保健福祉の現場から

感じるままに

混合診療の一部解禁と全面解禁との違い

2013年02月23日 | Weblog
読売新聞「混合診療 適用拡大が患者の利益になる」(http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130221-OYT1T01669.htm)。<以下引用>
<先進的で効果のある治療であるなら、誰でも受けたい。患者の立場で、保険医療制度を改善していくべきだろう。政府の規制改革会議が「混合診療」の適用範囲の拡大を検討課題に掲げた。混合診療とは、公的医療保険で認められた検査や投薬とともに、保険が適用されていない治療法を併用することだ。現在は例外的にしか認められていない。その対象は、高度がん放射線療法の重粒子線治療や、家族性アルツハイマー病の遺伝子診断など、厚生労働省が指定した約100種類にとどまる。指定外で未承認の新しい治療を受けると、本来は保険が適用される検査や入院費用も含め全額が自己負担となってしまう。がんや難病の患者が最先端治療に希望を託したくても、経済的理由であきらめざるを得ないケースもあるのが現状だ。規制改革会議が混合診療の見直しを検討課題に挙げたのは、医療分野の規制緩和を成長戦略の一環と位置付けているからだ。再生医療を含む先進的な医療技術全般に混合診療の適用範囲を拡大するのは妥当と言えよう。自民党は昨年の衆院選の公約で、患者の利益にかなう最先端の薬や医療機器、治療法の迅速な導入を掲げた。混合診療の見直しは公約を具体化する一歩となる。政府が先進的な医療を後押しする姿勢を明確に打ち出すことで、医師が新しい医療技術に積極的に取り組む効果が期待できる。ただし、混合診療を野放図に拡大するわけにはいかない。厚労省は一貫して混合診療を原則禁止としてきた。科学的根拠のない治療を助長する恐れがあるという理由からだ。最高裁も2011年、この政策を追認した。未承認の新治療を受けていたがん患者が国を相手取った訴訟の判決で、「医療の質の確保や財源面の制約を考えると適法」との判断を示した。「安全性や有効性を脅かす医療行為を抑止する意味がある」とも指摘している。確かに、混合診療を無制限に認めると、高額なうえに効果が実証されていない危険な薬や治療が横行することが懸念される。最高裁判決の趣旨からも、何らかの歯止めは必要である。混合診療の対象は、海外で効果が確認された薬や治療法のほか、国内の医学会などが認めた医療技術に限定するのも有効な方法ではないだろうか。>

高度医療評価制度(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/9fa7e74fce645d0949257849001ee9fd/$FILE/20110304_2sankou.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/04/tp0402-1.html)は、先進医療(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/)の一類型として保険診療と併用できる、政府公認の混合診療である。昨年には、「先進医療制度の見直しについて」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002f1gj-att/2r9852000002f1km.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002f1gj-att/2r9852000002f65w.pdf)が出され、患者の選択肢拡充の方向が示されていたが、どうなったであろうか。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/)では、「先進医療については、将来的な保険導入のための評価を行うものとして、保険診療との併用を認めたものであり、実施している保険医療機関から定期的に報告を求めることとしています。」としており、混合診療を論ずるには、まず、先進医療の拡充を論ずるべきではないか。日本医師会資料(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20110302_1.pdf)p18では、「先進医療の機動性を高めることで、国民の要望に応えることが可能」とされているが、全国保険医団体連合会「なし崩し的に混合診療を拡大する高度医療評価制度の見直し中止を求めます」(http://hodanren.doc-net.or.jp/news/teigen/110204koudo-iryou.html)と出ているように、混合診療の全面解禁につながることが警戒されている。混合診療については資料(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20110126_11.pdf)p10~13にわかりやすく解説されているのでみておきたい。「混合診療の全面解禁」とは、どんな場合でも「保険診療の一部負担+保険外の全額自費」になることであるが、社会一般に理解されているようには感じない。そういえば、2006年日米投資イニシアティブ報告書(http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/n_america/us/data/0606nitibei1.pdf)p9~「第一に、米国政府は、医療機関による資金調達を容易にし、生産性を高めるとの観点から、病院、診療所経営に対する株式会社の参入拡大を可能とするよう要望した。また、構造改革特区制度の下で株式会社の参入が可能となっているが、その範囲は非常に限定的であり、実質的に特区における株式会社の病院経営はほとんど実現していない点を指摘した。米国政府は、日本は高度医療特区を実施するための条件を緩和すべきであることを提案した。(中略)二点目として、米国政府は、日本では血液検査の外部委託により、かなりの効率化が図られたことを指摘した上で、リスクの低い医療行為、特にMRIやPET、CTスキャン等反復性のある医療行為については、株式会社に柔軟に外部委託できるよう要請した。(中略)三点目として、米国政府は、いわゆる「混合診療」(日本の公的保険制度の下で、保険から支払が行われる医療行為と、支払が認められていない医療行為の両方を含む診療)の導入について関心を表明した。」とされている。また、一昨年3月30日の経済同友会提言(http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/110330a.html)(http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/pdf/110330a_02.pdf)で、「株式会社による医療機関経営への参入促進」や「混合診療の全面解禁」が掲げられている。まずは、先進医療の機動性を高めること(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002f1gj-att/2r9852000002f1km.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002f1gj-att/2r9852000002f65w.pdf)が必要と思うが、社会一般には、「先進医療制度」そのものが知られていないように感じる。今回の報道のように、先進医療制度についてはマスコミ報道もされず、混合診療の一部解禁と全面解禁との違いが理解されないように誘導されているのかもしれない。
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地域・職域連携

2013年02月22日 | Weblog
2月5日の地域・職域連携推進事業関係者会議資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002uzpl.html)には目を通しておきたい。労働衛生行政の今後の方向性(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002uzpl-att/2r9852000002uzsz.pdf)では、メンタルヘルス対策や受動喫煙防止対策が出ているが、これは、労働安全衛生法改正(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/179.html)が念頭にあるのであろうか。労働安全衛生法改正案は昨年8月に衆議院厚生労働委員会で審議入りしていたものの、衆議院解散で廃案になったと報道されていた(保健衛生ニュース平成24年11月26日号)。次期労働災害防止計画案(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002uzpl-att/2r9852000002uzu1.pdf)にもメンタルヘルス対策や受動喫煙防止対策が掲げられており、行方が気になるところである。資料「労働衛生行政の概況」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002uzpl-att/2r9852000002uzts.pdf)、「地域保健と職域保健~双方のメリットが見える連携推進~」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002uzpl-att/2r9852000002uzwp.pdf)、「地域・職域連携推進協議会の 意義について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002uzpl-att/2r9852000002uzxz.pdf)、「健康日本21(第二次)の推進について ~地域・職域に期待すること~」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002uzpl-att/2r9852000002uzwc.pdf)、「特定健康診査分析の活用を 含めた地域・職域連携活動」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002uzpl-att/2r9852000002v03i.pdf)、「中小企業に対する地域・職域連携活動」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002uzpl-att/2r9852000002v045.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002uzpl-att/2r9852000002v04n.pdf)も見ておきたい。ところで、当日の会議において、健康局長が、「25年度から健診、医療、介護のデータが市町村ごとに示される体制が整い、地域での健康づくり施策の評価が可能となる」ことを紹介したと報道されている(保健衛生ニュース2月18日号)。これは、昨年3月の国保連合会保健事業推進委員会中間報告(http://www.kokuho.or.jp/statistics/lib/0411chuukanhoukoku.pdf)p3に出ている「国保データベース(KDB)システム」のことかもしれない。KDBシステムの活用によって、健診・医療・介護データを突合した迅速な情報提供が可能となり、データに基づいた地域の健康課題の明確化と保健事業の効果的な実施や評価が容易にできるとされるが、「国保データベース(KDB)システム」の本稼動は今年10月頃らしい。そういえば、「特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証のためのワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002qzev-att/2r9852000002qzjt.pdf)では、レセプト情報・特定健康診査等情報データベース(NDB)を活用して特定健診・保健指導の医療費適正化効果が検証されるという。保健事業の質が変化していると感じるのは気のせいであろうか。
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平成30年度目途の調整係数置換え完了

2013年02月21日 | Weblog
キャリアブレイン「DPCの改定議論、4月本格化」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/39266.html)。<以下引用>
<診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会は20日、2014年度に予定している診療報酬改定に向けた具体的な課題ごとの検討スケジュールを固めた。現在は3つあるDPC病院群のうち、3群をさらに細分化するかどうかに関しては、本格的な議論を4月から開始し、秋ごろまでに結論を出す。DPC関連の具体的な対応をめぐる議論が報酬改定直前までずれ込み、現場が混乱するのを避けるため、前回の報酬改定の時よりもスケジュールを前倒しする。 厚生労働省側が検討課題ごとのスケジュールを提案し、了承された。DPC病院群をめぐっては、現行の1群(大学病院本院)と2群(1群に準じる病院)の枠組みを維持することが決まっており、次回改定ではこれら以外の3群の取り扱いが焦点になる。分科会では、専門病院を別建てにするべきだという意見があり、各病院から収集しているデータを踏まえて対応を検討する。小山信彌分科会長(東邦大医学部教授)は席上、「時期的に言うと、14年度の改定で3群が分かれる可能性はあまりないと思う」と述べたが、厚労省の担当者は「今の時点で、次回に間に合わないとか間に合うとか、そういった状況ではまだない。そこはニュートラルだ」と応じた。同省の提案によると、分科会では4月以降、各病院の機能を評価する「機能評価係数2」に新たな項目を追加するかどうかや、診断群分類の見直しについても並行して議論し、秋ごろまでに結論を出す。さらにその後は、「適切なコーディングの推進」など算定ルールの見直しについて、年末にかけて話し合う。機能評価係数2に関しては、症例数など診療情報の公開(「病院指標の作成と公開」)が、項目を追加する場合の「最有力候補」(厚労省)に浮上しているが、20日の会合ではこれ以外に、病院機能評価などの第三者認定を受けている場合への評価を求める意見が出た。また、診断群分類の見直しでは、入院患者の重症度を評価に反映する「CCPマトリックス」導入の是非もテーマになる。ただ、厚労省の担当者は会合終了後、記者団に対し、次回改定での導入は「時間的に困難」とし、中長期的に対応する考えを示した。>

中医療協診療報酬調査専門組織DPC評価分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008ffd.html#shingi12)の20日の会議資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002v5si.html)で、平成26年度診療報酬改定に向けた検討課題(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002v5si-att/2r9852000002v5wn.pdf)が出ているのでみておきたい。「平成30年度目途の調整係数置換え完了」とされているが、平成30年度には、第7期の医療計画がスタートする。以前のDPC「地域医療指数に関する各都道府県へのアンケート調査結果」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001y16k-att/2r9852000001y21o.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001y16k-att/2r9852000001y21x.pdf)をみると、DPC機能評価係数Ⅱ地域医療指数での設定が医療計画の推進に貢献しているとする都道府県が多い。医療計画と診療報酬のリンクは強まるように感じる。ところで、「病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会資料」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002rad0.html)では診療報酬における各種情報として、入院料等の届出情報、診療報酬明細書(レセプト)、DPCデータが挙がっている(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002rad0-att/2r9852000002rahj.pdf)が、医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002rad0-att/2r9852000002rahu.pdf)の項目(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002rad0-att/2r9852000002rai5.pdf)と整合性が図られるべきである。医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/teikyouseido/index.html)は都道府県によって公表項目がバラバラで、診療報酬改定にも対応しきれていない。紙ベース・手入力の医療機関も少なくない。厚労省「医療機能情報集約システム経費」(http://www.mhlw.go.jp/seisaku/jigyo_siwake/dl_rv3/039a.pdf)では、「病院等から各都道府県に提出された医療機能情報について、各都道府県から厚生労働省に電子媒体で提出させ、当該情報を集約し、データベース化する」とあるが、どうなっているであろうか。DPC対象病院データ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002hs9l.html)は、研修医のマッチング(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/rinsyo/matching/101028-1.html)(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/rinsyo/matching/dl/101028-1f.pdf)にも影響しないとも限らない。
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地域保健・健康増進事業報告

2013年02月21日 | Weblog
平成23年度地域保健・健康増進事業報告の概況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/c-hoken/11/index.html)が出ている。この資料(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/c-hoken/11/dl/kekka1.pdf)で目につくのは、p2の妊娠週(月)数別妊娠届出者数について、満28週~分娩まで5166名、分娩後2398名、不詳5235名となっている点である。また、p3の1歳6ヶ月児健診の受診率94.4%、3歳児健診の受診率91.9%で、すなわち、未受診率はそれぞれ5.6%、8.1%であることも注目である。周産期対策や児童虐待対策は、こうした方々への対応が重要であるのはいうまでもない。保健指導はリスクに応じた評価が必要と感じる。なお、p9の都道府県別常勤保健師数をみて、自治体によって大きな格差があることがわかる。この資料(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/c-hoken/11/dl/kekka2.pdf)では、p14のがん検診受診者数について、大腸がん検診の受診者数が22年度676万1698人⇒23年度764万9103人と大幅に伸びていることがわかる。これは、がん検診推進事業(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan10/)の効果であるのは間違いない。
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医療計画の評価指標

2013年02月21日 | Weblog
キャリアブレイン「医療計画の評価指標検討へ、改善支援が狙い」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/39251.html)。<以下引用>
<各都道府県の新たな医療計画が来年度から始まることを踏まえ、厚生労働省は「医療計画の評価等に関する検討会」(仮称)を設置して、医療計画の評価指標を検討したり、優れた都道府県の取り組みを共有したりする。各都道府県で自らの医療計画を評価し、改善すべき点があれば見直す「PDCAサイクル」の構築を支援することで、医療計画の実効性を高めることが狙いだ。来年度からの医療計画は、従来の4疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)に精神疾患を加え、5疾病としたことが大きな変更点。各都道府県では医療計画に、この5疾病のほか、5事業(救急、災害、へき地、周産期、小児)と在宅医療のそれぞれについて、▽医療資源・医療連携の現状 ▽必要な医療機能 ▽課題、数値目標、それを達成するために必要な施策 ▽各医療機能を担う医療機関の名称 ▽施策の評価・公表方法―などを明記することになっている。厚労省では、医療資源などの現状について、全都道府県で入手可能な「必須指標」と、独自調査などで入手可能な「推奨指標」により把握したデータを、医療計画に記載するよう求めている。検討会では、必須指標と推奨指標を含めて、医療計画を評価するためにより有効な指標を検討する。また、各都道府県で医療計画を見直す際に参考になるよう、疾病・事業ごとに優れた取り組みを紹介する。同省ではこのほか、レセプトデータを活用して患者の動向が分かるようにしたり、公表資料の作成を支援するソフトを開発したりする方針だ。19日の全国厚生労働関係部局長会議で検討会の設置を明らかにした厚労省医政局の担当者は、「不断の見直しを行うことで、医療計画をより実効性の高いものにしていただきたい」と各都道府県の出席者らに呼び掛けた。>

2月19日の平成24年度全国厚生労働関係部局長会議(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/tp0215-1.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-01-02d.pdf)のp6「PDCA サイクルに活用できるNDB レセプトデータ等を集計・可視化したデータの作成を行い、都道府県に配付。統一した形で指標を容易に作成できる支援ソフトの開発を行い、都道府県に配付するとともに、都道府県の担当者に対する研修を実施。」とある。厚労省資料;「National Databaseを用いた医療計画策定のための基盤資料の作成に関する研究」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001g288-att/2r9852000001g2d4.pdf)、「NDBを活用した医療計画策定の考え方」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/shiryou_b-4.pdf)、「NDB配布データの理解と可視化ツールの操作方法」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/shiryou_b-3.pdf)に出ているように、NDBのレセプトデータを用いて、2次医療圏ごとの傷病構造及び医療提供体制を把握することは容易である。ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000016v8d-att/2r98520000016vcn.pdf)p10に記されているように、大学、都道府県、医療保険各法に定める医療保険者の中央団体もデータ提供依頼申出が可能であり、例えば、都道府県が地元大学と協働で、医療計画、医療費適正計画、健康増進計画、がん対策推進計画に活用できるようNDBデータを解析すべきと感じる。実際に進めている県があることも聞いている。しかし、レセプトデータ(NDB)だけでは不完全である。医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/teikyouseido/index.html)データベースによる評価も不可欠と感じる。
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風しんの予防接種

2013年02月20日 | Weblog
NHK「風疹 東京で1週間に新たに100人」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130220/k10015651201000.html)。<以下引用>
<妊娠中の女性が感染すると赤ちゃんに障害が出るおそれがある風疹が、ことし首都圏を中心に大流行していて、特に都内では今月17日までの1週間で患者が新たに100人報告され、1週間の報告数としてはこれまでで最も多くなりました。風疹は妊娠中の女性が感染すると赤ちゃんの心臓や耳などに障害が出るおそれがあり、去年10月以降、実際に障害が出た「先天性風疹症候群」の赤ちゃんが全国で6人報告されています。風疹は去年、過去5年間で患者が最も多くなりましたが、ことしは去年を大幅に上回るペースで患者が報告されています。特に都内では、今月17日までの1週間に100人が新たに報告され、1週間の報告数としては5年前にすべての患者を報告する今の集計方法になってから最も多くなりました。ことしに入ってからの患者数は7週間で367人に上り、去年の同じ時期の40倍となっています。患者の8割近くが男性で、子どものころに風疹の予防接種を受けていない20代から40代です。また、最近は20代の女性も増えていて、専門家は、妊娠を希望する女性をはじめ、妊婦の夫や同居する家族で風疹にかかったことがなく、予防接種を受けていない人に対してワクチンを接種するよう呼びかけています。>

各自治体の麻しん風しん予防接種の実施状況(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou21/hashika.html)はどれほど知られているであろうか。健康局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-02-01p.pdf)p21~23に風しん関係の資料が出ているのでみておきたい。p8に出ているように、この3月で麻しんの第3期(中1)・第4期(高3)予防接種が終了となるが、麻しん・風しん混合ワクチンを使用している(http://allabout.co.jp/gm/gc/379447/)ため、当該年齢における風しんの公費による予防接種もなくなる(http://www.city.chiba.jp/hokenfukushi/kenkou/hokenjo/kansensho/masin-fusinyoboseshu-kaisei.html)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/index.html)ことは知っておきたい。「中学校1年生、高校3年生相当の方は、平成24年度限り」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/index.html)である。 とりあえず、IDWR速報データ(http://www.nih.go.jp/niid/ja/data/3225-idwr-sokuho-data-j-1306.html)による動向が注目である。
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在宅医療におけるICT連携

2013年02月20日 | Weblog
朝日新聞「在宅の患者情報、医師らが共有 福井でシステム試行開始」(http://digital.asahi.com/area/fukui/articles/OSK201302190110.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_OSK201302190110)。<以下引用>
<あわら、坂井両市で在宅医療・介護の一本化を目指し、対象者の情報を医師やホームヘルパーらが共有するシステムの試行運用が、今月から始まった。東大高齢社会総合研究機構が研究中のシステムを利用。医師やホームヘルパーらがスマートフォンやパソコンにIDやパスワードを打ち込み、患者らの様子や情報を書き込んだり読み込んだりする。あわら市の診療所の奥村良二医師(66)は2週に1回、在宅患者を往診する。患者がデイサービス、ショートステイに通う間に症状が変わることがあったが、今後は施設の担当者が連絡を書き込んでくれる予定だ。奥村医師は「これまでは訪問看護師らとメールや電話でその都度連絡してきた。確かに便利」と話す。病院や診療所、薬局、在宅介護支援事業所、訪問看護ステーションなど56機関が参加。県在宅ケア推進室の担当者は「来年度は本格運用につなげたい」と話した。>

平成23年版厚生労働白書(http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/11/)では、「情報共有化で在宅医療従事者の負担軽減」(http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/11/dl/02-04.pdf)が出ており、SharePoint Workspace(http://office.microsoft.com/ja-jp/sharepoint-workspace/)の旧モデル Microsoft Office Groove(http://www.sophia-it.com/content/Microsoft+Office+Groove)で在宅IT連携が行われている事例が紹介されている。先月には、富士通から「「高齢者ケアクラウド」の提供について 高齢者を皆で支えあう社会へICTで貢献」(http://pr.fujitsu.com/jp/news/2013/01/23.html?nw=pr)が出ているように、既に在宅ICT連携の商品化がなされている。地域によっては、「サイボウズLive」(https://live.cybozu.co.jp/)によるグループウエアも出来ている。また、医療・介護に特化した完全非公開型SNSモデルによる「Medical Care Station」(http://www.ehcc.jp/index.html/)も運用されるようになっている。重要なことは、①基本情報(支援機関・担当者・スケジュール、家族構成・主たる介護者・緊急連絡先、予後、病状説明・理解度、療養方針、退院サマリー等)とタイムリー情報の共有、②様式・書式の統一、③多職種間のコミュニケーションとディスカッション、④患者の語りへの対応;NBM(narrative-based medicine)をどうしていくか、である。在宅医療の現場では、連携ノート・連携カルテ、FAX、メール等による連携が一般的に行われているが、タイムリーな情報共有・コミュニケーション、写真画像の活用、スケジュール管理等からICT連携が急速に普及するのは間違いない。最近では、マルチデバイス対応(スマートフォンやiPad等)、ボイス入力、患者・家族の参加等の機能向上が図られてきているが、ICT連携は、「扱いやすさ」、「セキュリテイ」、「コスト(導入、維持管理)」等が特に重要である。しかし、ICTはあくまで連携ツールでしかない。ベースとなる「信頼関係に基づく顔のみえるヒューマンネットワーク」が不可欠である。
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医療扶助レセプト

2013年02月20日 | Weblog
キャリアブレイン「生活保護レセプト、高額請求の医療機関抽出」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/39252.html)。<以下引用>
<生活保護受給者への後発医薬品の使用促進策として、厚生労働省は、レセプト1件当たりの請求金額が高い医療機関を各自治体が簡単に抽出できるよう、電子レセプト管理システムの機能を強化する。システムの改修を終え次第、来月からの本格稼働を目指す考えだ。2011年度から本格的に運用が開始された「生活保護等版レセプト管理システム」の機能の強化を図るもので、▽レセプト1件当たりの請求金額が高い ▽特定の診療行為や検査が多く行われている―といった、不適切な請求が疑われる医療機関が抽出の対象となるという。管理システムは、受給者ごとの複数月分のレセプトをまとめて、頻繁な受診などを点検できるほか、重複して請求されているレセプトを調べることが可能だ。厚労省は昨年10月までに同システムの改修を行い、不適切な受診をしている人を簡単に抽出できる機能を新たに追加。過剰な多剤投与や重複処方を受けたり、頻繁に受診したりしている「指導対象者」を抽出し、一覧表を自動作成できるようにした。医療機関の抽出機能について、厚労省社会・援護局の村木厚子局長は19日、全国厚生労働関係部局長会議に出席した各自治体の担当者を前に、「今年3月からは、不適切なことをやっているのではないかと疑われるような医療機関をピックアップできるような仕組みを取り入れたい」と述べ、システムの積極的な活用を呼び掛けた。>

社会保障審議会生活保護基準部会が1月21日に報告書(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002szwi.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002szwi-att/2r9852000002t006.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002szwi-att/2r9852000002t033.pdf)、生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会が1月25日に報告書(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002tpzu.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002tpzu-att/2r9852000002tq1b.pdf)をそれぞれ出した。平成25年度厚生労働省所管予算案(http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/13syokanyosan/)では、平成25年8月から3年程度で段階的に生活扶助基準が引き下げられる(国費への影響額は3年間で約670億円程度)とともに、期末一時扶助が見直しされる(国費への影響額は70億円程度)。昨年7月の「生活支援戦略」中間まとめ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002fjpt-att/2r9852000002fjtq.pdf)では、生活保護の見直しとして、「電子レセプトを活用した重点的な点検指導やセカンド・オピニオン(検診命令)の活用、後発医薬品の使用促進等による医療扶助の適正化」等があり、財務省資料(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia241022/01.pdf)p35では、「一部自己負担の導入(翌月償還を含む)、後発医薬品の原則化など、もう一段の取組みを進めることが必要ではないか。」とされていた。例えば、①財務省資料(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia241022/01.pdf)p36に出ているように、生活保護医療扶助ではタクシーを利用した受診も交通費として認められ、1片道通院当たりの支給額の全国平均は1,170円であるが、主要都市の平均1片道通院当たりの交通費支給額では、奈良市12,149円、宮崎市10,981円と片道1万円超えている。これは、さすがに高すぎると感じる方が少なくないであろう。②平成22年7月には「生活保護の医療扶助における緊急サンプル調査の一次調査結果」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000gmbj.html)が出ていたが、これもおかしい。③厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/syakai/z-fukushi/gyosei/gyousei05.html)では、「精神入院患者の2割が生活保護受給」とされ、生活保護者の精神病床長期入院ケースが少なくない。④生活保護受給者の後発医薬品利用率は7.0%で一般の7.9%に比べて低調」(厚生福祉平成24年2月14日号)とされる。なお、12月の市町村セミナーでは、生活保護受給者の受診動向分析結果が示され、患者一人当たり医療費は入院・入院外とも国保等に比べて医療扶助のほうがやや低くなっている(保健衛生ニュース1月7・14日号)とされる。やはり、偏見・誤解をなくすためにも、医療扶助に関する情報公開徹底が不可欠である。そういえば、第二期医療費適正化計画(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02c.html)に関して、資料(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/h240806_4-2.pdf)p12~都道府県別の推計平均在院日数、推計1入院当たり医療費、p15で都道府県別後発医薬品割合等の推移が示され、参考資料(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/h240806_4-2-1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/h240806_4-2-2.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/h240806_4-2-3.pdf)では、都道府県別の市町村国保と後期高齢者医療の実態に関する詳細なデータが順位付で公表されていた。都道府県格差は小さくはない。生活保護の医療扶助でも同様のデータが作成されているであろうが、情報公開されるべきである。平成23年社会医療診療行為別調査(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/sinryo/tyosa11/index.html)では、一般の後発医薬品利用率は平成23年9.0%になっているが、生活保護医療扶助ではどうか、早急に明らかにされるべきである。また、高額検査(PET、MRI、MDCT等)の実施率はどうであろうか。
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地域包括ケアと保健所

2013年02月19日 | Weblog
老健局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-11-02p.pdf)p10~「地域包括ケアシステムと市町村」、同資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-11-02d.pdf)p12「地域の特性に応じた地域包括ケアシステムを実現するための市町村の取組」が示され、医政局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-01-02d.pdf)p12「在宅医療推進事業」について、市町村が主体となって、地域医師会等と連携しながら在宅医療の提供体制構築に取り組むことを支援するとし、「①地域の医療・福祉資源の把握及び活用、②会議の開催(会議への医療関係者の参加の仲介を含む。)、③研修の実施、④24時間365日の在宅医療・介護提供体制の構築、⑤地域包括支援センター・ケアマネを対象にした支援の実施、⑥効率的な情報共有のための取組(地域連携パスの作成の取組、地域の在宅医療・介護関係者の連絡様式・方法の統一など)、⑦地域住民への普及・啓発」が例示されている。市町村は、介護保険事業計画・高齢者保健福祉計画、障害福祉計画、地域福祉計画の実施主体であり、市町村主体での地域包括ケアの推進は当然といえる。しかし、一口に市町村といってもまちまちである。先月のネット記事;キャリアブレイン「国民会議、医療介護の基本単位を議論」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/39039.html)では、「地域包括ケアを担うとなると都道府県ではなく、基礎自治体の役割になる。その足腰を強くしないと、医療介護、子育てを含めて担えない」として、市町村を中核市に匹敵する規模にする必要があると訴えた。」とされた。しかし、介護保険事業の単位をみてもわかるように、それは容易ではないであろう。また、市町村には、保健師や管理栄養士以外の医療専門職(医師、歯科医師、薬剤師等)がいないところが大半である。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001oxhm-att/2r9852000001oxlr.pdf)p17~19の地域包括ケアに関する保険者の評価項目では、「地域連携パスの作成」「地域の急性期病院との連携のための会議」「地域連携パスを協議する場」「地域の回復期病院、維持期リハ関連施設との連携のための会議」などの実施率がかなり低いのは、市町村規模が小さいことと、専門スタッフがいないことも影響しているであろう。中核市になれば保健所設置義務が生じるが、大規模な市町村合併は容易ではないであろう。したがって、地域包括ケアを推進する市町村を保健所(県型、市型)がアシストする体制が不可欠と感じる。圏域の医療計画を担当する保健所では、厚労省指針(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_taisei1.pdf)に基づき、在宅医療、がん(緩和ケア含む)、脳卒中(維持期含む)等の連携推進が期待される。地域保健法(http://www.ron.gr.jp/law/law/hokenjo.htm)第4条に基づく「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T120803H0010.pdf)の「3.医療、介護、福祉等の関連施策との連携強化」では、「(1)住民のニーズの変化に的確に対応するためには、地域における保健、医療、介護、福祉等とそれぞれの施策間での連携及びその体制の構築が重要であること。このため、市町村は、住民に身近な保健サービスを介護サービス又は福祉サービスと一体的に提供できる体制の整備に努めること。(2)都道府県及び保健所(都道府県が設置する保健所に限る。)は、広域的な観点から都道府県管内の現状を踏まえた急性期、回復期及び維持期における医療機関間の連携、医療サービスと介護サービス及び福祉サービス間の連携による地域包括ケアシステムの強化に努めることが必要であること。(3)医療機関間の連携体制の構築においては、多くの医療機関等が関係するため、保健所が積極的に関与し、地域の医師会等との連携や協力の下、公平・公正な立場からの調整機能を発揮することが望まれること。なお、保健所は、所管区域内の健康課題等の把握、評価、分析及び公表を行い、都道府県が設置する保健所にあっては所管区域内の市町村と情報の共有化を図るとともに、当該市町村と重層的な連携の下、地域保健対策を推進するほか、介護及び福祉等の施策との調整についても積極的な役割を果たす必要があること。」と明記されている。(2)の「医療サービスと介護サービス及び福祉サービス間の連携による地域包括ケアシステムの強化」「介護及び福祉等の施策との調整」は県型の保健所に限定されているが、(3)の「医療機関間の連携体制の構築」はすべての保健所に共通である。「公共医療事業の向上及び増進に関する事項」は地域保健法での保健所固有の業務であり、例えば、在宅医療における医療と介護・福祉との連携や医療機関間の連携には保健所の積極的な調整が期待される。保健所は、①所内に各専門職種がいて地域の職能団体(医師会、看護協会、薬剤師会等)とつながりがある、②行政機関として、中立・公正な立場から関与でき、幅広い分野の資料が入手できる、③保健所事業を通じて普段から医療機関、介護施設との関わりがある、④市町村への支援、協働する立場にある、⑤保健・福祉、医事・薬事など組織横断的な取り組みがしやすい、⑥住民組織に働きかけしやすい、など、絶好な立場にあることは認識したい。
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平均在院日数と7対1看護

2013年02月18日 | Weblog
キャリアブレイン「7対1看護必要度、「今後も厳格化」と予測」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/39244.html)。<以下引用>
<病院向けのコンサルティングなどを手掛けるグローバルヘルスコンサルティング(GHC)・ジャパンの渡辺幸子社長は16日、東京都内で開かれた「2025年に向けた病院戦略セミナー」(同社主催)で講演し、一般病棟7対1入院基本料の看護必要度の要件について、今後一層厳しくなる可能性が高いと予測した。7対1入院基本料の算定要件の見直しは、昨年4月に実施された前回の診療報酬改定の目玉の一つ。具体的には、この点数を算定するためにクリアが求められる平均在院日数の要件を、従来の「19日以内」から「18日以内」に短縮。一方、看護必要度が高い重症患者の受け入れ割合は、「10%以上」から「15%以上」に引き上げられた。これらは、当初の想定を大幅に上回る7対1の算定病床を絞り込むためとされるが、講演で渡辺氏は、重症患者の受け入れ割合の見直しが、急性期病院による平均在院日数の短縮にもつながるとの見方を示した。7対1を算定する病院が、病床稼働率を維持しようとして、入院をぎりぎりまで無理に長引かせると、入院患者の1日当たりの重症度は薄まる。看護必要度の割合を高く維持してこの点数を算定し続けるには、軽症患者を早く退院させることが不可欠で、結果として在院日数の短縮が進むという見方だ。日本の急性期病院の平均在院日数は、OECD(経済協力開発機構)加盟諸国の中で際立って長く、「(政府の社会保障・税一体改革が目標年度に掲げる)25年に向けて、間違いなく是正される」と渡辺氏は強調した。その上で、在院日数の短縮を促すための国による仕掛けの一つに、7対1入院基本料の要件の見直しを例示。要件のうち重症患者の受け入れ割合は、今後も引き上げられる可能性が高いと予測した。渡辺氏はまた、各病院が測定する重症患者の受け入れ割合のデータについて、「異常に高い病院では、間違えて付けている可能性が高い」と指摘。厚生労働省が今後、データの正確さを求めだす可能性もあるため、今のうちから精度を担保しておくべきだと呼び掛けた。>

現在、社会保障制度改革国民会議(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/)で、医療(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai2/siryou3.pdf)や介護(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai2/siryou4.pdf)が議論されている最中である。しかし、既に平成23年6月の社会保障・税一体改革成案(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/pdf/230701houkoku.pdf)p19では、平均在院⽇数の減少等(▲4,300億円程度)とされる。平成24年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002sf71-att/2r9852000002sfbu.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002sf71-att/2r9852000002sfc1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002sf71-att/2r9852000002sfc8.pdf)には7対1看護にかかるものは明らかではないが、在院日数の短縮を促すための仕掛けは間違いなく講じられるであろう。そういえば、平成20年4月の政府「第3次答申に向けた規制改革会議の重点分野と課題」(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/minutes/meeting/2008/4/item08_04_02.pdf)において、医療分野で米国同様の「DRG-PPS(診断群別定額支払い方式)への移行促進」が項目に掲げられ、入院1日当たり算定方式の「DPC/PDPS」から、「1入院当たり算定方式(DRG/PPS)への移行が、中医協の検討事項(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000105vx-att/2r98520000010bqr.pdf)となっている。規制改革会議(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/meeting.html)の行方も注目かもしれない。
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全国厚生労働関係部局長会議

2013年02月18日 | Weblog
2月19日の平成24年度全国厚生労働関係部局長会議(厚生分科会)資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/tp0215-1.html)が出ている。目に付いた事項を列挙すると、医政局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-01-01d.pdf)のp3「地域の医師確保を目的とした都道府県地域枠」について、平成28年度以降、新たな医師として地域医療等へ貢献すること、p4「地域医療支援センター運営経費」について、全国30箇所で専任の実働部隊として、喫緊の課題である医師の地域偏在解消に取組むこと、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-01-06d.pdf)p114「地域医療支援センターにおける実績」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-01-02d.pdf)のp6「PDCA サイクルに活用できるNDB レセプトデータ等を集計・可視化したデータの作成を行い、都道府県に配付。統一した形で指標を容易に作成できる支援ソフトの開発を行い、都道府県に配付するとともに、都道府県の担当者に対する研修を実施。」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-01-02d.pdf)p12の「在宅医療推進事業」について、市町村が主体となって、地域医師会等と連携しながら在宅医療の提供体制構築に取り組むことを支援するとし、「①地域の医療・福祉資源の把握及び活用、②会議の開催(会議への医療関係者の参加の仲介を含む。)、③研修の実施、④24時間365日の在宅医療・介護提供体制の構築、⑤地域包括支援センター・ケアマネを対象にした支援の実施、⑥効率的な情報共有のための取組(地域連携パスの作成の取組、地域の在宅医療・介護関係者の連絡様式・方法の統一など)、⑦地域住民への普及・啓発」、p13「多職種協働による在宅チーム医療を担う人材育成事業」について、「平成25 年度予算の成立後、地域リーダーが地域の在宅医療・介護に関わる多職種に対して、各地域の実情に応じた研修を行うこととしており、各都道府県においては、市町村や医師会等と連携し、広く研修を行っていただけるよう、配慮いただきたい。」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-01-02d.pdf)p18の「災害防災協定書」について、「現在、全国47都道府県の内32都道府県と締結」、p20の都道府県「災害時の医療ガス等の供給に関する協定締結状況」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-01-04d.pdf)p71の「医療法第25条第1項に基づく立入検査」について、「診療所も含め医療機関は営利を目的とするものではなく、また、医療機関の開設者は、開設・経営の責任主体とされていることから、営利法人等が医療機関の開設・経営を実質的に左右している疑いがあるとの通報等があった場合においては、開設者が医療法人か個人であるかにかかわらず、その医療機関に対し、立入検査を実施し、開設者からの説明聴取、税法上の帳簿書類(財務諸表、確定申告書等)等の検査を行い、実態面の各種事情を十分精査の上、厳正に対処していただくようお願いする。特に、美容外科、眼科等を標榜し自由診療を行っている診療所については、開設者及び非営利性に関して十分な確認を行うようお願いする。」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-01-04d.pdf)p73「医師等資格確認検索システム」について、「資格確認を補完する手段として、医療機関等がより正確な資格確認を行うことができるよう、本年夏を目途に「氏名、性別」による確認に加えて、「生年月日、(歯科)医籍登録番号、(歯科)医籍登録年月日」による確認も可能とする改修を行う予定である。」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-01-09d.pdf)p167「医師等の資格確認」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-01-04d.pdf)p75「在宅歯科医療等の推進」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-01-04d.pdf)p81「経済連携協定( EPA)に基づく外国人看護師候補者の受入れ」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-01-12d.pdf)「経済連携協定に基づく外国人看護師候補者の受入れ」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-01-06d.pdf)p109~「地域医療再生臨時特例交付金の拡充と交付決定までのスケジュール」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-01-07d.pdf)p116~都道府県別「社会医療法人の認定状況」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-01-09d.pdf)p154「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進」

健康局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-02-01p.pdf)p2「予防接種制度見直しのため法的整備を要する事項」、p6「副反応報告制度の見直し」、p7「新たな副反応の報告基準」、p8「最近の政省令改正事項」、p10「新型インフルエンザ等対策特別措置法の施行」・p11「新型インフルエンザ等対策有識者会議 中間とりまとめ」、p18「感染症法上の届出方法等の変更」、p19~20「麻しんに関する特定感染症予防指針の改正」、p21「風しん」、p34~「難病対策の改革」、p43「臓器提供施設と児童相談所の積極的な連携と情報共有」、p67「がん検診推進事業」、p77「地域における保健師の保健活動」

老健局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-11-02p.pdf)p10~「地域包括ケアシステムと市町村(保険者の役割)」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-11-03p.pdf)p21「介護予防Webアトラス」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-11-03p.pdf)p22「介護保険総合データベース」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-11-04p.pdf)p28「自助・互助・共助・公助の役割分担」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-11-02d.pdf)p12「地域の特性に応じた地域包括ケアシステムを実現するための市町村の取組」、p13「地域ケア会議」、p15「介護保険事業(支援)計画と保険者機能」

障害保健福祉部資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-13-01p.pdf)p15「障害者総合支援法の施行に関わる主な検討課題」、p17~p19「障害者の範囲への難病等の追加」、p27~p30「障害支援区分への見直し」、p39~41「障害者優先調達推進法」、p42「障害者の「働く場」に対する発注促進税制の延⻑」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-13-02p.pdf)p53「精神保健福祉法の改正案を今国会に提出するため調整を行っている。法案の具体的な内容については、改めて情報提供させていただく。」、p60「精神保健福祉法改正の検討状況」

雇用均等・児童家庭局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-14-01p.pdf)p5「安心こども基金の積み増し・延長」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-14-02p.pdf)p20「家庭的養護推進計画と都道府県推進計画」、p23都道府県市別「里親支援専門相談員の配置状況」、p24「都道府県市別里親等委託率」、p35「平成25年度における年少扶養控除等の見直しによる地方財政の追加増収分等の取扱い」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-14-02d.pdf)p36「児童福祉施設等における感染症予防対策」、資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-14-02d.pdf)p55「不妊に悩む方への特定治療支援事業に係る見直し」(費用がかなり安価な凍結杯移植(採卵を伴わないもの)等についても、実際にかかる費用の平均の概ね半額程度(7.5万円)に見直す)

食品安全部資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-06-01p.pdf)p16「食中毒発生時・予防対策;感染症担当部局等や関連自治体との連携」(食品衛生担当部局においては、感染症法の規定に基づいて把握された情報を感染担当部局より入手し、食品が感染の経路と推定される事案や、一般に食品を媒介とする病原体(腸管出血性大腸菌、細菌性赤痢、コレラ、A型肝炎、E型肝炎等)によるものと疑われる事案について、食中毒として対応する必要がないかどうかを十分に検討するとともに、食品衛生担当部局と感染症担当部局の連携による共同調査体制を整備するなど、食中毒調査に係る初動対応の迅速化を図ること。一般に食品を媒介とする病原体(サルモネラ属菌、腸管出血性大腸菌、細菌性赤痢、A型肝炎等)を検出したときは、食中毒の広域散発発生との関連性の有無を確認するため、菌株等を国立感染症研究所へ迅速に送付すること。)、緊急事態が発生した場合に備え、近隣の自治体との協力の具体的内容をあらかじめ確認する等、危機管理体制について見直すこと。食中毒事件の公表及び調査結果の取りまとめについては、食中毒処理要領等に基づき、推定を含む原因施設を所管している自治体が中心となって対応すること。その他の自治体は、原因施設を所管している自治体の求めに応じて情報提供を行うなど、必要な協力を行うこと。)、p20「腸管出血性大腸菌やカンピロバクターを原因とする食中毒対策」(牛の肝臓の規格基準策定の際のパブリックコメントで、牛の肝臓を安全に生で食べることができるよう求める意見が多かったこと等から、牛の肝臓を安全に生食できるようにするための取組の一環として、厚生労働省研究班で、放射線照射の有効性などを検証する研究を開始しており、厚生労働省としても、引き続き知見の収集や調査研究の実施など積極的に取り組んでいくこととしている。牛のその他の内臓、鶏肉等の生食については、汚染実態や防止対策等について整理した上で、今後の取扱いについて検討することとしている。)、p23「寄生虫を原因とする食中毒対策」(クドアについて、汎用可能な試験法を開発するとともに、失活方法、発症量等に関する研究を実施しているところであり、それらの成果を踏まえ、具体的な対策等について検討することとしている。)、p25「ノロウイルスを原因とする食中毒」(ノロウイルスの一般食品からの検査法について、厚生労働科学研究費において研究を行っている。先般、検査機関間でのコラボスタディによる評価が終了した検査法について、国立医薬品食品衛生研究所ホームページをお知らせした。食中毒調査の際には、利用されたい。)
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地域連携パスから地域包括ケアへ

2013年02月18日 | Weblog
厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002nn9e-att/2r9852000002nndz.pdf)で、一昨年7月1日現在の地域連携診療計画管理料、地域連携診療計画退院時指導料の届出機関が出ており、急速に伸びていることがわかる。平成19年7月20日の厚生労働省通知(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/191113-j00.pdf)の2 策定に当たっての留意点の④に「医療と介護・福祉の緊密な連携が求められる典型的な疾病という観点から、脳卒中の医療体制に関しては優先的な取組が必要」とされていたが、平成20年度の診療報酬改定において、地域連携診療計画管理料、地域連携診療計画退院時指導料は脳卒中も対象になり、また、平成22年度改定で維持期が評価されるようになったのは大きかった。診療報酬通知(http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken15/dl/6-2-1.pdf)p17で「地域連携診療計画管理料、地域連携診療計画退院時指導料(Ⅰ)及び(Ⅱ)に関する施設基準」の一つとして、「地域連携診療計画に係る情報交換のための会合が年3回程度定期的開催」が要件になっており、コミュニケーションを図る機会が必然的に設定されるからである。平成24年度介護報酬改定資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002113p-att/2r98520000021163.pdf)p36の地域連携診療計画情報提供加算もでき、介護関係者からも期待されるようになった。在宅医療・医療介護連携・地域包括ケアを進めるためには、急性期~維持期の医療介護スタッフのコミュニケーション向上が不可欠であるのはいうまでもない。ケースカンファレンスだけではなく、地域連携診療計画管理料及び地域連携診療計画退院時指導料では実績報告(https://sites.google.com/a/mfeesw.com/2012ika/t/tkt/bt/1/10)があり、データに基づく評価もなされる。何より、計画管理病院である急性期病院が退院以降のデータ評価をすることの意義は小さくないであろう。やはり、「地域連携パスから地域包括ケアへ」の流れが自然かもしれない。そういえば、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001oxhm-att/2r9852000001oxlr.pdf)p17~19の地域包括ケアに関する保険者の評価項目では、「地域連携パスの作成」「地域の急性期病院との連携のための会議」「地域連携パスを協議する場」「地域の回復期病院、維持期リハ関連施設との連携のための会議」などの実施率がかなり低い。「医療」抜きの地域包括ケアはあり得ないが、地域連携パスを推進するには市町村だけでは弱い。日本医師会「「介護保険における医療との連携-介護報酬改定を見据えて-」について 地域を支える医療と介護の連携を目指して」(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20120322_1.pdf)p12では「地域で生活を続けていくためには、往診、訪問診療、訪問看護など地域における在宅医療体制を確立する必要があるが、現状の在宅療養は介護サービス優位で進んでいる。」とされる。地域においては、保健所と市町村との協働による在宅医療・医療介護連携・地域包括ケアの推進が期待されるであろう。
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混合診療の行方

2013年02月16日 | Weblog
「規制改革、混合診療拡大などが論点に」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/39234.html)。<以下引用>
<政府の規制改革会議(議長=岡素之・住友商事相談役)が15日に開かれ、「健康・医療」「エネルギー・環境」「雇用」「創業・産業の新陳代謝等」の4分野で計59項目の論点を事務局が示した。健康・医療分野はこのうち13項目で、保険診療と保険外診療を併用した、いわゆる「混合診療」のさらなる範囲拡大などが挙がっている。同会議では、優先度の高い論点から具体策を検討し、政府が6月ごろにまとめる成長戦略に反映させることを目指す。健康・医療分野ではまた、医薬品の審査期間を短縮するため、治験開始前から蓄積されているデータの治験データとしての活用を一定の条件下で認めることや、ヒトによる治験を経て健康増進に対するエビデンスが認められた素材を含む健康食品について、効能・効果に関する表示を認めることが盛り込まれた。このほか、▽再生医療の推進 ▽医療機器の承認業務の民間開放の推進 ▽一般用医薬品のインターネット等販売規制の見直し ▽レセプトなど医療データの利活用促進▽遠隔診療の普及 ▽特定保健指導でのICTを活用した遠隔面談の実現 ▽処方せんの電子化 ▽電子カルテシステムの普及促進 ▽医療機関での各種文書の紙媒体による保管の不要化 ▽介護事業の効率化―が論点に挙がっている。15日の会合では、4つの分野ごとにワーキング・グループを設け、具体策を検討することを決めた。今後の検討スケジュールに関して岡議長は、論点には、▽会議で集中協議し、早急に結論を出す課題▽ワーキング・グループで検討し、半年ほどで対応する課題▽1年ほどをかけて検討する課題―の3種類があると説明。次の会合を2月中に開き、事務局が示した論点や、委員が提起した課題の中から、半年以内に具体策をまとめる項目を決める方針を示した。>

2月15日の規制改革会議(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/meeting.html)資料が出ればみておきたい。平成20年4月の政府「第3次答申に向けた規制改革会議の重点分野と課題」(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/minutes/meeting/2008/4/item08_04_02.pdf)において、医療分野で米国同様の「DRG-PPS(診断群別定額支払い方式)への移行促進」が項目に掲げられ、入院1日当たり算定方式の「DPC/PDPS」から、「1入院当たり算定方式(DRG/PPS)への移行が、中医協の検討事項(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000105vx-att/2r98520000010bqr.pdf)となっている。混合診療と同様に、現場の医療への影響が大きいが、どうなったのであろうか。さて、日本経済団体連合会「社会保障制度改革のあり方に関する提言」(http://www.keidanren.or.jp/policy/2012/081.html)(http://www.keidanren.or.jp/policy/2012/081_honbun.pdf)p10では、医療保険の将来像として、「自助を基本に据えた給付の見直し」があるが、「所得の高い低いによって、受けられる医療の中身(治療薬や治療法)が異なること」に代表されるのが混合診療の全面解禁である。混合診療については日本医師会資料(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20110126_11.pdf)p10~13にわかりやすく解説されているのでみておきたい。「混合診療の全面解禁」とは、どんな場合でも「保険診療の一部負担+保険外の全額自費」になることであるが、社会一般に理解されているようには感じない。一昨年10月に外務省が出した2011年米国通商代表(USTR)外国貿易障壁報告書;日本の貿易障壁言及部分(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/tpp/pdfs/tpp03_02.pdf)では、「厳格な規制によって,外国事業者を含む営利企業が包括的サービスを行う営利病院を提供する可能性等,医療サービス市場への外国アクセスが制限されている。」と明記されており、気になるところである。
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在宅医療資源格差

2013年02月15日 | Weblog
m3「中央社会保険医療協議会 在宅医療、「不適切防止と推進」が課題 「次回改定でも在宅は重要なテーマ」、健保連」(http://www.m3.com/iryoIshin/article/166233/?portalId=iryoIshin&pageFrom=openIryoIshin)。<以下一部引用>
<鈴木氏は、「不適切事例が生じている背景には、在宅介護では営利企業の参入を認めてしまったという事情がある」とし、厚労省に責任の一端があると指摘。在宅医療の担い手については、「かかりつけ医が担い、郡市区医師会が行政と連携して実施していくべきだと考えている」とした。「中小病院や診療所などの既存資源を活用して、日本型の体制を作っていくことが必要。看取りの場所は、中小病院、診療所、介護保険3施設、24時間365日のサービスが付いた住宅、そして家族のケアが可能な在宅などであり、自宅以外でサービスが受けられる場所を拡充していくことが必要」と述べ、鈴木氏は在宅一辺倒の施策にクギを指した。安達氏は、「地域包括ケアには、日医ではなく、各医師会レベルで取り組んでいかなければいけない」との認識を示した上で、京都地域包括ケア推進機構の事例を紹介した。同機構は、京都府と京都府医が協力して立ち上げたもので、同医師会館内に設置している。在宅の患者などが急変時の受入先病院を事前登録し、実際に搬送する「在宅療養あんしん病院登録システム」などの体制構築を進めている。「各都道府県が実情に応じて体制を検討して進めなければ、地域包括ケアはできない」(安達氏)。>

2月13日の中央社会保険医療協議会総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ueo9.html)の在宅医療(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ueo9-att/2r9852000002uvk3.pdf)には目を通しておきたい。p47の在宅療養支援診療所の都道府県別分布やp49の都道府県別サービス付き⾼齢者向け住宅の登録状況は知っておきたい。但し、都道府県内でも地域格差が非常に大きいことに留意すべきである。在宅医療の体制構築に係る現状把握のための指標(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_taisei2.pdf)による地域ごとの評価が必要である。国策として医療介護連携を推進するのであれば、今後、医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/teikyouseido/index.html)と介護サービス情報(http://www.espa-shiencenter.org/preflist.html)との一体的なデータベースによる評価が不可欠と感じる。但し、二次医療圏の状況について具体的資料(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/shiryou_a-2.pdf)が出ているように、一口に二次医療圏といっても格差が大きい。そういえば、昨年の医政局長通知(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_keikaku.pdf)p6では、「人口規模が20万人未満であり、且つ、二次医療圏内の病院の療養病床及び一般病床の推計流入入院患者割合が20%未満、推計流出入院患者割合が20%以上となっている既設の二次医療圏については、入院に係る医療を提供する一体の区域として成り立っていないと考えられるため、設定の見直しについて検討することが必要である。」とされている。
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2025年と平成30年度

2013年02月15日 | Weblog
最近ときどき「2025年をどう迎えるか」ということを耳にする。いわゆる団塊の世代が後期高齢者になり、高齢者問題が今とは比較にならないほど大きくなるのは間違いない。例えば、昨年、厚労省から「認知症高齢者数推計」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002iau1.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002iau1-att/2r9852000002iavi.pdf)が出ていたが、「この推計では要介護認定申請を行っていない認知症高齢者は含まれない」の注釈がつけられているように、このままいけば、もっと認知症高齢者が溢れるのは間違いない。独居老人もそうであろう。しかし、2025年といえば、わずか12年後であって、遠い先の話ではない。さて、現在、社会保障制度改革国民会議(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/)で、医療(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai2/siryou3.pdf)や介護(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai2/siryou4.pdf)が議論されている最中である。しかし、既に平成23年6月の社会保障・税一体改革成案(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/pdf/230701houkoku.pdf)p19では、平均在院⽇数の減少等(▲4,300億円程度)、外来受診の適正化等(⽣活習慣病予防、医療連携、ICT、番号、保険者機能の強化等)(▲1,200億円程度)、介護施設の重点化(在宅への移⾏)(▲1,800億円程度)、要介護認定者数:2025年に現行ベースより3%程度減少とされており、具体的な項目がある程度決まっているようにみえる。「社会保障制度改革推進法」(http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g18001024.htm)第六条2項に「医療保険制度については、(中略)保険給付の対象となる療養の範囲の適正化等を図ること。」、第七条に「政府は、介護保険の保険給付の対象となる保健医療サービス及び福祉サービスの範囲の適正化等による介護サービスの効率化及び重点化を図る」とあり、まさに、公的医療保険・介護保険の適正化・効率化・重点化である。財政制度等審議会財政制度分科会(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/index.html)の昨年10月の医療・介護関係資料(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia241015/01.pdf)には、医療の「70歳以上75歳未満の患者負担の見直し」(p19)、「医薬品の患者負担の見直し」(p32)、介護の「負担割合の見直し」(p48)、「要支援者に対する給付の見直し」(p51)、「地域支援事業の重点化」(p53)などがあったが、全国保険医団体連合会「安倍政権で始まった社会保障国民会議の焦点」(http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/seisaku-kaisetu/130122kokuminnkaigi.html)では、ポイントが解説されている。再開した「経済財政諮問会議」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/index.html)も注目である。骨太の方針(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AA%A8%E5%A4%AA%E3%81%AE%E6%96%B9%E9%87%9D)で、社会保障費の自然増の毎年2200億円削減が行われた(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizai/kakugi/060707honebuto.pdf)ことは記憶に新しい。どうも、社会一般には、来年度から予定される消費増税でも、公的医療保険・介護保険の適正化・効率化・重点化が行われようとしていることが、あまり理解されていないように感じる。こうした中で、医療従事者・介護従事者にとって当面イメージすべきは、2025年までの中間である「平成30年度」であろう。この年には、医療計画改定、介護保険事業計画改定、診療報酬改定、介護報酬改定が同時に行われるからである。介護療養病床の廃止期限が平成29年度末に延長されたのは、これも意識されているに違いない。問題は、やはり、住民の認識である。2025年の地域包括ケアシステムに向けて、地域住民が、①在宅医療・介護にかかる地域の実情を知る、②在宅医療・介護に従事する職種の機能や役割を知る、③在宅医療・介護で利用できるサービス内容(コスト含む)や相談場所を知る、④療養場所として「在宅」が選択肢にあることを理解する、⑤自分のこととして終末期医療について考えられるようにならなければならない。これには、行政側だけではなく、地元マスコミの力が大きいように感じるのである。
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