ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

あじさいの見える丘に_2

2009-06-07 19:02:22 | 逆襲の藤隆
「男の子みたいでいいのよ。」
先生はきっぱりといった。
「このお姫様は男装することが多い男装の麗人でね。文武両道にすぐれた
人だと國の内外に思われているのよ。」
と、先生は言葉を続けた。
「お姫様は、なんだかその跡、女性っぽさに目覺めるのでは?」
と、私は続けた。
先生は笑ながら頷いた。
「そりゃ面白くなりそうです。」
私は相づちの意味で、おだてるように答えた。
先生は城の背景を書く作業に入っていた。
男の子のように、ショートカットのお姫様はピンク色のドレスを着ている
ようである。お姫様は恍惚の顏をしている。
「お姫様の顏がうっとりしているのが解る。」
先生は
「でしょーっ。」
と私の方をずらした眼鏡越しに見た。
「王子様ってどんな感じなんでしょうかね。」
私もほとんど興味本位だった。
「王子様はまだ決めていないのよ。」
先生はそう答えた。
「こういう王子様だから、かっこいい人なんでしょうね。」
私がそう答えたとき、先生は眼鏡の縁からふふんとした顏をしていた。
つづく
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あじさいの見える丘に_1

2009-06-07 19:01:04 | 逆襲の藤隆
「急な坂だな。」
そう独り言を言って、いつもの坂を上っていく。
湘南と横浜の中間に存在する、足柄聯邦のある町である。
此處にある童話作家が住んでいる。
私は今現在所属している企業に転職してから、もう3 年になる。
もともと、北陸にある金澤の出版社に勤めていたんだけれども、
会社の倒産により、此處關東にやってきたのだ。
昔のように關東が日本の中心じゃないのは解っている。
金澤の存在する北陸の方が富んでいる。
友人の伝手で、此處にきた。日本國の関東地方は存在しているわけじゃない。
2~3 カ国にそれぞれ関東地方に出来た國家によって分割統治されている。
でも、歴史的区分として關東という概念は存在している。
私が住んでいる世界とはそう言う物である。
もう梅雨の時期なので、雨は激しくなってきている。
急がなければ。
予定より5 分遅れて、先生の家についた。
先生は怒っていたようである。
「遅いわねぇ。何か弁解する理由はあるわけ。」
眼鏡をずらしたような独特のかけ方をした童話作家の先生は、
絵本を書くためのペンタブをいつもよりも強く
つかんでいるようだった。
「今度の絵本はお姫様が主人公のようですね。」
色を塗っていないCharacter が居るモニターを見た。
「そうね。」
先生の言葉は冷たかった。
私が疑問に思ったのは、お姫様が男の子のように見えるところである。
「先生、ヒロインのお姫様が男の子みたいですが。」
私は疑問を率直にぶつけた。
「それでいいのよ。」
先生の答えだった。
つづく
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする