常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

聞く力

2024年04月07日 | 日記
今日の気温23℃。強い陽ざしで、少々歩いただけで汗ばんでくる。朝、桜の花を眺めながら散歩のあとベランダの鉢に水やり。鉢で成長を始めたすみれの花が咲き始めた。かわいい小さな花が3輪、鉢一杯に密集している葉をかきわけると、なんと無数の花芽がかくれている。数学者の岡潔の『日本の心』のなかに出て来るスミレの花は、自分の研究論文ひとつをすみれの花一輪にたとえたものらしい。多変数解析函数、という何やら検討もつかない論文を9個発表して仕事の3分の2まできた。まだすみれの花は咲き切っていないと言っている。

岡博士は様々なものに興味を示し、江戸時代の詰将棋の話が出てくる。伊藤宗看、看寿兄弟が創った詰将棋百番で、煙詰めというものを紹介している。手数で611手、盤上には39枚の駒が並んでいて、全て王手をかけて盤上には残り3枚になって詰め上がるというものだ。まるで駒が煙のように消えることから名づけられたらしい。現代の天才棋士、藤井聡太も詰将棋の大家だが、これほどの詰将棋を作ったとは聞かない。江戸時代の鎖国が生んだ20歳くらいの若き知性として、この頭脳の使い方と数学でのそれとが近いのものがあるとしている。

枕頭の読書は、最近朗読を聞くことが多くなった。読書の解説に『対話人間の建設』というのがああった。岡潔と小林秀雄の対話を本にし、その感想を紹介しでいる。この読書体験が、改めてユーチューブで紹介され、自分の体験と重なることに驚きを禁じ得ない。さらに岡潔の講演の録画がそのまま残っているものもあり、肉声を聞くことすらできる。枕頭などという無理な体勢の読書が、聞くということに代替えされる。あらためて「聞く力」を意識する。様々な音の囲まれて生活する現代人は、音をより分けて聞いている。本能的に、重要な情報だけに意識を集める。思い込みで、人の話を取捨選択していることも多い。心を澄まし、しっかり聞く耳を持つことこそ必要だ。この国の指導者の聞く力は、どうやらあやしいものになりつつある。

コメント
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