ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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フジ予習:フジロックを黒く塗れ!

2016-07-11 21:56:16 | フジロック
いよいよフジロックが近づいてまいりました今日この頃、フジロッカーズの皆様はタイムテーブルのシュミレーションに頭を悩ましていることでしょう。さて、「ルーツな日記」的に見た今年のフジロック最注目は、ずばり、ブラックミュージックです!! という訳で、苗場の山を真っ黒に塗るアーティスト達、どうぞ!


まずは苗場に降臨する最新鋭のブラック・ミュージック。



KAMASI WASHINGTON / THE EPIC
最終日、ヘヴンのトリを飾るカマシ・ワシントン!! 今最も注目されるLAの最新鋭ジャズ集団、その中心人物がこのカマシです。ジャズという枠を飛び越え、昨年のブラックミュージックを代表する1枚と言っても過言ではない3枚組の大作「THE EPIC」を携え、まさにカマシ軍団と呼ぶに相応しいつわもの達を従えての、ジャズはもちろん、ソウルも、ファンクも、アフロも全てを濃密に飲み込んだような来日公演が凄まじかっただけに、フジでカマシのブラック・スピリチュアル・ジャズがどう響くのか、今からワクワクしっぱなしです。アーティスト・データーのメンバー欄は相変わらず空欄ですが、ぜひ、ブランドン・コールマン、マイルス・モズレー、ロナルド・ブルーナーJr.、トニー・オースティン、ライアン・ポーター、パトリス・クインなど、軍団メンバーを引き連れて来てもらいたいものです。





Robert Glasper Experiment / Black Radio 2
カマシが西海岸なら、ニューヨークから最新鋭ジャズを切り開いて来たのがこの人、ロバート・グラスパー!! そもそも、ジャズからヒップホップ/R&Bへとアプローチし、新たなブラック・ミュージックの潮流を生み出した張本人がこの人であり、この人の音楽的成果がなければ、カマシを含む昨今の先鋭ジャズ・ミュージシャン達のアプローチも違ったものになっていたかもしれないのです。そんなグラスパ-、昨年はまた初期のピアノ・トリオに戻ったりしていましたが、フジロックにはR&Bプロジェクトと言っても良いロバート・グラスパー・エクスペリメント名義で降臨。メンバーはロバート・グラスパー(Keyboards)、ケイシー・ベンジャミン(Saxophone, Vocoder)、アール・トラヴィス(Bass)、マーク・コレンバーグ(Drums)という、近年のエクスペリメントを担う強力メンバーが揃ってやってくる模様。フジロックにはクールすぎるのでは?という印象もありますが、ホワイト・ステージで、しかもベビーメタルの前という位置で、どんな音を鳴らしてくれるのか?楽しみです。





THE INTERNET / EGO DEATH
LAのヒップホップ界を揺るがすOFWGKTAことオッド・フューチャーの一派ということで、グラスパーとは逆に、ヒップホップからジャズに近づいたとも言えるバンド、ジ・インターネット。元々は女性シンガーのシド・ザ・キッドと、クリエイターのマット・マーシャンズの2人によるプロジェクトだったはずで、デビュー時はインディー・エレクトロ的な雰囲気もあったりしたのが、2nd作を経て最新3rd「EGO DEATH」で完全にバンド化。ジャズとは異なるフィールドから生まれながら、メンバーにカマシの仲間である、サンダーキャットやロナルド・ブルーナーJrの2人を兄に持つジャミール・ブルーナー(key)が名を連ねている辺りに、現行シーンの遺伝子を感じさせられます。最先端の“揺れる”グルーヴが苗場の空気に染み渡る。





続いてフジを賑わす黒人シンガーに注目。



LEON BRIDGES / COMING HOME
昨年のソウル界を席巻した若き黒人シンガーと言えばこの人、サム・クックの再来とまで言われる、テキサス州フォートワース出身のリオン・ブリッジズです。まるで古き良き60年代にタイムスリップしたような朗らかなサザン・ソウル。これほどまでにオールド・スクールな歌唱は、洗練を繰り返す現行シーンにおいて逆に新鮮。今、最も熱い視線を向けられる若き才能を、フジで観れるのは嬉しいかぎり。飾り気のない朴訥とした黒いフィーリングが、フィールド・オブ・ヘヴンの山間に谺することでしょう。 しかし惜しむらくは、ロバート・グラスパーと被ってるんです。ここ、なんとかなりませんかね〜。





THE HEAVY / THE GLORIOUS DEAD
黒人シンガーを擁するソウルフルなロック・バンドという意味では、かのヴィンテージ・トラブルと双璧をなす印象のザ・ヘヴィー。ですがヴィンテージ・トラブルが米国のバンドなのに対し、ザ・ヘヴィーはUK出身のグループ。日本ではペプシの「桃太郎」CMでブレイクしたように、そのサウンドは英国らしい物語性を感じさせるスケールの大きなアレンジが強力。ですがそのアレンジ以上に強烈なエモーショナルを撒き散らすのが黒人シンガーのスワビー!!彼の黒々とした存在感が、ザ・ヘヴィーをヘヴィーたらしめています。フジロックには2014年に出演しグリーンステージを湧かした彼ら、今回はホワイト・ステージに登場です。






CON BRIO / PARADAISE
そして勢いではヴィンテージ・トラブルとザ・ヘヴィーを既に凌駕しそうな新鋭が、このコン・ブリオ。サンフランシスコを拠点とする白人、黒人の混成バンドとなる彼らは、今年、マリオ・カルダードJr.によるプローデュースの元、デビュー・アルバム「PARADAISE」をリリースしたばかり。ホーン・セクションを擁したファンキーなサウンドを決めつつ、現代的なミクスチャー感覚溢れるロックなスピリッツも濃厚。中心人物である黒人シンガーのジーク・マッカーターは、テキサス出身の23歳だそう。弾力と粘着力を持ったしなやか且つセクシーなハイトーンはこの上なくエネルギッシュ。既にボナルーなど幾つものフェスに出演し、そのステージングも折り紙付きだとか。フジではヘヴンとパレスに出演します。





BEN HARPER & THE INNOCENT CRIMINALS / CALL IT WHAT IT IS
そしてこの人を忘れてはいけません。ブラック・ミュージックからのアメリカーナを見据えたロックへのミクスチャーという点では、もはや元祖と言っても良い存在、ベン・ハーパーです。「黒人版ライ・クーダー」などと賞された彼も活動20年を超えるベテランとなりました。今年は久々にベン・ハーパー&ジ・イノセント・クリミナルズ名義の新作を発表し、その勢いでフジにやってきます。03年、ホワイト・ステージのトリを務めた彼らのステージは、私にとってフジロック歴代ベスト5に入る名演でした。やっぱベンはイノセント・クリミナルズじゃないと!って感じですよね。今回はレッチリ直前のグリーン・ステージという凄い位置に入りましたが、鉄板のライヴを観せてくれることでしょう。ベンのギター・ワークはもちろん、ブルージー且つエモーショナルな歌心に酔いしれたい。ジャンベ・マスター、レオン・モブリーにも注目です!




こう並べてみると、カマシ・ワシントン、ジ・インターネット、コン・ブリオ、そしてベン・ハーパーと、西海岸系の勢いを感じさせられますね。そしてリオン・ブリッジズ、ジーク・マッカーター、さらにロバート・グラスパーと、テキサス出身者が目立つのも面白い。フジロックを最注目の黒人アーティスト達、楽しみですね〜。


いやいや、これで終わりではありません。フジロックと言えばカリブ勢。今年も大物がやってきます。



ERNEST RANGLIN / GOTCHA!
ギタリスト/アレンジャーとしてジャマイカン・グルーヴの想像主の一人に数えられ、かの地の至宝と謳われる、生ける伝説アーネスト・ラングリン。フジロックは2回目になりますが、今回は”フェアウェル・ツアー”の一環としての来フジであり、日本で観れるのもこれが最後になるかもしれないと聞けば、これは見逃し厳禁ですよね〜。しかも帯同するフレンド達がまた凄い!ドラムはトニー・アレンですよ!アフロビートの始祖フェラ・クティの元でそのリズムを担っていたレジェンドですから。つまり、スカとアフロビートのオリジネイター同士の共演、それが生で観れるんですから、ワクワクしますよね〜。さらにフレンドにはジャマイカ系イギリス人ジャズ・サックス・プレイヤーのコートニー・パイン、セネガルの大物シンガー、シェイク・ローといった、ソロ作を幾枚もリリースしている強者達も名を連ねています。豪華ですよね〜?豪華すぎて本当にこのフレンド達が苗場まで来るのか心配になってきますが、これは実際にステージを観るまで分からない系かもしれない…。それぐらい凄いメンバー!! 最終日のヘヴンは、リオン・ブリッジズ〜アーネスト・ラングリン〜カマシ・ワシントンという、近年屈指の至福リレー!!



THE COMPLETE UK UPSETTER SINGLES COLLECTION VOLUME 1
そしてアーネスト・ラングリン以上にジャマイカの生きる伝説、お馴染みのリー・ペリー!!もう説明不要ですよね。フジには第1回目にもエントリーされてましたし、これまでに何回も来ていますから、もう常連の印象ですよね。スカ、レゲエの歴史に大きく関わったアーネスト・ラングリンとリー・ペリーを、日本で同時に観れるというのはほぼ奇跡に近いかも。さらにリー・ペリーは近年、THE ORBとコラボ作をリリースしたりしていますから、土曜ピラミッドガーデンのアレックス・パターソンに飛び入りしたり?なんてことは多分ないでしょうけど…。