かたつむり・つれづれ

アズワンコミュニテイ暮らし みやちまさゆき

東北の旅からはじまる(1)・・「あすからのくらし相談室宮古」

2014-07-18 17:29:25 | アズワンコミュニテイ暮らし

「ああ、無事帰って来れた」

7月13日夜、鈴鹿のわが家の帰り着いた時の実感だった。

人と、たくさんの人と、その人の気持ちや願いに届くように

お話が出来たかなあ、そんな満ちたりた気持ちもあった。

そんなの一人よがりとちゃうか、と言うのもある。

「ああ、もっとじっくり話したかった」

そんな気持ちが残った人も、たしかにいる。

完璧なことなんて、そんなにできるもんじゃないけど、

「出来た、出来た」でもへんだよね。

帰ってから、もう6日。

なんとなく、牛の反芻みたいに、訪ねた人のことが、

なんやかやと湧いてくる。

 

    *          *         *

 

 

7月8日 岩手県宮古にて

名古屋から新幹線で盛岡まで。

朝7時過ぎに出て、12時前には盛岡に着いた。

ほとんど、目を閉じて眠っていた。

「見て、見て、富士山よ」小浪がつっつく。

「おお!」

台風8号が沖縄あたりを北上しているけど、こっちは晴れだ。

 

新幹線、早いのは嬉しいけどわが貧乏暮らしでは目が飛び

出すような運賃。友人が協力してくれた。感謝。

盛岡駅前。

「この近くにおいしい蕎麦屋さんありませんか」

小浪は宮古行きのバスの切符売り場の係りの人に聞いている。

駅前の”おいしい蕎麦屋”に行くと、「”わんこ蕎麦”は一時間

かかりますよ」

バスは午後1時発。

団体さんが賑やかにわんこ蕎麦を食べている横で、盛りそばを

食べて、バスになんとか間に合った。

 

盛岡から宮古まで東に向かって、2時間半。

山のなかを通り、途中から川に沿って宮古に向かう。

あとで聞くと、この川の名まえは閉伊川という。

 

宮古のバス停に吉田直美さんが迎えに来てくれた。

「あすくら相談室宮古」の事務所に案内してもらった。

冷たい麦茶を出してくれた。美味しかった。

スタッフの石川雄治さんがにこにこと出てきてくれた。

人懐っこい笑顔だった。

 

3人で話しているいるうちに、事務所のスタッフみんなが

寄ってきてくれた。

気がつくと、直美さんの相談室にかける熱い気持ちを聞かせて

もらう場になっていた。

 

「あすくら相談室」と略して呼んでいるけど、正式には

「あすからのくらし相談室宮古」と呼ぶ。

直美さんは、もう一つ盛岡でも、相談室を開設していて、

それは「これからのしごと支援室盛岡」と呼んでいる。

 

相談室は2011年の震災以前から生活に困っている人たちの

支援をしてきているが、震災後は”駆け込み寺”の内容を

充実させてきた。

おそらく吉田直美さんの人柄とスタッフの熱意がそこには

あったろう。

 

晩ごはんは、海鮮丼をご馳走になった。

その具が食べても食べても、そこから出てくるような豊かさ。

初めていただいた。驚き。

 

夜は大型スーパーに隣接する倉庫兼用のアパートにいっしょに

泊めてもらった。

直美さんは、週に2~3回、宮古で仕事する。

直美さんは、お菓子、飲み物を仕入れてきた。

お菓子をつまみながら、四方山話し。

直美さんは話していても、滑らかなんだなあ。

ぼくの気持ちもなんか落ち着いてくる。

 

ところで、何を、ここで表現したいんだろう。

核心のところにはなかなか行かず、回りをウロウロしている。

どないしよう?

 

直美さんが盛岡市役所で市民の人の暮らしや、生活に困った

人たちに一貫して寄り添ってきた仕事ぶりや人柄のことかな。

たしかに、それについては話せばいっぱい話すことがある。

それかなあ。

 

「ぼくは、若いとき海外青年協力隊でソロモン諸島に行ったことが

あるんです。そのとき、そこで暮らす人たちは、暮らしのことで

悩んだり困ったりすることもなく、お金がなくともゆったりと暮らして

いた。そこに、とっても感銘したんです。そんなに暮らせたらどんなに

いいか。だから、それから、いつも最後はソロモンで暮らしたいと

いう思いがあったんですね」

「そうですか。そうですよね」

「いつのころからか、こういう生き方や、こういう生き方の出来る

社会が日本でもできないか、と考えるようになったかな」

「ほんとに、そんな社会が出来たらすばらしい。やりたいですね」

(こんな会話がはっきりあったというより、こんな空気が直美さんとの

間であった、そんなことを思い出す)

 

こっからは、鈴鹿に戻って、直美さんからもらった、「ともに繋がり続く・・・

あすからのくらしをよりよくいきるために」という、”あすからのくらし

相談室・宮古”のリーフレットをゆっくり読んだ感想。

直美さんと一夜話したり、事務所の雰囲気を触れたりしたところから

読んでみると、コトバの向こうに直美さんの顔が浮かんでくる感じ。

 

そこで、浮かんでくるような部分を抜粋してみる。

誰かに知ってほしいというのもあるし、ぼくの心に刻んでおくという

面でも。

 

ーー改めて・・あすくらが目指すものは

     困っている方に寄り添い、その方と家族や仲間のような

     信頼関係を構築しながら、その方のくらしの”幸せ”を一緒に

     向上させること。

ーーくらしの”幸せ”の要素

     1、くらしの基盤が安定している・・・・衣食住の安定的確保

     2、自己肯定感・有用感があるくらし

              ・・・社会や家族の中に居場所と役割がある

     3、信頼感、連帯感、”愛”に囲まれたくらし

              ・・・家族(のような人)や仲間が身近にいる

 

コトバが、ぼくには馴染みがないものもあるけど、何か伝わってくる

ものがあるなあ。

 

この次のページにも、コトバは難しいけど(ぼくにとって)、直美さんの

なかの熱いものが醸し出されている。

ーーお金に依存しないサブモデルに期待すること

    ・地域の包摂力を向上し、地域が弱者も含め、どんな人にも

     くらしやすい環境になりうる。

    ・自給自足と相互扶助の拡大により、地域に多様な役割と

     居場所が増え、個人の自己肯定感・有用感の向上や

     地域の人々の間で信頼・連帯の意識が醸成され、

     生きここちがよいくらしにつながるほか、生活コストが下がる

     ことにつながり、これらがこれから生きていく上での

     セーフテイネットになりうる。

    ・地域で眠っている資源が活用され、人の交流が活性化する

     ことが現金収入に繋がる。

    ⇒自給自足的くらし、助け合いにより、衣食住が確保できると

     同時に、自己肯定感・有用感・信頼感・連帯感が得られる。

 

抜粋が長かったかなあ。

直美さんは、盛岡に実践の場を作り始めているし、仲間も出来てきて

いるようです。

直美さんの願いは実現できると思います。

微力ですが、ぼくに出来ることで、それにかかわっていきたいです。

 

宮古を離れる前、相談室の前で、スタッフの人たちと記念撮影

しました。電話の応対をしているスタッフもいっしょに撮りました。

気持ちが通じる人と人の社会があらわれてきますように。

 

 

今回、書きませんでしたが、スタッフの一人、石川雄治さんが

宮古駅前に見送りに来てくれて、いつまでも手を振ってくれたのが

残っています。