友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

「優しさの塊」

2012年11月28日 18時31分43秒 | Weblog

 高校3年の孫娘は友だちから、「優しさの塊(かたまり)」と呼ばれているらしい。頼まれると断れない、それは優しさであるけれど弱さでもある。先日も芸術大学のことで電話してきた。どんな特長があるのか、卒業して学校の先生になれるのか、先生になれなければ他には何になれるのか、学費はいくらか云々‥。私がわかることは答えたけれど、「インターネットで大学を調べればもっと詳しく出ていると思うよ」と付け加えると、「ああ、そうか、ありがとう」と呆気ない。孫娘の後から女の子の声がしていたから、その子のために大学を探しているのだろう。

 おせっかいなくらいの世話好きで、「もう少し、自分のことに集中したらどう」と言えば、「してるよ」と答えるけれど、私にはとてもそうは見えない。そのくせ自分のことになると優柔不断で、どうしようどうしようといつも迷っている。実のところ誰でもそうなのかも知れないが、外ではすごく調子がよいし、おせっかい過ぎるだけに、より目に付くのかも知れない。意地悪な性格よりも「優しさの塊」と言われている方が、私としても孫娘がより可愛く見える。それに「おせっかい」はどうも私の血の流れのようなのだ。

 NHKの朝のテレビ小説『純と愛』は、題名とは裏腹に全くの喜劇だ。主人公の純さんを好きだという人は結構いるが、逆に嫌いだという人も結構いる。この主人公の度が過ぎる世話好きは評価が大きく分かれるだろう。これまでの朝のテレビ小説とは大きく路線を変えてきたけれど、NHK内部でも議論のあるところだろう。主人公の純さんは、「みんながこのホテルに来て良かった」と言ってもらえるホテルにする夢を持っている。就職する時も面接では完全に失敗だった。それをオーナー社長が「面白いね」と採用してくれた。

 数々の失敗を重ねるが、いつもこの社長が助けるところはまるで漫画である。いや、このドラマそのものが漫画だと思う。深夜零時を過ぎて、客がコーヒーを部屋まで持ってきて欲しいと言う。ホテルでは零時を過ぎてからのルームサービスは行なわないことになっている。ところが彼女は「お客が喜ぶことをするのがホテルの役割」と客の要求に応えてしまう。こうしたトラブルばかりを繰り返すのだが、「私はよいことをしているのに、どうしてみんなは分からないの」と彼女は思っている。

 先輩の女子社員から、「自分が正ししければ、何でも出来ると思うのは間違いよ」とクギを刺される。この女性の指摘はいつも的確で、社会人の模範のような人だ。ホテルも組織である。組織が動くためにはみんなの理解と協力が必要だ。それをどのようにして作り出していくのか、きっとそれがこのドラマのテーマなのだろう。今までのところでは、純さんがむやみやたらに突っぱねていくがこれからどんな展開になるのだろう。

 ただ、もし純が組織にウエイトを置いていくようなら、平凡な社員で物語にはならないし、しかし、いつまでも失敗ばかり重ねるのも能がない。孫娘がおせっかいであるとはいえ、純さんほどでなくてよかったとちょっと安心している。

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