誰もが今までに経験したことのない新型コロナウイルスの流行により、世界経済への影響が長引く現在、社会・経済システムを新しく構築しようと、「グレートリセット」が話題になっています。
しかし、コロナウイルスによって引き起こされた世界的な危機の襲来、人工知能や5G、ブロックチェーンなどの技術革新により、これまで築き上げられた既存のシステムにひずみが生まれ出しています。
「パンデミック到来に備えよ!」と、2015年にビル・ゲイツは予言した。
そして、それは現実となり、人類は新型コロナウイルスの猛威に侵され続けている。ワクチンこそが唯一の解決策と喧伝され、世界各国は巨額を投じて開発競争は加熱するばかりだ。だが、それさえもゲイツのシナリオ通りではないか?
そもそも医学の専門家でもない、マイクロソフトのウィンドウズで世界トップの億万長者となったビル・ゲイツが、なぜこれほどにパンデミックやワクチン開発に口を挟みたがるのか?
マイクロチップ、ID2020、人口操作、人類の健康支配、ネットで増殖し続ける陰謀論の源泉となってきたビル・ゲイツの正体に迫る!
ケロッピー前田がカウンター視点で巷のニュースを相対化、いまを生き抜くためのヒントやアイディアをお届けしたい。合言葉はひとつ、ただひたすらに生き残れ!
大好評だった「新型コロナウイルスの時代」の第3部を今後数回にわたって連載する。
<過去の記事>
【緊急特報】米大統領選オクトーバー・サプライズ
【緊急特報】まだまだ終わらない!怒涛の法廷闘争へ!
・集中連載(3)
【第1回】ビル・ゲイツとワクチン
【第2回】ビル・ゲイツとマイクロチップ
【第3回】ビル・ゲイツと人口削減
・集中連載(2)
【第1回】ディープステートの正体
【第2回】2016年大統領選ヒラリーの私用メール
【第3回】ヒラリーの私用メール問題がトランプを勝たせた
【第4回】セス・リッチ射殺事件とロシアゲート
【第5回】拡大するQアノン運動
【緊急特報】米中戦争勃発!亡命学者の大暴露!
【対談編・前編】ヒラリーの逮捕
【対談編・後編】パンデミックの収束はいつ?
・集中連載(1)
【第1回】ビル・ゲイツの予言
【第2回】パンデミック演習「イベント201」
【第3回】武漢ウイルス研究所とは何か?
【第4回】「プランデミック」の賛否
【第5回】武漢フレンチコネクション
【対談編・前編】トランプが陰謀を挫いた
【対談編・後編】ディープステートvsトランプ
【集中連載(3)第5回】ビル・ゲイツとグレート・リセット
2020年の怒涛のパンデミックを経て、2021年が到来した。とはいえ、不透明な状態が続くアメリカ大統領選挙、コロナワクチン接種が始まったタイミングで変異種が登場するなど、まだまだ予断を許さない世界状況が続いている。
英ジョンソン大統領は「国民を守るために正しいことをする、難しい決断を下すことが私の義務だ」(2020年12月19日)と言い切り、再びロックダウンに踏み切った。イギリスでは、感染力が従来よりも最大7割高い変異種が蔓延している。
まだまだ終わらないコロナ禍であるが、これから世界はどうなってしまうのだろうか?
毎年、世界の権力者や富裕層が集まって、人類の未来について話し合おうというのが、通称ダボス会議こと「世界経済フォーラム(WEF)」である。2020年の会議には、世界117カ国から約3000人が参加している。
今回は、パンデミック以降の世界を「グレート・リセット」するというので大いに注目が集まっている。まずは、その紹介動画を見てみよう。
乗客の少ない地下鉄、防護服を着た人たち、噴霧される消毒液、コロナのパンデミックを連想させる映像が続く。さらに山火事やイナゴの大量発生、環境問題の悪化、都市での暴動など、世界的な政情不安定を訴えけてくる。「わたしたちの世界は変わってしまった」「わたしたちの挑戦もさらに大きなものとなる」という言葉が出て、「わたしたちの脆弱性が露わとなった」と続いた。ではどうすれば、「リセットが必要だ」と、リセットボタンを押すとそれまでの映像が早送りされ、「すべての人が果たすべき役割を持っている」と、自然エネルギー、大自然、人々が協力する姿などが映し出される。「グレート・リセット、ご参加ください」と結ばれている。
世界経済フォーラムは、経済学者のクラウス・シュワブが主宰し、スイスのダボスで毎年1月に行われてきた。2021年は、コロナ感染拡大防止のため、5月13~16日、シンガポールでの開催に変更されている。また、例年ダボス会議が行われてきた1月25~29日は「ダボスウィーク」をオンラインで開催し、4月6~7日には東京で新興技術に特化した「グローバル・テクノロジー・ガバナンス・サミット」も行われる。
このダボス会議とビル・ゲイツとの関係は深い。彼は何か新しい計画を始めるときには、まずはこの会議でお披露目している。2010年に仕掛けた「ワクチンの10年」計画もダボス会議での「この先10年間のワクチン開発に個人資産100億ドル(1兆300億円)投入」と発表したことから始まっている。そのニュースに世界中の製薬会社が敏感に反応したことは言うまでもない。ゲイツの世界侵略の数々はここダボス会議を中心に展開されてきたと言えるだろう。
一方、前回2020年1月の会議では、トランプ大統領が2018年に続いて2度目の登壇、アメリカの経済的回復を強調し、環境問題には楽観論を展開した。それに対抗するように、10代の環境活動家グレタ・トゥーンベリは、激しい口調で環境問題を訴えた。
「グレート・リセット」を掲げた今年の会議では何が話し合われるのだろうか?
「いまこそ、グレートリセットのとき」と題された記事で、主宰者シュワブは「パンデミックは、私たちの世界を反映し、再考し、リセットするための稀で小さな機会を与えてくれた」と強調する。
つまり、今回のパンデミックのお陰で、現在の社会や経済のシステムが時代遅れであることがわかり、資本主義システムの大掛かりなリセットを決行できるというのだ。
そのために3つのアジェンダを挙げている。一つ目は、市場のコントロールで、各国政府による税制や規制、貿易などの制度の見直しによって、個別の利益のみを追求するのではない利益を皆に還元する「ステイクホールド経済」を実現していく。
二つ目は、投資のコントロールで、平等で持続可能なものに資金を正しく振り分ける必要がある。大規模な支出プログラムは国家レベルの話になる。
そして、三つ目は、健康と社会の課題に取り組み、公共の利益を尊重するために「第四次産業革命」を推進することを挙げている。この最後のアジェンダにはバイオテクノロジーを駆使したワクチン開発やIT技術を用いた感染追跡アプリや遠隔医療などを含んでいる。
ところで、ここでいう第四次産業革命とは、シュワブが提唱しているもので、具体的には人工知能、ロボット技術、インターネット・オブ・シングス(IoT)、自動運転車、3Dプリンタ、ナノテクノロジーなどのことをいう。2015年のダボス会議で話題となり、同名のシュワブの著書も出版されている。
ちなみに、第四次産業革命に対して、第一次は蒸気機関(1760年代~1840年代)、第二次は電気と流れ作業(19世紀後半~20世紀初頭)、第三次はコンピューター、パソコン、インターネット(1960年代以降)のことをいう。
第四次産業革命として列挙されるテクノロジーは、人工知能が人間を追い越すシンギュラリティが話題になった頃から議論されていた。だが、今年のグレート・リセットで最も重要なポイントは、これらの技術革新が急激に加速することである。
さらにここに、例年のダボス会議で議論されている気象変動や環境問題を加えたものが、会議の大まかな内容と言えるだろう。
では、グレート・リセットは、具体的には一般市民にはどのようにかかわってくるのだろうか?
『大停滞』や『大格差』で知られる経済学者テイラー・コーエンの動画がわかりやすいので紹介したい。
ここで解説されているグレート・リセット(動画は2017年製作)は、今回のダボス会議で議論されるものとまったく同じものではない。とはいえ、進歩と発展を続けてきた資本主義システムが危機的な停滞状態に至ったいま、大きなリセットを施さないと大崩壊してしまうかもしれないという視点は共通する。
コーエンは、資本主義の停滞状態を炭坑にたとえ、有毒ガスの危険を知らせるカナリアを非雇用白人男性やトランプ大統領などに置き換えて説明している。あくまで経済的な視点だが、トランプ大統領は仕事にあぶれた大量の白人男性の代弁者であり、彼らが現在の社会システムから見捨てられていることが問題なのだ。そのため、コーエンはいつの日か、グレート・リセットによって、社会システムの大改革を行う必要があるだろうという。それは大きな痛みを伴うものだが、テクノロジーの進歩やイノベーションの発達によって乗り越えられるのではないかとまとめている。
コーエンの説明で、現在の資本主義システムがもう限界でグレート・リセットがいつか必要になるということはよくわかる。
一方、ダボス会議はパンデミックに乗じて、すぐにでもグレート・リセットに取り掛かりそうな勢いでいささか強引である。本来、社会や経済システムの大変革は国家単位で取り組んできたものであるが、グローバル化が進んだいま、すべては関連しており、全世界レベルでの大規模な変革を一気に押し進めていく必要があるというのがシュワブの主張である。とはいえ、富裕層の決定を各国政府の権力者が受け入れて、実行していくとするなら、一般
オーストラリアのテレビ局SKY NEWSのホスト、ローワン・ディーンは、グレート・リセットは個人の財産を破壊し、「何も所有しなければ、幸福になれる」というジョージ・オーウェルの言葉を思い出させる危険なものであると警告する。
また、2014年のダボス会議でシュワブがグレート・リセットという言葉を使ってから、2020年までのタイムラインを見てみると、2019年10月のパンデミック・シミュレーション「イベント201」において、世界経済フォーラム(ダボス会議)も協賛団体として名を連ねていることがわかる。
2018年に行われたパンデミック・シミュレーション「Clade X」に至っては、パンデミック自体がフェイクであったというシナリオによる演習であった。
つまり、ダボス会議もWHOもビル・ゲイツも、パンデミックが起こったらどのように対処するかについて、演習済みであったのだ。ダボス会議がパンデミックは社会システムの大改革にとって絶好のチャンスとして、やけにはりきっている理由もわかるだろう。
そして、さらにビル・ゲイツに立ち入るなら、彼は今年のグレート・リセットに合わせるように、気象変動についての新著『How to Avoid a Climate Disaster: The Solutions We Have and the Breakthroughs We Need (気候災害を回避する方法:私たちの解決策と必要なブレークスルー)』を準備していた。
地球温暖化や二酸化炭素排出量削減などもまた、ダボス会議における大きなトピックとなっている。
ゲイツが出資していることでよく知られるトンデモないアイディアに、SCoPEx(スコペックス)がある。これは、ハーバード大学との共同開発で進んでおり、アメリカ南西部からバルーンを飛ばし、上空20キロの成層圏に送り込み、バルーンから放出する炭酸カルシウムの粒子で太陽光を遮断し、地球温暖化をコントロールしようというものである。
2019年に実験予定だったが、台風などの自然災害を誘発する可能性があるということで中止となっている。
グレート・リセットとダボス会議、世界の金持ちが集まって、勝手に人類の未来を決めてしまうという状況がパンデミックを理由にあっさりと実現されつつある。
彼らに任してしまっていいのか? 僕らに拒否権はないのか? うまくいかなかったら誰が責任を取るのか? グレート・リセットに対する不信と不安は尽きない。
それでも、経済学者コーエンが指摘していたように、大変革がなければ、資本主義システムが危機的な状況にあることも事実である。とはいえ、グレート・リセットが孕む、デジタル全体主義にはとことん抵抗したい。すでにコロナ禍で進行しつつある情報統制に違和感を感じている人は多いだろう。
グレート・リセットをするか、しないかではなく、第三の選択としての“アナザー・リセット”とでもいうべき解決策はないものだろうか。
カウンター視点によるパンデミックとの戦いはこれからも続く。
市民は蚊帳の外だ。