JAZZ最中

考えてみればJAZZばかり聞いてきた。いまもJAZZ最中。

山路を登りながら、こう考えたWHERE IS THERE / MYRIAM ALTER

2008-02-02 22:31:19 | 聞いてますCDおすすめ



この寒いのに山に登ったわけではありません。雪の降っているところに出張してきただけです。



ヘッドフォンでこのアルバムを聴きながら夜道を歩いていたら思い浮かんだのがこの題です。

夏目漱石の草枕の冒頭のところです。ちょっと引用すると
山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。
 智(ち)に働けば角(かど)が立つ。情(じょう)に棹(さお)させば流される。意地を通(とお)せば窮屈(きゅうくつ)だ。とかくに人の世は住みにくい。
 
絵描き“余”が独白している有名な文ですが実はこの小説最後まで読んでいません。無責任ですみません。
ただ足が悪くとぼとぼと歩いていたら、このアルバムの4曲目のところで思い浮かびました。大正時代のエレジーのようで疲れた中年のオジサンの心をくすぐるのにぴったりな良い曲です。
そのアルバムが MYRIAM ALTERの新作で実は彼女は作曲だけ、もちろん録音にはいるのですが大正解、まず素晴らしい曲ぞろいです。
彼女は澤野工房からでたアルバムで気に入ったのでこれを入手しました。彼女の事に関してはblog仲間クリスさんのところをみるのが一番です。
http://blog.goo.ne.jp/crissmorgan/d/20071125
2つめに参加しているJAQUES MORELENBUM の celloが巧い。坂本龍一と幾つか演奏していますが、音程のしっかりした、心にしみる演奏です。
3つ目にリズム陣がすばらしい、ジャズから外れるチェロや、メロディがちょっとと思うクラリネットをすばらしいフォローでかためています。目だったソロはしないのにとても上手さがわかります。

1曲目リズミックなチェロのそれでいて太い音がまず驚きです。
2曲目はチェロの太いテーマの後にピアノのメロディ、チェロがそれにかぶさった旋律を弾き、クラリネットが合わさるという流れで、民族調のメロディが哀愁を深くします。
3曲目はクラリネットがドラムスのタンゴ調のリズムに乗せてはじまると、ソプラノが絡んできて、リズムにのってチェロがメロディを弾くと、悪い足でもステップを踏みたくなる素敵な曲です。
そして書いた4曲目、大正時代を思わせるエレジーの感じで、足元を見つめながらとぼとぼと歩くと、これまでの人生を、認めるような後悔するような、でも現実が影のように後ろについていることをさっとているような、ウームとうなりがら心揺れる曲であります。
JAZZに何か加わって面白いのがすきという人には大お薦めの、というか私と好みが似る人には3曲目、4曲目の流れはかなりお薦めです。
5曲目も哀愁あるクラリネットのメロディ、前にチャーリー・ヘイデンの「ノクターン」というのがあり哀愁あるアルバムでしたが、もっと進んで「エレジー」としていえる曲集です。
6曲目も太く強いチェロのメロディから、民族調のソプラノが効いて、なぜか心が安らぐのです。
山路を登れずに考える。角が立つほど智があるわけでない。流されるほどの情も窮屈を感じる意地もない。とかくにそれだけでも人の世は住みにくい。このアルバム、ちょっと下を向いて歩くオジサンに推薦です。



WHERE IS THERE / MYRIAM ALTER

MYRIAM ALTER composition
JAQUES MORELENBUM cello
JOHN RUOCCO clalinet
PIERRE VAIANA soprano sax
SALVATORE BONAFEDE piano
GREG COHEN bass
JOEY BARON drums

1 WAS IT THERE
2 STILL IN LOVE
3 COME WITH ME
4 IN SICULY
5 I'M TELLING YOU
6 IT COULD BE THERE
7 SEPTEMBER
8 CATCH THERE

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1 コメント

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TBさせていただきます (910)
2009-07-14 22:18:45
ミリアム・アルターは数年前に澤野盤で聴いていたのですが、今回は遅ればせながらやっと聴きました。彼女自身が作曲で参加というところが興味をひきましたけど、正解だったのではないか、と思います。

哀愁の美旋律がピッタリなイメージで、かといって軟弱にもならず、アルバム全体が統一がとれている感じでした。もう少し幅広いサウンドでも良かったかな、とも思いますが、作者のねらいは、そこにあったのかもしれません。満足度の高いアルバムとなりました。
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