風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

イランのミサイル試射

2009-12-18 00:10:23 | 時事放談
 一昨日、北朝鮮の兵器輸出について書いたばかりでしたが、昨日の新聞には、イランが最新型の中距離弾道ミサイルを試射し、成功したことを発表したとありました。
 イランに関しては、製造した低濃縮ウランの貯蔵量を減らし、核兵器に転用されるリスクを軽減するため、ロシアやフランスなどの国外に輸送し、研究用原子炉の燃料に加工して変換する計画を、アメリカ・フランス・ロシアが提案しながら、なかなか進展しなくてアメリカが痺れを切らしていることが報道されていました。そんな交渉をしている最中の10月から11月に、シリアやレバノン向けに大量の武器・弾薬を密輸をしていたことが発覚し押収されたとの報道に続き、今回のミサイル試射の報道です。
 今回の中距離弾道ミサイルは、これまで複数回発射実験を実施した「セジル」の改良型「セジル2」とみられ、北朝鮮の「ノドン」を基に開発した中距離ミサイル「シャハブ3」(射程距離1300キロ)よりも射程を2000キロまで伸ばしたそうです。ミサイルと言えば、北朝鮮が身近な存在で先ず浮かび、今春、北朝鮮が実施したミサイル発射実験は、安全保障の専門家の世界では、大成功と言われています。五大国は既にICBM(大陸間弾道弾)を保有していますが、これに次ぐ距離を出すミサイルはなんと北朝鮮のテポドン2(5500キロ)だからです。その他の国のミサイルは、インドやパキスタンやサウジアラビアでせいぜい2000~2600キロ、イスラエルですら1500キロといったところであり、イランはこのレベルに仲間入りしたことになります。
 しかし地理的な環境を勘案すると、単純に距離の問題ではありません。この射程2000キロというのは、イスラエルやアラブ諸国の大半、更には欧州の一部までも射程内に収め、同地域にある米軍基地にも届くものだからです。北朝鮮がアメリカ大陸と離れているのとはワケが違います。おまけにイラン国防軍需相は、発射に必要な時間を短縮し、敵のミサイル防衛システムを回避する改良を加えて、更に抑止力が高まった成果を強調しています。
 アメリカは新たな経済制裁を考えているようですし、イスラエルは、かつてシリアの各施設を攻撃し無力化したように、再び、核施設への攻撃を辞さない構えを見せていると言われます。現代社会においてイランと北朝鮮は核拡散の二大頭痛の種ですが、こうした国が(欧州や東アジアの)身近にいるのが国際社会の長らく変わらない現実であり、ここにきて一段と国際的な緊張が高まりそうです。
 上の写真は、オーストラリア・キャンベラの戦争博物館で。第一次大戦中、フランス北部の町アミアンで、オーストラリア軍がドイツ軍から奪った鉄道車輌銃の銃身部分で、第一次大戦の記念品としてオーストラリアでは有名です。台車の方は第二次大戦でも利用されてスクラップされたため、銃身部分と屋根の部分のみ今に伝えられます。
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