みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0549「偽りの仮面1」

2019-05-21 19:01:00 | ブログ短編

 とある高級住宅地(こうきゅうじゅうたくち)の朝。立派(りっぱ)な邸(やしき)が建(た)ち並(なら)んでいる通りを一人の女が歩いていた。年の頃(ころ)は二十代後半(こうはん)といったところか。端整(たんせい)な顔立ちをしていて、白い日傘(ひがさ)をさし、清楚(せいそ)な雰囲気(ふんいき)のワンピース姿(すがた)である。すれ違(ちが)う人たちが思わず振(ふ)り返るほど、何か人を惹(ひ)きつけるものがあった。だが彼女の目には、どこか冷(つめ)たい光がさしている。
 前からやって来た女子高生風(ふう)の女の子が、女を見つけると駆(か)け寄(よ)って来て言った。
「お姉(ねえ)さん、どうして? こんなとこで会えるなんて」
 女は優(やさ)しく微笑(ほほえ)みかけて、「あら、おはよう。知り合いのお宅(たく)があってね。それで…」
「そうなんだ。でも、会えてよかった。これからね、彼に会いに行くの。何かね、大事(だいじ)な話があるんだって。何だろ? プロポーズされちゃうかも」
「あなた、高校生でしょ。結婚(けっこん)なんて、まだ早いわ。それに…」
「もう、冗談(じょうだん)よ。でも、お姉さんに良(い)い人紹介(しょうかい)してもらって、ホントあたし幸(しあわ)せよ」
「そう、良かったわ。あなたが、可愛(かわい)い子で…」
 女の子は腕時計(うでどけい)を気にして、「あっ、いけない。待(ま)ち合わせに遅刻(ちこく)しちゃうわ。じゃ」
 女の子は手を振(ふ)って駆け出して行った。女はそれを見送って、行こうとしていた方へ向き直(なお)る。女の顔から微笑みが消(き)え、何か強い決意(けつい)が表情(ひょうじょう)をこわばらせた。
<つぶやき>何か訳(わけ)ありの女性です。これから、ひと波乱(はらん)ありそうな感じ…。どうなる?
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