保健福祉の現場から

感じるままに

地域枠

2017年10月18日 | Weblog
キャリアブレイン「医学部臨時定員の措置終了、「地域枠」で代替へ 文科省が18年度計画を公表」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20171017154338)。<以下引用>
<文部科学省は16日、2018年度の国公私立大学の医学部入学定員に関する計画を公表した。17年度比で1人減の9419人とする。医師確保対策などに基づく臨時定員(317人分)がなくなるため、新たに「地域枠」を設け、同規模の定員を維持できるようにする。文科省などによると、「新医師確保総合対策」と「緊急医師確保対策」による臨時定員(317人分)については、今年度で終了する。その代替手段として、都道府県が作成する医療計画などに基づき、奨学金を設けて「地域医療を担う意思」を持つ人を選抜する「地域枠」として、18年度は316人分を充てる。「地域枠」による増員の期間は19年度まで。その後の取り扱いについては、「その時点の医師養成数の将来見通しや定着状況を踏まえて判断する」としている。>

「医師需給分科会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=318654)の「年末までに検討する 医師偏在対策の主な論点」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000177384.pdf)の行方が注目であるが、p9~の「都道府県における計画的な 医師確保対策の実施」の見える化が不可欠と感じる。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000177384.pdf)p18「地域医療対策協議会の開催実績」をみれば都道府県格差が非常に大きいことがわかる。p36~37「地域枠の導入状況(大学別一覧)」が出ている。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000167959.pdf)p6「地域医療支援センター運営事業」、p15「地域医療支援センターによる派遣調整の実績」が出ているが、医師偏在対策には透明性が重要であろう。各都道府県ごとに、これまでの年度別の「自治医大・地域枠出身医師の勤務先(診療科、地域)」と「派遣ルール・キャリア形成プログラム」が公表されるべきである。直接的公費投入の養成医師に関する「見える化」すらできないようであれば、医師偏在対策は厳しいかもしれない。医師臨床研修マッチング協議会(https://www.jrmp.jp/)の平成29年度中間結果(http://www.jrmp.jp/chukan/2017chukan.pdf)をみると、全国的に産婦人科プログラムの第一希望が少ない感じであり、地域枠・自治医大による誘導が必要であろう。
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向精神薬の処方制限

2017年10月18日 | Weblog
メディウォッチ「向精神薬の処方制限を2018年度改定で強化、薬剤種類数に加え日数も制限へ—中医協総会(1)」(http://www.medwatch.jp/?p=16311)。<以下引用>
<薬物依存などの副作用が知られており「漫然とした継続投与による長期使用を避ける」こととされている向精神薬(ベンゾジアゼピンなど)について、依然として長期間の処方が行われており、かつ精神療法とは離れた処方がなされていると考えられる。2018年度の次期診療報酬改定において向精神薬の処方制限を強化すべきではないか—。10月18日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、こういった議論が行われました。この日は「精神医療」をテーマに議論が行われています。依然として、向精神薬の多剤・大量・長期処方がある 向精神薬の適正使用を進める観点から、▼抗不安薬▼睡眠薬▼抗うつ薬▼抗精神病薬―を不適切に多剤・大量処方した場合、処方せん料や処方料、薬剤料などを減算する規定が2014年度の診療報酬改定で創設され、2016年度の前回改定では更なる厳格化が行われました。しかし、厚生労働省の調査・分析によれば、2016年6月審査分の外来および調剤レセプトのうち29%において「催眠鎮静薬・抗不安薬」または「精神神経用剤」のいずれか3剤以上の処方が含まれており、依然として多剤処方・投与が行われている実態があります。また処方剤数が少なくても「催眠鎮静薬・抗不安薬」のみが処方されるケースがあり、向精神薬1剤処方のおよそ6割(外来レセプトの61.8%、調剤レセプトの57.0%)で、「催眠鎮静薬・抗不安薬」のみの処方となっています。さらに、向精神薬1剤が処方されている患者の92%では精神療法(通院・在宅精神療法)が算定されておらず、厚労省保険局医療課の迫井正深課長は「精神療法と離れたところで向精神薬が処方されている」点を問題視しています。一方、向精神薬のベンゾジアゼピンについては、1日の投与量が承認用量の範囲内であっても、長期間の連用によって薬物依存が生じると指摘されています。厚労省が国内で報告された副作用情報を分析したところ、薬物依存関連事象報告の多い上位5品目のうち4品目はベンゾジアゼピンで、「1日投与量が承認用量の範囲で15日以上の投与」が行われていた症例のほうが、「1日投与量が承認用量を超え、15日以上の投与」が行われていた症例よりも薬物依存が多いことなどが分かっています。この点、厚労省の調査・分析によれば、▼向精神薬を1剤以上含む処方▼薬物依存関連事象が多く報告されている品目を含む処方—のいずれにおいても、8割超が「投与期間22日以上」となっていることが分かりました。「薬物依存が生じやすい処方が、依然として数多く行われている」と言えます。このように、依然として向精神薬の多剤投与が行われ、薬物依存性のある薬剤の長期処方が行われている状況を踏まえて迫井医療課長は「薬剤数や処方期間などの取扱いの見直し」や「薬剤師・薬局などと連携した適切な薬物療法の推進に資する評価」を検討してはどうかと提案しています。この「向精神薬の処方制限の強化」方向には診療側・支払側ともに異論を唱えてはおらず、2018年度の次期改定において、精神科に限らず「向精神薬を不適切に多剤・大量・長期処方などしている」医療機関や薬局には厳しいペナルティがかけられる見込みです。この点、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、健康保険組合の被保険者・被扶養者のレセプトを調査・分析した結果から、▼抗不安薬・睡眠薬が処方されたレセプトのうち65%程度は精神科ではない▼抗不安薬・睡眠薬の投与期間を見ると、3割程度が半年以上、1割程度が1年以上、2%が2年以上となっており長期投与されているケースも少なくない—といったことが明らかになったと報告。薬物依存を避けるために、▼向精神薬の多剤投与制限を強化(種類数の厳格化)する▼1種類であっても処方日数に制限を設ける—ことが必要と指摘。また「一部の一般内科などで向精神薬が漫然と長期処方されている」点についても問題提起しました。これに対し、診療側の今村聡委員(日本医師会副会長)と松本純一委員(日本医師会常任理事)は、「医師には総合的な診療能力が求められるようになっており、内科であっても向精神薬を処方するケースもある」「患者が向精神薬を所望するケースも少なくなく、保険者が被保険者・被扶養者教育をすべき」旨を述べましたが、同じく診療側の猪口雄二委員(全日本病院協会会長)は「必要があって向精神薬を多剤投与しなければならない場合、精神科専門療法を行っていることを条件に多剤投与を認める」といった制限も検討する費用があると述べ、幸野委員の問題提起と同趣旨のコメントをしています。なお、幸野委員は「医療機関とかかりつけ薬局・薬剤師との連携は現行点数で十分に評価されており、新たな評価は不要」といった旨の見解を明らかにしています。認知症専門診断管理料1、「連携型の病院」でも算定可能となる方向 齢化の進展とともに認知症患者も急増すると見込まれています。そうした中で認知症治療の入り口となる「早期鑑別診断」が重視されています。認知症と一口に言っても、基礎疾患はさまざまです。迫井医療課長は▼内分泌・代謝性疾患▼感染性疾患▼腫瘍性疾患▼外傷性疾患▼脳脊髄液循環障害▼免疫疾患―などでは、早期に診断し、治療することが可能であると指摘し、「鑑別診断」(基礎疾患が何かの診断)を充実させることが必要と強調しました。この早期鑑別診断を進めるために厚労省は「認知症疾患医療センター」を指定しており、診療報酬上の評価も行われています。具体的には、▼基幹型(総合病院)16か所▼地域型(単科精神科病院など)356か所▼診療所型―の3タイプがあり、基幹型と地域型では【認知症専門診断管理料1】の「イ」(700点)を、診療所型では【同管理料1】の「ロ」(500点)を算定できます。ところで本年度(2017年度)から、これまでの診療所型が「連携型」に組み替えられ、病院も基幹型・地域型と連携した早期認知症対応を行えることとなりました。しかし、現在の診療報酬上は「診療所」でしか【認知症専門診断管理料1】の「ロ」を算定できないため、迫井医療課長は「認知症専門診断管理料の見直し」を検討してはどうかと提案しています。この提案には特段の異論は出ておらず、例えば、「ロ」を連携型として病院も算定可能とする、「ハ」として連携型病院の点数を新設する、ことなどが検討されることになります。なお、連携型の施設には、▼認知症診断を行う専門医の配置▼看護師、保健師、精神保健福祉士、臨床心理技術者などの配置▼急性期入院治療を行える医療機関との連携体制確保▼CTやMRI、SPECT(単一光子放射断層撮影、Single photon emission computed tomography)などの整備―などが必要とされています。>

中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の「個別事項(その4)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000180987.pdf)p80~「向精神薬の処方」には目をとおしておきたい。国立精神・神経医療研究センター「「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」の改訂版」(http://www.ncnp.go.jp/press/press_release130611.html)(http://www.ncnp.go.jp/press/press_release130611.html)p32「【勧告】常量の睡眠薬を服用しても効果が不十分な場合に、睡眠薬の多剤併用がより有効であるというエビデンスは無い。副作⽤リスクを低減するためにも、多剤併用はできるだけ避けるべきである。特に、三種類以上のベンゾジアゼピン系ないし⾮ベンゾジアゼピン系睡眠薬の併用は避けなくてはいけない。」とある。ベンゾジアゼピン系薬(BZ) にはトリアゾラム(商品名:ハルシオン)、ブロチゾラム(商品名:レンドルミン)、フルニトラゼパム(商品名:サイレース、ロヒプノール)、クアゼパム(商品名:ドラール)などがあり、非ベンゾジアゼピン系薬 (非BZ系薬)にはゾルピデム(商品名:マイスリー)、ゾピクロン(商品名:アモバン)がある(http://kusuri-jouhou.com/pharmacology/bz-bar.html)が、実際には多剤併用されているケースが少なくないであろう。厚生局ホームページ(https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/iryo_shido/syohouryounikakarukjouseisinyakyutazaitouyonojyoukyounituite.html)では「保険医療機関が1回の処方において、抗不安薬を3種類以上、睡眠薬を3種類以上、抗うつ薬を4種類以上又は抗精神病薬を4種類以上投与(以下「向精神薬多剤投与」という。)した場合は、向精神薬多剤投与の状況の報告が必要です。」とあるが、臨床医に周知徹底されているであろうか。また、電子レセプトシステムによる状況報告のチェックはどれほど行われているであろうか。以前、「生活保護の医療扶助における緊急サンプル調査の一次調査結果」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000gmbj.html)、朝日新聞「向精神薬余分に処方、5177人 生活保護受給者を調査 厚労省」(http://apital.asahi.com/article/news/2015031000004.html)が出ていたが、薬関係の貧困ビジネス(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9)は要注意であある。生活保護関係全国係長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000114635.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000114628.pdf)p16「向精神薬の重複処方にかかる適正化の徹底等(平成28年度~)」とセットで認識したい。
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