友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

ネズミ男に出会う

2007年08月26日 19時25分23秒 | Weblog
 昨日は演劇で『がんばれ!日本国憲法』を観たが、今日は「憲法9条」ののぼりを立てたネズミ男に出会った。憲法9条の意義を訴えたいと、全国行脚をしている福崎やすおさんだ。真っ黒に日焼けしたその顔は、ほとんどアフリカ人だ。やせた体型が、飢えた人そのものを表している。

 彼は、このままでは憲法改正に突き進んでしまう、憲法を守れという人々が集まり、より意思を固めたとしても、改正反対の人数を増やすことにはならないのではないか、そう考えた。ごく普通の人々、憲法の改正反対でもなく賛成でもない人々に呼びかけていかなくては、国民投票で改正反対票は伸びない。歩けば、立ち止まって話すこともできる。全国を歩いて廻ろう、そう決心した。沖縄から初め、昨日は岐阜県可児市で泊めてもらい、名古屋を目指している途中というわけだ。

 「どうしてネズミ男なのですか」と尋ねる。「ネズミ男は、嘘をつくし、お金に目もくらむ。けれども鬼太郎のような武器は持っていない。だから悪いやつだけれど、決して人を殺してはいない。日本はネズミ男なんです」と話す。なるほど、おもしろい発想だ。続けて彼は「親鸞は人の罪を見抜いていたし、キリストの1番弟子のペテロはキリストが捕らえられた夜、3度も嘘をついた。自分がうそつきだという自覚が大切だと思ったのです。自分たちはネズミ男なのだと自覚すれば、憲法の意義も見えてくる」と言う。

 「以前、町会議員だった時は、みんな敵だと思っていたんです。でも、自分が敵だと思っていれば、やっぱり相手も敵だと思っているわけです。これではいけないなと思うようになった。北は敵だと言うでしょう。攻めてきたらどうするんだと。本当はその前に、お互いが理解しあえるようにするにはどうするのかが大切なんじゃないか。攻めてきたらじゃーなくて、人殺しをしないためにはどうするのか、と考えたいのです」。

 ネズミ男は炎天下の町の中を再び歩き出した。「熱中症にならないように、気をつけてください」としか、私は言えなかった。こんな暑い日中に、タダひたすらに歩く。私は憲法改正に反対だけれど、彼のようにたった一人でも行動して、皆さんに訴える、それほどの勇気と熱意は無い。そんなことで日本の社会が変るわけではないと当初は思っていたけれど、ネズミ男のヘンな力みのない、淡々とした話を聞いているうちに、私は一緒に行動できないけれど、彼の行為を称えたいと思った。

 別れ際に彼は「憲法9条の会、がんばってください」と言って手を差し出した。私は憲法9条の会のメンバーではないので、どう答えてよいのかわからないまま、「くれぐれも身体に気をつけて」と言って、その手を握り返した。サラッとした冷たい手だった。彼は「一人で歩いていると、思わぬ出会いがあります」と、話していた。いろんな人がいろんな形で、自分の思いを人に伝えようとする、それができることの悦びとそういう人がいることの尊さを思った。

 我が家のさなぎは変化なし。
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