みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0798「異星人」

2020-02-07 18:25:36 | ブログ短編

 大きな宇宙船(うちゅうせん)を見上げる位置(いち)にその会場(かいじょう)はあった。そこに、主立(おもだ)った国の代表者(だいひょうしゃ)が集められていた。彼らは厳(いか)めしい宇宙服(うちゅうふく)を着込(きこ)んだ異星人(いせいじん)を目(ま)の当たりにしていた。
 代表者の一人が訊(き)いた。「あなたたちは、何をしにこの地球(ちきゅう)に来たのか?」
 異星人は答えた。「私は、あなたたちと商売(しょうばい)をしたいと思っています。私が持っているものは、必(かなら)ずあなたたちの役(やく)に立つでしょう」
 別の代表者が訊いた。「あなたたちは、どこから来たのか?」
「私の生まれた星はずっと遠く。しかし、あなたたちが火星(かせい)と呼ぶ星に新たに支店(してん)を作りました。そこであなたたちの言語(げんご)を学んだのです。私は、あなたたちと友好(ゆうこう)を結(むす)びたい」
 後ろの方から声が上がった。「地球を侵略(しんりゃく)するつもりじゃないのか!」
「侵略? とんでもない。私はただの商人(しょうにん)です。私の、この格好(かっこう)がそう思わせてしまっているのでは? これは、この星の大気(たいき)から身(み)を守るために必要(ひつよう)なのです。それに、この星の重力(じゅうりょく)は強すぎて、パワースーツを着込まないと歩くこともできません」
 その時、大きな音が鳴り響(ひび)いた。異星人は宇宙服に付いているボタンを押(お)した。すると、耳をふさぎたくなるようなキーキーという音が流れた。それが終わると異星人はとても残念(ざんねん)そうに言った。「すいません。妻(つま)からの通信(つうしん)で…、すぐに帰って来いと…。こんな遠くまで連れて来たので、ずっと機嫌(きげん)が悪(わる)くて……。これで、失礼(しつれい)いたします」
<つぶやき>どこの星も同じなんですかね? で、どんなものを売り込みに来たのでしょ?
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