ブルーシャムロック

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純情の秋田市に捧げる牡丹/10

2008-11-25 19:32:50 | 信・どんど晴れ
彰と佳奈はコンビニに来ていた。
「観光地を撮影するカメラを忘れてきたんだ。」
佳奈は苦笑していた。
「デジカメを忘れてきたの?よほど田舎ものだ。」
彰はそう返してきた。
「まぁな。所でみんな私の郷里よりもせかせか動いているな。
関東とあまり代わりがない。」
とコンビニの窓の外を見た。
「それぐらいが普通だよ。なに奄美ってそのぐらいのんびりしているんだ。」
彰は驚いているようだった。
「のんびりしている。秋田駅から淡雪の実家の方に行くとき、除雪用の作業車両が
猛スピードで動いているのには吃驚した。」
と佳奈は秋田の印象を淡淡と説明した。
「へぇ・・・。」
彰は言葉を返すことがない。
コンビニを出た後、佳奈は語り出した。
「実を言うと今の大学合格しなければ大阪で就職する予定だったんだよ。
2月末に神奈川の大学から補欠合格の通知が来なければね、秋田まで
来ることもなかった。」
彰は
「そうなんだ。私は沖繩や奄美って小学校の頃の調べ物でしか知らない夢の国だったし・・・。
他に中学校の頃の合唱曲のさとうきび畑の歌とか・・・。」
佳奈は一瞬考えて
「私の実家はそのサトウキビ農家なんだよ。お前さんが想像したような畑で
サトウキビ農家が出てくる映画やテレビドラマみたく収穫するんだ。」
と自分の身の上を説明した。
「お米を収穫する農家みたいな・・・。」
彰はぽつりとつぶやいた。
「違うんだよな。それと私の郷里はあんたが考えているほど楽園じゃない。」
佳奈は険しい表情になった。
コメント
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