保健福祉の現場から

感じるままに

アビガン・アクテムラに期待

2020年04月17日 | Weblog
4.18NHK「学会で治療薬の状況報告 「アビガン」などで改善例も」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200418/k10012394661000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_014)。<以下引用>
<新型コロナウイルスの感染が拡大する中、日本感染症学会の緊急シンポジウムが開かれ、患者の治療について、インフルエンザ薬やぜんそく薬の投与で改善したケースもあったことなどが報告されました。今後さらに、効果を見極める必要があるとしています。日本感染症学会は18日、感染対策のため、観覧者を入れずに講演をインターネットで配信する形で、東京都内でシンポジウムを開き、新型コロナウイルス対策にあたる政府の専門家会議のメンバーや、治療にあたる医師などが状況を報告しました。新型コロナウイルスには特効薬はなく、別の病気の治療に使われている薬の投与が行われていて、藤田医科大学の土井洋平教授は、インフルエンザ治療薬の「アビガン」を患者に投与した状況について報告しました。それによりますと、アビガンを投与された300人のうち、軽症と中等症の患者ではおよそ9割、人工呼吸器が必要な重症患者では6割で2週間後に症状の改善が見られたということで、土井教授は現在行われている治験などでさらに効果を確かめる必要があるという考えを示しました。また、吸い込むタイプのぜんそくの治療薬「オルベスコ」についても報告され、肺炎になったあとで投与された75人のうち、症状が悪化して人工呼吸器が必要になった患者が少なくとも3人、亡くなった患者は2人だったということで、この薬を使わない場合に比べて悪化する割合を下げられる可能性があるとしています。土井教授は、「既存薬で改善したケースも出てきているが、有効性を確かめるには、薬の投与がない患者との比較や投与するタイミングなどの検証が今後必要だ」と話しています。「医療崩壊」防ぐうえで役割も  国の研究班の班長としてぜんそく薬の「オルベスコ」を患者に投与する臨床研究に関わる愛知医科大学の森島恒雄客員教授は、「今回のデータだけではまだ断定はできないが、オルベスコを投与することで、重症の肺炎になって人工呼吸器が必要になる患者を減らせる可能性がある。全国で感染拡大が続く中、医療機関で受け入れ可能な患者数を超えて患者を助けられなくなる『医療崩壊』を防ぐうえで、重要な役割を持つ薬と考えられるので、さらに分析を進めたい」と話しています。>

4.17毎日新聞「新型コロナ「外部の専門家から直接助言受けず」と石川知事 部下があわてて火消し」(https://mainichi.jp/articles/20200417/k00/00m/040/023000c)。<以下引用>
<石川県の谷本正憲知事は16日、県の新型コロナウイルス対策に関し、これまで外部の専門家から直接、助言を受けていないことを明らかにした。同県では2月21日に最初の感染者が確認された後、感染者が急増し、県は4月13日に独自の緊急事態宣言を発表。16日までに146人の感染が確認され、4人が死亡した。谷本知事は政府が緊急事態宣言の対象を全国に拡大したことを受けた記者会見で、今後、金沢大の専門家を県のアドバイザーとして委嘱すると発表した。その後の報道陣の取材で、直接助言を求める専門家について「今までいなかった。でも勉強しているうちに、私もだんだんウイルスの特徴が分かってきた」「私もにわか勉強なのでもっと洞察力のある見解をいただければありがたい」などと発言。谷本知事は県のコロナウイルス対策を決定する対策本部の本部長を務めている。 会見後には県幹部が「県には公衆衛生が専門の医師免許を持った職員がいる。知己のある専門家にも個別に話を聞いている」と釈明に追われた。知事 休業要請に言及も、補償は「今後」 政府が緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大することを決めたことを受け、13日に県独自の緊急事態宣言を出した谷本知事は「国と危機意識をしっかり共有できた」と歓迎した。独自の宣言に基づき不要不急の外出を控える呼びかけなどをしていて、「法律に裏付けられた対応になるので一層重みが加わる」と述べた。谷本知事は「先行する7都府県の例に従い、休業要請を行う」と話し、早急に対象職種を公表する考えを示した。休業に伴う補償については「(東京都などとは)財政規模が違うので非常に悩ましい。国の臨時交付金を財源にあてられる可能性もあり、今後検討したい」とした。>

4.17東京新聞「知事会、大型連休中の帰省自粛を 休業補償、重ねて国に要求」(https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020041701001405.html)。<以下引用>
<新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言の対象地域が全都道府県に拡大されたのを受け、全国知事会は17日の対策本部会合で、国への緊急提言を公表した。人の往来による感染拡大を防ぐため、大型連休中の帰省自粛を国の責任で国民に呼び掛けるべきだと強調。知事の要請で休業した事業者らへの補償を重ねて求めた。会合はオンラインで開催。会長の飯泉嘉門徳島県知事は「感染拡大予防の重要な局面だ。結束して難局を乗り越えたい」と述べた。提言は、国が休業事業者の損失を補償した上で、自治体向けの1兆円の臨時交付金を財源として、事業者に協力金を交付できるようにすべきだと訴えた。>

4.17NHK「肺炎の重症化 “免疫の暴走”抑える薬で治療可能か 新型コロナ」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200417/k10012392101000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_047)。<以下引用>
<新型コロナウイルスに感染し、肺炎が重症化して呼吸できなくなるケースについて量子科学技術研究開発機構などの研究グループは、免疫の働きを高める「インターロイキン6」という物質が関わっており、この働きを抑える薬を使うことで治療できる可能性があると発表しました。新型コロナウイルスに感染すると、およそ20%の人が重症化するとされ、中には肺炎が悪化し呼吸できなくなって死に至るケースが報告されています。大阪大学の元総長で量子科学技術研究開発機構の平野俊夫理事長などの研究グループは、新型コロナウイルスによって重症化するメカニズムを分析し、アメリカの科学雑誌「イミュニティー」の電子版に論文を発表しました。それによりますと、ウイルスの細胞への侵入をきっかけに、免疫の働きを高める「インターロイキン6」という物質が過剰に作られて免疫の仕組みが暴走し、重症の呼吸器不全を引き起こすと考えられるとしています。そして、インターロイキン6の働きを妨げると、重症化した患者を治療できる可能性があると指摘しています。インターロイキン6の働きを妨げる薬は、関節リウマチなどの治療薬として広く使われていて、国内外で新型コロナウイルスに感染した患者の治療に効果があるか確かめる治験を行うと製薬会社が発表しています。平野理事長は「薬自体はすでに実用化されているので、治験の結果に期待している」と話しています。>

4.1毎日新聞「石川県知事、外出自粛の東京都民に観光アピール 地元は困惑」(https://mainichi.jp/articles/20200401/k00/00m/040/003000c)、4.10毎日新聞「石川県知事が「全面方針転換」 首都圏から訪問、自粛要請 県内でクラスター発生」(https://mainichi.jp/articles/20200410/k00/00m/040/305000c)の報道は印象的だったかもしれない。「地域ごとのまん延の状況に関する指標等の公表について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00016.html)、発生状況マップ(https://mhlw-gis.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/c2ac63d9dd05406dab7407b5053d108e)、「都道府県別の感染状況(累計・NHKまとめ)」(https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data/)、東洋経済オンライン特設ページ(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)をみれば、「DIAMOND online「日本の緊急事態宣言が遅すぎる理由、コロナ最前線の米医師が戦慄の提言」(https://diamond.jp/articles/-/233957)とあるものの、4.16「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の区域変更;全都道府県の区域 」(https://corona.go.jp/news/pdf/kinkyujitaisengen_gaiyou0416.pdf)はゴールデンウィークに向けた対応として評価できる。さて、Diamond online「「東京は手遅れに近い、検査抑制の限界を認めよ」WHO事務局長側近の医師が警鐘」(https://diamond.jp/articles/-/234205)とあるように、我が国の方針に批判的な意見も出てきている。3.1厚労省「地域で新型コロナウイルス感染症の患者が増加した場合の各対策(サーベイランス、感染拡大防止策、医療提供体制)の移行について」(https://www.mhlw.go.jp/content/000601816.pdf)p5では「重症化しやすい方以外の方であれば、新型コロナウイルスに感染しても症状が軽いことが多いため、通常の風邪と症状が変わらない場合は、必ずしも医療機関を受診する必要はない」、3.30厚労省「新型コロナウイルス感染症に関する行政検査について」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2020/200331_3.pdf)p2では「原則として、健康観察期間中である無症状の濃厚接触者は、新型コロナウイルスの検査対象とはならない」とあり、厚労省から受診抑制・検査抑制が要請されている。4.7厚労省「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応について(その3)」(https://www.mhlw.go.jp/content/000619851.pdf)で引用される日本環境感染学会「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド第2 版改訂版 (ver.2.1)」(http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/COVID-19_taioguide2.1.pdf)p3「発熱や呼吸器症状はあっても肺炎の存在が証明されないケースでは、感染リスク(海外渡航歴や感染確定例との濃厚接触)が無ければ積極的に検査すべき対象とは⾔えません。しかし、1週間以上発熱や呼吸器症状が続き、各種の治療にもかかわらず増悪する傾向があり、他の病原体の関与が否定的な場合は、検査対象にすべきであると考えます。」とある。また、4.2日本感染症学会(http://www.kansensho.or.jp/)の「新型コロナウイルス感染症に対する臨床対応の考え方―医療現場の混乱を回避し、重症例を救命するためにー」(http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_rinsho_200402.pdf)p1「PCR 検査の原則適応は、「入院治療の必要な肺炎患者で、ウイルス性肺炎を強く疑う症例」とする。軽症例には基本的にPCR検査を推奨しない。時間の経過とともに重症化傾向がみられた場合にはPCR法の実施も考慮する。」とある。4.2日本耳鼻咽喉科学会「嗅覚・味覚障害と新型コロナウイルス感染について―耳鼻咽喉科からのお知らせとお願い―」(http://www.jibika.or.jp/citizens/covid19/mikaku.html)で「急に「におい」や「あじ」の異常を感じるようになった場合には、万が一、新型コロナウイルス感染症であったときに周囲の人に感染を拡大する可能性がありますので、2週間は出来るだけ不要不急の外出を控えてください。その間、医療機関への受診は控え、体温を毎日測定し、手洗いをこまめにしてください。人と接する際にはマスクをつけて対話をしてください。嗅覚・味覚障害の治療は急ぐ必要はありません。自然に治ることも多いのでしばらく様子を見てください。特効薬はありませんが、2週間経っても他の症状なく嗅覚や味覚が改善しない場合は耳鼻咽喉科外来を受診してください。」とある。「少し厳しめに、本当に陽性になりそうな人を検査する方針」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200411/k10012381891000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_037)は、日本環境感染学会(http://www.kankyokansen.org/)や日本感染症学会(http://www.kansensho.or.jp/)の方針であって、保健所独自の方針ではない。本庶佑先生(http://www2.mfour.med.kyoto-u.ac.jp/)の4.6新型コロナに対する緊急提言(http://www2.mfour.med.kyoto-u.ac.jp/20200406_COVID-19.pdf)p10「科学的事実を直視(重視) せず直近の経済的損失を恐れて対策を後に延ばした指導者はすべて失敗した 失敗例:イタリア、イギリス、米国 成功例:台湾」とある。例えば、4.10REUTERS「韓国大邱市、新たな新型コロナ感染者数がゼロに」(https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-southkorea-idJPKCN21S0CB)、4.16時事「台湾、コロナ封じ込め成功 新規感染者ゼロも引き締め」(https://www.jiji.com/jc/article?k=2020041500944&g=int)、4.16NHK「独首相 外出制限 段階的に緩和の方針 制限続くことも示唆」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200416/k10012390031000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_070)と比べれば、我が国は成功例には入らないかもしれないが、「新型コロナ死亡者数;4月16日12時時点で136名(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html)」は評価されても良いように感じる。本庶佑先生(http://www2.mfour.med.kyoto-u.ac.jp/)の4.6新型コロナに対する緊急提言(http://www2.mfour.med.kyoto-u.ac.jp/20200406_COVID-19.pdf)p1「治療法として外国で有効性が示されているものを実地導入する 野戦病院での戦いであることを自覚 a) 急性期抗ウィルス剤(アビガン等) b) 重症肺炎時の炎症反応の暴走時にはトシリズマブ等」、同緊急提言2(http://www2.mfour.med.kyoto-u.ac.jp/20200416_COVID-19V2.pdf)p2「大切なのは免疫不全による重症化を防ぎ死者を出さない治療法の早期確立 アクテムラ(トリシズマブ)の効果検定等 急性期にはPD-1抗体治療の可能性もある」とある。4.1日本医事新報「アビガンより有効な抗ウイルス薬は「幻想」―開発者・白木氏が緊急寄稿第3弾」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14363)とあり、「当院における COVID-19 診療 11 例の経験 -ファビピラビル投与を行った肺炎例を中心に- 」(http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_casereport_200415_1.pdf)のような症例報告が続くであろう。また、4.8中外製薬「アクテムラ、新型コロナウイルス肺炎を対象とした国内第III相臨床試験の実施について」(https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20200408170000_969.html)とあり、アビガン・アクテムラに期待したい。臨床現場ではアビガンは結構使用されており、これまでのところ人工呼吸器が必要な患者は少ない印象を持つ方が少なくないかもしれない。白木公康「COVID-19治療候補薬アビガンの特徴」(日本医事新報No.5005 2020.3.28 p25-31)の「COVID-19に殺されないためには、ハイリスクの年齢であったり基礎疾患を有しているのであれば、労作性呼吸困難(息切れや呼吸回数の増加)により肺合併症を早期に発見して、胸部CTで肺病変があれば、発症6日にはアビガン治療を開始していただきたい。呼吸機能に予備能のない方を除けば、患者のADLを保ち、人工呼吸器装着者は減り、医療崩壊に至る可能性がなくなることが期待できると考えている」とあり、ポイントは「発症6日にはアビガン治療を開始」に間に合うかどうか、かもしれない。そういえば、4.2「新型コロナウイルス感染症に対する厚生労働科学研究班等への協力依頼について(その2)」(https://www.mhlw.go.jp/content/000618587.pdf)が出ているが、以前から関節リウマチで使用されている「アクテムラ」(http://www.twmu.ac.jp/IOR/diagnosis/ra/medication/biologics/actemra.html)の治験促進は図れないものであろうか。4.17時事「新型コロナ感染者が急回復 米社の抗ウイルス薬―報道」(https://www.jiji.com/jc/article?k=2020041700302&g=int&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit)、4.16「血清療法、重症10人が改善 新型コロナ、中国武漢で―カナダで大規模臨床試験へ」(https://www.jiji.com/jc/article?k=2020041600187&g=int)も報道されているが、治療薬が確立されてくれば、展開が変わってくるかもしれない。日本感染症学会の症例報告(http://www.kansensho.or.jp/modules/topics/index.php?content_id=31#case_reports)が注目される。
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