ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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ヘイリー・ロレン

2010-11-07 22:15:49 | ジャズ
HALLIE LOREN / AFTERDARK

10月末から11月初めにかけて、銀座ジャズこと「GINZA INTERNATIONAL JAZZ FESTIVAL」という抽選制のジャズ・イベントがありました。これに女性ジャズ・シンガーのヘイリー・ロレンが出演するということで、私も大喜びで応募したんですけど、見事にハズレてしまいました。ですが嬉しことに、新宿タワー・レコードと六本木ツタヤで彼女のインストア・ライヴがあるということで、喜び勇んで行ってまいりました。

まずは10月31日、新宿タワー・レコード。ミーハー魂を炸裂させて、最前列ド真ん中で堪能してきました。まずはリハーサルで「A Whiter Shade Of Pale」。そうです、プロコル・ハルムの「青い影」です。日本でのデビュー・アルバムとなった前作「They Oughta Write a Song」収録曲ですが、このカヴァーがすこぶる秀逸でして、原曲のイメージを残しつつ、しっとりアダルトなジャズ・ヴォーカル曲に仕立て上げられているんです。今回のバックはマット・トレダーのキーボードのみですが、それもまた素敵な感じ。リハゆえに短めで終わりましたが、これだけでもううっとりでした。

数分後、本番スタート! ヘイリー・ロレンは黒を基調にした大人っぽい衣装。そしてデューク・エリントンの「In A Sentimental Mood」からスタート。ロック曲をカヴァーする彼女も良いですが、ストレートなジャズ・スタンダード、しかもこういうスローな曲を歌うと流石にディープで痺れました。続くキューバ曲「Perhaps, Perhaps, Perhaps」では軽くステップを踏みながらラテンな息吹を伝えてくれる。オリジナル曲「Thirsty」はより一層に大人な雰囲気で。この曲はアルバムではボサノバ・ギターが印象的でしたが、鍵盤をバックに聴くのもまた良いですね。

とは言え、やっぱりちゃんとバンド・セットで聴きたいなという気持ちはあります。ですがバックがキーボードだけというのも、逆に歌の繊細の部分までじっくりと聴くことが出来て良かったかもしれませんね。まあ、とにかくヘイリー・ロレンの歌声はトロトロですよ。しかもただスウィートなだけでなく、ダイアナ・クラールのようなビターな香りや、ノラ・ジョーンズを思わすスモーキーな味わいも感じられる。さらに特徴的なのが、声のひっくり返り方。それがまた良いアクセントになってるんですよね。そしてそんな独特な歌声がフランス語詩により更なる魔力を持ったかのようなのが「La Vie En Rose」。これは圧巻でしたね。もううっとりでした。

ラストは「Bye Bye Blackbird」。この日のなかでは唯一のアップ・テンポ曲。抜群のリズム感で聴かせてくれましたが、こういう曲での彼女の歌唱はキュートですね~。後半は一つのマイクでマット・トレダーとスキャットをハモる場面もあったりで、最後らしい賑やかな雰囲気で終わりました。終了後はサイン会。私もしっかりサインを頂きました。


そして11月2日、六本木ツタヤ。六本木ツタヤはスターバックスと一緒になっているので、開演前、ヘイリー・ロレンは普通に一般席でマット・トレダーやスタッフの方々とお茶を飲んでるんです。なのでひっきりなしにファンの方達に写真をせがまれてましたが、それぞれに笑顔で応える姿が可愛かったですね。そんなこんなでタワレコとはまた違う和気あいあいな雰囲気。そして本番スタート。1曲目はスウィンギーに「Blue Skies」から。タワレコではしっとりと始まりましたが、この日は軽快にスタート。そして「Thirsty」、「La Vie En Rose」、「Perhaps, Perhaps, Perhaps」と続きました。気がつけば凄い人が集まっています。タワレコより断然盛り上がっている感じ。やはり1階のガラス張りというツタヤ&スタバの立地が功を奏したのか? それともヘイリー・ロレンの銀座ジャズ出演が11月1日だったので、それを観てもう一度観たいと思った方が沢山いらしたのか? ま、どちらにしろ嬉しいですよね~。

で、この日のハイライトはやはり「A Whiter Shade Of Pale」ですかね。タワレコの時は何故かリハでしか演りませんでしたからね。鍵盤のみで緩急つけた極上なグルーヴを作るマット・トレダーも流石でした。ラストは「Bye Bye Blackbird」。終わったあとの盛大な拍手にアンコールもあるか?と思いきや、司会の人に上手く纏められてしまいました…。終わったあとはサイン会。いつ終わるとも知れないような長蛇の列が出来ていました。ヘイリー・ローレンさん、お疲れさまでした! ちなみにこの日のヘイリー・ロレンの衣装も黒を基調にしたものでしたが、終演後に真っ赤なコートを羽織った姿も素敵でした。


上の写真はタワレコでサインを頂いた最新作「AFTERDARK」。前作でプロコル・ハルム「A Whiter Shade Of Pale」、オーティス・レディング「The Dock Of The Bay」、キンクス「Sunny Afternoon」といったロック/ソウル曲のジャズ・カヴァーが話題になったヘイリー・ロレン。今作はさらにその選曲が技ありの光を放つ好盤。まずは女性カントリー・シンガー、ボビー・ジェントリーの名曲「Ode To Billie Joe」を取り上げているのが面白い。もともとブルージーな感覚のある曲ですが、それをさらにブルーにジャジーにしたアレンジが秀逸。さらにジョニ・ミッチェルの「Carey」を朗らかに歌い、トレイシー・チャップマンの「Give Me One Reason」をしっとりとファンキーに仕立て上げる。スティーヴィー・ワンダーの「Happier Than The Morning Sun」は開放的な幸福感が超気持ち良い! そして極めつけはエディット・ピアフの「La Vie En Rose」。吐息まじりの歌声にうっとりです。さらに「In A Sentimental Mood」や「Bye Bye Blackbird」といったジャズ・スタンダードもありますし、もちろんオリジナル曲も聴かせてくれます。そしてそんなヴァラエティに富んだ曲をあくまでも自分の呼吸で歌い紡いでゆくヘイリー・ロレンの歌唱にはやはり耳を奪われますね~。ビター・スウィート!!




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