ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

純情の秋田市に捧げる牡丹_3

2008-11-06 21:19:13 | 信・どんど晴れ

「幼なじみだっていっても、私が頼まれて・・・。」
「だから、私は善意で働いているのに。」
女性同士が言い合って、ドアを開ける音がした。
「さっきから見ていて思うんだけれども、あなた女性なんですか?」
久留美が"男性"に見える人にそう突っかかった。
「私は女性です。」
"男性"はむっとした顔で答えた。
久留美はふーんとした顔で
「あなたが女性だったら、がさつなかなちゃんだって・・・。」
其れを見て
"男性"は
「佳奈ちゃんって誰。」
と恍惚けて見せた。
「佳奈ちゃんは私たちと一緒に住んでいる、女性です。」
其れを聞いて"男性"は
「佳奈ちゃんは何処にいるの。」
と回答した。
「佳奈ちゃんは・・・。そうだ・・・。ここの家のリビングでおじさんとお酒を
飲んで居るみたいだよ。あんまり寒いの苦手だから・・・。」
「寒いの苦手ってどうして・・・。」
"男性"には分からないようである。
「彼女は加計呂麻島という沖繩の近くの出身らしくて、秋田の冬は初体験
らしいんだ。だからおこたで・・・。」
"男性"は一瞬考えて
「沖繩の近くの子が此処まで来るなんて珍しいよ。なんだか合ってみたい。」
と久留美を見ながら、廊下をリビングの方向に歩いていった。
2人が馬鹿な話をしていると、佳奈がこたつですっかり寛いでいた。
アルコールもある程度廻っているようである。
「おーい。」
"男性"が佳奈に声を掛けた。
「彰、すこしアルコールが廻っている人に声を掛けるのはいけないんじゃないのか?」
久留美の父親が困ったような表情を見せている。
「なんだ。お嬢さん。私に何かようかい。」
ほろ酔い気分になった佳奈は彰という名前の男性のような女の子に声を掛けた。
「お嬢さんだなんて、そんな言葉渡しかけられた事ないもん・・・」
彰は、少し赤くなった。
「そんなに嬉しいの。女の子に当然の言葉を掛けただけなのに。」
赤くなった顔の佳奈は苦笑した。
「あの自己紹介をします。追浜彰、淡雪の幼なじみです。」
と彰はすっかりこたつで丸くなっている佳奈に声を掛けた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

純情の秋田市に捧げる牡丹.2

2008-11-05 21:06:53 | 信・どんど晴れ

「幼なじみ?!」
佳奈と久留美は淡雪の方を見た。
淡雪は黙ってうなずいた。彼女の表情からして、
あまり存在をいいとも思っていないようである。
「何があったんだよ。」
佳奈は疑問に思って聞いてみた。
「何があったかあなたには関係がないでしょ。彼女と私の関係だから。」
淡雪は感情をあらわにした。
そんだけ電話口に出た"彰"なる女性が気にくわないのだろう。
「ところでさぁ。結構駅から歩いて居るんだけれどもどのくらいかかるの」
久留美が念押しをするように淡雪の実家への距離を聞いた。
「あと10分もかからないかな。駅から歩いて20分ぐらいかな。」
と険しかった表情を変えた。
「私は電話口の女の子、悪い子じゃないと思うのだけれども・・。」
佳奈は淡雪をちらりと見た。
「どうかな。」
久留美の言葉で表情が軟らかくなった女性がまた表情が硬くなった。
「やれやれだぜ。」
佳奈はそうつぶやかざるを得なかった。
程なくして、淡雪の実家が見えてきた。
「ふーん。なんだか少女漫画かギャルゲの女の子が住んでそうな家だ。」
鉄筋コンクリート造りの家を佳奈は眺めていた。
「そうね。あたらずも遠からず。ギャルゲってなんで佳奈ちゃん知っているの?」
佳奈は少し考えて
「私の弟の友人がギャルゲが好きでね。」
と、いいながら、家の玄関のドアノブに手を掛けようとした。
「ちょっと待ってよ。」
淡雪が割って入って
インターホンを押した。
其れを見た久留美が
「佳奈ちゃん無躾だよ。まず淡雪ちゃんが挨拶をしなきゃ。」
と言った。
「ああ。」
気の抜けたコーラみたいな声しか佳奈は声が出ない。
「淡雪です。今到着しました。」
淡雪のインターホンの応対に野太い男性の声がした。
程なくしてドアが開くと、四角い顔の男が出てきた。
「淡雪、お帰りなさい。同居している友達を連れてきたのか?」
男は答えた。
「私の父です2人ともご挨拶を。」
「松本佳奈です。お世話になります。」
「高槻久留美です。お世話になります。」
2人はお互い父親となのる男性に挨拶をした。
「まぁ。靴を脱いで上がりなさい。」
淡雪の父親は娘とふたりの友人に指図をした。
佳奈や久留美は部屋を見回した。
廊下の中間に階段があって、奥のリビングに通じる道にフローリングが敷き詰められている。
「返ってきてはなんだが、後で屋根の雪を下ろしておいてくれ。」
父親は腰を2,3回叩いた。
ドアを開けるとリビングルームが有り、壁が仕切られた所に台所がある。
中年の女性が甲斐甲斐しく、おせち料理の用意をしていた。
「お帰りなさい。淡雪。確か下宿の同居人のお友達の2人も・・・。」
そんなことを言いながら、娘の同居人を見た。
「母です。」
淡雪は彼女を紹介した。
佳奈は、女性を見たが、些か気の強そうな感じを受けた。お父さんを尻に敷きつつも
たてるという古風な女性という印象を持っていた。
「ねぇ。淡雪ちゃんお父さんにも言われていたけれども、後で屋根の・・・。」
そう言おうとした矢先、久留美が
「私がやっておきます。私石川の実家でもこの季節は屋根の雪下ろしをやって居るんですよ。」
と元気に答えた。
「そうなの。ありがたいわね。」
とにこやかに答えた。
佳奈は、父親がこたつに座りながら飲んでいたものを見ていた。
「日本酒ですか?」
佳奈は五合瓶を見た。
「ああ。そうだが・・・。あんた沖繩の人だっけか。」
と佳奈の顔を見ながら言った・・。
「遠からずも近からず。関東の人にはそう説明することがあるのです。日本酒は
関東に来て初めて飲んだんですよ。自分のシマには焼酎しか・・・。」
それを見て父は、
「あんた飲める口だろ。この日本酒はうまいんだ。」
と食器棚からグラスをだして、佳奈に注いだ。
窓を見たのだが、お酒を飲むには些か早いのではと佳奈は思った。
「少し早いですよ。でもまあ・・・。」
と口を付けた。初めて関東に来たときうまそうに日本酒を飲んでいる淡雪や久留美をみて
のんでみたのだけれども、酔いが直ぐ廻って大変なことになったのを思い出していた。
「うまいですね。所でお父さんは焼酎は飲んだことがあるのですか?」
佳奈は淡雪の父親に聞いてみた。
「そうだな。俺は、関東に行ったとき飲んだ・・・。いまいちぴんと来なかった・・。」
と少し思い出しながら答えた。
父親と楽しそうに佳奈が語らっているのを見て、母親とおせちの手伝いを
淡雪と久留美がしていた。
「お父さんもなんだか息子が出来たみたいで・・。」
と淡雪の母が答えた。
「佳奈ちゃんはどことなくオヤジクサイというか・・・。」
淡雪は苦笑していた。
「是を終わらせたら、私は屋根の雪下ろしをしてきますね。」
久留美は蕎麦にあった雪下ろしの道具をみた。
「いってらっしゃい。」
母親はそう答えた。
里芋をボウルに入れて、久留美は外に出て行った・・・。
一時間半ぐらいたった後、久留美が帰ってきた。
「あのー、頼まれもしないのに乱入して手伝うなんて・・・。いったい・・・。」
「此処の淡雪の幼なじみだよ・・・。私は・・・・。」
なんだか一悶着有りそうだ・・・。
つづく
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

純情の秋田市に捧げる牡丹.1

2008-11-03 17:15:01 | 信・どんど晴れ
「ついたか。」
ある場所に降り立った、松本佳奈という女性は、つぶやいた。
改札口を降りて、一緒に来た女性たちと目的地に向かおうとしている。
駅名を見ると、「秋田駅」と書かれている。
「お前さんの、言うとおり、家とビルが立ち並んでいるな。お前さんの
どことなく都会的なセンスはこういう雰囲気の場所から生み出されたのか。」
と佳奈は、同行の女性、横手淡雪に質問した。
「皮肉なのかしら?」
そう、淡雪は佳奈の答えに返した。
「佳奈ちゃん、淡雪ちゃんをからかわないの.」
同じく同行の女性、高槻久留美は佳奈に答える。
「ああ、すまんすまん・・。田舎って色々な田舎があるんだ・・・。」
そう佳奈はつぶやきながら住宅地を同行の女性ふたりと歩いていた。
「ねぇ、淡雪ちゃん。あなたの原風景は路地裏にあるとか言っていたよね。
今住んでいる神奈川の街もそれで気に入っていると・・。」
ただ黙っているだけでは、駄目だと思い、
久留美が話を切り出した。
「そうね。私はこういう町で生まれ育ったんで路地裏とか家が立ち込んでいる場所って好きなのよ。」
話がかみ合わない佳奈と違い久留美は淡雪とは妙に馬が合う。
神奈川には進学でやってきて、今説明した2人とルームシェアをしながら
住み始めたが、どうにも自分は一つ屋根の下にただ住んでいるだけだ。
加計呂麻島という沖繩の近くの島で生まれ育った松本佳奈にとって
自分の親戚ですら足を運んでいない東北の秋田市をみたい。ただ
その一心で横手淡雪の帰省に着いてきたのだ。
すると電話のベルが鳴った。
誰の電話だろう・・。
淡雪である。
「もしもし、彰ちゃん、いつ秋田に帰って来たの・・。えっ昨日?
今どこにいるかって、駅を離れて私の実家に向かっている所よ・・・。」
なんだかいらだっているようである。
「おい、今の電話の奴、何か?昔から知って居るみたいだが・・・。」
佳奈は淡雪に質問してみた。
「幼なじみよ。」
淡雪は苛立ちながら携帯の通話終了のボタンをおしていた
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

人として軸がぶれていない10

2008-11-01 20:02:16 | 逆襲の藤隆
現在、見ているドラマは、
「あるぺじお-君色のメロディー」
というドラマである。
天才リュート奏者である主人公が台湾に帰ってきて、
台湾の音大で色々な人間と出会い、
恋愛をするというビターな物語である。
原作は・・・。此処では言えない。
ただ言えるのは日本の作品であること。
全面に流れる古楽が美しい。
「新時代の"のだめ"」というキャッチコピーがレンタル屋の
あちこちにかかっていた。
本国台湾では原作レイプか原作を昇華したものかで論争が
続いているという。
これで私の台湾ドラマ視聴の日々の報告は終わらせて貰う。
また、何かあったらみんなに会いたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする