みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1461「見てはいけない」

2024-06-13 17:57:35 | ブログ短編

 いつから、誰(だれ)が言いだしたのか分からないが、この学校(がっこう)にはある噂(うわさ)がささやかれていた。それは、校舎(こうしゃ)の裏手(うらて)にある古(ふる)い倉庫(そうこ)を覗(のぞ)くと悪(わる)いことが起(お)きると…。
「なあ、俺(おれ)たちでその噂を確(たし)かめてみないか?」
 ある男子(だんし)が親友(しんゆう)を誘(さそ)っているようだ。こういう怖(こわ)いもの知らずはいつの時代(じだい)にもいるものだ。誘われた親友はどうやら尻込(しりご)みしているようだ。
「夏休(なつやす)みになったらあの倉庫、取(と)り壊(こわ)しになるんだってよ。だから今しかないんだよ」
 それでも親友は言葉(ことば)を濁(にご)す。言い出しっぺの男子は後へ引(ひ)けなくなって、
「じゃあ、俺、ひとりでも行くから…。もうお前(まえ)とは絶交(ぜっこう)だからなぁ」
 まったく、こんな無茶(むちゃ)を言う友(とも)だちは持ちたくないもんだ。親友はそう思ったに違(ちが)いない。親友は心を決(き)めたようだ。今度(こんど)の日曜日の朝(あさ)、決行(けっこう)と決まってしまった。古い倉庫なので、学校(がっこう)では立入禁止(たちいりきんし)となっている。だから先生(せんせい)とかがいる時間(じかん)はダメなのだ。
 決行の日の朝早(はや)く。親友は学校の門(もん)の前で待っていた。だが、約束(やくそく)の時間(じかん)になっても現(あらわ)れない。「まぁ、こんなことか…」と親友は呟(つぶや)いた。きっと、まだ寝(ね)ているに違いない。親友は仕方(しかた)なく古い倉庫へ向(む)かった。そして、立入禁止のロープが張(は)られているところへ来たとき、いきなり後から声(こえ)をかけられた。振(ふ)り返ると、そこには校長(こうちょう)先生が立っていた。
「君(きみ)も噂を確かめにきたのかい? 君で23人目だよ。でも、一人でくるなんてたいした度胸(どきょう)だね。感心(かんしん)するよ…と言いたいところだが――」
<つぶやき>この後、すごく怒(おこ)られたのかな? でも、探究(たんきゅう)する気持(きも)ちは忘(わす)れないでね。
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