ヒューストンのMichael君(マイケル・グルーバー) その3です。(写真は、劇場のカーテンです。)
翌9日、この日は、午後からマチネとイブニングショーの2回、「Hairspray」を見る予定にしていましたが、午前中は空いていたので、散歩がてらアートフェスティバルを見に行くことにしました。
昼には戻ってきて身支度を始めたかったので、ハウスキーピングに電話して、11時半までに部屋の掃除を終わらせてくれるようにお願いして、9時ちょっと前に部屋を出ました。
前日の晩は、夜遅くまで準備をしていたようで、ナズが滞在しているホテルの横の道をまっすぐ行くと劇場なんですが、その通りは、すっかりフェンスで仕切られていました。その様子から察するに、どうも、入場券を持っていないと入れない様子で、この通りが通れないとなると、劇場の行き帰りが大変だな~と思いました。
ちょうど、交通整理をしている女性警官の方がいらしたので、何時から始まるのかたずねてみたところ、10時からだと教えて下さいました。
まだ小一時間あったので、10ブロックほど離れたところにあるマーケットスクエアパークまでお散歩をすることにしました。ホントは、ホテルのそばにも公園があったんですが、そこもアートフェスティバルの会場になっていて、入れなかったんです。
日中ともなると、摂氏30度を超えて暑いんですが、朝は、本当にさわやかで、気持ちよくお散歩が出来ました。周辺には19世紀半ばから20世紀初頭の建物が多いというマーケットスクエアパーク、ドッグランや噴水、スタチュー、美味しそうなメニューの並んだカフェなどがあって、愛犬を連れた地元の方が何人もいらしていました。ドッグランには池というか、犬達のために水をためてある浅い水たまりもあって、犬達が、気持ちよさそうにそこに飛び込んで遊んでいました。
公園で朝のさわやかな雰囲気を満喫した後、ぶらぶらとフェスティバルの方へ戻り始めました。ちょうど劇場が入っているホビー・センターの前あたりが、ホテルとは反対側の端になるようなので、そこまで戻ってみると、フェスティバルへの入り口と、発券所がありました。入場券は、1日券で10ドル、その日のうちなら、何回でも出入りが出来ます。フェスティバルにも興味があったし、劇場へ行くのには、フェスティバルの中を通り抜けるのが手っ取り早いので、さっそく発券所に並び、チケットを購入しました。(ただ、夜8時でフェスティバルが終わってしまうので、イブニングショーの帰りは、回り道をしないとダメなようでした・・・)
フェスティバルの会場は、ホテルと劇場を結んでいるBagby St.を中心に、通り沿いにあるサム・ヒューストンパーク、Bagby St.と交わっている4本ほどの通りのBagby St.と次のSmith St.の間で、そしてそのエリアにある市庁舎も会場になっていました。
会場内には、100や200ではきかないくらいのたくさんの白いテント(小学校の運動会の役員席などに使われるテントを小ぶりにしたような感じ)が並んでいて、1つ1つがそれぞれのアーティストのブースになっています。絵、アクセサリー、彫刻、レリーフ、かばん、家具、帽子、マフラー、ショール、ネクタイ、織物、メガネ、自作の音楽のCD等々、いろいろな作品を展示即売しているんです。ナズなんかではとても手が出ない高額なものから、ほんの10~20ドルくらいの手ごろなアクセサリーまで、種類も豊富で、アート好きな人もショッピング好きな人も、すごく楽しい時間が過ごせる空間になっていました。
ナズが一番気に入ったのは、チャップマンスティックという楽器を演奏している2人組「Heartstrings」のブース。チャップマンスティックというのは、ギターのネック部分だけを大きくしたような形の弦楽器で、弦の数がギターよりもずっと多くて、奥行きのある複雑で豊かな何とも美しい音色を出すことができるんです。
優しい目をしたマークさんがチューニングをしながら演奏していて、「とっても素敵な音色ですね」と声をかけたナズに、「ありがとう!今のはロマンチックな感じだったでしょう?今度は、ケルト風な感じの曲だよ」と別な曲を聞かせてくれました。ちょっと神秘的な感じのするその曲もとても素敵でした♪
そこにパートナーのマックさんが戻ってきて、2人で、アップテンポな曲を演奏してくれました。手前のテーブルには、CDが並んでいて、「今の曲は、このCDに入っているんですよ」とマークさん。その間にも、マックさんがまた別な曲を弾いていました。どの曲も、本当に素敵な音色なんです。すっかり彼らの音楽が気に入ってCDを購入したナズに、「どこから来たんですか?」とたずねるマークさん。「日本の東京から来たの。」というナズに、「じゃあ、僕達のCDが海を越えて日本に行くんだね!すごいな~!」と喜んでくれました。
「日本の人達が、僕らの音楽を気に入ってくれると嬉しいな~!」と言っていたマークさん達は、サイトを持っています。Youtubeで彼らのビデオを見たりもできるので、ご興味のある方は、こちらからどうぞ。背の高い方の方がマークさんです。
会場内のフードコートのエリアで屋台のケイジャン料理を食べたりと楽しい時間を過ごして、ふと時計を見るともう11時過ぎだったので、ホテルへと向かいました。暑くて汗をかいてしまったので、シャワーを浴びて身支度をしました。前日の晩は、劇場の冷房が効きすぎで凍えるんじゃないかと思うほどだったので、長袖のカーディガンとショールを持ち、チケットをピックアップするために早めに劇場に向かいました。
ボックスオフィスのWill Callの窓口に行き、夜のショーの分もピックアップしたいと言うと、マチネの分しか来てないとの返事・・・。本当~~に不便な劇場です・・・。劇場の人とかは親切で感じがいいんですけどね。しかたなく、マチネの分のチケットだけ受け取って、2階へと向かいました。
3回見たうち、最初と最後がメザニンで、このマチネだけが1階のオーケストラ席でした。S列なのでステージからはちょっと距離がありますが、中央寄りで見やすい席でした。前日の晩の席からはよく見えなかったのですが、オーケストラ席から天井を見上げると、天井には星空が描かれていました。常々、「何で、この劇場は、Under the Starsって名前なんだろう?」と不思議だったんですが、たぶんこの天井の星空が名前の由来なのかな~と思いました。
前日の夜のショーの時、ドレスアップしているお客さんがとても多かったんですが、この日のマチネでも、ドレスアップしたお客さんがたくさんいました。Broadwayのイブニングショーでも、普段着で見に来るお客さんが多く、他の街でもせいぜいおしゃれっぽいワンピース程度で、若い人達なんてジーンズで見に来る人が多かったのに、ここ、ヒューストンではロングドレスの方はあまりいませんでしたが、ドレスと呼ぶのにふさわしい装いで着飾った女性がいっぱい!もちろんカジュアルな格好で来ている人もけっこういましたが、ティーンエイジャー達も、とても素敵にドレスを着て、おしゃれをしていて、劇場がとても華やいで素敵な雰囲気になっていました♪ やっぱり、せっかく観劇するんですから、おしゃれをして、雰囲気も楽しみたいですよね~!
また、ヒューストンの人達は、皆さん、優しくて気さくな方達ばかりなんですが、特に男性の方達のレディーファーストが徹底していて、すごくダンディでした♪ 階段や通路等でも、すっと脇に寄って道を譲って下さるんです。こういうのって、女性としては、本当に嬉しいですよね♪ ナズは、ヒューストンが、大好きになりました♪
やがて時間になり、マチネが始まりました。のどの調子が悪いと言っていたMichael君、そんなにはっきりわかるわけではないんですが、高音を伸ばす時など、ちょっとかすれたりしていました。それでも、前夜同様、はつらつとしたダンスを見せてくれて、最後には、再びスタンディングオベーションが送られました。
幕が下りると同時に楽屋口に向かったナズ、この時は、Michael君を待っている間に、トレイシー役のKatrina Rose Dideriksenさんが出てきて、ファンの方からサインを求められていました。ちょっとぽっちゃりめのKatrinaさんですが、映画のトレイシーのようにビッグなわけではありません。目鼻立ちのくっきりした明るい笑顔が素敵な女性で、ファンと一緒に楽しげにおしゃべりしている姿は、人気者のトレイシーそのものといった感じでした。彼女は、Broadwayや全米ツアー、ラスベガスでも「Hairspray」に出演していて、今回リンクを演じたAustin Millerさんとは、以前にも互いに同じ役で共演していたんだそうです。
ほどなくMichael君が姿を現し、「どんな感じ?」と聞くと、「おなかがペコペコだよ!」と答えたので(笑)さっそく夕飯を食べに行くことにしました。道々、「どうやって来たの?」「今回滞在が短いから直行便が使えなくて、アトランタ乗換えで来たの」「何時間くらいかかった?」「12~13時間くらいかな~」等と話しながら、劇場から数分のところにあるハードロックカフェに到着しました。日本だと男性の方が先に入ってしまうことが多いので、ついついMichael君の後ろからついて行こうとするナズを、レディファーストで先に入れてくれたMichael君でした♪
席に案内されて椅子に座ると、椅子の高いことに驚きました! 身長が171センチあるナズでも、足が床につかないくらいなんです!(身長の割りに足が短いからだ・・・という説もありますが・・・笑)
「椅子、高いのね~! びっくりしちゃった」 「だろ~!(笑)」
メニューをざっと見て注文を決めたMichael君、真っ先に次のお仕事のことを話してくれました。
「これが終わったら、しばらくミネソタでの仕事が続くんだ。8ヶ月くらいかな。だから、当分はミネソタの住民になるんだよ。
最初は、君が『Gray Gardens』を見に来てくれたセントポールのOrdway Music Theatreで、12月7日から1月2日まで「Joseph and the Amazing Technicolor Dreamcoat」をやるんだ。サンクスギビングの頃からリハーサルになるかな。
次が、チャンハッセンのChanhassen Dinner Theatresで2月4日から「Jesus Christ Superstar」に出るんだ。」
「うわ~、楽しみ~!Jesusでは、何をやるの? Jesus?」
「いや、アンサンブルの1人さ」
話しているうちにウェイターの人が来てくれたので、Michael君はサンドイッチを、ナズは、「美味しいよ」とMichael君がすすめてくれたコブサラダを注文しました。
「そうだ! スペースセンターの写真、見たい?」
「うん!」
前日に撮ったばかりのスペースセンターの写真を、ナズのデジカメでMichael君に見せてあげました。9月に行った江戸東京たてもの園の写真も入ってたので、
「ナズ、これはどこ?」
とMichael君に聞かれました。
「これは、江戸東京たてもの園っていって、東京の郊外のほうにあるオープンエアのミュージアムなの。現在は使われていない古い建物を移築して、全ての建物じゃないけど、中に入ることもできるのよ。特に、お風呂屋さんの建物は、ジブリアニメの『千と千尋の神隠し』で湯屋のモデルになった建物なんだって」
「へえ~! いろんな建物があって、面白いね~!」
他にも、東京で撮った写真が何枚も入っていたので、昨年の夏に来日していたMichael君は、見覚えのある場所を見つけては、嬉しそうにしていました。やがて、スペースセンターの写真が始まり、Michael君は、とても興味深げに写真を見ていましたよ。そうこうしているうちに料理が来たので、食べながら、Michael君の近況、ご家族のこと、ナズの仕事のこと等、いろいろおしゃべりしました。
1時間以上もおしゃべりしながら食事を楽しみ、2人ともすっかりおなかいっぱいになったので、お勘定をお願いし、ついでにウェイターの方にお願いして、Michael君と一緒の写真を撮ってもらいました。
そして、おしゃべりの続きをしながら劇場の方に戻る途中で、「Hairspray」のポスターを見つけたので、そこでMichael君1人だけの写真を撮らせてもらいました。
「じゃあ、ナズ、僕は早めに楽屋に戻って、のどを休めることにするよ。君は、いったんホテルに帰るの?」
「うん、でも、その前に今晩のチケットをピックアップ出来るか、窓口に行ってみる。今までの他の劇場は、どこでも最初の日に全部のチケットをピックアップさせてくれたのに、ここは、毎回、そのショーの分しか渡してくれないの。」
「へぇ~、それは不便だね。じゃあ、またショーの後で楽屋口で会えるのかな?」
「今夜が最後だから、お別れが言いたいし。」
「そうだね。早かったな~!じゃあ、また後で!」
マチネのチケットをピックアップした時には、「夕方6時には、窓口を開けているので」と言っていたんですね。で、Michael君と別れた時、すでに6時を回っていたので行って見たんですが、まだ開いていませんでした。何時に開くかわからないので、またフェスティバルのにぎわいを通り抜けて、いったんホテルへと戻ったナズでした。
到着して3日目、夜の到着でしたから実質的にはまだ2日目なんですが、翌日は帰国。3泊5日の海外旅行なんて、あっと言う間です(苦笑) イブニングショーが終わって戻ってくると夜中近くなってしまうので、しておけるだけの荷造りを済ませてしまいました。ふと時計を見ると、もう6時半を回っていたので、急いでホテルを出ました。
またフェスティバルの雑踏を通り抜け、ようやく劇場に到着。無事、最後のチケットを受け取って、4階にあるメザニンへ行きました。
最後の晩の席は、2階席の最前列!とても叫びやすい席です♪(笑) Michael君ののどの調子もまあまあのようで、Michael君のシーンでは、ナズは、いつも通り思いっきり叫んだのでした!
この晩も、スタンディングオベーションの中、幕が降り、ナズは、楽屋口へと急ぎました。若い俳優さん達の中には地元出身の人が何人もいて、この日も学校のお友達が楽屋口に来て、友人の俳優さんが出てくるのを待っていました。
しばらく待つうちに、Michael君が出てきたので、また駐車場の側に行って、ハグしてもらいました。
「もう帰ってしまうんだね~。今回は、滞在が短かったから、本当にあっと言う間に終わってしまったよね。」
「もっとゆっくり来られるとよかったんだけど、でも、『Hairspray』は楽しかったし、あなたの元気な顔も見られたから嬉しかった♪」
「東京まで長い道のりだけど、気をつけて、元気に帰るんだよ。家に着いたら、メールしてね。」
「うん、メールする!のど、お大事にね。」
「ありがとう、さようなら!」
名残を惜しみつつMichael君とお別れしたナズ、劇場の正面のほうへ戻ってみると、案の定、フェスティバルが閉園して道路は閉鎖されてしまっているようでした。
(はいはい、大回りして帰れってことですね・・・)と思いながら、目の前の通りをまっすぐ行けばものの数分でホテルなのに、ホテルとは反対の側に1ブロック歩き、道を2本下って大回りして、信号待ちなどもあったので、15分以上もかかってホテルへとたどり着きました。夕方のうちに荷造りをほとんど済ませておいて、本当によかった!
来ていたドレス等をスーツケースにしまい、あとは翌朝、最後まで使っていた物をいれればいいだけにしてベッドに入りました。
いつもだとなかなか寝つけないことが多いんですが、この晩は思いの外よく眠れ、翌朝、頼んでおいたタクシーに乗って空港へと向かいました。またアトランタ乗り換えで帰るので、小振りな国内便に乗り込み、ヒューストンをあとにしました。
以上、ヒューストンのMichael君 「Hairspray」観劇記でした!また長々と書いてしまってすみませんでした。読んで下さって本当にありがとうございました。お楽しみいただけたようでしたら、幸いです。
あまり長い休みが取れなかったので仕方なかったんですが、やっぱりもうちょっとゆっくり行けたらよかったな~と思います。あわただしいのは別にいいんですけど、もう1日2日あれば、あと1~2回は、Michael君のショーが見られたと思うんです。また街の中をもっと散策して、ヒューストンという街に来たんだということを実感したかったです。
次のお仕事のセントポールのOrdway Music Theatreでの「Joseph and the Amazing Technicolor Dreamcoat」は、12月7日から1月2日までなので、この旅行から間がないし、行くのは難しいな~と思ってます。
その次の、チャンハッセンのChanhassen Dinner Theatresの「Jesus Christ Superstar」(2/4~)が、5月の連休の頃でもまだやっているようなら、もしかしたら行けるかも・・・。
でも、この劇場は、ディナーシアターなせいか、インターネットだとペアでしかチケットを売ってくれないんですよね。1人だと、ボックスオフィスにメールを送ってチケット購入をお願いしないといけないんです。以前、2007年のGWに、こちらの劇場でMichael君が主演していた「Easter Parade」を見に行こうと思って、チケットを購入したら、ナズが行こうと思っていた期間だけ、Michael君がNYでのショーに出ることになって、結局行かないままに終わってしまったことがあったので、チケット購入のやり方とか覚えているんです。
「Easter Parade」の時は、2月初めから6月初めまで上演していたので、今回も同じくらいの期間の上演になるのかも知れません。Michael君も、ミネソタには8ヶ月くらいいることになるって言ってましたし。行けるようでしたら、また観劇記など書きたいな~と思っています。
セントポールとチャンハッセンの各劇場のサイトへは、下記からどうぞ~♪
Ordway Music Theatre 「Joseph and the Amazing Technicolor Dreamcoat」
Chanhassen Dinner Theatres 「Jesus Christ Superstar」
翌9日、この日は、午後からマチネとイブニングショーの2回、「Hairspray」を見る予定にしていましたが、午前中は空いていたので、散歩がてらアートフェスティバルを見に行くことにしました。
昼には戻ってきて身支度を始めたかったので、ハウスキーピングに電話して、11時半までに部屋の掃除を終わらせてくれるようにお願いして、9時ちょっと前に部屋を出ました。
前日の晩は、夜遅くまで準備をしていたようで、ナズが滞在しているホテルの横の道をまっすぐ行くと劇場なんですが、その通りは、すっかりフェンスで仕切られていました。その様子から察するに、どうも、入場券を持っていないと入れない様子で、この通りが通れないとなると、劇場の行き帰りが大変だな~と思いました。
ちょうど、交通整理をしている女性警官の方がいらしたので、何時から始まるのかたずねてみたところ、10時からだと教えて下さいました。
まだ小一時間あったので、10ブロックほど離れたところにあるマーケットスクエアパークまでお散歩をすることにしました。ホントは、ホテルのそばにも公園があったんですが、そこもアートフェスティバルの会場になっていて、入れなかったんです。
日中ともなると、摂氏30度を超えて暑いんですが、朝は、本当にさわやかで、気持ちよくお散歩が出来ました。周辺には19世紀半ばから20世紀初頭の建物が多いというマーケットスクエアパーク、ドッグランや噴水、スタチュー、美味しそうなメニューの並んだカフェなどがあって、愛犬を連れた地元の方が何人もいらしていました。ドッグランには池というか、犬達のために水をためてある浅い水たまりもあって、犬達が、気持ちよさそうにそこに飛び込んで遊んでいました。
公園で朝のさわやかな雰囲気を満喫した後、ぶらぶらとフェスティバルの方へ戻り始めました。ちょうど劇場が入っているホビー・センターの前あたりが、ホテルとは反対側の端になるようなので、そこまで戻ってみると、フェスティバルへの入り口と、発券所がありました。入場券は、1日券で10ドル、その日のうちなら、何回でも出入りが出来ます。フェスティバルにも興味があったし、劇場へ行くのには、フェスティバルの中を通り抜けるのが手っ取り早いので、さっそく発券所に並び、チケットを購入しました。(ただ、夜8時でフェスティバルが終わってしまうので、イブニングショーの帰りは、回り道をしないとダメなようでした・・・)
フェスティバルの会場は、ホテルと劇場を結んでいるBagby St.を中心に、通り沿いにあるサム・ヒューストンパーク、Bagby St.と交わっている4本ほどの通りのBagby St.と次のSmith St.の間で、そしてそのエリアにある市庁舎も会場になっていました。
会場内には、100や200ではきかないくらいのたくさんの白いテント(小学校の運動会の役員席などに使われるテントを小ぶりにしたような感じ)が並んでいて、1つ1つがそれぞれのアーティストのブースになっています。絵、アクセサリー、彫刻、レリーフ、かばん、家具、帽子、マフラー、ショール、ネクタイ、織物、メガネ、自作の音楽のCD等々、いろいろな作品を展示即売しているんです。ナズなんかではとても手が出ない高額なものから、ほんの10~20ドルくらいの手ごろなアクセサリーまで、種類も豊富で、アート好きな人もショッピング好きな人も、すごく楽しい時間が過ごせる空間になっていました。
ナズが一番気に入ったのは、チャップマンスティックという楽器を演奏している2人組「Heartstrings」のブース。チャップマンスティックというのは、ギターのネック部分だけを大きくしたような形の弦楽器で、弦の数がギターよりもずっと多くて、奥行きのある複雑で豊かな何とも美しい音色を出すことができるんです。
優しい目をしたマークさんがチューニングをしながら演奏していて、「とっても素敵な音色ですね」と声をかけたナズに、「ありがとう!今のはロマンチックな感じだったでしょう?今度は、ケルト風な感じの曲だよ」と別な曲を聞かせてくれました。ちょっと神秘的な感じのするその曲もとても素敵でした♪
そこにパートナーのマックさんが戻ってきて、2人で、アップテンポな曲を演奏してくれました。手前のテーブルには、CDが並んでいて、「今の曲は、このCDに入っているんですよ」とマークさん。その間にも、マックさんがまた別な曲を弾いていました。どの曲も、本当に素敵な音色なんです。すっかり彼らの音楽が気に入ってCDを購入したナズに、「どこから来たんですか?」とたずねるマークさん。「日本の東京から来たの。」というナズに、「じゃあ、僕達のCDが海を越えて日本に行くんだね!すごいな~!」と喜んでくれました。
「日本の人達が、僕らの音楽を気に入ってくれると嬉しいな~!」と言っていたマークさん達は、サイトを持っています。Youtubeで彼らのビデオを見たりもできるので、ご興味のある方は、こちらからどうぞ。背の高い方の方がマークさんです。
会場内のフードコートのエリアで屋台のケイジャン料理を食べたりと楽しい時間を過ごして、ふと時計を見るともう11時過ぎだったので、ホテルへと向かいました。暑くて汗をかいてしまったので、シャワーを浴びて身支度をしました。前日の晩は、劇場の冷房が効きすぎで凍えるんじゃないかと思うほどだったので、長袖のカーディガンとショールを持ち、チケットをピックアップするために早めに劇場に向かいました。
ボックスオフィスのWill Callの窓口に行き、夜のショーの分もピックアップしたいと言うと、マチネの分しか来てないとの返事・・・。本当~~に不便な劇場です・・・。劇場の人とかは親切で感じがいいんですけどね。しかたなく、マチネの分のチケットだけ受け取って、2階へと向かいました。
3回見たうち、最初と最後がメザニンで、このマチネだけが1階のオーケストラ席でした。S列なのでステージからはちょっと距離がありますが、中央寄りで見やすい席でした。前日の晩の席からはよく見えなかったのですが、オーケストラ席から天井を見上げると、天井には星空が描かれていました。常々、「何で、この劇場は、Under the Starsって名前なんだろう?」と不思議だったんですが、たぶんこの天井の星空が名前の由来なのかな~と思いました。
前日の夜のショーの時、ドレスアップしているお客さんがとても多かったんですが、この日のマチネでも、ドレスアップしたお客さんがたくさんいました。Broadwayのイブニングショーでも、普段着で見に来るお客さんが多く、他の街でもせいぜいおしゃれっぽいワンピース程度で、若い人達なんてジーンズで見に来る人が多かったのに、ここ、ヒューストンではロングドレスの方はあまりいませんでしたが、ドレスと呼ぶのにふさわしい装いで着飾った女性がいっぱい!もちろんカジュアルな格好で来ている人もけっこういましたが、ティーンエイジャー達も、とても素敵にドレスを着て、おしゃれをしていて、劇場がとても華やいで素敵な雰囲気になっていました♪ やっぱり、せっかく観劇するんですから、おしゃれをして、雰囲気も楽しみたいですよね~!
また、ヒューストンの人達は、皆さん、優しくて気さくな方達ばかりなんですが、特に男性の方達のレディーファーストが徹底していて、すごくダンディでした♪ 階段や通路等でも、すっと脇に寄って道を譲って下さるんです。こういうのって、女性としては、本当に嬉しいですよね♪ ナズは、ヒューストンが、大好きになりました♪
やがて時間になり、マチネが始まりました。のどの調子が悪いと言っていたMichael君、そんなにはっきりわかるわけではないんですが、高音を伸ばす時など、ちょっとかすれたりしていました。それでも、前夜同様、はつらつとしたダンスを見せてくれて、最後には、再びスタンディングオベーションが送られました。
幕が下りると同時に楽屋口に向かったナズ、この時は、Michael君を待っている間に、トレイシー役のKatrina Rose Dideriksenさんが出てきて、ファンの方からサインを求められていました。ちょっとぽっちゃりめのKatrinaさんですが、映画のトレイシーのようにビッグなわけではありません。目鼻立ちのくっきりした明るい笑顔が素敵な女性で、ファンと一緒に楽しげにおしゃべりしている姿は、人気者のトレイシーそのものといった感じでした。彼女は、Broadwayや全米ツアー、ラスベガスでも「Hairspray」に出演していて、今回リンクを演じたAustin Millerさんとは、以前にも互いに同じ役で共演していたんだそうです。
ほどなくMichael君が姿を現し、「どんな感じ?」と聞くと、「おなかがペコペコだよ!」と答えたので(笑)さっそく夕飯を食べに行くことにしました。道々、「どうやって来たの?」「今回滞在が短いから直行便が使えなくて、アトランタ乗換えで来たの」「何時間くらいかかった?」「12~13時間くらいかな~」等と話しながら、劇場から数分のところにあるハードロックカフェに到着しました。日本だと男性の方が先に入ってしまうことが多いので、ついついMichael君の後ろからついて行こうとするナズを、レディファーストで先に入れてくれたMichael君でした♪
席に案内されて椅子に座ると、椅子の高いことに驚きました! 身長が171センチあるナズでも、足が床につかないくらいなんです!(身長の割りに足が短いからだ・・・という説もありますが・・・笑)
「椅子、高いのね~! びっくりしちゃった」 「だろ~!(笑)」
メニューをざっと見て注文を決めたMichael君、真っ先に次のお仕事のことを話してくれました。
「これが終わったら、しばらくミネソタでの仕事が続くんだ。8ヶ月くらいかな。だから、当分はミネソタの住民になるんだよ。
最初は、君が『Gray Gardens』を見に来てくれたセントポールのOrdway Music Theatreで、12月7日から1月2日まで「Joseph and the Amazing Technicolor Dreamcoat」をやるんだ。サンクスギビングの頃からリハーサルになるかな。
次が、チャンハッセンのChanhassen Dinner Theatresで2月4日から「Jesus Christ Superstar」に出るんだ。」
「うわ~、楽しみ~!Jesusでは、何をやるの? Jesus?」
「いや、アンサンブルの1人さ」
話しているうちにウェイターの人が来てくれたので、Michael君はサンドイッチを、ナズは、「美味しいよ」とMichael君がすすめてくれたコブサラダを注文しました。
「そうだ! スペースセンターの写真、見たい?」
「うん!」
前日に撮ったばかりのスペースセンターの写真を、ナズのデジカメでMichael君に見せてあげました。9月に行った江戸東京たてもの園の写真も入ってたので、
「ナズ、これはどこ?」
とMichael君に聞かれました。
「これは、江戸東京たてもの園っていって、東京の郊外のほうにあるオープンエアのミュージアムなの。現在は使われていない古い建物を移築して、全ての建物じゃないけど、中に入ることもできるのよ。特に、お風呂屋さんの建物は、ジブリアニメの『千と千尋の神隠し』で湯屋のモデルになった建物なんだって」
「へえ~! いろんな建物があって、面白いね~!」
他にも、東京で撮った写真が何枚も入っていたので、昨年の夏に来日していたMichael君は、見覚えのある場所を見つけては、嬉しそうにしていました。やがて、スペースセンターの写真が始まり、Michael君は、とても興味深げに写真を見ていましたよ。そうこうしているうちに料理が来たので、食べながら、Michael君の近況、ご家族のこと、ナズの仕事のこと等、いろいろおしゃべりしました。
1時間以上もおしゃべりしながら食事を楽しみ、2人ともすっかりおなかいっぱいになったので、お勘定をお願いし、ついでにウェイターの方にお願いして、Michael君と一緒の写真を撮ってもらいました。
そして、おしゃべりの続きをしながら劇場の方に戻る途中で、「Hairspray」のポスターを見つけたので、そこでMichael君1人だけの写真を撮らせてもらいました。
「じゃあ、ナズ、僕は早めに楽屋に戻って、のどを休めることにするよ。君は、いったんホテルに帰るの?」
「うん、でも、その前に今晩のチケットをピックアップ出来るか、窓口に行ってみる。今までの他の劇場は、どこでも最初の日に全部のチケットをピックアップさせてくれたのに、ここは、毎回、そのショーの分しか渡してくれないの。」
「へぇ~、それは不便だね。じゃあ、またショーの後で楽屋口で会えるのかな?」
「今夜が最後だから、お別れが言いたいし。」
「そうだね。早かったな~!じゃあ、また後で!」
マチネのチケットをピックアップした時には、「夕方6時には、窓口を開けているので」と言っていたんですね。で、Michael君と別れた時、すでに6時を回っていたので行って見たんですが、まだ開いていませんでした。何時に開くかわからないので、またフェスティバルのにぎわいを通り抜けて、いったんホテルへと戻ったナズでした。
到着して3日目、夜の到着でしたから実質的にはまだ2日目なんですが、翌日は帰国。3泊5日の海外旅行なんて、あっと言う間です(苦笑) イブニングショーが終わって戻ってくると夜中近くなってしまうので、しておけるだけの荷造りを済ませてしまいました。ふと時計を見ると、もう6時半を回っていたので、急いでホテルを出ました。
またフェスティバルの雑踏を通り抜け、ようやく劇場に到着。無事、最後のチケットを受け取って、4階にあるメザニンへ行きました。
最後の晩の席は、2階席の最前列!とても叫びやすい席です♪(笑) Michael君ののどの調子もまあまあのようで、Michael君のシーンでは、ナズは、いつも通り思いっきり叫んだのでした!
この晩も、スタンディングオベーションの中、幕が降り、ナズは、楽屋口へと急ぎました。若い俳優さん達の中には地元出身の人が何人もいて、この日も学校のお友達が楽屋口に来て、友人の俳優さんが出てくるのを待っていました。
しばらく待つうちに、Michael君が出てきたので、また駐車場の側に行って、ハグしてもらいました。
「もう帰ってしまうんだね~。今回は、滞在が短かったから、本当にあっと言う間に終わってしまったよね。」
「もっとゆっくり来られるとよかったんだけど、でも、『Hairspray』は楽しかったし、あなたの元気な顔も見られたから嬉しかった♪」
「東京まで長い道のりだけど、気をつけて、元気に帰るんだよ。家に着いたら、メールしてね。」
「うん、メールする!のど、お大事にね。」
「ありがとう、さようなら!」
名残を惜しみつつMichael君とお別れしたナズ、劇場の正面のほうへ戻ってみると、案の定、フェスティバルが閉園して道路は閉鎖されてしまっているようでした。
(はいはい、大回りして帰れってことですね・・・)と思いながら、目の前の通りをまっすぐ行けばものの数分でホテルなのに、ホテルとは反対の側に1ブロック歩き、道を2本下って大回りして、信号待ちなどもあったので、15分以上もかかってホテルへとたどり着きました。夕方のうちに荷造りをほとんど済ませておいて、本当によかった!
来ていたドレス等をスーツケースにしまい、あとは翌朝、最後まで使っていた物をいれればいいだけにしてベッドに入りました。
いつもだとなかなか寝つけないことが多いんですが、この晩は思いの外よく眠れ、翌朝、頼んでおいたタクシーに乗って空港へと向かいました。またアトランタ乗り換えで帰るので、小振りな国内便に乗り込み、ヒューストンをあとにしました。
以上、ヒューストンのMichael君 「Hairspray」観劇記でした!また長々と書いてしまってすみませんでした。読んで下さって本当にありがとうございました。お楽しみいただけたようでしたら、幸いです。
あまり長い休みが取れなかったので仕方なかったんですが、やっぱりもうちょっとゆっくり行けたらよかったな~と思います。あわただしいのは別にいいんですけど、もう1日2日あれば、あと1~2回は、Michael君のショーが見られたと思うんです。また街の中をもっと散策して、ヒューストンという街に来たんだということを実感したかったです。
次のお仕事のセントポールのOrdway Music Theatreでの「Joseph and the Amazing Technicolor Dreamcoat」は、12月7日から1月2日までなので、この旅行から間がないし、行くのは難しいな~と思ってます。
その次の、チャンハッセンのChanhassen Dinner Theatresの「Jesus Christ Superstar」(2/4~)が、5月の連休の頃でもまだやっているようなら、もしかしたら行けるかも・・・。
でも、この劇場は、ディナーシアターなせいか、インターネットだとペアでしかチケットを売ってくれないんですよね。1人だと、ボックスオフィスにメールを送ってチケット購入をお願いしないといけないんです。以前、2007年のGWに、こちらの劇場でMichael君が主演していた「Easter Parade」を見に行こうと思って、チケットを購入したら、ナズが行こうと思っていた期間だけ、Michael君がNYでのショーに出ることになって、結局行かないままに終わってしまったことがあったので、チケット購入のやり方とか覚えているんです。
「Easter Parade」の時は、2月初めから6月初めまで上演していたので、今回も同じくらいの期間の上演になるのかも知れません。Michael君も、ミネソタには8ヶ月くらいいることになるって言ってましたし。行けるようでしたら、また観劇記など書きたいな~と思っています。
セントポールとチャンハッセンの各劇場のサイトへは、下記からどうぞ~♪
Ordway Music Theatre 「Joseph and the Amazing Technicolor Dreamcoat」
Chanhassen Dinner Theatres 「Jesus Christ Superstar」