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友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

雪の中、東京へ

2015年01月15日 18時32分22秒 | Weblog

 案の定雨降りだった。それでも約束だから出かけた。話し終わった夕方、西の空に光が差して来て、東の空に大きな虹が見えた。虹を見ただけなのに、不思議と幸せな気持ちになった。西洋の宗教画に虹を描いたものがあったが、キリスト教でも虹は幸せの象徴だったのだろうか。宗教画は教会がパトロンとなって職人(画家)に描かせたものだが、絵を描く側からすれば、絵の中に自分の思いを描き込んでいたはずだから、調べていけば違った世界が見えたのかも知れない。

 寒いから出かけるのはイヤだけれど、出かけてしまえばそれなりにやりたいことも生まれてくる。大学4年の1月、私はそれまで暮らしていた東京品川の下宿に、姉の知り合いから借りた車で残してきた荷物を取りに行った。東京は大雪で、途中の箱根を越すのが大変だった。大島渚監督がこの日の雪を材料に映画を撮影した映画があったが、何という題名だったのだろう。早稲田大学に通っていた高校の時の友だちの下宿があった上石神井にも寄った気がするが、その理由は覚えていない。

 中学からの友だちが付き合ってくれたので2人で交代しながら車を運転していったけれど、途中でタイヤチェーンを取り付けたり、そのチェーンの装着が悪くて外れ、車体にキズをつけてしまったり、大変なドライブだった。どこかに宿泊した覚えはないから、早稲田の友だちのところに寄ったのは彼の下宿で寝るためだったのかも知れない。上京する度に彼には世話になった。そのくせ、大学4年の5月から12月まで、東京で暮らしていたのに彼とは何度会っただろうと思うくらい行き来がなかった。

 4年生のほとんどが東京暮らしになったのは、私の大学の先生の思いやりだ。既に両親は亡くなっていた大学2年の1月、家業を継いでいた兄が破産し家族離散となった。私は先生の家に住み込み、先生の子どもを教えたり手伝いをして暮らした。新聞部にいて編集の仕事が好きと見た先生は、「東京で編集の仕事がある」と私を送り出してくれた。編集の仕事は楽しかったけれど、上司とうまくいかないと感じて帰郷してしまった。雪の中を荷物を取りに行ったのはそのためだった。

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