みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0897「嫁自慢」

2020-05-24 18:07:25 | ブログ短編

 とある居酒屋(いざかや)で、会社の同僚(どうりょう)たちなのか、男たちが集まって飲み会を開いていた。いつものことなのだろうか、嫁(よめ)の話題(わだい)になっていた。
「俺(おれ)のは鬼嫁(おによめ)だからなぁ。たまに息抜(いきぬ)きしないと身(み)が持たないよ」
「お前のとこは、それでも美人(びじん)だからいいよ。目の保養(ほよう)ができるじゃないか。俺のなんか、デブって太(ふと)っちまってよ。これはもう、詐欺(さぎ)としか言えないね」
「なに言ってんだ。お前たちはまだいいじゃねぇか。俺んとこはな、口もきいてくれねぇんだぞ。最近(さいきん)は、娘(むすめ)にまで邪魔(じゃま)にされてさぁ。俺の居場所(いばしょ)なんてないんだよ」
 この愚痴(ぐち)の言い合いはいつまで続くのか…。たまりかねた独身(どくしん)の若い男が口を挟(はさ)んだ。
「家庭(かてい)を持つって大変(たいへん)なんですねぇ。僕(ぼく)、結婚(けっこん)なんかやめようかなぁ」
 この言葉(ことば)に、まわりの男たちはすぐに反応(はんのう)した。
「お前、なに言ってんだ。結婚はいいぞ。仕事(しごと)に張(は)り合いがもてるようになるんだから」
「そうだぞ。家庭を持って、男は初めて一人前(いちにんまえ)になれるんだ」
「そうだ、そうだ。そんな弱腰(よわごし)でどうすんだ。好きな女ひとり、幸(しあわ)せにできないなんて」
 若い男は面食(めんく)らって、「えっ、でも…。さっき言ってたことと――」
「あのなぁ、俺たちはこれでも幸せなんだよ。家に帰れば、家族(かぞく)が待ってるんだから」
「お前も、結婚すれば分かるよ。お前、彼女とかいないのか? 何なら、俺たちが――」
<つぶやき>これは、いい方にとればいいのかな? それとも、別の面があるのかもね。
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