M for Michael Gruber♪- Mは、マイケル・グルーバーのM~♪

キャッツDVDのマンカストラップ、アメリカの舞台俳優、Michael君のことや、ブロードウェイニュースをお伝えします。

Off-BroadwayからBroadwayへ

2008-02-28 12:07:09 | Musicals トリビア
Shubert Organizationの代表であるGerald Schoenfeld氏が、Off-Broadway作品がBroadway作品になる過程についてPlaybill.comで語っていましたので、ご紹介いたしますね。(写真は、Michael君〔マイケル・グルーバー〕が出演中のBroadway作品、「A Chorus Line (リバイバル版)」のリハーサル風景です。)

Off-Broadway作品がBroadway作品になるための最初の一歩について、氏は、「何よりもまず、観客がその作品を気に入ってくれることです。」と語っています。

観客の評判がよく、その作品がBroadway作品になることが決まると、作品にさまざまな変更が施されるのだそうです。

「まず、今まで使用していたセットのうち、そのままBroadwayの舞台で使用できるものがあるかどうか確認しなくてはいけません。」

一般的には、新しいセットが作られることが多いです。セットだけではなく、照明デザインや音響デザインについても、Broadwayの大きな舞台に合うように変更する必要があります。Off-Broadwayの時に出演していたキャストがそのまま出演する場合には、衣装はそのまま使うことができます。たいていの場合は、Broadwayのプロデューサーは、Off-Broadwayのキャストにそのまま出演してもらいます。

「しかし、キャストの何人かのスケジュールが合わないことも少なくないのです。彼らのスケジュールによっては、新しいキャストを探さなくてはなりません。」

監督についても、Broadwayのプロデューサーは、ほとんどの場合、Off-Broadwayの時の監督をそのまま雇います。通常、その監督がOff-Broadwayの時に結んだ契約に、Broadway化される際には、Broadwayのプロデューサーからオファーを受ける権利があると定められているのです。
ジェネラル・マネジャーに関しては、Off-Broadwayのマネジャーは今まで上演していたOff-Broadwayの劇場での仕事がありますので、新しいマネジャーが雇われます。広告会社やプレス・エージェントに関しては、Off-Broadwayの時と同じ会社がそのまま使われることが多いようです。

Off-Broadway作品だった時の関係者にそのままBroadway作品の方でも働いてもらう場合、プロデューサーは、各人と新しい契約に関して交渉を行います。脚本家、俳優、監督、各デザイナーはもちろん、本来その作品を上演していたOff-Broadway劇場そのものとも契約を結びます。
Off-Broadway作品が非営利劇場で上演される場合等は、時には、Off-Broadwayでの上演が始まる前に、Broadway化することになった場合の権利を得るために、協力金を寄付する場合もあります。協力金を事前に寄付していなかったプロデューサーが、上演開始後、そのOff-Broadway作品を見て気に入ってBroadway作品にしようと思った場合は、Broadway化について、そのOff-Broadway劇場と交渉しなくてはならないのです。

「本来上演していたOff-Broadway劇場が、上演中のその作品を手放したくないと考えた場合には、我々は、その劇場と交渉を行い、たいていは著作権料と純利益の何パーセントかを支払うという条件で折り合いをつけることになります。」

本来上演していた劇場での公演が終了してしまっている場合でも、著作権料や純利益の何パーセントかを支払わなくてはならないこともあります。

続いて、Broadwayのプロデューサーは、Off-Broadwayカンパニーと支払に関する交渉を行います。プロデューサーは、一個人として支払を請求されるので、資金を集めるために、たいていの場合は、多くの共同製作者を募ることとなります。この共同製作者の募集が、Broadway作品を制作する際にしなければならないことのリストの最後ということになります。
そして、最終的に、Broadway作品の制作チームと本来その作品を作ったOff-Braodway劇場の同意を得て、初めて制作が開始されることになります。共同製作者を募るというのは、Broadway作品制作チームでは一般的なシステムです。

「時には、Off-Broadway劇場となかなか折り合いがつかないこともありますが、そういう時は妥協せざるを得ないこともあります。 出来れば、毎回、スムーズに交渉が進んでほしいと願っているのですが。」




Michael君の書いた記事 - ACLのオリジナルとリバイバルに出演して

2008-02-22 00:24:10 | Michael 08 ACL
Broadway.comで、Michael君(マイケル・グルーバー)が書いた記事を紹介していますので、こちらでもご紹介しますね~。 (写真は、その記事でも使用しているMichael君のヘッドショットです。)

記事のタイトルは、「My Twice-in-a-Lifetime Experience in A Chorus Line (僕の人生における2回の『コーラスライン』出演経験)」です。原文は、残念ながら、現在はごらんいただけません。

冒頭の「About the author (筆者について)」では、記事を書いたMichael君のことを紹介しています。内容は、以下の通りです。

その優れた才能と機会に恵まれたおかげで、マイケル・グルーバーは、Broadwayのオリジナル版「A Chorus Line」(ファイナル・ステージでの伝説的なパフォーマンスは有名である。)と現在上演中のリバイバル版の両方に出演した唯一の俳優として、演劇史に名を残すこととなった。

20年近くになる彼のキャリアの中で、グルーバーは、当時のBroadwayのロングラン記録を更新した作品(「Cats」 彼はマンカストラップを演じていた。)、「Kiss Me, Kate」、「Swing!」、「Miss Saigon」、「My Favorite Year」といったBroadway作品に加え、Off-Broadway作品の「The Wizard of Oz」やEncores!シリーズの「Stairway to Paradise」に出演してきた。地方公演では、「Singin' in the Rain」や「Easter Parade」、「White Christmas」、「Godspell」等の主役をはじめ、数多くの作品に出演している。オリンピック出場を目指してトレーニングを重ねていた飛び込みの全米代表選手出身の彼は、作曲の才能にも恵まれ、すでに3つのミュージカルを書き上げている。

そんな彼が、かつて出演したオリジナル版と現在出演中のリバイバル版「A Chorus Line」の思い出を語ってくれた。


そして、Michael君自身が書いた記事本文の内容は、以下の通りです。

「A Chorus Line (以下ACL)」は、僕が初めて出演したBroadway作品でした。「I Can Do That」というソロナンバーがあるMike Costaという役を手に入れた当時、僕は、まだ24歳の元気のいい若いダンサーでした。よくある話ですが、中学生の頃、故郷のシンシナティでACLを見て「これこそ、僕がやってみたいことだ。」と思って以来、ずっとACLの舞台に立ちたいと熱望していたのです。

今でも鮮明に記憶に残っているのですが、1990年4月28日のオリジナル版の最後のパフォーマンスは、お祭り騒ぎといった状態でした。
その日は土曜日で、マチネとイブニング・ショーがあったのですが、僕達ファイナル・カンパニーにとっては、ACLという作品をきちんと演じられたという意味では、マチネがラスト・ショーだったのです。
その晩の最後のショーの主役は、僕達ではなく、大勢のオリジナルキャストを含む、ACLを愛し、別れを告げるためにやってきた観客達でした。
最後のステージの上に、「6137」という、上演回数を表す美しいネオンサインが下げられていたのを、今でも覚えています。

僕にとって何よりも忘れられない思い出は、その晩の僕のソロナンバーが終わった後、丸1分くらいの間、観客の歓声が鳴りやまなかったことです。こんな経験は、ほかのどの作品でもしたことがありません。「Cats」に出演していた時、ACLのロングラン記録を破った晩のショーに出演したのですが、その時でさえもこんなことは起きませんでした。今にして思えば、あれは、僕個人に向けられた歓声ではなく、作品そのものへの歓声だったのでしょう。まさに1つの時代の終わりを告げる晩だったのですから。

最後のショーの後、Mamma Leone'sで行われたパーティで、オリジナル・カンパニーでマイクを演じていたWayne Cilentoに会うことができました。彼は、とても魅力的な人だったのですが、オリジナルキャストのメンバーは、あまり僕達ファイナルキャストと親しくしようとはしなかったのです。彼らは部屋の向こう側に固まっていて、僕達は部屋のこっち側に集まっているという感じでした。
当時は、彼らが僕達とうち解けようとしてくれないことにがっかりしたのですが、40歳を過ぎて、20代の若い連中と一緒に舞台に上がるようになった今、当時の彼らの気持ちがわかるようになりました。彼らは、世代の違う僕達にはわからない、彼らだけが共有できるノスタルジックな絆で結ばれていたのでしょうね。

その後も何度かあちこちのACLのオーディションを受けてみたのですが、今回のリバイバル版で、Gregory Gardnerを演じていたMichael Paternostroの後任に決まるまで、この作品に再び出演する機会を得ることはできませんでした。

このリバイバル版には、オリジナル・カンパニーでConnieを演じていたBaayork Leeが制作に加わっており、彼女と一緒に働けることは、僕にとって、素晴らしい体験でした。僕がオリジナル版に加わった頃には、監督のMichael Bennettはすでに亡くなってしまっていたのですが、彼女は、今でも監督が生きていた当時のことをよく覚えているので、当時のことをいろいろ話してくれました。

オリジナルカンパニーでGregを演じていたMichel Stuartの演技は、たいへん素晴らしいものでした。彼は、Gregを教養があって芸術的なセンスのあるキャラクターとして演じました。中西部出身のカソリック教徒である僕にとって、ブロンクス出身のユダヤ教徒を演じるというのはとても異質なことなのですが、Gregをセンスのある洗練された人物として作り上げた彼の気持ちには共感することができました。経験豊富で自信に満ちあふれたGregは、ゲイという設定で、観客を少し驚かせる役柄です。

Connie役のBaayorkとMichelは親しい友人だったので、それを反映して、GregとConnieも親しい間柄として演じられています。またGregとCassieも、共に他のオーディショニー達よりも年長な者同士として親しい間柄という設定になっています。そういう背景があるので、Cassieは、舞台上で1列に並んでいる時、Gregともう1人の年長なオーディショニーであるSheilaの間に立っています。
おそらく観客はこういった背景を知らないと思うのですが、こういう背景を知ることが、僕がGregを演じる上での大きな助けとなっているのです。

今日、この作品を改めて見て、現代的な雰囲気を持ち続けていることに感銘を受けました。作品が作られた当時は、まさに時代の先を行く、革新的な作品だったのでしょう。Michael Bennettは、ごく普通な人々の実生活に基づいた作品にすることが、観客の興味を引きつけるのだということを知っていたのです。これは、Nicholas DanteとEd Klebanが書いた「A Chorus Line」という作品が、時代を超越していることを証明しています。この作品がいつの時代にも色あせることなく受け入れられるのは、これが真実の物語であり、移り変わりの早いポップカルチャーに基づいた作品ではないからでしょう。

僕が、演じる側の立場から見てこの作品の完成度が高いと思うのは、演じる時に自分の役をいちいちいじくり回す必要がないからです。あまり手を入れ過ぎると、逆に作品の新鮮さを失うことになりかねません。僕がすべきことは、エゴを取り去り、演技に専念することで、そうするによって作品に現実感を与えることができるのです。シンプルかつリアルであることが大切です。

僕は、このリバイバル版には、ほかの9人と一緒に昨年の夏から参加したのですが、自分達に関係のないナンバーは省いてリハーサルをしていました。そのため、最初のショーの時まで、Jeffrey Schecter演じる「I Can Do That」を見る機会がありませんでした。
彼のパフォーマンスは本当に素晴らしく、とても感動しました。彼のパフォーマンスを見ている間にさまざまな思い出が鮮やかに脳裏に浮かび上がり、懐かしい思いに包まれながら、こうして再びオーディショニーの1人として白いラインに立つことのできた幸運を噛み締めていました。

その後、彼と2人でいろいろ話す機会があったのですが、彼は、オリジナル版で僕が演じた「I Can Do That」を見たことがあるのを覚えていたのです。
「ファイナルカンパニーで僕と同じ役を演じていた時、ナンバーの最後に宙返りをした?」と彼にたずねられたので、僕は、「したよ。」と答えました。すると彼は、こう言いました。「僕は、14歳の時、TVであなたのパフォーマンスを見たんだ。そして、思ったんだよ。『これこそ、僕がやってみたいことだ。』ってね。」

On-BroadwayとOff-Broadwayの違い

2008-02-13 12:05:39 | Musicals トリビア
Playbill.comで、On-BroadwayとOff-Broadwayの違いについて紹介していましたので、こちらのブログでもご紹介させていただきますね~。(写真は、On-Broadway劇場で、現在Michael君〔マイケル・グルーバー〕が出演中の「A Chorus Line (リバイバル)」を上演しているGerald Schoenfeld Theatreです。)

まずOn-Broadwayの劇場ですが、BroadwayコミュニティにおいてBroadway劇場として認識されている劇場が39軒あります。これらは、The American Theater Wing and the Broadway League (旧The League of American Theatres and Producers)によって、Tony賞の対象となるにふさわしいと認められた劇場であり、またPlaybill.comやVarietyのBroadwayボックスオフィス・チャートで紹介される劇場です。そして、これらの劇場で上演されているショーは、Playbill.comの「Broadway listings」に登場します。

またこれらの劇場は、総じてニューヨークにあり、Actors' Equityとのプロダクション契約を順守していなければいけません。(ツアー中のBroadwayショーも同様です。)
これに該当しないのは、Vivian Beaumont、Biltmore、American Airlines、Studio 54といった非営利組織によって運営されている劇場で、これらの劇場は、独自の「LORTA」契約を結んでいます。

それでは、これらの劇場とOff-Broadway劇場との違いは、何なのでしょうか?

一般的に、Broadway劇場と呼ばれる劇場は、全てがマンハッタンの西側の41番街のNederlanderから65番街のVivian Beaumontまでの特定のエリア内にあります。一方、Off-Broadway劇場は、マンハッタンのあちこちに点在しています。
またBroadway劇場には、少なくとも500以上の客席がありますが、Off-Broadway劇場は、100~499席しかありません。客席数が99席以下の劇場は、Off Off-Broadway劇場とみなされます。
ただし、例外もあって、500席以上の劇場でも、Carnegie Hall、City Center、Nokia Theatre等は、演劇作品よりも音楽や舞踊の上演の方が多いため、Broadway劇場とはみなされません。DelacorteのShakespeare in the Park showsやCity CenterのEncores!シリーズ等は、500席以上あっても、Off-Broadwayのショーとみなされます。

The League of Off-Broadway Theaters and Producersが運営するLortel Awardsの対象となる全てのショーは、Off-Broadwayとなります。ただし、Lortel Awardsには、これ以外にもさまざまな条件があるので、Off-Broadwayのショーがこれで全て網羅されたというわけではありません。

もちろん他にも違いがあります。例えば、チケットの料金はOn-Broadwayのショーの方が高価ですし、ショーの制作費や運営費もOn-Broadwayの方が高額です。
Off-Broadwayミュージカルの制作費が100万ドル(「Alter Boyz」の場合)とすれば、On-Broadwayミュージカルでは、1,400万ドル(「Wicked」の場合)で、もっと高額な場合もあります。
1週間の運営費は、一般的なOff-Broadwayミュージカルの場合で5万ドルから10万ドルですが、On-Broadwayミュージカルの場合は、通常25万ドルから65万ドルかかります。

またOn-Broadway作品の場合、セットも大掛かりで、それを作製するのにかかる費用も高額で、スタッフやキャストの人数も多く、1人1人の給料も高額です。例えば、On-Broadway俳優の最低賃金は週給1,509ドルですが、Off-Broadwayの場合は、525ドル(100~199席の劇場)から927ドル(351~499席の劇場)となります。

以上が、On-BroadwayとOff-Broadwayの主な違いだそうです~。