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ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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フジロック直前 GARY CLARK JR. への期待!!

2019-07-20 23:48:15 | フジロック
GARY CLARK JR. / THIS LAND

フジロックで最も楽しみなアーティストは誰だ??

と問われた時、今、真っ先に私の頭に浮かぶのは、ゲイリー・クラーク・ジュニアです。

3年半振り3作目のスタジオ作となる、今年発売された最新アルバム「THIS LAND」がすこぶる良い。今の時代のブルースは、ソウルもロックも飲み込んだ魔物の様なサウンドだ!! そんな宣言のような作品。ヘヴィ・ファンクなタイトル曲「This Land」にはじまり、「What About Us」、「Got To Get Up」、「Low Down Rolling Stone」など、ボトムの太いグルーヴを際立たせながらも、そこに絡むギターは強烈にエモーショナル! ロックなスロー・ブルース「I Got My Eyes On You」、レゲエ・フィールな「Feelin' Like A Million」、サム・クック調R&B「When I'm Gone」、さらにガレージ・パンクな「Gotta Get Into Something」、エレキギター弾き語りのプリミティヴなブルース「Dirty Dishes Blues」もある。ソウルフルなファルセット・ヴォイスが印象的な「I Walk Alone」など、多彩な表現力のヴォーカルも良い。

そんなジャンルの枠に捕われない感覚こそ新世代であり、それがゲイリー・クラーク・ジュニアをデビュー時から特別な存在たらしめている所以であろうとは思うものの、ゲイリーの本質はブルース・ギタリストであり、その一音一音に感情を込めるような、伝統的なブルース・スタイルを受け継いでいるからこそ、今の時代、彼は賞賛を受け続けているのではないでしょうか?

今作中で私が最も好きな曲は「Pearl Cadillac」。バラード調のこの曲でのゲイリーのギター・ソロは本当に素晴らしい。これぞ泣きのブルースですよ。あとね、速弾きしないところも良い。

Gary Clark Jr. - "Pearl Cadillac" [Live @ SiriusXM]


ゲイリーは何かのインタビューで「ギター・ソロは一か八かみたいなもの」と語っていました。なんか嬉しかったですね。それこそがブルースですよ!!ゲイリーのギター・ソロにはそんな逼迫感があるんです。そこに惹かれるんです。




ここで、これまでの彼の歩みを、華麗な共演歴を軸に追ってみたいと思います。


1984年2月15日、米国テキサス州オースティン生まれのゲイリー・クラーク・ジュニア。初めてギターを手にしたのは12歳の時。その後、有名なブルース・クラブ「アントン」のオーナー、クリフォード・アントンに見初められたり、ジミー・ヴォーンにギターの手ほどきを受けたりもしたとか。07年頃には、オースティン・ミュージック・アウォードで「ベスト・ブルース・アーティスト」を受賞する程にかの地にその名が知れ渡っていたそうですが、それが全国区に轟いたのは、何と言ってもエリック・クラプトンのクロスロード・ギター・フェスティバルへの出演を果たした時でしょう。2010年でした。

Gary Clark Jr. - Bright Lights


この時まだ、メジャー・デビュー前ですからね。エリック・クラプトンの審美眼恐るべしですし、エリックに認められたという事実は、彼を新しいブルース・ギター・ヒーローに押し上げるに充分だったと思います。翌2011年、メジャーデビューEP「THE BRIGHT LIGHT - EP」をリリース。いよいよ名実共に表舞台へ躍り出ます。

そんなゲイリーを真っ先に見初めた一人がアリシア・キーズでした。2011年11月、アリシアは自らホストを務めるチャリティー・コンサート「Keep a Child Alive Black Ball」でゲイリーと共演しました。

Gary Clark Jr. & Alicia Keys - While My Guitar Gently Weeps [Live]


このギター・ソロ、最高ですよね。アリシアのゲイリーに惚れ込んでいるであろう様子がまた熱い!!これ以降しばらく、ゲイリー・クラーク・ジュニアを紹介する文章の多くに“アリシア・キーズが絶賛する”みたいな枕詞が付くようなるんですが、それはその事実だけでなく、ゲイリーの音楽性をも表すことになり、古典的なフィーリングを新時代のソウル感で鳴らすような彼のブルースは、まさに新しい時代の幕開けを感じさせてくれました。この後、ゲイリーはアリシアの2012年作「GIRL ON FIRE」にゲスト参加もします。

そして彼の快進撃は2012年の2月、ホワイト・ハウスにてオバマ大統領夫妻が主催する『In Performance at the White House: Red, White and Blues』に出演したことにトドメを差します。

In Performance at the White House | "Five Long Years" | PBS


オバマ大統領の目の前でミック・ジャガー、ジェフ・ベック、バディ・ガイと横並びで「Five Long Years」をセッションしているんですから、凄いですよね。まさに新世代代表ですよ。ちなみにこの時、まだメジャーからの1stアルバム「BLACK & BLU」は発売前ですからね。ここでミック・ジャガーに気に入られたのか、その年の暮れにはローリング・ストーンズのステージにもゲスト参加します。ジョン・メイヤーと共に若きギタリストとして「Going Down」を演奏。

The Rolling Stones, Gary Clark Jr. & John Mayer_Going Down Live


キース&ロンも含めたそれぞれのギター・ソロを楽しめますが、やはりゲイリー・クラーク・ジュニアのギターは最もブルースで、黒人ならではのファンキーさに溢れ、本当に格好良い!!音と映像がズレているのが残念ですけど…。

2012年10月に「BLACK & BLU」、2015年9月に「THE STORY OF SONNY BOY SLIM」、そして今年2月に最新作「THIS LAND」と、スタジオ作でも着実にキャリアを積み重ねて来たゲイリー・クラーク・ジュニア。その間、シェリル・クロウ、バディ・ガイ、フー・ファイターズ、ロバート・グラスパー、ケイヨン・ハロルド、アンソニー・ハミルトン、 トム・モレロ、そしてチャイルディッシュ・ガンビーノ等々、多種多彩な作品、楽曲でギターを弾いています。

また、グラミー賞受賞式など大舞台にも度々出演し、大物アーティスト達と共演を重ねています。

NBA All Star Game 2014 - Halftime Show (Trombone Shorty & Friends)


上の映像は、2014年のNBA All Star Gameのハーフタイムショーのダイジェスト。トロンボーン・ショーティーのステージにゲスト出演しています。そしてゲイリーの後には、あのジャネール・モネイが。今年のフジロックにはジャネール・モネイも出ますが、あろうことかゲイリーと被ってるんですよねー。ここ、どうします?

Beyoncé, Ed Sheeran & Gary Clark Jr. - Tributo a Stevie Wonder (Legendado) Stevie Wonder Grammy tribute 2015.


こちらはグラミー関連の、スティーヴィ・ワンダー・トリビュート公演の一コマ。なんとビヨンセを中心に、エド・シーラン、ゲイリー・クラーク・ジュニアの3人が横並びです。この画を見ただけで、ゲイリー・クラーク・ジュニアがいかに求められているか?わかりますよね。若き黒人ブルース・ギタリストが、これほどメジャー・シーンに求められている例を私は他に知りません。

もちろんゲイリーの場合は、ブルースという一言では到底語れませんし、むしろブルースの枠を超えているがゆえの新しさだったりする訳でですが、でもそこにはしっかりと古き良きブルースが生きている。むしろそのピュアなブルース・フィーリングこそ、彼の本質であり、求められる所以なのでしょう。

デビュー当時の衝撃から速幾年、いまだにその注目度は衰えるどころか、ますます高まるばかりのゲイリー・クラーク・ジュニア。さて、フジロックではどんな彼流のブルースを響かせてくれるのか?ヘヴンではなく、ホワイトなところもまた良いじゃありませんか!!楽しみでなりません!!

ブルースの未来はゲイリーに預けた!



ALICIA KEYS / GIRL ON FIRE
アリシア・キーズの2012年作。アリシアとマックスウェルがデュエットする「Fire We Make」に参加。終盤に存在感抜群のギター・ソロを弾くだけでなく、作曲者としてもクレジットされています。




FOO FIGHTERS / SONIC HIGHWAYS
フー・ファイターズによるアメリカ探訪の2014年作。「What Did I Do? / God as My Witness」でゲイリーは最高なギター・ソロを弾いてます。そのライヴ動画がこちら→https://www.youtube.com/watch?v=Ofq62Nc-rik



OST: MILES AHEAD
マイルス・デイヴィスの映画『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間』のサントラ。「What's Wrong With That? 」にクレジットされたメンバーは、ロバート・グラスパー、エスペランザ・スポルティング、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、アントニオ・サンチェス、ケイヨン・ハロルド、そしてゲイリー・クラーク・ジュニアですよ!凄くないですか!?もちろん、ジャズです。



CHILDISH GAMBINO / AWAKEN, MY LOVE!
時代の申し子チャイルディッシュ・ガンビーノ。この傑作アルバムでも「The Night Me and Your Mama Met」でゲイリー・クラーク・ジュニアがフィーチャーされています。ほとんどゲイリーの独壇場のような曲で、作曲者にもクレジットされています。

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