週末の第76回大会を以て琵琶湖沿いを走る滋賀県での開催は最後となり、来年からは大阪マラソンに統合される。中学生の頃から見守って来て、高校時代に陸上部・中長距離だった私の憧れではなかったとは言えない大会でもあって、一抹の寂しさがある。
その最後の大会で、鈴木健吾選手が2時間4分56秒の日本新記録で優勝した。2時間5分の壁を破ったのは、日本人として初めてであるばかりでなく、アフリカ出身選手以外で初めてだそうだ。1キロ2分57秒65とは驚異的なペースだし、一番きつい35~40キロのラップはこの日最速の14分39秒だったというし、残り2.195キロを6分16秒で駆け抜けたというのも驚きだ。歴史上、男子100メートルで10秒を切った選手は145人いるのに対し、男子マラソンで2時間5分を切った選手は58人しかいないという話もある。心から祝福したい。
今回は高速レースでもあって、2位(土方英和)、3位(細谷恭平)、4位(井上大仁)、5位(小椋裕介)まで2時間6分台でゴールし、これら上位5人は日本男子マラソン歴代10傑に名を連ねたそうだ。さらに6位から15位までの10選手も2時間7分台でゴールし、その中にはマラソン初挑戦の作田将希(2時間7分42秒、14位)や足羽純実(2時間7分54秒、15位)もいて、いずれも従来の初マラソン日本最高(2時間8分12秒)を18年振りに更新した(もう一人、山下一貴2時間8分10秒、18位も加えてあげなければ)。日本陸連のマラソン強化戦略プロジェクトリーダー・瀬古利彦さんが手放しの喜びようだったのも十分に頷ける。
それで、水を差すつもりはないのだが、記録的な大会をシューズの技術革新が支えているのは間違いない。勿論、同時期に開催されるはずだった別府大分マラソンや東京マラソンが延期され、国内トップクラスの選手が一堂に会した影響は大きいし、新型コロナ禍で海外から招待選手を呼ぶことができなかったことが却って幸いし、日本人選手に合わせたペースメーカーのタイム(キロ2分58秒)が決められたそうだし、日程が2週間前倒しとなった上、午後よりも風が穏やかとされる午前中スタートで、絶好のコンディションの巡り合わせとなるなど、幸運が重なった。そうは言いながら、やはり日本人も厚底シューズの利点を活かせるようになったことが大きいだろう。ある研究によると、ナイキの厚底シューズは、ソールにカーボン製プレートを入れることで高反発を実現し、他社の靴より滞空時間が長くなって、ストライドが伸びる結果、他社の靴よりも平均で4%タイムが上がるらしい。2時間の4%と言えば4~5分に相当する。
その意味で、今回、注目すべきは、通算109回目のマラソンとなった川内優輝選手、33歳だった。2時間7分27秒と、念願の8分の壁を破り、自身の自己ベストを8年振りに更新したのは立派だった。これまで薄底シューズで走ってきたが、今回、ナイキではなくアシックスの厚底シューズを採用し、レース後、「こんなことを言うのはあれなんですが、厚底に変えたのが大きいのかなと思う」と正直に振り返っていた。勿論、結婚して(おめでとう!)食餌制限してくれた内助の功も忘れてはいけないのだが、テクノロジーの進化を実感する言葉として、印象に残る。
私も、高校時代、電車を乗り継ぎ、憧れの「ハリマヤシューズ」を買い求めて(あの金栗四三さんと東京・大塚の足袋店ハリマヤの合作)、「最高」だと信じて愛用したものだったが、今思うと、地下足袋以外の何物でもない(笑)。他にも、栄養食の進化(私は25年前の初マラソンのときは、腰にバナナをぶら下げて走った 笑)や科学的トレーニングの成果もあるだろう。記録は破られるためにあるということに対して、こうして考えてみると、なかなか複雑な気持ちになるが、昔と今を比べるからそう思うだけで、今、同じ条件で競い合う選手たちに罪はない。
・・・などと、さんざん水を差しておいて何を今さらだが、恵まれた才能は羨ましいし、それを活かす努力は素晴らしい。やっぱりスポーツって、ホンマにええもんやなあと思う(テレビの映画番組で「いやぁ、映画って本当にいいものですね」と締めていた映画評論家の水野晴郎さんの口調をイメージして)。
その最後の大会で、鈴木健吾選手が2時間4分56秒の日本新記録で優勝した。2時間5分の壁を破ったのは、日本人として初めてであるばかりでなく、アフリカ出身選手以外で初めてだそうだ。1キロ2分57秒65とは驚異的なペースだし、一番きつい35~40キロのラップはこの日最速の14分39秒だったというし、残り2.195キロを6分16秒で駆け抜けたというのも驚きだ。歴史上、男子100メートルで10秒を切った選手は145人いるのに対し、男子マラソンで2時間5分を切った選手は58人しかいないという話もある。心から祝福したい。
今回は高速レースでもあって、2位(土方英和)、3位(細谷恭平)、4位(井上大仁)、5位(小椋裕介)まで2時間6分台でゴールし、これら上位5人は日本男子マラソン歴代10傑に名を連ねたそうだ。さらに6位から15位までの10選手も2時間7分台でゴールし、その中にはマラソン初挑戦の作田将希(2時間7分42秒、14位)や足羽純実(2時間7分54秒、15位)もいて、いずれも従来の初マラソン日本最高(2時間8分12秒)を18年振りに更新した(もう一人、山下一貴2時間8分10秒、18位も加えてあげなければ)。日本陸連のマラソン強化戦略プロジェクトリーダー・瀬古利彦さんが手放しの喜びようだったのも十分に頷ける。
それで、水を差すつもりはないのだが、記録的な大会をシューズの技術革新が支えているのは間違いない。勿論、同時期に開催されるはずだった別府大分マラソンや東京マラソンが延期され、国内トップクラスの選手が一堂に会した影響は大きいし、新型コロナ禍で海外から招待選手を呼ぶことができなかったことが却って幸いし、日本人選手に合わせたペースメーカーのタイム(キロ2分58秒)が決められたそうだし、日程が2週間前倒しとなった上、午後よりも風が穏やかとされる午前中スタートで、絶好のコンディションの巡り合わせとなるなど、幸運が重なった。そうは言いながら、やはり日本人も厚底シューズの利点を活かせるようになったことが大きいだろう。ある研究によると、ナイキの厚底シューズは、ソールにカーボン製プレートを入れることで高反発を実現し、他社の靴より滞空時間が長くなって、ストライドが伸びる結果、他社の靴よりも平均で4%タイムが上がるらしい。2時間の4%と言えば4~5分に相当する。
その意味で、今回、注目すべきは、通算109回目のマラソンとなった川内優輝選手、33歳だった。2時間7分27秒と、念願の8分の壁を破り、自身の自己ベストを8年振りに更新したのは立派だった。これまで薄底シューズで走ってきたが、今回、ナイキではなくアシックスの厚底シューズを採用し、レース後、「こんなことを言うのはあれなんですが、厚底に変えたのが大きいのかなと思う」と正直に振り返っていた。勿論、結婚して(おめでとう!)食餌制限してくれた内助の功も忘れてはいけないのだが、テクノロジーの進化を実感する言葉として、印象に残る。
私も、高校時代、電車を乗り継ぎ、憧れの「ハリマヤシューズ」を買い求めて(あの金栗四三さんと東京・大塚の足袋店ハリマヤの合作)、「最高」だと信じて愛用したものだったが、今思うと、地下足袋以外の何物でもない(笑)。他にも、栄養食の進化(私は25年前の初マラソンのときは、腰にバナナをぶら下げて走った 笑)や科学的トレーニングの成果もあるだろう。記録は破られるためにあるということに対して、こうして考えてみると、なかなか複雑な気持ちになるが、昔と今を比べるからそう思うだけで、今、同じ条件で競い合う選手たちに罪はない。
・・・などと、さんざん水を差しておいて何を今さらだが、恵まれた才能は羨ましいし、それを活かす努力は素晴らしい。やっぱりスポーツって、ホンマにええもんやなあと思う(テレビの映画番組で「いやぁ、映画って本当にいいものですね」と締めていた映画評論家の水野晴郎さんの口調をイメージして)。
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