「つながり」の旅 in Paris ~ 人と人、自然、地域との「つながり」 ~

人・自然・地域との「つながり」をテーマにした旅や暮らし(エコツーリズム、スローライフ等)について日々の想いを綴ります。

ラダックへの旅③

2006年09月11日 | エコ/グリーンツーリズム、地域づくり
夕方、西洋からそのまま教科書を輸入しただけの英語教育など、地域の実態にそぐわない画一的な教育システムの弊害を克服するために地元の若者達によって設立された教育組織、SECMOLを訪ねる。インダス川沿いの荒涼とした地に、そこだけ緑の若木に囲まれたキャンパスは、曇り空の下では寒々しく見える。

夕食後は、自己紹介と交流会。即興の一芸を披露することになり、日本人ツアー一行は「ふるさと」を合唱したが、「では次はソロで」、となると、インドの若者達は自立心が強いのか積極的。仲間から指名されると、照れながらも、決して嫌がらずに歌や踊りを披露する。我々に同行したインド人達もこれは同じ。日本人のように、恥ずかしがって拒んだり、誰かと一緒じゃないと・・・という尻込みをする人がいないのには恐れ入った。

次の日は、朝からSECMOLの概要説明と、ソーラーエネルギーや蓄熱性を活かしたエコ・キャンパスを見学。ところが、寒さと油や香辛料まみれの食物に胃が疲れたのか、はたまた高山病か、寒気がして気分が悪い。せっかく天気がよくなってきたのに、と思いながらベッドで休養。窓越しに雪をかぶったヒマラヤと蒼い空を見ながら眠り込む。

午後の「持続可能な開発と環境」についての学生達とのディスカッションにはなんとか参加。日本の現状やゴミ問題についての意見、解決策を求める学生からの質問などはどれも素朴だが真摯で、開発やグローバリゼーションに直面し、見聞したそれらの問題点を回避しつつ、どのように望ましい未来を自分達で切り拓くか、という熱い姿勢が伝わってくる。教育施設を自ら創ってしまう点も含め、「自分達の未来は自分達の手で切り拓く」という、一見当たり前のようなラダックの青年達の姿勢がとても新鮮に感じられるのはなぜだろう。砂漠のような大地の上に広がる、明るい月と満点の星を見ながら考えた。

ラダックへの旅②

2006年09月11日 | エコ/グリーンツーリズム、地域づくり
早朝、5:30起きで寺院めぐりへ出発。蒼い空と強い日差しを期待したが、冷たい雨に降られ寒い。レーから20Km程離れたティクセ・ゴンパは断崖絶壁の上にあり、インダス川沿いの村の緑と背後に広がる荒涼とした大地の眺めが素晴らしい。堂内では、5歳くらいの男の子の僧から中年の僧までが読経中。

寒い堂内で見学していると、僧の食事(ツァンパという麦の粉にお湯を溶いたもの)の時間に合わせて、子僧が我々にもチャイを振舞ってくれる。さらに、10Km程離れたへミス・ゴンパでは、7月に大きな祭りがあるらしく、荘厳な雰囲気。

その後、NGOの代表でもあり、今回のツアーのリーダーであるスカルマさんのご実家で昼食。日の光が大きく採り入れられた明るい広間には厚いカーペットが敷かれており、腰掛けて壁にもたれると久々にホッと落ち着く。大麦のどぶろく「チャン」もいただく。キビ酒のようなほのかな酸味と濁り酒のようなほのかな甘さがある。ツァンパを入れて飲むこともあるらしい。

昼食後は、文化とコミュニティーの維持と発展を目的に結成された女性達のNGO「Women's Alliance of Ladakh(WAL)」を訪問。「懐かしい未来へ」で、開発に直面するラダックの問題を知らしめたヘレナ・ノーバーグホッジのVTRを見に、毎日数十人の西洋人観光客が訪れているらしい。

ツーリスト・インフォメーションに、環境や地域に配慮した観光を呼びかけるチラシをおいてあるからのようだが、我々のように「持続可能な開発」について考えに来たという観光客などは多くは無いはずなのに、こんなに人が来ていることには驚いた。これによって少しでも持続可能性に目を向ける旅行者が増えれば、と思う。

WALの女性達は、観光客に地元素材の料理を出すレストランを営んだり、地域でゴミとなるビニル袋の使用をやめるよう州を巻き込んで活動したりしている。保守的な農村部には珍しく、そのような女性達の活発な活動に、ご主人達も協力的なようである。