友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

「どうしてそんなにこだわる」

2014年02月27日 17時41分45秒 | Weblog

 私の中学3年の担任は数学の教師で、教壇ではいつも竹の棒を持っていた。癇癪ですぐ顔を真っ赤にして怒った。怒る時は身体が震え、少し吃音になった。私は数学を教えてもらったこともなく、3年の時が初めてのクラス担任だった。3年になってすぐだった。先生は「給料が1万円になったので結婚する」と言った。新婚旅行から帰ると、出かけた九州の写真が教室の後に貼られ、1枚10円で希望者は購入できた。新婚旅行のスナップ写真を掲示することもビックリだったけれど、それを売るということもビックリだった。

 新婚の先生は「家に遊びに来い」と言ってくれたので、遠慮なく出かけて行った。私は自分が教師になった時、先生と同じことをしていた。その時になって、生徒が家に来るということの大変さを知ったけれど、同時に先生は教え子が遊びに来ることがとても嬉しかったと理解できた。先生の奥さんはいつもニコニコと私たちを迎えてくれた。後になって、生徒たちの来訪を喜びながら、「接待がどれだけ大変なのか、あなたは分かっていない」とカミさんに言われ、先生の奥さんの姿を思い出すことがあった。

 一昨日、先生が作ってくれた『麦の歌』3号の複製本を、その号に登場している人のところへ配って回った。その時、一緒に回ってくれた友だちが、「第1号があった」と持って来た。「この複製本も作りたいから、しばらく借りていいか?」と聞く。もちろん快く承知してくれた。クラス会の役員は「今年中にクラス会を開く」と言う。何とかそれまでにこの『麦の歌』1号の複製本を作ろうと思う。

 「どうしてそんなにこだわる」と友だちは言うけれど、どうしてなのだろう。先生がかなりの時間と労力を注ぎ込んで作ったものということもある。若い時はそんなに大事に思わなかったけれど、もう一度読み返してもらってもいいのではないかという気もする。誰かが複製本を作らなければ、もう誰にも読まれることもなく、紙くずになってしまう。たまたま私には複製本を作ってくれる知り合いがいる。だから私の使命のように思う。それだけだ。

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