「つながり」の旅 in Paris ~ 人と人、自然、地域との「つながり」 ~

人・自然・地域との「つながり」をテーマにした旅や暮らし(エコツーリズム、スローライフ等)について日々の想いを綴ります。

がんばろう福島!新緑の里で田植え

2011年05月30日 | エコ/グリーンツーリズム、地域づくり
週末、福島県奥会津の昭和村へ田植えに行ってきました。昭和村は、からむしという植物の繊維でできた織物の里で、その原料となるからむしの本州唯一の産地です。山奥にあるので、東京から約4時間、人口1400人、高齢化率55%という過疎の村です。

以前、ナマケモノ倶楽部のMLへ投稿された記事を見たのと、沖縄のNPOでお手伝いをしている時、「宮古上布の織物体験施設を作るので織物の研修制度がある昭和村のことを調べてくれ」と言われたことがあったので、なんとなく昭和村に行ってみたいと思っていました。さらに、「地震や原発の風評被害に苦しむ今こそ、福島へ行ってみよう」という思いもあり、参加しました。

昭和村では、交流体験活動を通して地域活性化を図るNPO苧麻倶楽部が活動しており、今回参加したのは、同倶楽部による、地域での農や暮らしを支える人=「コミュニティ・ファーマー」を養成しようというプログラムでした。

やはり、過疎化や高齢化で元気をなくしている地域には、集落の農作業や、伝統行事、結いを支える人材が必要だと感じます。そこで、農的暮らしに興味のある都市の人たちに来てもらい、村の人と一緒に、畑作業や伝統行事などを行うことで、地域の基盤を支える人材を育てよう、交流を通して村を元気にさせよう、というのがこのプログラムです。

同じような山梨の山村地域を応援している身としては、理念に共感が持てましたし、どのように他地域は集客し、いかに活動を活性化させていくかも興味深いと思いました。

久しぶりの田植えは、皆で一列に並んで、新緑とカエルの声に挟まれて手植えで行いました。土の感触や鳥のさえずりなど、都会では埋没している五感が働き、リフレッシュすることができました。

夜の交流会や田植え作業には、地元の方もご参加くださいました。地域の人と外部から来た人でNPO組織を作り、その組織(=苧麻倶楽部)を受け皿として様々な事業に取り組んでいること、そうやって村に入った若者だけでなく、織物研修などで地元にいた若い人や地元の前向きな人へと活動が広がっていること・・・等を感じました。

今回昭和村に行って、自然の美しさや、自然と寄り添って生きる人々の暮らしを見て、改めて自然や地域とのつながりの中で暮らす魅力を感じました。その実現のために今何ができるのか、引き続き考えていきます。











ポスト311へのメッセージ~

2011年05月24日 | 「つながりの旅」とは?
「幸せの経済学」の編者、ヘレナ・ノーバーグ=ホッジさんから、ポスト311を生きる日本のみなさんに、とメッセージ。
http://www.voluntary.jp/weblog/myblog/275/1946763#1946763


■ポスト311へのメッセージ
~自分の中にあるはずの、健全な常識や知恵を頼りにしよう


私の心は、困難な時を過ごしているすべての日本の友人たちや仲間たちとともにあります。まず私が言いたいのは、深刻な危機の中にあっても落ち着きと威厳を保ち続けた日本の皆さんが世界に与えた感動のことです。世界の他の場所なら、略奪や騒乱や混乱状態が起こってもおかしくないような惨禍の中にあってなお、穏かさと互いへの思いやりを失わなかった日本の皆さんの様子に、世界中が驚きました。現代に生きる私たちみんなにとっての素晴らしい模範を、あなた方は示してくれたのです。

私は心から願っています。この危機をきっかけに、あなた方の国における発展と進歩の方向性が根本的に見直されることを。ますます多くのエネルギー消費を必要とする経済システムの愚かさと残酷さに、人々が気づくことを。日本ばかりではありません。世界中の人々が、消費を煽り続けて経済成長を追求する社会・経済システムの罠にかかって、目を眩まされてきたのです。経済成長なるものは、生物の世界における成長とは相容れないものです。それどころか、経済成長とは、無限の多様性を原理とする生命の世界に、それと正反対の“モノカルチャー(均質性)”という死の原理を持ち込むことによって、自然がよって立つ基盤そのものを突き崩そうとするのです。

このように時代遅れで腐敗した経済成長という考え方が、もうこれ以上人々を押し流さないよう、私は願っています。自分の心の声が、そして自分の中にあるはずの健全な常識や知恵がきっと頼りになります。あなた方の国で起こった大災害は、これまでむやみに経済成長のみを信奉してきた人々の心をも揺さぶったはずです。同時に、経済の原理ではなく、いのちの原理の側に立つ人々の思いを確信に変え、相互の絆を強めることになったことと、私は期待しています。

この危機の中でこそ、私たちは手をさしのべ合い、コミュニティのつながりを編み直さなければなりません。そして、生きている大地へと向き直り、動植物をはじめとする自然界との一体性を取り戻すのです。


2011年4月   ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ


My heart goes out to all of my friends and colleagues in Japan at this
difficult time. First of all, I want to say how touched the outside world
has been by your remarkable composure and dignity in the face of such a
serious crisis. Across the world, people have been amazed by the peaceful
and respectful behaviour in Japan. At a time when, in many countries, there
would be looting, friction and breakdown, you have managed to maintain the
social fabric in an admirable manner. You are a great and inspiring model
for all of us.

I sincerely hope that this crisis will lead to a profound reassessment of
the direction of development and progress in your country. I hope that
people will wake up to the absurdity and cruelty of an economic system that
demands an ever-increased consumption of energy. Around the world our minds
have been clouded by a political and economic system that traps us in a
blind pursuit of global growth through ever-increasing consumerism. This
economic growth is anti-thetical to biological growth in the living world.
It stifles the very foundations of life, the infinite diversity of the
living world, imposing instead a deadly monoculture.

I hope that this outdated and corrupt notion about economic growth will not
continue to overwhelm us, that we will find guidance in common sense and
wisdom, and in listening to our hearts. What has happened in your country
has hopefully shaken the firmament of those who have blindly held to their
belief in economic progress, and simultaneously strengthened the conviction
and the collaboration among those who affirm instead, the very principles of
life itself.

In this time of crises we need to reach out to one another and the living
earth, rebuilding the community fabric and our connections to the plants,
the animals and the rest of creation.

(翻訳:辻信一)


「幸せの経済学」を見て

2011年05月22日 | Slow Life
今日は、国際生物多様性デー。
それを記念して全国100か所以上で自主上映された、ドキュメンタリー映画「幸せの経済学」を見ました。

いろんなイベントが会ってどれも興味深く目移りしましたが、結局、
ラダックに行った際にご縁をいただいた、NGOジュレーラダックが事務所を置く、都会の真ん中の天然住宅のお寺・見樹院でのイベントに参加しました。

映画自体は、チベット文化圏のラダック地方が急速な近代化で混乱するのを描いた「懐かしい未来へ」の続編のような位置づけで、経済成長優先のグローバリゼーションが、都市問題、環境問題、精神性やコミュニティの崩壊の問題などを引き起こしていること、それへの反動として、先進国を中心にローカリゼーションへの回帰が様々な形で起きていること、などを示していました。

日本でも、大学生が横浜の里山で田植えをすることで自然とのつながりを取り戻したり、小川町での地域循環の取組みなど、見慣れた光景が紹介されていました。

映画の内容自体は、ある程度予測がつき、もちろん納得のいくことでした。特に、「interdependence on earth, people, natural environment and community」とか「connected」などのキーワードがいくつも飛び込んできました。

印象的だったのは、若い人を中心に40人近い参加者がいたこと。3.11の震災&原発災害で、これまでの経済優先社会がこのままでは立ちいかないこと、これまでとは違う社会を作る必要性などに、多くの方が気づいたからかもしれません。

そう、「経済成長のためには、都市のために田舎は、原発や米軍基地は仕方ない…」という考えは、「大本営発表と同じだった」ということが、この機会に多くの人に知られることになったと言えるかもしれません。

オルタナティブな社会は、他ではない我々が、「いつか」ではなく今からでも、始めないといけませんね。それを改めて考える機会を頂きました。


桜咲く山里で絶景巡り

2011年05月18日 | 山梨・芦川にて

山梨の芦川にある直売所での体験ものが終わったら、
地域にある懐かしい匂いのする民宿で宿泊。

昨年は12/11に泊まり、2010年最後の、そして今年は4/23に泊まり、2011年最初のお客になったという(!)縁を感じるところで、田舎料理をいっぱい頂きました。

次の日は、昨日の雨がうそのように晴れたので、車で頂上近くまで行けて徒歩5分で絶景という新道峠に行きました。行く途中の山道から、青空の向こうに浮かんで見える雪をかぶった八ヶ岳や南アルプスに見とれていましたが、駐車スペースから5分ほど上った峠から望む河口湖越しの富士山は、スケールと秀麗さとで言葉も出ないほどでした。。。

ハイキング気分を味わったあとは、早朝の散歩で集落のしだれ桜がきれいだったこともあり、せっかくの桜の季節なので、隣の集落まで散歩してみました。

道沿いの中学校の校庭脇、段々畑の見事な石積みの脇、集落の奥にひっそりとしずまっている古刹の境内にある桜など、どれも周りの風景に溶け込んで、情緒満点に咲き誇っています。

静かな集落を桜を眺めて一人で歩いたあと、バスに揺られて穏やかな気分で帰途につきました。


桜咲く山里でそばうち&草もちづくり

2011年05月17日 | 山梨・芦川にて

東京から2時間足らずで懐かしい風景に出会える山梨の芦川地区で、
ジャガイモの植え付け、のはずでしたが…久しぶりに激しい雨が一日降り続き、
畑作業は全くできませんでした。

でも、さすが人材豊富で人々のネットワークが強い山里。
すぐに「村のそば打ち名人」を手配してくださり、急遽、そばうち&草もちづくり体験となりました。

そばをこね、よーく伸ばし、細ーく切っていきます。
何度目かの挑戦ですが、水加減、ダマにならないようによくこねること、
綺麗に伸ばすこと、均一の細さで切ることはいつも課題です。

前回ほうとう作りもやりましたので、違いを聞いてみると
ほうとうは、毎日の食事の日常食、そばは人に出すようなハレの日の
食べ物だったそうです。

さて、自分たちでうった打ち立てのそばと、名物の山椒入りの太巻などの
昼食を食べた後は、芦川の直売所でも大好評の草もちづくりを達人のお母さんに
教えてもらいます。

香りがよくてやわらかくてサイコー、というこの時期のヨモギを
摘んできて、何度も水で洗って異物を取り除いた後、ふかして冷凍しておくそうです。
そのヨモギと、米粉から作った饅頭生地をひたすら手でこねてゆくと、
白かった生地が段々緑色になってゆきます。

当初、ジャガイモの種イモ植という「援農」の予定だったのが、
雨で実施できないために、逆に村の方に、蕎麦打ちや餅づくり教えてもらうという形となりました。
地域のお役に立てなかったのは残念でしたが、参加者はみな満足そうでした。


新緑の梅ヶ島でお茶と自然の恵みを満喫

2011年05月11日 | エコ/グリーンツーリズム、地域づくり
連休最後の土日は、隠れ茶を守る会(http://blog.goo.ne.jp/kakurecha)と東京農大による、静岡の梅ヶ島での茶摘み&トレッキングに参加しました。

梅ヶ島は、がんばっている有機の茶農家を守ろうという「隠れ茶を守る会」とのご縁から、これで3,4回目になりますが、毎回のように、豊かな森や温泉の恵みも感じられるし、お茶についての新たな発見や人との出会いというお楽しみをいただいています。

今回は、まず茶摘み。寒さのために例年より新芽の出が遅かったので、比較的伸びているところで摘ませてもらいます。刈り込まれた茶畑の茶より、生垣代わりに片隅に植えられ、手入れもされていない木から摘まれた茶葉は、ワイルドで力強い味するとも聞きます。

その後、お茶農家さんが個人で営む製茶工場を見せてもらいながら、農家さんにお話を伺います。今では、ほとんどが共同組合の工場で製茶されるために、様々な品質のお茶がブレンドされてしまいますが、個人の工場ではその心配がなく、一つのお茶の味そのものが味わえるようで、そこの農家のお茶が飲みたい!という根強いファンや、自分の茶を自家用に、という地元の茶農家にも支持されているようです。茶業の苦労話の今昔や息子さんに後を継いでほしいというざっくばらんな地元農家の話を伺えてよかったです。

次に、山の上の集落で文化的景観とも言えるすり鉢状に茶畑が広がる独特の風景を見たあと、

蒸したお茶の葉をホットプレートで根気強く焙煎する体験。90秒ほどレンジで蒸した茶葉を、ホットプレートで熱しながら手でもんでいくこと30分…ただの葉っぱが「お茶」になるのを見届けるのはなかなか達成感が味わえます。

次の日は、新緑の中をハイキングして、阿部の大滝へ。

美味しい空気とマイナスイオンを満喫、充実した休日でした。

被災地の様子

2011年05月06日 | 「つながりの旅」とは?


津波で押し流された家や大破した家にカメラを向けることはためらわれましたが、被災地の様子を目の当たりにすると、津波の威力や地震の被害といった自然の圧倒的な力を感じます。また、雨のように曲がった線路や手の施しようのない駅舎を見ると、業界人としては、呆然としてしまいます。

気仙沼線大谷海岸駅とその付近
  

田んぼのがれき、電柱や車も…


虹色の雲の下でガラスの破片や釘をみんなで取り除く「地雷除去」作業


段々と片付いてきた田んぼの彼方からの日の出

ふゆみずたんぼ復興のお手伝い

2011年05月05日 | Slow Life
連休中に行った復興ボランティア作業について。

NGOナマケモノ倶楽部つながりの方が、小中学生を相手に、気仙沼で「ふゆみずたんぼ」の環境教育を行っていました。これは、収穫後の冬も田んぼに水を張って水鳥の営巣地とすることで、鳥の糞などにより田んぼに養分が行き渡り、稲が無農薬で育てられるというふゆみずたんぼの取り組みを、幼稚園や小学生の早い段階から中学生まで、コメ作りを手作業で行うことを通して、地域の子どもたちが自然の循環を体得する、というものです。

今回の震災後の津波で、その子供たちの田んぼも、周りの学校や民家と同じく、津波の濁流にのまれ、たくさんの瓦礫と砂に覆われてしまいました。この田んぼのがれきを取り除き、再び子どもたちが裸足で田んぼ作業ができるようにしようというのが今回の取り組みです。

田んぼ自体は、中学校の裏手にある300平米ほど。でも、初日に見たときは、自動車や家まで流れつき、他の田んぼと同じく、目も当てられない状況でした。これを、約15人のボランティアで、家財道具、レコード、畳、屋根の鉄板など、あらゆるがれきを取り除いていきます。途中、大の大人6,7人でようやく持ち上がる巨大な梁や、田んぼの中に流されて泥に突っ込み、どうしようもなくなっている自動車も、人海戦術で取り除いていきます。
大きながれきをほぼ取り除いた三日目からは、地表のガラスや大きな石など、子どもたちが裸足で入った時にけがの原因となりそうな異物を、地雷除去のように田んぼに一列になり、みんなで表土をかきわけて探していきました。

そんなことを朝から夕方までやてっいるうちに、田んぼも見違えるようにきれいになりました。改めて、人と一緒に力を合わせてやることの大切さを感じました。

しかし、周囲の他の田んぼではまだ瓦礫が散乱。今年コメ作りをするためには間に合わないけど…復旧するには遠い道であることを改めて感じます。

気仙沼で、震災復興のお手伝い

2011年05月03日 | Slow Life
ナマケモノ倶楽部のつながりで、気仙沼に復興支援作業のお手伝いに行ってきました。
具体的には、津波でがれきに覆われた田んぼが、元通り子供たちの環境学習の場所として使えるように、
みんなで復元する、というものです。
http://www.voluntary.jp/weblog/myblog/275

もともと、「被災者の支援につながることを現地で行いたい」
という思いからこの活動に関わったのですが、
・「訪問」程度に短期で行っても、受入側の負担を増やすだけ
・ゴールデンウイークは人が集中し、現地でも受入の混乱が予想される
等の話を耳にして迷ったものの、やはり行って良かったと思いました。

数日間一つの地域に滞在しただけで、
被災者の気持ちが十分わかる訳ではないのですが、
現地で津波のすさまじさを見て、そこから失われたものの大きさを感じることで、
少しでも被災地や、被災者の方々に、想いを馳せやすくなった気がします。

また、防災意識も高まりますし、
復興の街づくりということを具体的に考える一助にもなると感じました。 

帰り路に塩釜や仙台の街で見た、「がんばろう宮城」というキャッチフレーズ、
今では、より共感を持って眺められるようになった気がします。