保健福祉の現場から

感じるままに

児童虐待防止対策と医療的ケア児支援の見える化を

2019年04月10日 | Weblog
NHK「虐待疑いの子ども “退院できない”去年は399人」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190410/k10011878771000.html?utm_int=news_contents_news-main_005)。<以下引用>
<親から虐待を受けた疑いがあり、入院した子どものうち、治療が終わっても受け入れ先が見つからないなどの理由で退院できなかった子が、去年、399人いたことが分かりました。厚生労働省は、子どもの受け入れ先を確保するなど対策を急ぐことにしています。厚生労働省は、虐待の疑いのある子どもの対応をしている全国の医療機関など935か所を対象に、ことし2月までに実態調査を行い、395か所から回答を得ました。それによりますと、去年1年間に入院した子どものうち、親から虐待を受けた疑いがあったのは少なくとも1781人に上りました。そして、その2割にあたる399人(22.4%)は、受け入れ先がないなどの理由で治療が終わっても退院できなかったということです。退院できなかった期間は、2週間以下が231人(57.8%)、15日から1か月未満と、1か月から半年未満が、それぞれ54人(13.5%)、半年から1年未満が11人(2.7%)、そして1年以上に及んだ子どもも15人(3.7%)いました。また、2週間を超えたケース(133人)について退院できなかった理由を尋ねたところ、受け入れ施設に空きがないことなどが6割を占めたほか、退院後の行き先について保護者との調整に時間がかかったケースが1割余りありました。こうした退院できない子どもをめぐっては、児童相談所を対象にした調査がすでに行われていて、平成28年度で63人とされていましたが、今回、医療機関に調査した結果、それを大きく上回る人数が確認されました。厚生労働省は「病院で長期間過ごすことは子どもの発育を考えると不適切であり、受け皿を拡大させるとともに入院の初期から次の受け入れ先を探すなど対策を徹底したい」としています。医療現場「発達の遅れ心配」 虐待を背景に子どもが退院できなくなる問題について、医療現場からは子どもの発達の遅れや診療体制への影響を懸念する声が上がっています。さいたま市にある埼玉県立小児医療センターでは、こうした子どもが年に10人余りいます。センターによりますと、その多くが不自然なケガや栄養状態などから親の虐待が疑われるため、児童相談所が自宅に戻さない判断をしています。治療が終わって健康状態に問題がなくなっても、児童相談所が施設や里親など、次の受け入れ先を探すのに2週間前後かかるケースが多く、その間、子どもは病院で過ごさざるをえなくなるということです。また、治療の必要はなくなったものの、たんの吸引など医療的なケアが必要な子どもについては、受け入れが可能な施設が少ないため入院がさらに長期化する傾向があるということです。埼玉県立小児医療センターの望月弘副病院長は「退院できない子どもには、病院の保育士などがなるべくかかわろうとしているが限界があり、院内でテレビを見たりして1人で過ごす時間が多くなってしまう。子どもは人との関わりの中で心を成長させ社会性を身につけていくので、発達への影響が心配だ」と話しています。さらに「こうした子どもに病棟のベッドや人手が割かれると、本来、治療が必要な患者にも影響が出るおそれもある」としたうえで「適切な施設や里親のもとで子どもたちが過ごせるよう、受け皿の充実を強く望む」と訴えています。>

今国会(https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/198.html)の児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案(https://www.mhlw.go.jp/content/000489914.pdf)が注目されるが、資料(https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000484422.pdf)p1~4「新たなルール」、p5~8「留意点」を徹底するにあたって、拠点となる児童相談所の強化が欠かせない。「市町村・都道府県における子ども家庭相談支援体制の強化等に向けたワーキンググループ」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_211737_00001.html)でもいろいろ協議されてきたが、「児童虐待防止対策推進本部」・「児童虐待防止対策に関する関係府省庁連絡会議」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000128770.html)の 「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000460144.pdf)がそれぞれの自治体でどうなっているか、問われるように感じる。いくら、国レベルで報告書が繰り返され、法律改正、通知発出、事業化されてもそれぞれの自治体で取り組まれなければ全然意味がない。全国児童福祉主管課長会議(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kodomo_129064.html)だけではなく、児童虐待防止専用HP(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/index.html)でも、「乳幼児健診未受診者、未就園児、不就学児等の緊急把握」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198791_00001.html)が都道府県別に出ているが、例えば、資料(https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000484407.pdf)p136「都道府県別の状況;平成30年11月30日時点で安全確認ができていない児童数」は中核市・政令市は別途示された方がインパクトがあるかもしれない。資料(https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000484407.pdf)p103~104「児童相談所の設置に向けた検討状況(平成31年2月時点)」では、中核市(対象:52市)のうち、「設置する方向」(2ヶ所)、「設置の方向で検討中」(5ヶ所)とかなり低調だからである。児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案(https://www.mhlw.go.jp/content/000489914.pdf)の注目の一つは、「児童相談所の管轄区域は、人口その他の社会的条件について政令で定める基準を参酌して都道府県が定めるものとする。」「政府は、施行後5年間を目途に、中核市及び特別区が児童相談所を設置できるよう、施設整備、人材確保・育成の支援等の措置を講ずるものとする。その支援を講ずるに当たっては、関係地方公共団体その他の関係団体との連携を図るものとする。」で、都道府県が定める児童相談所の管轄区域は平成35年4月1日である。そういえば、「平成30年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況」(https://www.npa.go.jp/news/release/2019/20190312001.html)が出ており、児童虐待の通告8万252人・検挙件数1380件で過去最多である。「子ども虐待による死亡事例等の検証」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198645.html)が繰り返し行われてきたことを重く受け止めたいものである。ところで、医療的ケア児(http://iryou-care.jp/problem/)支援について、「医療的ケア児の地域支援体制構築に係る担当者合同会議」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000191192_00004.html)の「平成30年度医療的ケア児の地域支援体制構築に係る担当者合同会議事前提出資料「取組報告」シート」(https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000366037.pdf)は自治体別の取り組み状況が出ていたが、それぞれの地域で認識されているであろうか。やはり、児童虐待防止対策と医療的ケア児支援は、自治体別の統計だけではなく、取り組みの「見える化」が欠かせないであろう。
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