にも
「いや、車で送るから、お乗り。」
と言われたので、送ってもらうことにしました。ホテルの玄関前に車をつけてくれたMichael君に、しっかりハグしてもらいました。
「気をつけて帰るんだよ。家に着いたら、メールを送ってね。」
「うん!いろいろありがとうね。あなたのジュダスは最高だったし、素晴らしい旅行になったわ。」
トニーさんともハグをして、Facebookで友達になる約束をしました。2人を見送ろうと思ったんですが、2人の方もナズがホテルの建物に入るのを見届けようとしてくれているようだったので、手を振って、ホテルの中に入りました。
部屋に戻ったナズ、着ていたドレスや靴をスーツケースにしまい、手早く寝支度をしてベッドに入りました。最後の晩は、あまり眠れないことが多いんですが、この晩は、比較的早く寝付けて、翌朝、5時半に起床しました。
7時に頼んであったタクシーが早めに来たので、空港へは、ものすごくゆとりを持って到着したので、チェックインを済ませ、チャンハッセンで買い物できなかった分を、空港のみやげ物店で買いました。
そして、まずは、国内線でシカゴへ向かいました。隣の席に座ったマックスさんという、ちょうどMichael君と同年代の男性の方が、とても素敵で優しい方で、シカゴまで楽しく過ごすことができました♪ 看護師でもあり、陸軍に勤務もしていらっしゃるというマックスさん、「24」のジャック・バウアーを演じているキーファー・サザーランドに少し似ていて、サザーランドをもう少し細めにして、優しい感じにしたような雰囲気の方でした。
無事シカゴに着き、マックスさんとお別れしたナズ、ちょっと小腹が空いたので、行きに4時間も過ごしてすっかりおなじみになったオヘア空港で、お気に入りのメキシコ料理を食べてから、日本行きの搭乗口に向かいました。国内線は満席だったんですが、日本に向かう便は、ガラガラで、横の席が空いていたんで、のびのびと過ごすことができました。時計を現地の時間のままにしておいたナズ、ディナーシアターの開演時間に合わせて、ipodの「Jesus Christ Superstar」のアルバムを聴きながら、ショーの様子を思い浮かべて、心の中で「ホォ~ッ!」とさけんでました♪
通路を挟んで横の席には、奥様が軍人さんで、日本にいる奥様のところへ向かうというアフリカンアメリカンの男性の方がいらして、2才くらいの可愛らしいお嬢ちゃんを連れていたんです。このお嬢ちゃんがとても人懐っこくて、フライトアテンダントの人気者になっていました。目が合うと、ナズにも笑いかけてくれて、とても楽しいフライトでした~。
5/6の夕方、成田空港に到着したナズは、成田エクスプレスとタクシーを乗り継いで、自宅に帰り着きました。荷解きもそこそこに、さっそくMichael君に「無事帰ったよ」メールを送ったナズ、続いて、トニーさんやアンさんをはじめ、キャストや劇場の関係者の人に、Facebookからフレンド・リクエストを送りました♪ キャストの中には、向こうからナズにリクエストを送ってくれた人もけっこういて、結局、Facebookを使っているキャストとは、ほぼ全員、お友達になりましたよ♪
チャンハッセンに行く前は、20人ちょっとだったナズのFacebook友達は、今や56人に増え、そのうち、30人以上がアメリカの俳優さんや劇場関係者というすごいことになってます~(笑) ほんとに、思い出深い、楽しい旅行になりました。チャンハッセン、また、絶対、行くぞ~!
以上、大変長くなってしまって申し訳なかったんですが、チャンハッセンでのJesus観劇記でした! 最後までお付き合い下さって、ありがとうございました。
記事の中でも書きました通り、活動の拠点をニューヨークからミネアポリスに移したMichael君、気さくで優しい人達に囲まれて、楽しくお仕事をしているそうです。ミネアポリスはもちろん、近くのセントポールやチャンハッセン等、周囲に劇場が多く、たくさんのミュージカルが上演されるので、いろいろな作品に出る機会に恵まれて、もともとバラエティに富んだ作品に出るために、地方公演への出演が多かったMichael君にとっては、打ってつけの場所と言えるでしょう。
次のお仕事は、今年の8月5日から来年(2012)の1月29日まで、同じチャンハッセン・ディナー・シアターズのメインホールで上演される「Hairspray」に、コーニー・コリンズ役で出演します。詳細は、劇場のサイトからご覧下さい。
この「Hairsray」を見に行けるかどうかはわからないんですが、これからもなるべくたくさん、Michael君のショーを見に行きたいと思っております。見に行けましたら、また観劇記をこちらに書かせていただきますので、どうぞ、よろしくお願い致します~!