保健福祉の現場から

感じるままに

被扶養者の特定健診

2011年07月11日 | Weblog
NHK「メタボ検診 受診機会増加へ」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110711/k10014114341000.html)。<以下引用>
<厚生労働省は、「メタボ検診」について、受診率の向上を図るため、サラリーマンなどの妻の受診の機会を増やす方向で制度の改正を進めることにしています。「メタボ検診」は、内臓に脂肪がついて病気になる危険性が高まるメタボリックシンドロームの早期発見のため、3年前に始まり、40歳から74歳までの人は、加入する健康保険組合や、共済組合、国民健康保険組合などが、年に1回行う健康診断の際、「メタボ検診」として、おなかの周りなどの測定が義務づけられています。しかし、「メタボ検診」の受診率は、平成21年度で4割程度と、制度が始まってから低い水準にとどまっていて、厚生労働省は、受診率の向上を図るため検討会を設置して改善策の議論を進めています。この中では、夫に比べて妻の受診率が低い傾向にあることについて、夫が勤めていて、妻が扶養家族の場合、夫の職場や職場が指定する医療機関でしか検診を受けられないのが、要因の1つになっているとみています。このため、厚生労働省は、サラリーマンなどの妻について、地元の自治体が実施する検診も受けられるよう受診の機会を増やす方向で制度の改正を進めることにしています。>
 
「平成21年度における特定健康診査の実施率(速報値)」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000010ryg.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000010ryg-att/2r98520000010s06.pdf)によると、保険者種類別の特定健診実施率(平成21年度速報値)は、共済組合65.4%、組合健保63.3%、市町村国保31.4%、全国健康保険協会30.3%であり、保険者間格差が非常に大きいことがわかる。協会けんぽの平成21年度特定健診・保健指導実績について、特定健診実施率は被保険者38.3%(20年度35.9%)、被扶養者12.2%(20年度11.2%)である(保健衛生ニュース平成22年8月9日号)が、協会けんぽ(旧政府管掌健康保険)の特定健康診査等実施計画(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/info03g-1a.pdf)p5では、平成21年度の目標として、特定健診の実施率は被保険者62.5%、被扶養者47.5%を掲げており、実績は目標を大きく下回っている。そういえば、「平成20年度地域保健・健康増進事業報告の概況」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/c-hoken/08/index.html)(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/c-hoken/08/dl/date03.pdf)p14では、平成19年度から20年度にかけて、全国で胃がん、大腸がん、肺がん検診の受診率が大幅に低下していた。特に、被用者保険被扶養者は、平成19年度までの市町村基本健診の受診率はどこの市町村も概ね高かったはずで、20年度から市町村の健診対象者から外れたことは、がん検診受診率低下に影響したであろう。健診といっしょに受けていた「がん検診」を受けなくなったからである。なお、被扶養者の特定健診受診率の低さは、健診の自己負担額が、従来の市町村基本健診の自己負担額よりも大幅に引きあがったことも影響しているであろう。少なくとも、被扶養者に対する特定健診の案内は、事業所や被保険者を介さずに直接本人に案内してもよいのではないか。被扶養者は女性が圧倒的と思われるが、女性の健康支援(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0501-4o.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/woman.html)の観点からも気になるところかもしれない。ところで、各保険者からの高齢者支援金の加算減算について、4日の「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001hp6z.html)において、健診実施率が被用者保険が高率・国保が低率と2層化していることが指摘され、「一律で評価し、国費等で支援している市町村国保の支援金を加算し、その加算分をもって被用者保険の支援菌を減算することが合理的なのかどうか」、加算減算は次回以降議論と報道されている(保健衛生ニュース7月11日号)。
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小児がん拠点病院

2011年07月11日 | Weblog
6月29日のがん対策推進協議会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001gxqf.html)で、「小児がん拠点病院」の予算化を求めることが想定されていると報道されている(保健衛生ニュース7月11日号)。小児がん専門委員会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008fcb.html#shingi3)は今年1月に設置されているが、イメージ的に原発事故と関連づけられるのはやむを得ないかもしれない。先般ブログ(http://blog.goo.ne.jp/miraikibou/e/936090b71ef5119f20ff12be556f7b4f)ったように、小児大規模集団での低線量被ばくによる晩発障害(http://www.remnet.jp/lecture/forum/02_04.html)の確率的影響(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A%E9%9A%9C%E5%AE%B3)が気になる方が少なくないであろう。
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地域医療再生基金と有識者会議

2011年07月11日 | Weblog
「地域医療再生基金、9月に交付へ」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/34946.html)。<以下引用>
<厚生労働省の「地域医療再生計画に係る有識者会議」(座長=梶井英治・自治医科大地域医療学センター長)は7月8日、各都道府県などが提出した地域医療再生計画案の評価方法を了承した。7月中に委員が評価を行い、同省が取りまとめて8月中旬に開かれる次回の会合に報告する。評価に応じて金額が決まる地域医療再生基金の交付は9月中旬ごろになる見込み。今回評価する計画案は、全国52の三次医療圏(北海道を除いて都道府県単位)のうち、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島を除いた49の三次医療圏が6月16日までに提出したもの。「現状分析、課題の認識、実施する事業および目標設定が一貫しているか」「計画を策定・推進する際に責任を負う機関・組織などが明確か」など20項目について委員12人がそれぞれ採点し、平均点で評価を決めるただし、自らの出身地や所属施設の所在地などの都道府県については事前に申告を受け、その委員は採点しない厚労省は、委員による評価の結果を取りまとめ、8月中旬に開かれる次回会合に報告。これを踏まえて地域医療再生基金の交付額を決めて8月中に内示し、9月中旬をめどに交付する。被災3県については、計画案の提出期限を11月まで延長しており、提出後に計画案を評価して交付する。地域医療再生基金は総額2100億円。全国の三次医療圏に対し、地域医療再生計画の評価に応じて15億-120億円を交付する。厚労省はこれまでに、被災3県には交付上限額の120億円を確保すると通知している。厚労省の担当者によると、確保している360億円と、49の三次医療圏からの申請額を合わせると約3300億円に上るという。>

8月中に内示される地域医療再生基金(http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/saiseikikin/)から各都道府県への内示額の行方が注目されている。6月16日締切の地域医療再生計画の申請は3267億円で予算額を1167億円上回ることが判明と報道されていた(保健衛生ニュース6月27日号)。都道府県地域医療再生計画について、「20項目について委員12人がそれぞれ採点し、平均点で評価を決める」とされ、まさに政策コンテストの感がある。1167億円が今後調整されるといい、地域医療再生計画に係る有識者会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008zaj.html)の審査の透明性が不可欠である。今回、地域医療再生計画に係る有識者会議 構成員(http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/saiseikikin/kaigi.html)から、「自らの出身地や所属施設の所在地などの都道府県については事前に申告を受け、その委員は採点しない」とされるが当然といえる。そういえば、以前、「厚生労働科学研究における利益相反に関する検討委員会」(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/01/s0122-2.html)の指針(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/01/dl/s0122-2b.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/01/dl/s0122-2c.pdf)が出ていたが、今回の有識者会議委員12人の採点は、「利益相反」というようなレベルではなく、審査委員(http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/saiseikikin/kaigi.html#bessi)周辺は外部からも監視されるかもしれない。委員は7月末までに評価結果(必要性、有効性、公平性、効率性、優先性)を厚労省に送付するが、「評価の公正性を担保する観点から、委員は利益相反がある県の評価からは外れることとする。さらに、委員が評価結果をまとめるまでの期間については自治体の地域医療再生計画関係者などとの接触やその自治体等に直接委員が質問すること、評価の結果を他者に漏らすこと、評価を他者に委ねることを禁止する。評価期間中にこうした禁止行為を行った委員の評価は全て除外する。」と報道されている(保健衛生ニュース7月18日号)。
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