風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

大谷翔平の本塁打王

2023-10-03 02:08:32 | スポーツ・芸能好き

 日経は今朝、速報メールを流した上、夕刊一面の隅の方ではあったがカラー写真入りで祝福した。日本人ビジネスパーソン、とりわけ異国の地で活躍される駐在員には期待の星だったことだろう。私がアメリカに駐在していた頃は、野茂英雄投手が孤軍奮闘し、いろいろ文化ギャップで悩む私には、彼の活躍が誇らしく心の支えだった。

 残り何試合で二位以下に何本差というカウントダウンが始まって、比較的余裕で最終日を迎えたが、本塁打王という、体力差をものともしない日本人初の快挙には、感慨一入である。日本人の個人タイトルではイチローの首位打者(2001・04年)や最多安打(2001・04・06~10年)という先行事例があり、それはそれで歓喜したものだが、アメリカ人にはどうしてもイチローの小ぶりのヒットより大味の本塁打一発に重きを置く意識が垣間見えて口惜しい思いをした。実際にあのゴジラ・松井秀喜ですら、試合前のフリー打撃でA・ロッドやゲーリー・シェフィールドのパワーを間近に見せつけられて飛距離で勝負はできないと悟らされたのだった。

 大谷は、今季からチャンドラー社製のバットに変更し、重さ32オンス(907グラム)はそのままで、長さを33.5インチ(85.09センチ)から34.5インチ(87.63センチ)に1インチ伸ばした上、ヤンキースのジャッジのモデルを参考に、バットの先端付近に重心を移したそうだ。そうすれば遠心力が働いて飛距離が伸びる。さらに反発力が上昇するよう、素材をカバノキ科のバーチから、より硬いカエデ科のメープルに変えたそうだ。「大谷選手の日本人離れした体格と鍛え抜かれた肉体があるから扱える」(同社の日本の取扱代理店)と指摘される。そして、今年の平均飛距離は、昨年の124.3メートルや一昨年の126.8メートルを上回る128.5メートルを記録した。野球漬けの生活で、私たちの目には触れないところで進化する様々な努力が続けられているのだろう。

 9月は僅かに3試合に出場しただけで本塁打ゼロでの本塁打王は1974年のディック・アレン(ホワイトソックス)以来49年ぶり史上3人目の珍記録だった。投手を務めながらの本塁打王は1918-19年のベーブ・ルース以来104年振りだという。

 44本塁打のほか、325塁打、78長打、出塁率.412、長打率.654、OPS1.066と、6つの項目でア・リーグ・トップの数字を叩き出した。この内、長打率とOPSは両リーグを通じてトップである(ついでにユニホームの売上ランキングでも日本人選手で初めてメジャートップだった)。ア・リーグMVPに輝いた一昨年オフには、シルバースラッガー賞やエドガー・マルティネス賞、各誌の最優秀選手賞など10冠に輝いた。今年もア・リーグMVPが確実視され、一体、どれだけの栄冠を手にすることになるのか、楽しみは続く。

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