ルーツな日記

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フジロック 必見アーティスト! その2

2017-07-19 23:01:00 | フジロック
THE MARCUS KING BAND / THE MARCUS KING BAND

今年のフジロックで、スタージル・シンプソンと並んで楽しみなのが、ザ・マーカス・キング・バンドです。

2015年にウォーレン・ヘインズのEvil Teen Recordsから、自主制作のデビューアルバム「SOUL INSIGHT」をリリースしていることからも想像出来る通り、オールマン・ブラザーズ・バンドの系譜に繋がる、南部系のブルース・ロック・バンドです。中心人物のマーカス・キングは、サウスカロライナ州グリーンビル出身の現在21歳。若手ながら「デレク・トラックス以来の衝撃」と噂される、注目のギタリスト。そう、デレク・トラックスと言えば、新世代ギタリストの代表格として名を轟かせてきましたが、マーカス・キングこそ、そのデレクに影響を受けたであろう、さらなる次世代ギタリストの筆頭なのです!! そして彼が率いるバンドメンバー編成は以下の通り。

Marcus King(lead vo, g)
Jack Ryan(ds,perc)
Stephen Campbell(b)
Matt Jennings(keys,org)
Dean Mitchell(sax)
Justin Johnson(tp, tb)


1stアルバム制作時はトリオ編成だったそうですが、現在はホーン隊も加わっての6人体制。彼らが昨年、テデスキ・トラックス・バンドも籍を置くコンコードミュージック傘下のファンタジー・レーベルから、ウォーレン・ヘインズのプロデュースのもとリリースしたメジャー・デビュー作が「THE MARCUS KING BAND」。


オールマン・ブラザーズ・バンドの影響下にありつつも、その後のジャム・バンド・ムーヴメントを通過した、爽快なグルーヴが、圧倒的に現代的なフィーリングを感じさせる。ホーン隊を擁するに至ったのも、やはりソウルやファンクを飲み込む過程のことでしょうし、そういったミクスチャー感覚で古き良き南部フィーリングをモダンにアップデートしたような、まさに次世代なサザン・ロックを聴かせてくれます。

オープニングを告げる「Ain't Nothin' Wrong With That」からいきなりラテン・フレイバーを感じさせるダンサブルなナンバーだったり、かと思えば土煙を舞い上げんばかりなブルース・ロック「Devil's Land」があったり、爽快グルーヴと浮遊するベースラインが印象的な「Self-Hatred」とか、フォーキーな美メロに耳を奪われる「The Man You Didn't Know」、オーガニックな空気感に包まれる「Guitar In My Hands」や「Sorry 'bout Your Lover」、そして王道サザンロックな「Virginia」などなど、現行バンドらしい雑食性にただただニヤけてしまうばかりですが、それらをマーカス・キング・バンドのサウンドとして見事に結実させる手腕は頼もしい限り。

その緩急自在のバンド・グルーヴが最高なのはもちろんですが、やはり注目すべきは中心人物のマーカス・キング。自らリード・ヴォーカルをとるその歌声は、ウォーレン・ヘインズを思わせるハスキーヴォイス。そしてまさにデレク・トラックス以降の新世代、高揚感の高いフレーズを連発するギター・プレイが圧巻。スライド・バーを使わずともスライド・ギターのようなフィーリングを醸すフレージングが驚異的。例えばトロピカルな陽性グルーヴが楽しい「Ain't Nothin' Wrong With That」も、彼のギター・ソロが入った瞬間からピリッと引き締まる。そして重心の低いどっぷりとしたブルース・ロック「Devil's Land」では、彼のギター・ソロが始まると一変、どこまでも高く駆け上るかのような高揚感に満たされていく。その一方で、フォーキーな「The Man You Didn't Know」で聴かせるメロウなギター・ソロにも痺れます。まさに、デレク・トラックス以来の衝撃ですよ!!

また、そのデレク・トラックスが「Self-Hatred」でマーカス・キングとギター・バトルを演じていたり、「Virginia」ではウォーレン・ヘインズが泥臭いスライド・ギターを唸らせていたり、「The Man You Didn't Know」でベースを弾いてるのはトッド・スモーリーだったり、インスト曲「Thespian Espionage」ではコフィ・バーブリッジがフルート・ソロを決めていたりと、オールマン〜デレク・トラックス周辺のゲスト参加も気になるところ。

やっぱり「Thespian Espionage」のようなプログレッシブでオリエンタルなメロを持ったフュージョン系の曲が入っているところに、オールマンの系譜に繋がるジャム・バンド気質を感じますよね。そういったジャム・バンド的な方向から見たハイライトは何と言っても「Plant Your Corn Early」でしょう。激熱ファンキー・グルーヴと豪快なリフ・ロックが交差するファンク・ロックですが、中盤は2人のホーン隊がジャジーなソロを繰り広げる展開、そして最後はマーカス・キングが弾きまくるという、いや〜、怒濤のライヴ演奏が目に浮かぶようです。

いやはや、フジロックが楽しみでなりません!!!




THE MARCUS KING BAND - "Plant Your Corn Early" (Live at JITV HQ in Los Angeles, CA) #JAMINTHEVAN



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