ルーツな日記

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コジモ・マタッサ、安らかに

2014-09-13 06:43:42 | ニューオーリンズ
VA / Cracking The Cosimo Code ~ 60s New Orleans R&B & Soul

ニューオーリンズでスタジオを経営し自らエンジニアを務め、ニューオーリンズR&Bの隆盛に深く寄与したコジモ・マタッサが、9月11日、88歳で亡くなられたそうです。

昨年、「THE COSIMO MATASSA STORY」の第2集がリリースされ、第1集同様にニューオーリンズR&Bの歴史そのものといった濃密な内容が話題になっていましたし、さらについ先日、英ACEから60年代におけるコジモ・スタジオ録音曲のコンピ「Cracking The Cosimo Code ~ 60s New Orleans R&B & Soul 」(写真)がリリースされたばかりですから、いよいよコジモ・マタッサの功績が本格的に見直される時分になったのか?なんて喜ばしく思っていた矢先の訃報に、驚きつつ残念でなりません。

コジモ・マタッサがニューオーリンズのランパート・ストリートにJ&Mスタジオを開設したのは1945年、彼がまだ18歳の時だったそうです。50年代になるとロイド・プライス「Lawdy Miss Clawdy」、ギター・スリム「The Things That I Used To Do」、プロフェッサー・ロングヘア「Tipitina」、シュガーボーイ・クロフォード「Jock-o-Mo」、スマイリー・ルイス「Blue Monday」、アート・ネヴィル(ホウケッツ)「Mardi Gras Mambo」などなど、数々のニューオーリンズ・クラシックがここで録音されました。

そして特筆すべきは多くのレコーディングでデイヴ・バーソロミュー楽団の腕利き達がバックを務めていたこと。すなわちジャスティン・アダムス(g)、アーネスト・マクリーン(g)、フランク・フィールズ(b)、リー・アレン(ts)、レッド・テイラー(ts,bar)、そしてアール・パーマ(ds)などなど。もちろん楽曲によって様々なミュージシャンが入れ替わり立ち代わりだったことでしょうが、彼らがこのスタジオで育んだグルーヴこそがニューオーリンズR&Bの屋台骨となったのです。

1956年に、フレンチ・クォーター内への移転をきっかけに名をコジモ・スタジオと改めた後も、ヒューイ・スミス、アール・キング、エディ・ボー、アラン・トゥーサン、ジェシー・ヒル、アーロン・ネヴィル、アーマ・トーマスなどなど、名だたる名シンガー達がここで録音し、スターとなっていきました。

そしてもう一人、忘れてならないのがリトル・リチャード。もちろんニューオーリンズのアーティストではありませんが、おそらくロイド・プライスとレーベル・メイトだった縁でしょうか?彼もコジモ・マタッサのスタジオを訪れます。そしてJ&Mスタジオでは「Tutti Frutti」を、コジモ・スタジオでは「Long Tall Sally」、「Rip It Up」、「The Girl Can't Help It」、「Lucille」、「Good Golly, Miss Molly」など、彼の代表曲の数々を録音しています。またバックを務めたアール・パーマーの強烈なバック・ビートは、まさに元祖ロックン・ロール・ビート!!

ニューオーリンズR&Bだけではなく、ロックン・ロールそのものにも計り知れない貢献をしたコジモ・マタッサと彼のスタジオ、まさに伝説です。


コジモ・マタッサさん、安らかに。



THE COSIMO MATASSA STORY VOLUME 1
1950 年から移転後の1956年まで収録の4枚組。デイヴ・バーソロミュー、ファッツ・ドミノ、スマイリー・ルイス、ロイド・プライス、プロフェッサー・ロングヘア、ヒューイ・スミス、アール・キング、そしてリトル・リチャードなどを収録。バックの演奏も最高です!



THE COSIMO MATASSA STORY VOLUME 2
こちらは1955年から1961年まで。第1集とはメンバーも変わってきまして、いよいよアラン・トゥーサンが登場します。もちろんこちらも4枚組の大ヴォリューム。第1集同様、各曲のバック・メンバーまで明記されたブック・レットは資料としても重宝します。



トップの写真は、上記の2組とは別シリーズのもので、英ACEからつい先日リリースされた、60年代のコジモ・スタジオ録音を集めた作品「Cracking The Cosimo Code 60s New Orleans R&B & Soul」。流石は英ACEな選曲!!写真の多いカラーのブックレットもなかなか充実。日本盤出して欲しいです。


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