シトシトと降る冬の雨は何となく寂しい。「60歳の集い」という同年者が集まる行事は、私が60歳の時から始った。初代会長は次女の友だちのお父さんで、私の知り合いでもあり、音頭とりの社会福祉協議会の事務長もよく知る人だったので、参加が当然だった。その人が平成22年に亡くなったので、翌年の「会」で役員選出となり、私が代表幹事を務めることになった。この土地で生まれ育った人たちからすれば「よそ者」である。上手くやれるだろうかと不安はあったが、今ではすっかり打ち解け違和感は全く無い。
来月21日に10回目の「会」を迎えるので、その打ち合わせを行なった。ところが司会役の人がなかなか来ない。ひょっとしてと思って電話すると、「あれっ、今日?」などと言う。月曜日に彼の都合を聞いて設定したのにすっかり忘れてしまっている。そういえば、月曜日に電話した時も、「ホテルとの打ち合わせは22日でしたよね」と言うと、「そうだったかなー」と忘れている。いろいろとボランティア活動をしているし、ちょこちょことアルバイトもしていると言うから忙しくて忘れてしまうのだろう。
打ち合わせで話していても妙に元気が無い。「どうしたの?」と聞くと、「昨日、飲みすぎたかな」と言う。昨夜も一緒だったというもうひとりが、「最近よく忘れるから困っている」と耳打ちする。同年者で話していると、誰それが亡くなったとか、病院通いをしているとか、どこが痛いとか、元気が出るような話はひとつもない。そうしてみると私は健康な方だが、実は左手の親指の付け根がいまだに痛い。メガネをはずしてもよく見えるようになったのに、遠くのものがハッキリ見えない。
自動車は使わずにもっぱら自転車を利用しているとか、名古屋の栄からなら2時間で歩くとか、小高い山を歩いているとか、ジムに通っているとか、健康維持には人一倍気を使っている人が多い。私はナマケモノなので、健康のために何かをしようという気にならない。そこそこに生きてこられたのだからありがたいが、もう少し元気でいたい。「風もなく シトシトと降る 冬の雨 寒さ堪えて 来ぬ人を待つ」。