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屋久島うみがめ館」の活動継続を発表した大牟田一美代表(右、2018年12月18日午後3時5分、鹿児島県庁、大崎浩義撮影)

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 世界有数のウミガメの産卵地である鹿児島県屋久島町の永田浜で、約34年にわたり調査や保護活動をしてきたNPO法人屋久島うみがめ館」が来年以降も活動を続ける、と18日に発表した。人材不足などを理由に解散することを3月に発表していたが、活動への参加希望者が現れ、方針を転換した。

 うみがめ館は1985年に活動を開始。産卵のために上陸するウミガメの個体数の調査や、卵を安全な場所に移す保護活動を続けてきた。活動を引っ張ってきた大牟田一美代表(68)の体調不良やスタッフ不足が重なり、解散を決めた。

 だが、解散報道を見た元会社員の39歳と元自衛官の40歳の男性2人がスタッフとして働きたい、と手を挙げた。町や国などではきめ細かな活動は難しいと感じていた大牟田さんは「長年続けてきた我々にしかできない」と継続を決めた。

日和佐のウミガメ保護の歴史、ウミガメとの関わりについて

美波町の日和佐の大浜海岸には、古来より、アカウミガメが産卵にやってきます。
日和佐が「ウミガメの町」になるきっかけとなったのは、昭和25年のことです。

当時は食糧難の時代でした。肉をとるため無残にも殺されたアカウミガメの亡骸を、大浜海岸で日和佐中学校の先生と生徒が見つけ、涙を流して憤慨しました。「海の使いとして知られるウミガメにこんなことがあってはいけない!」「僕たちでウミガメを日本中に知らしめて、こんなことが起こらないようにしよう!!」と中学生と先生はウミガメ研究会を発足し、ウミガメの産卵回数の記録や飼育研究を始めたのです。これが、日和佐とウミガメの関係の始まりだったのです。

当時、人々の動物保護への関心は、まだまだ進んでいませんでした。また、ウミガメの研究も世界でもまだ始まっていなかったのです。
日和佐の大浜海岸は、このような時代に先駈けて地元の生き物を見守り、記録に残すという取り組みを始めた「ウミガメ保護発祥の地」なのです。

現在も調査や啓蒙活動は続けられており、ウミガメを通した自然との共生について伝え続けています。また、中学生らの手により孵化させられたアカウミガメの子がめは、現在は、1mを超える大亀へと成長し、飼育記録が残るウミガメでは、世界最高齢と言われています。

浜太郎

日和佐うみがめ博物館カレッタ

昭和25年に日和佐中学生らによって卵からかえされたアカウミガメ。
今では大きく成長し、「浜太郎」と名付けられました。世界最高齢のアカウミガメです。

ウミガメ保護活動

カレッタでは、美波町のコンセプトであるウミガメの保護と観光利用の両立を目指し、 ウミガメの保護を中心した観光や教育活動を行っています

日和佐うみがめ博物館カレッタ

アカウミガメ産卵観察の様子

●大浜海岸でのウミガメ保護観察
美波町では、5月20日~8月20日まで、ウミガメ保護規制を行っています。
その期間は、海岸周辺の光などを規制し、ウミガメが上陸しやすいようにしています。また、ウミガメ監視員が巡回し、ウミガメの調査を行っています。この際に観察会も行っています。
産卵期のウミガメは、とてもデリケートなので、監視員の指示に従いルールを守って観察してください。
詳しくはコチラ→ウミガメ保護観察マナ-

大浜海岸の卵の人工ふ化

カレッタでは、美波町のコンセプトであるウミガメの保護と観光利用の両立を目指し、 ウミガメの保護を中心した観光や教育活動を行っています。

日和佐うみがめ博物館カレッタ
日和佐うみがめ博物館カレッタ

ウミガメが海岸の低い場所で産卵した場合、高波が来た際に卵が流されてしまうことがあります。
カレッタでは、このような卵を、博物館の孵化場や海岸の高い場所に移し、保護しています。
卵は50日から60日かけて孵化します。カレッタでは、子ガメが体力を消耗しないように、砂から出てくる夜中のうちに、海岸へと放流し、ウミガメへの影響を極力少なくしています。
タイミングが合えば、子がめの脱出や人工放流などを観察していただけます。ご連絡ください。

アカウミガメの減少について

アカウミガメは1990年代から全国的に減少傾向が見られ、大浜海岸の産卵数もも減少してしまいました。
現在では全国的に少しずつ回復傾向にありますが、四国や本州は、まだまだ回復してない状況です。カレッタではウミガメ研究者らと協力して、アカウミガメの回復に向けて調査や保護活動を行っています。

日和佐うみがめ博物館カレッタ
日和佐うみがめ博物館カレッタ

●成体の標識調査、保護
カレッタでは、地元の漁協関係者と協力のもと、網にかかったウミガメに標識を付けて放流しています。
標識はウミガメの生態の解明に役立ちます。
衰弱してい個体や、怪我している個体には、治療を施し、元気にしてから放流しています。
また近年ではウミガメの海での行動を探るため、衛生による追跡装置も行っています。

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