風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

リオ五輪開幕

2016-08-09 00:52:26 | スポーツ・芸能好き
 リオデジャネイロ五輪が開幕した。準備不足が懸念されていたが、テレビ映像を見る限りでは、そうとは感じさせない。治安にも大いに不安があったが、スポーツの祭典を無事、終えて欲しいものだと思う。ややもすると世界を覆う政治・経済や社会の閉塞状況に負けそうになるが、スポーツ選手が勝利に向かって懸命に力を出し切る姿を見ると、勇気を与えられるし、かつての自分をも(レベルは格段に違うが)思い出して、束の間、元気になる。
 早速、水泳の最初の種目・男子400m個人メドレーで萩野公介が金メダル、瀬戸大也が銅メダルを獲得した。競泳種目でのダブル表彰台は60年振りの快挙だそうだ。金メダルを期待され、しかもかなり有望視されて、その期待通りに、あっさりと(と見えるほどだった)実現してしまう、その強さに些か驚嘆した。残り50mで2位のケイリシュ(米)に0.53秒に迫られながら、ゴール時は0.70秒差に(僅かではあるが)広げた肉体的な強さもさることながら、注目すべきは精神的な強さである。それは、この金メダルを手繰り寄せた日本新記録4分6秒05が、萩野自身が2013年4月の日本選手権で叩きだした日本記録を、実に3年振りに更新するものだったところに、どうも秘密があったようなのである。
 もともと萩野と瀬戸は性格が正反対のようだ。瀬戸は物おじせず人懐っこい好青年で、故障などの苦難も飛躍のばねに変えるポジティブさがあるようで、決勝レース後のインタビューでも開口一番「疲れちゃいました」と言ってのけられる明るさがある。対する萩野は、2012年のロンドン五輪400m個人メドレーではマイケル・フェルプスに競り勝ち銅メダルを獲得し、翌2013年の日本選手権では史上初の五冠を達成したところまでは良かったが、この年の世界選手権では本命視された400m個人メドレーで5位に惨敗し(瀬戸が金メダル)、元来、ネガティブな性格の萩野は、どんどん内に籠るようになったという。瀬戸は、2015年の世界選手権でも連覇を果たしたのに対し、萩野は、大会前の合宿中に自転車で転倒して右ひじを骨折し、大会出場すら叶わなかった。
 ところが、東洋大の水泳部コーチは、萩野が主将という立場になって、自らが強くなることだけでなく、チームのことを考えることで、人を思いやれるようになったといい、以前は勝った後も顔が険しかったが、最近は表情が穏やかになったとも言う。かつては「打倒・萩野」を公言する瀬戸に対し、心の中で自分の相手ではないと考え、周囲からライバルと呼ばれることも嫌がっていたらしいが、今回の決勝レース後のインタビューで瀬戸の存在について問われると、かみしめるように「幸せ者だと気付いた」と語るまでになった。
 この3年間のことは窺い知れないが、心技体で充実したように見える萩野の今後の活躍を期待したい。
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