ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

メイシオ・パーカー@ビルボードライブ東京

2007-09-20 18:43:51 | ソウル、ファンク
THE JB HORNS / FUNKY GOOD TIME IN TOKYO

行ってきました! 9月16日、メイシオ・パーカーのライブを観に六本木のビルボードライブ東京へ。しかも今回は久々にフレッド・ウェズリーとピー・ウィー・エリスを伴っての来日ということで、期待に胸膨らませていきました。

この3人は60年代から70年代に掛けてジェイムス・ブラウンのバックを支えたホーン隊。といっても参加時期は微妙にずれていたり、出たり入ったりがあったりで3人揃った時期は意外と短いんですけどね。それでもそれぞれがJBバンドのリーダー的存在を勤めた凄腕達なのです。

で、彼等は80年代末にJBホーンズとして活動を始めます。90年代には何度も来日しました。その頃私は黒人音楽にどっぷりで(今もですが…)、特にこの3人こそがフェイヴァリット・アーティストでした。もちろん来日公演も何度か行きました。それは最高でした! ですが、いつしかメイシオとフレッドだけになり、そしてメイシオ一人になり、それでもメイシオのブルーノート公演とか、フレッドのJB'Sリユニオンとか、足を運びましたけどね。でもなんか寂しかったんですよ。で、いつしか彼等の来日公演もスルーするようになって早幾年…。

ですが今回はあの3人が揃って来る!それを知り心が躍りましたね。ま、そんな私の思いはともかくとして、この日のライブです! 私が観たのは9月16日第1部のステージでした。

客電が落ちるとまずはバンド・メンバーが登場。最近のメイシオを支えるお馴染みのメンバー達です。ギターはSOSバンド出身のブルーノ・スペイト、キーボードは今年の東京JAZZにも出演するウィル・ブールウェア、ベースはP-FUNK一派のロドニー・スキート・カーティス、バック・コーラスにJBファミリーの歌姫マーサ・ハイとメイシオの息子でラッパーでもあるコーリー・パーカー、そしてドラムにジャマル・トーマス。凄いバンドです!

さて、ステージはキーボード・ソロに導かれて「Fiesta」という曲でスタート。そしておもむろに登場した女性MCがあの3人を紹介。するとフレッドとピーウィーがまず登場し、最後に真打メイシオが姿を現します。客席は大盛り上がり。3人の並びはステージ中央にメイシオ、向かって左にフレッド、さらにその左にピーウィー。センターに3人が並んでないあたりに、あくまでも主役はメイシオであり、二人はゲスト扱いなんだな、と感じさせますが、この3人が並んでるだけでも感激物なのです。そして挨拶代わりの「Off The Fook」で3人が一斉にホーンを「パーン!」と吹いた瞬間「ウォー!」って感じ。堪りません!

バック・バンドも流石にファンキーでした。特にブルーノ・スペイトのギターにやられました。細かいコード・チェンジを繰り返しながらチャカチャカ、チャカチャカと、涼しい顔で強烈なカッティングを続けます。これがまた超ファンキー&グルーヴィー! 全てのノリを彼のカッティングが支配していたような印象。

そんな凄腕のバックに支えられ、全体的に流石はメイシオといった感じの完璧に錬られたステージ展開。JBホーンズらしい明るさに貫かれていながら演ってることはドロドロのファンクだったりする訳で、ホーンリフからギターカッティング、そしてサビ、ソロで盛り上げさらにホーンリフ、みたいなアメーバ的展開が気持ち良くビシバシと決まります。しかも途中「Papa's Got a Brand New Bag 」のキメ部分をスカっと挟み込んだりといったニヤけずには居られない仕掛けも有りな訳ですよ。そして主役となるメイシオはアルト・サックスを衰え知らずなキレで吹きまくり、さらにはフルート・ソロまで披露と、かなりノリノリ。

ですが一番印象に残ったのは必殺のスロー・ナンバー「Children's World」。この曲はもちろんメイシオの曲で、イントロが聴こえた瞬間、私はてっきりメイシオが吹くものだと思ったのですが、ここでメイシオは意外にもピー・ウィー・エリスを紹介しました。そしておもむろにマイクに近づくピーウィ-。お~!スロー・ナンバーでピ-ウィ-ですか! じっくりと聴き入りました。

ピーウィーのテナー・サックス、良い音してました。最初は咽び泣くように低音をブファブファ鳴らし、徐々に徐々に高い音へフレージングを展開して行きます。終盤は狂おしい程の高音を絞り上げるように泣かせ、観てるこっちもついウルウルみたいな。まさに独壇場。本当に素晴らしかったです。

終盤の見せ場は「Gimme Some More」。フレッド・ウェズリーの“これぞJB’S”なトロンボーン・ソロがカッコ良かった。やっぱりJB’Sの曲は盛り上がります。そしてフレッドはその微妙に可愛いキャラもあって人気者でした。ちなみにメイシオとピーウィーはスーツにネクタイでビシッと決めてきましたが、なぜかフレッドだけスーツを着てはいるもののノーネクタイでした。そんなところもフレッドらしい?

そしてアンコールも凄かった!「Funky Good Time」「Pass the Peas」「Soul Pawer」と怒涛の展開。途中、フレッドのソロへ入る時、メイシオが観客に『フレッド!』『フレッド!』と叫ばせ、するとフレッドが『え?俺?俺が吹くの?』みたいな顔とフリをする。お約束の演出ですけどこれが楽しい! そして満を持してフレッドがソロを吹き始める。また観客が『ウォー!』と沸く。こういうコテコテさもファンクの良いところ。アンコール含めておよそ1時間20分程のショーでしたが、短いなりに非常に濃い内容でした。

やっぱりこの3人は良いですね。今回はやはり主役はメイシオで2人はゲストという印象も強く受けましたが、それでもこの3人が揃えば何か特別な空気が生まれるのです。90年代のJBホーンズの空気はもちろん、あのJB'Sの空気まで…。

ちなみにJB'S時代の「Gimme Some More」や「Pass the Peas」のオリジナル録音には、ピーウィーはもちろんメイシオすら参加してないんですけどね…。でも今や3人の共有財産のようになっているところも特別な空気のなせる業かもしれません。

ちなみに他の日にはマーサ・ハイが歌う「Think」や、レイ・チャールズの「Georgia on My Mind」などを演ったりと、かなりプログラムを変えているようです。あ~、それも聴きたかった…。


*写真のアルバムは90年にJBホーンズとして来日した際のライブ録音盤「FUNKY GOOD TIME IN TOKYO」。この頃はピーウィーがセンターだったんです。3人はもちろん、ジム・ペインのドラムがファンキーでいいです。