この写真の花の名前を教えてください。友だちにもらった葉を植えておいたら、こんな花が咲き始めました。
名演の例会で観た音楽劇『わが町』で、一番印象に残った場面は、高校生のふたりが一緒に帰るところだった。お互いに相手を意識しているけれど、男の子は野球に夢中で、しかも凄い選手と周りが認め、自分も悦に入っていた。そこを女の子に指摘される。女の子が好きなのに見ていない振りをしていると咎められる。自分のことを考え、支え、認め、見守ってくれる彼女に結婚を申し込む。初々しく希望に満ちて、ふたりは手をつないで帰っていく。
私は中学1年の春休み、同級生の女の子に「友だちになって」と告白した。色白で目がパチッとしたちょっと変わった子だった。彼女が「ウン」と言ってくれたので、2年生の時、私が通っていた教会のサマーキャンプに誘った。けれど、彼女の両親はふたりで行くのに反対だった。3年生の誕生日には花屋さんからバラを贈った。高校は同じ学校だった。新聞部の友だちに、彼女が好きだと言っていた。けれど、話すことも、修学旅行で写真を撮ることもなかった。
2年生の時、生徒会長に立候補することになった。その時、彼女から「止めて欲しい」と手紙をもらった。ふたりで話したい、手をつないで帰りたい、そんな欲望はあったのに、会って話したのは一度きりだ。アフリカのコンゴの若き指導者、ルムンバが暗殺された1961年だった。バッタリ、道で彼女と出会った時、彼女はルムンバの死を「悲しい」と言った。世界情勢や政治に関心があることに驚いたし、見直した。もっと好きになった。
なのに、手紙の交換もしなかったし、電話をすることもなかった。家だって同じ方向だったのに、一度も一緒に帰ったことがなかった。それでも私は、ふたりは好き合っていると勝手に思い込んでいた。文芸部の機関誌に彼女のことを思って、詩や小説もどきのものを書いた。私は新聞作りや生徒会活動に、全ての時間と情熱を注いでいた。音楽劇の中で、「伝えなければ分からない」と女の子が言った。思い出して、涙が出てきた。どうしてそんなことが分からなかったのだろう。