風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

ブランド信仰・続

2013-11-23 00:22:13 | 日々の生活
 ブランドについて、もう少し続けます。今日は「日本」ブランドについて。
 私の海外生活は9年で、企業人として大部分の時間をオフィスで過ごし、お世辞にも現地に根をおろしていたと言えるシロモノではありませんが、日本を離れた物理的な9年という歳月に、それぞれ住んでいた土地(アメリカ、マレーシア、オーストラリア)の人々に囲まれ、その雰囲気に包まれながら、祖国・日本を様々な局面で愛しく思ったのは、生まれ育った血のなせるワザ(業)にほかなりません。人は祖国を離れ、外から眺めるようになると、祖国の良さを再発見します。
 しかし「日本」ブランドは外国人の評価も高いのは、あまり日本では(メディアのお眼鏡にかなわない!?せいか)報道されることがありませんが、BBCの海外向け放送BBCワールドサービスが企画し毎年発表している“好感度”調査などでも明らかです。最新の調査(今年5月に発表)では、昨年の1位から今年は4位に転落したことが、ちょっとしたショックなこととして一部で報じられましたが、そもそも昨年は東日本大震災があってなお秩序正しい日本人性が世界に向けて報道されて好感されたために久しぶりに1位に返り咲いたものでした。こうした“高感度”調査はその年の出来事に影響されるもので、ここ数年は4~5位あたりで安定推移しています(が、ここ1~2年は、中国や韓国から足を引っ張られつつある)。
 最近はグローバル経済を反映して、私の会社でも外国人採用数が増えてきました。東大で秋入学式が話題になり、いつの間にか立ち消えになりましたが、基本的に始まりも終わりもなく淡々と流れる会社の業務ですから、外国人や日本人留学生のために「秋入社式」なるものが行われています。それにしても、何故、私の会社を選んだのか、多分に「日本」ブランドへの憧れがあるようで、日本や日本人や日本の企業が外国の人々の目にどのように映っているのか、その一端が表れていて面白かったので、いくつかの声を紹介します。
 「世界には、サムスンやアップルなど、さまざまなメーカーがありますよね。こうしたメーカー同士の競争がある中で、xxx(社名)のようにyyy年もの歴史があるような会社には、すばらしいエキスパートがいるのだろうな、と思いました。そんな会社から、ぜひとも最高のものを学びたいと思い、xxxを志望しました」(インド人)
 「xxxを志望したのは、大学の修士過程で研究していた領域とぴったりマッチングしたからです。テクノロジーが進んでいて、それでいて、技術力だけでなく、職業倫理観もすばらしい日本という国で、礼儀正しく感受性の強い日本人の方と一緒に働けることに魅力を感じました」(インド人)
 他にもコメントがあったのですが、面白いと思って選んだコメントはどちらもインド人のものだったというのは、偶然なのか、意味があるのか、いずれにしても、企業ブランドを作るのは従業員一人ひとりだと教えられるように、日本ブランドを作るのは日本人一人ひとりです。
 バーナード・リーチ氏(1887~1979)は、植民地官僚だったイギリス人の両親の間に香港で生まれ、後に日本やシンガポールや本国・英国などを転々とし、折しも「ロンドン留学中の高村光太郎と知り合って日本に郷愁を抱くようになり、1909年(明治42年)、日本へ戻って東京・上野に居を構え」「生涯の友となる柳宗悦をはじめ白樺派の青年達と」交友を深めます。陶芸家の濱田庄司と知り合い、「1920年に濱田とともにイギリスのセント・アイヴスに移り日本の伝統的な登り窯を開き、1922年には『リーチ・ポタリー』(Leach Pottery)という名の窯を」開き、「西洋と東洋の美や哲学を融合させた陶磁器」の創作を続けた陶芸家として知られます(「」内Wikipediaより)。そんな彼は、日本美術を高く評価し、「日本にはあらゆるものがあるが、日本がない。今、世界で最も反日なのは日本人なのだ」という言葉を残すなど、西洋を崇める日本人に警鐘を鳴らしたことでも知られます。
 「新植民地主義」のイメージ払拭に躍起で、世界中に孔子学院を設置し、宣伝戦を続ける中国や、政府主導で韓流(Korean wave)大衆文化コンテンツ拡販を続ける韓国などと違って、日本は、和食やアニメで世界を席巻しつつ、宣伝臭さは微塵もなく、「知る人ぞ知る」を良しとする奥床しさが信条で、それが日本らしさでもあるのですが、はしなくも日本人ではないバーナード・リーチ氏に指摘されたように、先ずは「日本」ブランドの何たるかを知り、日本人らしく「日本」ブランドを知り、「日本人」に自信をもち、安倍総理が「積極的平和主義」などと言い始めたように、BBC調査によっても世界から認められる「良い影響力」により、もっとポジティブに世界に関わって行けたら良いのに・・・と素朴に思います。
コメント
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