ブルーシャムロック

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一人にとっての大好物は他の人の普通かもしれない。

2016-06-24 11:11:24 | 信・どんど晴れ
私、松本佳奈の友人の一人、井手盈健一郎(ideura_kennichirou)
という男がいる。
彼は調布出身で、自分のルーツである岩手に誇りを持っているが、
しかし、彼の出身と同じ県である下町とは岩手・東北感は
考えは一線を画している。
「僕の、生まれ育った調布のマンションでは、隣の部屋が雲伯地方出身の
夫婦がデザインの個人事務所を開いていた。
え、雲伯地方ってどこにあるか知らないの?松江や大山、米子あたりがある
鳥取県と島根県にまたがる地域さ。」
私が馬鹿だからわからないという感じで愛想笑いをすると、それなりに
怒ることが多かった。
「自分のルーツが岩手にあって、隣の部屋の夫婦が大井川より西にある。
お互いがお互いバランスを取らなければいけないと思うことが
大学に入学した今年までずっと思っている。」
彼の口癖である。
「私は、関東は東北の人間が沢山住んでいると思っていたから・・。」
井手盈氏は一旦考え、
「そうだねぇ。でも、調布のような状況がある一方で
浅草・深川・上野のように、元々の成立した状況を忘れて、
ある一定の時期に起きた出来事に陶酔している場所だってある。
そこは、僕のルーツである岩手にやさしいけれども、他の場所に対しては
冷徹に徹している。彼らが敵視する存在が避けるのも言うに不及、
岩手を含めた地域を意地になって守ろうとしているようにも思える。」
という。
「私は奄美から上京するまで誰も言わなかった。あそこは安らぎの場所
だと言われいたから。」
私は言う。
「君も進学で上京してわかっただろう。誰も話したくないことがどの場所、
どの地域にもあるんだ。裏で大好物を押し付けてのうのうとしている
奴らがいるんだ。」
私は、意見を飲み込んだ。自分の周りにはここにくるひとがいないから
関東の姿は、誰もわからないのだ。
「確か、私が在籍している大学のある場所は、それほど東北出身者が、
浅草・深川・上野ほど多くなくて、彼らに足元を見られていると
地元出身の人たちが言うよね。それは、井手盈君はどう思うの。」
私は言う。
「ああ。だから、浅草・深川・上野に反抗するんだ。」
井手盈君はまるで、あめ玉と苦いものを一緒に食べたような表情で
笑っていた。
「下町と神奈川県のこの場所はいろいろなことで違うんだな。」
と口を尖らせた。
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