ブルーシャムロック

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自由に生きよ_Epilogue

2011-11-08 17:39:09 | 信・どんど晴れ
「いつも思います。貴殿が自らの手を汚して、大女将の考えていることを打ち砕いて
私を後継者にしたいという事を。朝倉が食中毒の張本人という事も
彼女を遠ざけるための考えてですか。たぶん、彼女は加賀美屋と徳之島を憎み続けるかもしれません。」
私、松本佳奈は複雑な顏をして、女将である加賀美環を見た。
「その代わり、朝倉夏美は横浜において幸福をつかんだわ。」
女将は冷たく口を開いた。
「今になって思うのですが、此處にいることは私の宿命だと。朝倉夏美が生まれ育った近くの
神奈川縣の街に何のために住んでいたのか?ぼけーと学生生活は進んでいった事を。」
私は、淡々と話していたけれども、心の中に悔しさが籠もっていた。
「あなたは、此處の方がいいかもしれない。時折現れる沖縄の女性は、アナタのことを
考えてくれる。もし、加賀美屋の力になるならば、彼女の力を借りるべきね。」
厳しい表情である女将の顏がいささか緩んだ。
「彼女は実を言うと学生時代住んでいた関東で出会いました。自分のことを気にしていまして。」
私は、甘い物と酸っぱい物を一緒にして食べたような顏をした。
「なかなか、彼女に悩まされたようね。」
女将は笑った。
「はい。」
この言葉を言ったときには、女将に同感する氣持ちでいっぱいだった。
女将は自分のことになるとやり過ぎるが、仲間や部下として認めた人には
とことんまでつきあうというのは、旅館と島に来てからびんびんに感じるからだ。
私は閉じられたところの方が力を発揮する。去ってしまった人の自由に幸多かれ。
おわり
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