ブルーシャムロック

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純情の秋田市に捧げる牡丹.2

2008-11-05 21:06:53 | 信・どんど晴れ

「幼なじみ?!」
佳奈と久留美は淡雪の方を見た。
淡雪は黙ってうなずいた。彼女の表情からして、
あまり存在をいいとも思っていないようである。
「何があったんだよ。」
佳奈は疑問に思って聞いてみた。
「何があったかあなたには関係がないでしょ。彼女と私の関係だから。」
淡雪は感情をあらわにした。
そんだけ電話口に出た"彰"なる女性が気にくわないのだろう。
「ところでさぁ。結構駅から歩いて居るんだけれどもどのくらいかかるの」
久留美が念押しをするように淡雪の実家への距離を聞いた。
「あと10分もかからないかな。駅から歩いて20分ぐらいかな。」
と険しかった表情を変えた。
「私は電話口の女の子、悪い子じゃないと思うのだけれども・・。」
佳奈は淡雪をちらりと見た。
「どうかな。」
久留美の言葉で表情が軟らかくなった女性がまた表情が硬くなった。
「やれやれだぜ。」
佳奈はそうつぶやかざるを得なかった。
程なくして、淡雪の実家が見えてきた。
「ふーん。なんだか少女漫画かギャルゲの女の子が住んでそうな家だ。」
鉄筋コンクリート造りの家を佳奈は眺めていた。
「そうね。あたらずも遠からず。ギャルゲってなんで佳奈ちゃん知っているの?」
佳奈は少し考えて
「私の弟の友人がギャルゲが好きでね。」
と、いいながら、家の玄関のドアノブに手を掛けようとした。
「ちょっと待ってよ。」
淡雪が割って入って
インターホンを押した。
其れを見た久留美が
「佳奈ちゃん無躾だよ。まず淡雪ちゃんが挨拶をしなきゃ。」
と言った。
「ああ。」
気の抜けたコーラみたいな声しか佳奈は声が出ない。
「淡雪です。今到着しました。」
淡雪のインターホンの応対に野太い男性の声がした。
程なくしてドアが開くと、四角い顔の男が出てきた。
「淡雪、お帰りなさい。同居している友達を連れてきたのか?」
男は答えた。
「私の父です2人ともご挨拶を。」
「松本佳奈です。お世話になります。」
「高槻久留美です。お世話になります。」
2人はお互い父親となのる男性に挨拶をした。
「まぁ。靴を脱いで上がりなさい。」
淡雪の父親は娘とふたりの友人に指図をした。
佳奈や久留美は部屋を見回した。
廊下の中間に階段があって、奥のリビングに通じる道にフローリングが敷き詰められている。
「返ってきてはなんだが、後で屋根の雪を下ろしておいてくれ。」
父親は腰を2,3回叩いた。
ドアを開けるとリビングルームが有り、壁が仕切られた所に台所がある。
中年の女性が甲斐甲斐しく、おせち料理の用意をしていた。
「お帰りなさい。淡雪。確か下宿の同居人のお友達の2人も・・・。」
そんなことを言いながら、娘の同居人を見た。
「母です。」
淡雪は彼女を紹介した。
佳奈は、女性を見たが、些か気の強そうな感じを受けた。お父さんを尻に敷きつつも
たてるという古風な女性という印象を持っていた。
「ねぇ。淡雪ちゃんお父さんにも言われていたけれども、後で屋根の・・・。」
そう言おうとした矢先、久留美が
「私がやっておきます。私石川の実家でもこの季節は屋根の雪下ろしをやって居るんですよ。」
と元気に答えた。
「そうなの。ありがたいわね。」
とにこやかに答えた。
佳奈は、父親がこたつに座りながら飲んでいたものを見ていた。
「日本酒ですか?」
佳奈は五合瓶を見た。
「ああ。そうだが・・・。あんた沖繩の人だっけか。」
と佳奈の顔を見ながら言った・・。
「遠からずも近からず。関東の人にはそう説明することがあるのです。日本酒は
関東に来て初めて飲んだんですよ。自分のシマには焼酎しか・・・。」
それを見て父は、
「あんた飲める口だろ。この日本酒はうまいんだ。」
と食器棚からグラスをだして、佳奈に注いだ。
窓を見たのだが、お酒を飲むには些か早いのではと佳奈は思った。
「少し早いですよ。でもまあ・・・。」
と口を付けた。初めて関東に来たときうまそうに日本酒を飲んでいる淡雪や久留美をみて
のんでみたのだけれども、酔いが直ぐ廻って大変なことになったのを思い出していた。
「うまいですね。所でお父さんは焼酎は飲んだことがあるのですか?」
佳奈は淡雪の父親に聞いてみた。
「そうだな。俺は、関東に行ったとき飲んだ・・・。いまいちぴんと来なかった・・。」
と少し思い出しながら答えた。
父親と楽しそうに佳奈が語らっているのを見て、母親とおせちの手伝いを
淡雪と久留美がしていた。
「お父さんもなんだか息子が出来たみたいで・・。」
と淡雪の母が答えた。
「佳奈ちゃんはどことなくオヤジクサイというか・・・。」
淡雪は苦笑していた。
「是を終わらせたら、私は屋根の雪下ろしをしてきますね。」
久留美は蕎麦にあった雪下ろしの道具をみた。
「いってらっしゃい。」
母親はそう答えた。
里芋をボウルに入れて、久留美は外に出て行った・・・。
一時間半ぐらいたった後、久留美が帰ってきた。
「あのー、頼まれもしないのに乱入して手伝うなんて・・・。いったい・・・。」
「此処の淡雪の幼なじみだよ・・・。私は・・・・。」
なんだか一悶着有りそうだ・・・。
つづく
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