ルーツな日記

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グラミー賞 ノミネート『BEST BOXED OR SPECIAL LIMITED EDITION PACKAGE』

2016-02-15 19:01:58 | ルーツ・ロック
The Rolling Stones / Sticky Fingers (Super Deluxe Edition)

グラミー賞ノミネート特集も佳境。というより、前回の第10回で終わりにしようかと思ったのですが、せっかく私がこの世で最も好きなアルバムの一つ、「Sticky Fingers」のボックス版がノミネートされているのですから、ちらっと触れておこうかと。という訳で、『BEST BOXED OR SPECIAL LIMITED EDITION PACKAGE』のノミネート作は以下の6作品。


Of Monsters And Men / Beneath The Skin (Deluxe Box Set)
Leif Podhajsky, art director

Father John Misty / I Love You, Honeybear (Limited Edition Deluxe Vinyl)
Sasha Barr & Josh Tillman, art directors

Various Artists / The Rise & Fall Of Paramount Records, Volume Two (1928-32)
Susan Archie, Dean Blackwood & Jack White, art directors

The Rolling Stones / Sticky Fingers (Super Deluxe Edition)
Stephen Kennedy & James Tilley, art directors

Grateful Dead / 30 Trips Around The Sun
Doran Tyson & Steve Vance, art directors

The Decemberists / What A Terrible World, What A Beautiful World (Deluxe Box Set)
Carson Ellis, Jeri Heiden & Glen Nakasako, art directors


こちらは音楽のアーティストではなく、パッケージ等のアート・デザイナーに送られる賞のようですね。なので、「Sticky Fingers (Super Deluxe Edition)」の場合、ノミネートされたのはストーンズの面々ではなく、アート・ディレクターのStephen Kennedy & James Tilleyという方々。アンディー・ウォーホールなどの名前が無いことから、あくまでもボックス・セット化に対する評価と言うことですね。もちろん2015年度のグラミー賞ですから、そうなるのは当たり前ですが。

ま、細かいことはさておき、このスーパー・デラックス・エディションにはワクワクさせられましたよね。実物ジッパー付のハードバック・ブックや、「Brown Sugar / Wild Horses」の7インチ・シングル盤、ポスター、ポストカード、さらにはメンバーがジャケを持ったあの有名な写真のそのメンバー部分を切り取ったもの(メンバーの誰が封入されているか分らない。私が買ったものにはチャーリーが入ってました)。ただ、肝心の未発表音源が以外と少なかったのは少々残念でしたが…。それでもこのボックスは、私の宝物です。



さて、他のノミネート作品も「ルーツな日記」的に気になるものばかり。

まず対抗として、「The Rise & Fall Of Paramount Records, Volume Two (1928-32)」。1920年代前後に戦前ブルースの重要作品を多数録音したパラマウントのヒストリー・ボックスの第2弾。ジャック・ホワイトが主宰するサード・マン・レコーズからリリース。第1弾は木製トランクに収納されていたそうですが、第2弾はポータブル蓄音機を模したスティールキャビネットに収納されてるそうで、LP6枚組+USBに800曲収録されてるとか…。まったくもってとんでもない物です!! ちなみに昨年はこの第1集が同部門を受賞しました。デザイナーのSusan Archieはその他にも2002年度にチャーリー・パットンのボックス・セットで同賞を受賞しています。

そしてもう一つ対抗馬として、グレイトフル・デッドの「30 Trips Around The Sun」。未発表の30公演の音源をCD80枚組で納めるという、こちらもとんでもないボックスセット。Steve Vanceは2001年のボックス「The Golden Road (1965-1973)」以降、デッドのアート・ディレクションを務めている方のようですね。しかし、先のパラマウント・ボックス同様、流石に手が出ません…。


オブ・モンスターズ・アンド・メンはアイスランドのフォーク・ロック・バンド。彼らによる2nd作が「Beneath The Skin」。アートワークを手掛けたレイフ・ポドハスキー はオーストラリアのグラフィックデザイナーでテーム・インパラ、フォールズ、ケリス等のアルバム・カヴァーも手掛けている人。

元フリート・フォクシーズのドラマー、ジョシュ・ティルマンのソロプロジェクトによる2nd作「I Love You, Honeybear」。Sasha Barrという方は、サブ・ポップ・レーベル専属のデザイナーのようで、この「I Love You, Honeybear」のアナログ盤Wジャケは、開くと飛び出す絵本風になっていて音楽も鳴るという凝った作りだそう。3色カラーのカラフルな盤もあわせて、音楽とアートが一体となった作品。

ポートランド出身のフォーク・ロック・バンド、ザ・ディセンバリスツによる7thスタジオ・アルバム。デラックスボックスには色々とおまけが付いているようです。デザインにはベックの写真集や、ジョン・メイヤー、ピンク等も手掛けるSMOG Design, Inc.のメンバーが関わっているようです。



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2016-02-15 14:44:30 | ルーツ・ロック
Alabama Shakes / Sound & Color

さて、グラミー賞ノミネート特集、目標にしていた10回目にたどり着きました。その記念すべきその第10回は、一見「ルーツな日記」とは無縁に思える『BEST ALTERNATIVE MUSIC ALBUM』です。“オルタナティヴ”ですからね、ですがこれが案外「ルーツな日記」的に超激戦区だったりするんです。そのノミネート作は以下の5作品。


Alabama Shakes / Sound & Color
Björk / Vulnicura
My Morning Jacket / The Waterfall
Tame Impala / Currents
Wilco / Star Wars

どうですか? アラバマ・シェイクス、マイ・モーニング・ジャケット、ウィルコですよ!確かに彼らはオルタナティヴかもしれませんが、米ルーツ・ミュージックを血脈としたバンドであることは誰もが認めるところですよね。まったく「ルーツな日記」的には目移りしてしまいます。また、デビュー作に比べソフトになったとはいえ相変わらずのサイケ&トリップ感を漂わすテーム・インパラも守備範囲ですし、さらに個人的フェイヴァリット・アーティストであるビョークがここに加わるという。いやもう、誰が受賞しても納得のこの部門。個人的にはビョークを推したいところですが、「ルーツな日記」としては、やはりアラバマ・シェイクスに注目したいですね!


その名の通り、2009年にアラバマ州アセンズで結成されたアラバマ・シェイクス。ブリタニー・ハワード(vo&g)、ヒース・フォッグ(g)、ザック・コックレル(b)、ベン・タナー(kbd)、スティーヴ・ジョンソン(ds)の5人組。アルバム・デビューは2012年の「Boys & Girls」。翌年のグラミー賞では『BEST NEW ARTISTS』を含む3部門にノミネートされました。

私はアラバマ・シェイクスという格好良い名前に惹かれて、2011年にリリースされたデビューEP「Alabama Shakes EP」を聴いて、そのサザン・ソウル愛溢れるサウンドとブリタニー・ハワードのパワフルなヴォーカルにぶっ飛びました。ですが翌年期待して聴いた1stアルバム「Boys & Girls」は、よりオルタナな方向へ行くだろうと予想はしていたものの、そのオルタナ・テイストとサザン・ソウル・テイストとの間でちょっと消化不良な印象を受けたりもしたんです。デビュー・アルバムということで気負いすぎた面もあったのかな?なんて思ったり。

そしてこの2nd作「Sound & Color」。これはめちゃくちゃ格好良いじゃないですか!!先の両テイストが見事にブレンドされとんでもないサウンドになっている。1曲目のタイトル曲「Sound & Color」から抑制されたソウルネスと、インディー・フォーク的なコラージュ感がこの先を期待させるに充分な魅力を放ち、つづく「Don't Wanna Fight」ではサザン・テイストが顔をのぞかせつつも、どことなくニューウェイヴぽい質感を漂わす。フォーキーなセンチメンタル性がブルースロック的展開に映える「Dunes」、アジアともアフリカともつかない不思議なグルーヴが浮遊する「Future People」など、スワンピーな南部的ノリをミニマル且つシャープに置き換え、ある種の無国籍感やポスト某的なモダンさを備えた強力グルーヴ、そしてパワフルなれど絶妙にコントロールされたブリタニーのヴォーカルがまた素晴らしい!

ですがこのアルバムの神髄は終盤、強烈な南部フィーリングが爆発する「Miss You」、アラバマ・シェイクス流のブルース解釈とも言えそうな「Gemini」、新時代のブラックミュージックともリンクしそうな耽美な揺れを伴う「Over My Head」、これら異様にどっぷりとした世界が広がるスロー・ナンバー3連チャン。今の時代、オルタナ・ロックの範疇でこのディープな世界は凄まじすぎる。まさにジャンル不問、破格の2ndアルバム。


対抗は、ウィルコの「Star Wars」でしょうか。これも歴史に残る名盤ですよね。テーム・インパラの「Currents」も昨年を代表するアルバムですし、マイ・モーニング・ジャケットも捨てがたい。ですが個人的にはビョークを推したいんですけど…、ってくどいですね。



ちなみにアラバマ・シェイクスは、この『BEST ALTERNATIVE MUSIC ALBUM』の他、「Don't Wanna Fight」が『BEST ROCK PERFORMANCE』と『BEST ROCK SONG』、そしてアルバム「Sound & Color」が『BEST ENGINEERED ALBUM』と、なんと『ALBUM OF THE YEAR』にもノミネートされているんです。いやはや、強豪ぞろいの『ALBUM OF THE YEAR』、もしアラバマ・シェイクスが受賞したら、とんでもないことですよ!! もちろん、ノミネートされるだけでも凄いことですけど。授賞式が楽しみです!!




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