ブルーシャムロック

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去り時

2011-10-18 09:21:00 | 信・どんど晴れ
「今度の葬式でしたが、なにやら亡くなった大女将に味方をする人間はいませんでしたね。」
松本佳奈は、さらっと台詞を言う。
「いないかもね。だって大女将は自分勝手なことをしたから。」
佳奈の上司である女将は湯飲みのお茶に口をつけた。
「自分勝手ですか。たしかに朝倉夏美とか言う溺愛している孫につながる
人間を後継者にしようとしましたからね。結局くるはずだった孫の柾樹も大女将が
亡くなった跡だった。」
葬儀の時、遺骨と成った祖母を呆然とした顏で、身を寄せている石川県で出会った女性と
ともに見ていたのを佳奈は覺えている。
「それにしても柾樹、これからの後継者は、あなたの隣にいる佳奈さんだ。とか言ったのは
隣の内縁の奥さんの影響かもしれない。あの奥さん、関東に住んでいたときの同居人の
高校までの同級生だったとか。」
おかみはちと意地悪く答えた。
佳奈はばつが悪くなり
「まさかそんな人だとは思いませんでした。何處でどういうつながりがあるか自分も
信じ切れません。」
佳奈は、運命の皮肉さを感じていた。
「今だから話すけれどもね、関東にまた行きたかったあんたを加計呂麻の実家から
引き離して、徳之島に来させたことは少し後悔している。」
と、女将は佳奈の肩をたたいた。
「いえ、私は仕方がありません。だって私は関東でも、求める物が求められなかった
けれども、あまり好きではない此處で、刺激的な毎日を過ごしています。」
としんみりとした顏をした。
自分を中心に、運命を回り出す・・・。先日cable televisionのChannelを変えて
偶偶写ったanimeがそう述べていたのを思い出した。
おわり
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