ルーツな日記

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フジロック 必見アーティスト! その4

2017-07-25 22:14:29 | フジロック
ELVIN BISHOP / ELVIN BISHOP'S BIG FUN TRIO

毎年、フジロックには台風の目のようになるアーティストが出現します。いわゆる複数ステージに出没し暴れまくる系です。昨年であればコンブリオがまさにそれ。13年のスキニー・リスターや、09年のレーヴェン辺りはもはや伝説ですね。概ね日本ではまだ知られていない、初来日の新進気鋭なアーティスト達が、そういった役割を演じるのですが、以外と今年の台風の目は、大ベテラン、エルヴィン・ビショップかもしれません。


まずは初日のグリーン・ステージで、ROUTE 17 Rock'n'Roll ORCHESTRAのフィーチャリング・メンバーとして出演、そして深夜にはクリスタル・テントで自身のトリオで出演、そして翌日のフィールド・オブ・ヘブンと、計3ステージに登場です。70代半ばという高齢をものともしないマルチ・エントリーには、正直、驚きました!!このお方、ブルース・ロックの大レジェンドですからね。

1942年、カリフォルニア生まれのエルヴィン・ビショップ。オクラホマ州タルサの農村に育ち、奨学金を得てシカゴ大学に進学します。そしてそのシカゴでポール・バターフィールドと出会います。1962年、まさに運命の出会いでした。2人してクラブへ出入りをし、黒人ブルースマン達とセッションを繰り返したそうです。それが後のポール・バターフィールド・ブルース・バンドへと発展していきます。ポール・バターフィールド・ブルース・バンドのギタリストと言えば、マイク・ブルームフィールドが有名ですが、そもそもバンドを始めたのは、ポールとエルヴィンの2人だったのです。

デビューは65年、白人を中心とした、本格的なブルースバンドとして画期的なバンドでした。65年と言えば、英国ではローリング・ストーンズが2ndアルバム「THE ROLLING STONES NO.2」をリリースし、ジョン・メイオール&ブルース・ブレイカーズが「JOHN MAYALL PLAYS JOHN MAYALL」でデビュー、そしてヤードバーズは前年の暮れにライヴ盤「FIVE LIVE YARDBIRDS」でデビューした勢いに乗る、そんなブリティッス・ブルース華やかしき頃でした。彼らはある意味、本場アメリカのブルースへの羨望を形にしていたようなものでしたが、ポール・バターフィールド・ブルース・バンドは、まさにブルースの本場である米シカゴから登場した本物の白人ブルース・バンドだった訳ですから、当時の衝撃と、後続に与えた影響は計り知れません。また66年リリースの2nd作「EAST-WEST」は本格的なインプロヴィゼーションを持ち込んだ名盤で、同年にデビューしたクリームと共に、ロック史の1ページを塗り替えました。

68年にポール・バターフィールド・ブルース・バンドを脱退したエルヴィン・ビショップは、フィルモア・レコード、エピック、カプリコーンと渡り歩き、76年には「Fooled Around And Fell In Love」の大ヒットを生むことになります。ポップではありますがレイドバックした緩やかなラヴソングは、ロッド・スチュワートもカヴァーした名曲です。

近年もコンスタントにアルバムをリリースし続け、グラミー賞にノミネートされるなど高い評価を得ています。そんなエルヴィン・ビショップの最新作が今年リリースされた「ELVIN BISHOP'S BIG FUN TRIO」です。タイトル通り、エルヴィン・ビショップ(g.vo)、Bob Welsh(g,piano)、 Willy Jordan(percussion,vo) のトリオ編成。特筆すべきはリズムがカフォンなところ。このシンプルなリズムがかなり強烈。そしてギタリストのBob Welshがベースのような太い低音を繰り出し、曲の途中でピアノにスイッチしたりする。トリオならではの人力アレンジにそそられます。そして妙な酩酊感に惹かれるエルヴィン・ビショップの歌とギターがまた最高なんです。最近、ブルースの新録にはそれほど惹かれなくなった私ですが、これは良いです!! ブルースの酸いも甘いも知り尽くした大ベテランならではの、プリミティヴな衝動に溢れています。このトリオによるライヴが早くもフジロックで観れるなんて!!


フジロックは2回目となるエルヴィン・ビショップ。2012年、フィールド・オブ・ヘヴンに登場した前回は、名曲「Fishin'」の演奏途中にフィールドに降り、観客達に幾重にも取り囲まれながらギターを弾きまくったり、さらに歓喜狂乱渦巻くなか、女の子を一人ステージへ攫って帰るという離れ業をやってのけ、しかもステージ上でギターを渡されたその女の子がやたら盛り上げるという、ヘヴンならではの幸福感。あれは私の中でかなりの名場面として記憶に残っています。今年のエルビン・ヴィショップも、どんなミラクルが起こるか分かりませんよ!!

あとエルヴィンは日本語が得意だそうで、どんな日本語が飛び出すか?それも楽しみだったり。