ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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ダイアン・バーチ @ビルボードライヴ東京

2016-05-20 19:55:44 | SSW
5月9日、ビルボードライヴ東京にて、ダイアン・バーチのライヴを観てまいりました!!この日は日本公演の初日で、私が観たのはその1stショー。


09年のデビュー作「BIBLE BELT」により古き良きSSWやニューソウル的なフィーリングで颯爽とシーンに登場し、2014年の2nd作「SPEAK A LITTLE LOUDER」ではより現代的、オルタナ的な方向にシフトし、今年リリースされたばかりの最新作「NOUS」では、さらにダークに、内省的な深みを増した世界を聴かせてくれるなど、作品を重ねるごとに進化を遂げている彼女。2014年以来2年振りの来日公演です。


客電が落ち、バンド・メンバーが登場。エリヤ・ライヒェン(Key)、スチュアート・マシューマン(Sax)、マーティン・シュトゥンプフ(B)、ヤニス・ゲルラッハ(Ds)の4人。2014年の前回来日からバンドを一新してきましたね、現在ダイアン・バーチが活動拠点としているというベルリンの人脈でしょうか?そのベルリン録音となった最新作「NOUS」にも参加したサックス奏者のスチュアート・マシューマンは、あのシャーデーのバックを長年務めてきている人。前回はビン・ジ・リンというメロウ・フィオーリングな職人ギタリストが核になっていた印象でしたが、今回はこのスチュアート・マシューマンが鍵になりそう。


さて、バンド・メンバーに続いてステージに上がったダイアン・バーチ。シックなドレスに身を包んでいるものの、深く切れ込みの入ったスカートはかなりセクシー。そして一言「こんばんは」と挨拶してピアノを弾き始める。その儚げな音色に導かれる曲は、最新作「NOUS」から「Stand Under My Love」。聴く者の内面を緩やかに浸食するかのようなバンド・グルーヴ、独特の緊張感のなか響くダイアンの歌声にうっとり。あのソウルフルな美声はそのままに、より深みを増した歌表現に心を打たれます。

そして2曲目以降も「Kings Of Queens」、「How Long」、「Walk On Water」と、新作「NOUS」からの楽曲が続き、その世界観をどっぷりと聴かせてくれる。中でも、深く沈み込むような曲調に物悲しく映えるダイアンのファルセットが美しかった「Kings Of Queens」とか、、幽玄なサウンドスケープにスチュアート・マシューマンのサックスの音色とダイアンの歌声が交差する「Walk On Water」辺りは特に素晴らしかったですね~。スタジオ作で聴かれるアンヴィエントな雰囲気を、生演奏ならではの人間味で捉えたようなバンドアレンジも見事でした。

続いてダイアンが思わせ振りにピアノを弾き始めたそのイントロは、1st作「BIBLE BELT」から「Fools」。やはり待ってました!ですよね。なんだかんだ言って、みんなデビュー作への思い入れは強いんですよ。序盤はなんとなく「NOUS」のウェットな質感を引き継いでいるような雰囲気を感じさせつつ、サビを終えたあたりから勢いづき、2番を歌いだす頃には観客席から手拍子もかかると、ダイアンの歌声もみるみるソウルフルに加速していく。そこにスチュアート・マシューマンによる爽快感抜群のサックスソロが追い打ちを賭け、ライヴならではのスイートな躍動感が駆け抜ける。やっぱり名曲。ですがこの日の個人的ハイライトは次の曲だったり。

続いてデビュー作から「Fire Escape」。いや~、これはダイアン・バーチのソウルフルなゴスペル・フィーリングが爆発でした!!素晴らしかった!もう本当に聴き惚れましたよ!ここぞというところで一人多重コーラス的なエフェクトをかける辺りも憎かったですね。ダイアンの歌声というのは何処か不思議な存在感がありますよね。爽やかでありながら、ディープな感性を内包している。エモーショナルに発散しながらも静けさが感じられる。この曲では特にそういうダイアンの魅力をたっぷり堪能させて頂きました。

さて、ステージはダイアンのピアノ弾き語りコーナーへ。まずはスチュアート・マシューマンのサックスとのデュオで再び「NOUS」から「Woman」。ピアノと歌とサックスによる、何処か教会を思わすような静寂とした雰囲気が素晴らしかった! さらに切れ目無しに「Smooth Operator」。来ました!シャーデーのカヴァーですよ!こういうサプライズは嬉しいですね。もちろんスチュアート・マシューマンのサックスも最高。そしてそのスチュアートもいったんステージを去り、いよいよダイアン一人の弾き語りに。曲は「Magic View」。これもデビュー作からですけど、意外と言うか、かなり渋い選曲ですよね。もちろん絶品でした。レアな選曲はまだ続きます。次はなんと新曲。おそらく「ライヴでやるのは初めて」とか「間違えたらすいません」とか言っていたように思います。「NOUS」に連なる魅力の曲でした。(後日公開されたセットリストによりますと「JUNO」という曲だそうです。)

いつの間にかバンドメンバーも戻ってきていて、いよいよステージも終盤。2nd作「SPEAK A LITTLE LOUDER」からタイトル曲「Speak A Little louder」と「Superstars」。それまでずーっとピアノの前に座りっぱなしだったダイアンでしたが「Speak A Little louder」では立ち上がってピアノから離れて歌う場面も。立ち上がるとすらっとしていてまるでモデルさんのような美しさ。参りますね~。そしてメンバー紹介を兼ねてバンド・メンバーによるグルーヴィーなインスト曲から名曲「Nothing But A Miracle」へ。

キーボーディストのエリヤ・ライヒェンがエレピでイントロを弾くのをダイアンが遮り、自分でエレピを弾いてみるも上手く弾けない、なんていうお茶目な場面もありつつ、あらためて仕切り直した「Nothing But A Miracle」はやっぱり素晴らしかった! こちらも名曲ですね。良い塩梅に崩して歌うダイアンの歌唱がまたラヴリーでした。やっぱりこの曲を聴かないと、という充足感に満たされ本編終了。

1stショーだからアンコールはないかな?なんて思っていましたが、ダイアンは戻ってきてくれました。ピアノ弾き語りで聴かせてくれた曲はなんとシネイド・オコナーで知られるプリンス作の「Nothing Compares 2 U」でした。もちろん先日亡くなられたプリンスに思いを馳せて。気持ちの入った素晴らしいカヴァーでした。終盤には、耳慣れないメロディーが繋げられていましたが、どうやらこちらもプリンスの「When Doves Cry」だったようですね。まるで「Nothing Compares 2 U」のアウトロのような素晴らしいアレンジでした。



この日のセットリスト↓

01. Stand Under My Love
02. Kings Of Queens
03. How Long
04. Walk On Water
05. Fools
06. Fire Escape
07. Woman
08. Smooth Operator
09. Magic View
10. JUNO(新曲)
11. Speak A Little louder
12. Superstars
13. ???(メンバー紹介 Inst)
14. Nothing But A Miracle
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15. Nothing Compares 2 U ~ When Doves Cry

メンバー紹介を兼ねたインスト曲は曲名分かりませんでした。セットリストにも載っていませんでしたし…。ジャムセッション風ではありましたが、しっかり曲として演奏された印象でした。誰かのカヴァーかもしれません。




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ダイアン・バーチ@ビルボードライヴ東京 (2014年3月26日2ndショー)
今年のフジロックを振り返る その2 (2010年8月1日フィールド・オブ・ヘヴン)

ガイ・クラーク安らかに

2016-05-20 19:37:10 | カントリー
GUY CLARK / MY FAVORITE PICTURE OF YOU

5月17日、テキサスが生んだ孤高のシンガーソングライターにして、アウトロー・カントリーのレジェド、ガイ・クラークが亡くなられたそうです。ナッシュビルにて。享年74歳。長い間、癌による闘病生活を送っていたそうです。

写真はおそらくガイ・クラークの遺作となってしまった、2013年リリースの「MY FAVORITE PICTURE OF YOU」。アコースティック・ギターを中心にしたシンプルなフォーク/カントリーが滲みる傑作。2014年のグラミー賞『BEST FOLK ALBUM』部門を受賞。このジャケ写でガイ・クラークが掲げている写真は奥様であり、音楽活動のパートナーでもあったスザンナさんで、彼女は2012年に癌で亡くなられています。

今頃、天国で奥様と再会されてるでしょうか?


ガイ・クラークさん、安らかに。