みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1168「のろける」

2021-12-07 17:42:34 | ブログ短編

 僕(ぼく)と彼女は、付き合い始めた頃(ころ)からすれ違(ちが)いばかりだった。デートの時は、どちらかが急(きゅう)な仕事(しごと)になったりで、会える時間もそんなになかった。それでも僕らは、電話(でんわ)とかメールでやり取りをして、愛を育(はぐく)んでいった。そして、ついにプロポーズ――。
 でも、予約(よやく)していたレストランが急に閉店(へいてん)してしまい、僕は途方(とほう)に暮(く)れた。それでも彼女は、何の文句(もんく)も言わずプロポーズを受(う)けてくれた。僕は思わず涙(なみだ)ぐんだ。
 そして、彼女のご両親(りょうしん)に挨拶(あいさつ)を――。僕は緊張(きんちょう)でガチガチになっていた。朝食も喉(のど)を通らず…、こんなことは初めてだ。それでも、何とか支度(したく)をして家を出る。その時、彼女から電話が入った。何か、大雪(おおゆき)で電車(でんしゃ)が止まってしまって、ご両親が来られなくなったと…。結局(けっきょく)、挨拶は延期(えんき)になってしまった。…少しホッとした。
 いろんなことがあったけど、それでも僕たちは結婚(けっこん)した。今は二人で幸(しあわ)せをかみしめている。そしてついに、彼女から子供(こども)ができたと聞かされた。僕は、めちゃくちゃ嬉(うれ)しくて…。はしゃぎ過(す)ぎて、転(ころ)んだ拍子(ひょうし)に足首(あしくび)を捻挫(ねんざ)してしまった。あまりのドジさ加減(かげん)に、彼女から注意(ちゅうい)を受けてしまった。これからは、気をつけようと肝(きも)に銘(めい)じた。
 まあ、これからもいろんなことがあるだろうけど、僕らは二人で乗(の)り切ろうと思う。そして、いつまでも末長(すえなが)く…。彼女も、そう思ってる…と、いいんだけど?
<つぶやき>大丈夫(だいじょうぶ)なんじゃないんですか。まったく、こういう話を聞かされるなんて…。
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