日本の月面無人探査計画が具体化してきた。
最初に打ち上げを予定しているのが、民間のベンチャー企業アイスペースが推進するチーム「HAKUTO(ハクト)」で、2017年中の打ち上げを目指す。「ハクト」は、グーグルが民間組織を対象とした世界初の月面無人探査レース「グーグル・ルナXプライズ」に参加する。同レースは、月面の着陸地点から500m以上を走行して、指定された高解像度の動画・静止画データを地球に送信することを競う。現在、IHI、KDDIなどがスポンサーとなり、チーム「ハクト」を支援している。
2018年に月面無人探査を計画しているのは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と東京大学のチームだ。JAXAと東大が共同開発した2基の小型衛星を、NASA(米航空宇宙局)のロケットに相乗りさせて、月周辺の軌道へ打ち上げる。打ち上げに使うロケットは、NASAが将来の火星有人探査を目指して開発中の「SLS」。月の周辺へ宇宙船「オリオン」を運ぶとともに、余剰能力を活かし、日米とイタリアの合計13基の小型衛星も打ち上げる。
このほか、2019年に月面無人探査を計画しているのはJAXAで、イプシロンにキックステーションを付加したロケットで、小型月着陸実証機「SLIM」を打ち上げる。「SLIM」は次の2つの目標を目指している。①小型の探査機において、月への高精度(現在のKmオーダーから100mオーダーへ)着陸技術の実証②諸外国の月着陸機と比較して大幅な軽量化(米「サーベイヤー」995㎏に対して日「SLIM」は約590㎏)を目指している。