読売新聞「混合診療 適用拡大が患者の利益になる」(http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130221-OYT1T01669.htm)。<以下引用>
<先進的で効果のある治療であるなら、誰でも受けたい。患者の立場で、保険医療制度を改善していくべきだろう。政府の規制改革会議が「混合診療」の適用範囲の拡大を検討課題に掲げた。混合診療とは、公的医療保険で認められた検査や投薬とともに、保険が適用されていない治療法を併用することだ。現在は例外的にしか認められていない。その対象は、高度がん放射線療法の重粒子線治療や、家族性アルツハイマー病の遺伝子診断など、厚生労働省が指定した約100種類にとどまる。指定外で未承認の新しい治療を受けると、本来は保険が適用される検査や入院費用も含め全額が自己負担となってしまう。がんや難病の患者が最先端治療に希望を託したくても、経済的理由であきらめざるを得ないケースもあるのが現状だ。規制改革会議が混合診療の見直しを検討課題に挙げたのは、医療分野の規制緩和を成長戦略の一環と位置付けているからだ。再生医療を含む先進的な医療技術全般に混合診療の適用範囲を拡大するのは妥当と言えよう。自民党は昨年の衆院選の公約で、患者の利益にかなう最先端の薬や医療機器、治療法の迅速な導入を掲げた。混合診療の見直しは公約を具体化する一歩となる。政府が先進的な医療を後押しする姿勢を明確に打ち出すことで、医師が新しい医療技術に積極的に取り組む効果が期待できる。ただし、混合診療を野放図に拡大するわけにはいかない。厚労省は一貫して混合診療を原則禁止としてきた。科学的根拠のない治療を助長する恐れがあるという理由からだ。最高裁も2011年、この政策を追認した。未承認の新治療を受けていたがん患者が国を相手取った訴訟の判決で、「医療の質の確保や財源面の制約を考えると適法」との判断を示した。「安全性や有効性を脅かす医療行為を抑止する意味がある」とも指摘している。確かに、混合診療を無制限に認めると、高額なうえに効果が実証されていない危険な薬や治療が横行することが懸念される。最高裁判決の趣旨からも、何らかの歯止めは必要である。混合診療の対象は、海外で効果が確認された薬や治療法のほか、国内の医学会などが認めた医療技術に限定するのも有効な方法ではないだろうか。>
高度医療評価制度(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/9fa7e74fce645d0949257849001ee9fd/$FILE/20110304_2sankou.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/04/tp0402-1.html)は、先進医療(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/)の一類型として保険診療と併用できる、政府公認の混合診療である。昨年には、「先進医療制度の見直しについて」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002f1gj-att/2r9852000002f1km.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002f1gj-att/2r9852000002f65w.pdf)が出され、患者の選択肢拡充の方向が示されていたが、どうなったであろうか。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/)では、「先進医療については、将来的な保険導入のための評価を行うものとして、保険診療との併用を認めたものであり、実施している保険医療機関から定期的に報告を求めることとしています。」としており、混合診療を論ずるには、まず、先進医療の拡充を論ずるべきではないか。日本医師会資料(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20110302_1.pdf)p18では、「先進医療の機動性を高めることで、国民の要望に応えることが可能」とされているが、全国保険医団体連合会「なし崩し的に混合診療を拡大する高度医療評価制度の見直し中止を求めます」(http://hodanren.doc-net.or.jp/news/teigen/110204koudo-iryou.html)と出ているように、混合診療の全面解禁につながることが警戒されている。混合診療については資料(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20110126_11.pdf)p10~13にわかりやすく解説されているのでみておきたい。「混合診療の全面解禁」とは、どんな場合でも「保険診療の一部負担+保険外の全額自費」になることであるが、社会一般に理解されているようには感じない。そういえば、2006年日米投資イニシアティブ報告書(http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/n_america/us/data/0606nitibei1.pdf)p9~「第一に、米国政府は、医療機関による資金調達を容易にし、生産性を高めるとの観点から、病院、診療所経営に対する株式会社の参入拡大を可能とするよう要望した。また、構造改革特区制度の下で株式会社の参入が可能となっているが、その範囲は非常に限定的であり、実質的に特区における株式会社の病院経営はほとんど実現していない点を指摘した。米国政府は、日本は高度医療特区を実施するための条件を緩和すべきであることを提案した。(中略)二点目として、米国政府は、日本では血液検査の外部委託により、かなりの効率化が図られたことを指摘した上で、リスクの低い医療行為、特にMRIやPET、CTスキャン等反復性のある医療行為については、株式会社に柔軟に外部委託できるよう要請した。(中略)三点目として、米国政府は、いわゆる「混合診療」(日本の公的保険制度の下で、保険から支払が行われる医療行為と、支払が認められていない医療行為の両方を含む診療)の導入について関心を表明した。」とされている。また、一昨年3月30日の経済同友会提言(http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/110330a.html)(http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/pdf/110330a_02.pdf)で、「株式会社による医療機関経営への参入促進」や「混合診療の全面解禁」が掲げられている。まずは、先進医療の機動性を高めること(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002f1gj-att/2r9852000002f1km.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002f1gj-att/2r9852000002f65w.pdf)が必要と思うが、社会一般には、「先進医療制度」そのものが知られていないように感じる。今回の報道のように、先進医療制度についてはマスコミ報道もされず、混合診療の一部解禁と全面解禁との違いが理解されないように誘導されているのかもしれない。
<先進的で効果のある治療であるなら、誰でも受けたい。患者の立場で、保険医療制度を改善していくべきだろう。政府の規制改革会議が「混合診療」の適用範囲の拡大を検討課題に掲げた。混合診療とは、公的医療保険で認められた検査や投薬とともに、保険が適用されていない治療法を併用することだ。現在は例外的にしか認められていない。その対象は、高度がん放射線療法の重粒子線治療や、家族性アルツハイマー病の遺伝子診断など、厚生労働省が指定した約100種類にとどまる。指定外で未承認の新しい治療を受けると、本来は保険が適用される検査や入院費用も含め全額が自己負担となってしまう。がんや難病の患者が最先端治療に希望を託したくても、経済的理由であきらめざるを得ないケースもあるのが現状だ。規制改革会議が混合診療の見直しを検討課題に挙げたのは、医療分野の規制緩和を成長戦略の一環と位置付けているからだ。再生医療を含む先進的な医療技術全般に混合診療の適用範囲を拡大するのは妥当と言えよう。自民党は昨年の衆院選の公約で、患者の利益にかなう最先端の薬や医療機器、治療法の迅速な導入を掲げた。混合診療の見直しは公約を具体化する一歩となる。政府が先進的な医療を後押しする姿勢を明確に打ち出すことで、医師が新しい医療技術に積極的に取り組む効果が期待できる。ただし、混合診療を野放図に拡大するわけにはいかない。厚労省は一貫して混合診療を原則禁止としてきた。科学的根拠のない治療を助長する恐れがあるという理由からだ。最高裁も2011年、この政策を追認した。未承認の新治療を受けていたがん患者が国を相手取った訴訟の判決で、「医療の質の確保や財源面の制約を考えると適法」との判断を示した。「安全性や有効性を脅かす医療行為を抑止する意味がある」とも指摘している。確かに、混合診療を無制限に認めると、高額なうえに効果が実証されていない危険な薬や治療が横行することが懸念される。最高裁判決の趣旨からも、何らかの歯止めは必要である。混合診療の対象は、海外で効果が確認された薬や治療法のほか、国内の医学会などが認めた医療技術に限定するのも有効な方法ではないだろうか。>
高度医療評価制度(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/9fa7e74fce645d0949257849001ee9fd/$FILE/20110304_2sankou.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/04/tp0402-1.html)は、先進医療(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/)の一類型として保険診療と併用できる、政府公認の混合診療である。昨年には、「先進医療制度の見直しについて」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002f1gj-att/2r9852000002f1km.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002f1gj-att/2r9852000002f65w.pdf)が出され、患者の選択肢拡充の方向が示されていたが、どうなったであろうか。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/)では、「先進医療については、将来的な保険導入のための評価を行うものとして、保険診療との併用を認めたものであり、実施している保険医療機関から定期的に報告を求めることとしています。」としており、混合診療を論ずるには、まず、先進医療の拡充を論ずるべきではないか。日本医師会資料(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20110302_1.pdf)p18では、「先進医療の機動性を高めることで、国民の要望に応えることが可能」とされているが、全国保険医団体連合会「なし崩し的に混合診療を拡大する高度医療評価制度の見直し中止を求めます」(http://hodanren.doc-net.or.jp/news/teigen/110204koudo-iryou.html)と出ているように、混合診療の全面解禁につながることが警戒されている。混合診療については資料(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20110126_11.pdf)p10~13にわかりやすく解説されているのでみておきたい。「混合診療の全面解禁」とは、どんな場合でも「保険診療の一部負担+保険外の全額自費」になることであるが、社会一般に理解されているようには感じない。そういえば、2006年日米投資イニシアティブ報告書(http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/n_america/us/data/0606nitibei1.pdf)p9~「第一に、米国政府は、医療機関による資金調達を容易にし、生産性を高めるとの観点から、病院、診療所経営に対する株式会社の参入拡大を可能とするよう要望した。また、構造改革特区制度の下で株式会社の参入が可能となっているが、その範囲は非常に限定的であり、実質的に特区における株式会社の病院経営はほとんど実現していない点を指摘した。米国政府は、日本は高度医療特区を実施するための条件を緩和すべきであることを提案した。(中略)二点目として、米国政府は、日本では血液検査の外部委託により、かなりの効率化が図られたことを指摘した上で、リスクの低い医療行為、特にMRIやPET、CTスキャン等反復性のある医療行為については、株式会社に柔軟に外部委託できるよう要請した。(中略)三点目として、米国政府は、いわゆる「混合診療」(日本の公的保険制度の下で、保険から支払が行われる医療行為と、支払が認められていない医療行為の両方を含む診療)の導入について関心を表明した。」とされている。また、一昨年3月30日の経済同友会提言(http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/110330a.html)(http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/pdf/110330a_02.pdf)で、「株式会社による医療機関経営への参入促進」や「混合診療の全面解禁」が掲げられている。まずは、先進医療の機動性を高めること(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002f1gj-att/2r9852000002f1km.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002f1gj-att/2r9852000002f65w.pdf)が必要と思うが、社会一般には、「先進医療制度」そのものが知られていないように感じる。今回の報道のように、先進医療制度についてはマスコミ報道もされず、混合診療の一部解禁と全面解禁との違いが理解されないように誘導されているのかもしれない。