常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

蝉の初鳴き

2015年07月14日 | 農作業


三日続きの猛暑日。人間も体調を崩しかねないが、畑の野菜たちもこの猛暑に耐えている。高温に加えて少雨。茄子やキュウリへの水遣り、種をまいたニンジンや里芋、生姜にも水遣りが欠かせない。5時半の時点で気温は26℃となっていた。畑につくと、柿の木の葉の間から、ニイニイゼミの鳴き声が聞こえてきた。例年では、夏休みが始まる頃に鳴きはじめると記憶しているが、それからすると、一週間ほど早いことになる。

閑かさや岩にしみ入る蝉の声 芭蕉

芭蕉が奥の細道の旅で、山寺の立石寺に行き、その折に詠んだ有名な句である。この蝉の声が、ニイニイゼミかアブラゼミかで人知れぬ論争が起こった。方や山形を代表する歌人斉藤茂吉、方や夏目漱石の門弟小宮豊隆である。アブラゼミ説の茂吉は、岩にしみ入るほどの鳴き声は、アブラセミの群鳴でなければならないとし、小宮説では糸を引くような澄んだニイニイゼミの鳴き声を方が岩にしみ入るに適当とした。

そこでセミの鳴き始めの時期がこの論争のポイントとなった。芭蕉が山寺に入ったのは、陽暦で7月20日ぐらいのことであったから、このころ鳴いているのはニイニイゼミで、アブラセミが鳴くのはもっと遅いと、小宮は主張した。そこで、茂吉は山形在住の門弟や親戚を動員して、山寺で鳴くセミを捕獲して調べさせた。結果は少しだけアブラゼミが混じっていたものの、ほとんどがニイニイゼミで、小宮説に軍配が上がった。

5月中旬ころに新緑の山へ入ると、春ゼミが耳を破るよう鳴いているが、柿の葉の間から鳴くニイニイゼミはよく注意して聞かないと分からないような静かな鳴き声である。蝉しぐれになると、アブラゼミの大合唱が始まる。沖縄に行ってクマゼミの鳴き声を聞いたときは、そのあまりの大きさに驚いたものである。鳴き始めの時期も、今日初めて聞いたが、その場所でも差があるらしい。



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